アスパラガスの栽培方法・育て方のコツは?種まきや植え替えも解説!
茹でても揚げても美味しいアスパラガスは、自宅の庭でも簡単に栽培できる野菜です。家庭菜園初心者でも育てやすく、多年草でもあるアスパラガスは、長く収穫を楽しむことができます。アスパラガスの良さは、栽培方法が簡単で長く楽しめるだけではありません。育て方のコツをつかめば、家庭菜園初心者でも簡単に増やすこともでき、買ってくるよりも太くて味の良いアスパラガスを収穫できるのです。アスパラガスの上手な育て方のコツをまとめて紹介します。
目次
- 1食卓の人気者のアスパラガス
- 2アスパラガスの栽培は露地植えでの育て方が基本
- 3アスパラガスの栽培は土作りも大切な育て方の基本
- 4アスパラガスの栽培方法は種まきからと苗を植える方法がある
- 5アスパラガスが芽吹き始めてからの育て方
- 6アスパラガスの育て方で基本となる水やりの方法
- 7アスパラガスの育て方で基本となる肥料のあげ方
- 8アスパラガスの成長具合に合わせた育て方
- 9種まきから栽培したアスパラガスの1年目の育て方
- 10種まきから栽培したアスパラガスの2年目の育て方
- 11苗から栽培したアスパラガスの育て方
- 12種から栽培したアスパラガスの収穫は3年目から
- 13アスパラガスをプランターで栽培する方法
- 14ホワイトアスパラガスを栽培するための育て方
- 15アスパラガスの苗を長く栽培し続ける育て方のコツ
- 16アスパラガスに発生しやすい病害虫
- 17上手に栽培してアスパラガスを楽しもう
食卓の人気者のアスパラガス
アスパラガスといえば、茹でてサラダやおひたしを始め料理の添え物としても使えるだけでなく、そのまま肉と一緒に焼いても炒めても、根元の甘さと穂先のほろ苦さが美味しい野菜です。戦後の1780年ごろに観賞用として入ってきたアスパラガスですが、今ではすっかり日本の食卓に根付いた人気の野菜の1つです。
アスパラガスは、カロチンやビタミンB・ビタミンCの他にも食物繊維や葉酸も多く含み、穂先にはアスパラギン酸というアミノ酸の一種も多いため、腸内環境を良くしたり新陳代謝を促すだけでなく、鉄分の吸収も良くすることで貧血の改善や疲労回復にも効果的な野菜です。
そんなアスパラガスは、家庭菜園でも人気の野菜の1つです。アスパラガスは多年草のため、きちんと手入れをして正しい育て方をすれば、10年ほど収穫を楽しむことができます。そんなアスパラガスの栽培方法を、種まきと苗から育てる方法も合わせ、プランターで栽培するときのコツや注意点もまとめて紹介します。
アスパラガスの栽培は露地植えでの育て方が基本
アスパラガスは草丈が1,5mにもなり葉も横に広く茂らせるため、株と株の間を十分に広く取って栽培する必要があります。そのため、アスパラガスは基本的には露地植えで栽培する野菜です。また生育期間が長いこともあり、土に余裕を持たせられるという点でも露地植えでの栽培が向いている野菜です。ですがプランター栽培もコツをつかめば可能です。まずは基本となる露地植え栽培から説明していきます。
アスパラガスの栽培は土作りも大切な育て方の基本
アスパラガスは中性から弱酸性の土を好みます。そのため、アスパラガスの苗を畑に植え付ける前に、しっかりと土作りをする必要があります。アスパラガスの栽培に適した土は、ph6,0~6,5が目安となります。専用の測定器があればきちんと測って、植えつける前に石灰を混ぜて調整しておきます。さらに植え付けの3週間前に、元肥もかねて完熟堆肥を土に混ぜ込んでおきましょう。
元肥として土に混ぜておく肥料や土壌改良としての石灰の量の目安は、1平方メートルあたりで過リン酸石灰150g・堆肥4kg・化成肥料120gです。化学物質にアレルギーのある人は化成肥料は避けて、鶏糞やボカシ肥などの有機肥料のほうがおすすめです。いずれにせよかなりの肥料を必要とするので、元肥はしっかりと与えておきましょう。肥料切れを起こすと株が大きく成長できないだけでなく、翌年の収穫量も下がるので要注意です。
出典: https://horti.jp
元肥を土と上手に混ぜ合わせる方法は、土に30cm~40センチの深さの溝を掘った後、そこに元肥となる肥料分を入れます。アスパラガスは根はりも良い植物なので、しっかり土を掘り起こして土を柔らかく水はけの良い状態にします。溝に元肥を入れたら、土を被せながら良く混ざるように耕していきます。最後に幅90cm・高さ20cmの畝(うね)を作り、より水はけがよくなる条件を整えてあげましょう。
