海塩は岩塩や食塩とは成分や効果が違うのか調査!おすすめの使い方は?
海塩という言葉を耳にしたことはありますか?同じ塩でも海塩、岩塩、食塩、焼塩、あら塩等々、沢山の商品名がありますが、それぞれ成分や工程が異なり、味わいに違いが出てくるため、料理によって塩を使い分けている人もいます。今ではスーパーに行けば国内のみならず、海外から輸入された様々な塩が並んでいます。そこで、海塩のおすすめの使い方や選び方を紹介していきます。毎日使う塩だからこそ、成分や効果を知って上手に使いたいものです。
目次
海塩について詳しく知る
海塩と聞けば、海の塩かな?と簡単に想像がつくと思いますが、岩塩や食塩と何がどう違うのか知っていますか?さらに海塩の中でも、作業工程によって、味わいや舌ざわり、成分も変わってきます。おかず料理だけではなく、パンにもお菓子にも含まれている塩は、取り過ぎると、高血圧や動脈硬化をもたらすこともあり、塩にこだわりを持って食事を取る人も増えています。それぞれの塩の成分や効果を詳しく見ていきましょう。
海塩の原料は海水
海塩の原料となる海水の成分を見ていきましょう。海洋によって海水の塩分濃度は異なりますが、平均で大体3.5%を塩分が占めています。その塩分の内、約77%を塩化ナトリウムが占め、残りを主にカリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルが占めています。人間はこれらのミネラル(無機質)を体内で作り出せないため、食べ物から摂取する必要があります。
ミネラルのそれぞれに味の特徴があります。ナトリウムは塩辛い味、カルシウムがえぐみ、マグネシウムが苦み、カリウムが酸味を作り出しています。これらの成分の濃度バランスによって塩の味に違いが出てきます。海洋によってもこの成分バランスが異なるため、同じ塩でも使った海水や加工方法によって味に違いが出てくることになります。
海水に含まれるミネラル成分は味だけでなく、その効果も様々です。マグネシウムやカルシウムには骨を強くする効果があり、カリウムには取り過ぎたナトリウムを体から排出する効果があります。セレニウムには抗酸化作用もあります。ミネラルが含まれる塩には殺菌効果や体を温める効果があります。漬物等の保存食に塩が大量に使われるのは、腐敗を防ぐという塩の効果を利用したものです。
海塩の種類
海塩は海水を長時間熱したり、天日干しにしたり、電気分解したりして水分を取り除き、結晶化させた塩のことです。ただし、この加工の方法や、水分の蒸発を止めるタイミングによって、出来上がった塩の成分や効果、味、手触りが大きく変わります。また分類の仕方も様々で、一つの塩の種類が異なる名称で呼ばれる場合がありますが、日本で主に流通している海塩の種類を一つづつみていきましょう。
海塩の種類:食塩
イオン交換膜法という電気分解の力を利用して海水濃度を上げ、真空蒸発缶で煮詰め水分を蒸発させたものがが精製塩、または食塩と言われるものです。海水濃度を上げる際に、ナトリウム以外のミネラルが除かれるため、なめると塩辛いのが特徴です。栄養価の高いミネラルがほとんど失われている一方で、サラサラで溶けやすく、天日干しの塩よりも短時間で生産できるため安価です。加工食品にも広く使われています。
日本の塩の生産は長い間、塩専売制度で価格や加工が定められていましたが、1972年の塩業近代化臨時措置法により、イオン交換膜法を使った塩のみが生産が許可され、日本国内の塩田が閉鎖されました。天候に左右されやすい塩田での国内生産を廃止し、より効率的に塩を生産できるようになり、安価な輸入塩に対抗した一方、食塩にはナトリウム以外のミネラル成分がほぼないため、健康への影響も心配されるようになりました。
海塩の種類:自然海塩
自然海塩:天日塩
海水を塩田にひき、太陽光や風で水分を蒸発させて結晶化させたものです。加熱を行わず、海水中のミネラルが豊富に含まれる一方、完全に殺菌がされていない、という見方もあります。また、湿気を含みやすいため、常温で保存しておくと湿っぽくなる場合があります。生産に手間も時間も要するため、値段は高めです。降水量の多い日本では向いていない生産方法のため、国内産の天日塩はごく少量に限られ、主な産地は海外です。
自然海塩:平釜塩
天日塩同様、海水を引いた塩田で塩分濃度を上げ、それを平釜で長時間煮込んで水分を蒸発させ、結晶化させた塩を指します。日本では伝統的な方法で、イオン交換膜法が導入される前まで、日本各地で見られた生産方法です。1997年、塩の自由化が始まって復活した日本産の平釜塩は、メーカーによって加熱時の温度や時間が異なり、出来上がった塩の味も様々です。
海塩の種類:再生加工塩
メキシコやオーストラリアなど、海外から輸入した天日塩に日本の海水を混ぜて溶かし、ろ過、加熱を繰り返して作られた加工塩です。炭酸マグネシウムを加えて塩が固まるのを防いだものもあります。赤いキャップでおなじみの「食卓塩」などがその例です。そのほかに、にがりやほかのミネラルを加えて成分調整したものが多く、代表的な商品は「伯方の塩」や「赤穂の天塩」などです。ナトリウム分の濃度はメーカーによって異なります。
岩塩と海塩の違い
岩塩ができるまで
岩塩は太古の昔、海水に覆われていた場所が地殻変動により海水が地中に閉じ込められ、長い年月をかけて水分が蒸発し、結晶化した塩のことです。水分を地中に注入して、塩分の濃い海水にして汲み上げ、水分を蒸発させたものが溶解法岩塩、塩分のある地層を直接採掘して取り出したものを採掘法岩塩と言います。日本で岩塩は生産されておらず、主にヨーロッパ、インド、パキスタン産の岩塩が輸入されています。
岩塩の成分
岩塩は産地によって地層のミネラルを豊富に含んだものと、海水本来のミネラル分が失われ、ナトリウム濃度が高く塩辛いものと、様々です。周りの地層に含まれた鉱物が混ざっていることが多く、その地層の鉱物によって塩の色にピンク、紫、緑、黄色など違いがあります。岩塩はヨーロッパやアジア地域産のものがほとんどです。世界で生産される塩の3分の2がこの岩塩といわれています。
岩塩の効果
岩塩に含まれている鉱物は人間の体内では吸収されにくく排出されることが多いのですが、食用以外に体を温めたり、抗酸化作用によってお肌をなめらかにしたり、殺菌作用で傷を早期回復する効果があります。ヒマラヤのピンクソルトは赤鉄鉱の濃度が高く、バスソルトとしても有名です。また、岩塩には空気を洗浄する効果もあるといわれています。
海塩おすすめの使い方
海塩の味わいや成分で使い分ける
海塩は種類が豊富で、一見選ぶのが難しいですが、そんなときは成分表を見るのがおすすめです。ナトリウム濃度が高いほど塩辛さが強く、ほかのミネラル濃度が高いとまろやかさが増します。にがりが添加されているものはマグネシウム分が高くほのかに苦みを感じると思いますが、この苦みも料理を美味しくする要素です。まろやかな海塩は野菜や魚料理、和食などにおすすめです。
海塩の溶けやすさで使い分ける
さらさらとして溶けやすい海塩は煮込み料理や下味におすすめです。結晶の大きい溶けにくい海塩だと、味見しても塩気を感じにくく、追加しすぎて塩分濃度が高くなってしまいがちです。逆に結晶の大きい塩はステーキやグリル料理、バーベキューなど、カリっとした塩の歯ざわりそのものを楽しむ料理におすすめです。
安い食塩はお掃除に
台所用品や食器の掃除
ナトリウム濃度が高く、他のミネラル濃度が低い食塩も、安いのでお掃除におすすめです。塩なので化学洗剤よりも安全です。生魚や生肉を切った後のまな板に塩を振りかけて5分ほど置き、水で洗い流すと、ぬめりや生臭さがすっきり簡単に取れます。急須やコップの底の茶渋、排水溝のぬめりも塩を振って数分放置してから磨くときれいに取れます。アルミ鍋の焦げ付きには塩を振って2,3時間放置してから洗い流すのがおすすめです。
床や畳の拭き掃除
塩をとかした水にぞうきんを浸し、絞って床を拭いてみてください。手垢や埃がきれいに取れます。床の他に家具にも使えます。畳やカーペットには直接塩を振りかけて、畳は拭くか掃除機で吸い取り、カーペットはそのまま掃除機をかけてください。さらさらな海塩は撒きやすく、細かな埃や汚れを絡み取り、きれいにしてくれます。特にハイハイする小さなこどもがいる家庭では安全な掃除方法なのでおすすめです。
海塩はミネラル濃度が高いほど健康効果が期待できる!
海塩の成分は海水の成分が基本となり、ミネラル濃度が高いほど、健康への効果が期待されることが理解できたと思います。塩の自由化が進んだ今、国内産、海外産のさまざまな海塩を購入することができるようになりました。種類が増えたからこそ、パッケージのキャッチコピーや商品名に惑わされずに、裏面の成分表や工程をよく見て、自分の目的や好みに合わせて、毎日の食事に海塩を取り入れてみてください。