アスパラガスの栽培方法は種まきからと苗を植える方法がある
アスパラガスを栽培する方法は、自分で種まきをして1から育てる方法と、ホームセンターなどで苗を買ってきて植えつける方法の2種類があるのは、他の野菜と一緒です。どちらも家庭菜園初心者でも簡単に育てられるので、好みで選んで問題ありません。アスパラガスは、連作障害という一ヶ所で同じ野菜を作り続ける弊害もない野菜であることと、地下の根の充実度が大事な野菜なので、種まきからの実生苗でも問題なく育ちます。
アスパラガスの種まきから栽培する育て方
アスパラガスの発芽温度は、25度~30度とかなり高めです。そのため初心者でも失敗しにくい方法は、5月以降の暖かい季節になってから、種苗用のポットに腐葉土を入れて2粒ずつ種まきをして軽く土を被せ、たっぷりと水やりをします。その後ホームセンターで売っている家庭用のビニールハウスで保温するようにすると、10日ほどで芽が出ます。種まきの前に、30度ほどのぬるま湯に一晩浸けておくと発芽しやすくなります。
種まきの後発芽した苗が10cm以上に生長したら、露地かプランターに植え替えして育てます。最終的に露地に植え替えする場合でも、最初の1年はプランターに植え替えて株を充実させるとともに、観葉植物としても楽しむことができます。種まきをして発芽したばかりのアスパラガスは、細くて背も低いので収穫できる状態ではありません。まずは栄養のある土に植え替えて、株を肥大させ充実を促すほうが優先となります。
アスパラガスを苗の植え付けから栽培する育て方
アスパラガスの苗は、ホームセンターなどでも買うことができます。種まきから発芽までの温度管理の手間もなく、すでに1年以上肥培した株を売っていることもあります。その年から収穫できるまでに育った株を売っていることもありますが、値段はもちろん高めになります。とはいえ、収穫を1日も早く楽しみたい人には、苗での購入がおすすめです。
アスパラガスの良い苗の選び方は、出ている芽が太くて濃い緑をしているだけでなく、すでに穂が開いているときは、力強くまっすぐ伸びた茎に開いた葉が良く茂っているものを選びます。アスパラガスの場合、根だけの状態で売っていることもあります。根で売っているアスパラガスは、色が明るい肌色をしていて太く、根の本数が多いものを選びます。黒い根が混ざっているものは、腐り始めている可能性があるので避けましょう。
アスパラガスの育て方は種まきと苗のどちらの方法がおすすめ?
種から多くのアスパラガスの苗を育てても、植え替えできるそれなりの広さの庭なり畑がある人は、種まきから育て始めても良いでしょう。育てている間に育成状態を見て選別していく場合にも、候補となる苗は多くても困りません。ただし基本、種まきから苗を育てる場合には、植え替えて栽培できるだけの広さがある場所なり、複数のプランターを置ける場所を必要とすることは事実です。
それに対して、プランターに植え替えて楽しむ場合や置き場所に困る人には、苗で買ってくるほうがおすすめです。小さい苗を買ってきても観葉植物として楽しむこともでき、株が大きくなれば収穫も楽しめます。植えたその年から収穫を楽しみたい人は、露地植え・プランター栽培どちらの場合でも、十分に肥培された根を買ってきて植え替える以外は方法がないので、苗の購入一択です。
その年から収穫可能なアスパラガスの苗は、当然相応の値段になります。なのでアスパラガスを栽培するときは、確保できる予算とスペースや、いつから収穫を始めたいかなどを良く考えて、自分が一番楽しくアスパラガスを栽培できる方法を選んでから、種まきから始めるか、苗を購入して植え替えて楽しむかを決めるのがおすすめです。
アスパラガスが芽吹き始めてからの育て方
アスパラガスの1年目の苗の植え替えは、露地に植え替える場合は株の間を30cm~40cm離して植えつけます。しっかり栄養を吸収し株が充実できるように、余裕を持たせて植え替えましょう。プランターに植え替えるときも同様に、株の間は30cm~40cm離して植え替えるか、1鉢に1株だけで植え替えます。株に養分をたっぷりと摂らせて充実させる必要のある野菜なので、1つの鉢に複数植えつけるのには向きません。
アスパラガスの育て方で基本となる水やりの方法
アスパラガスは夏場の乾燥が苦手なので、土が乾燥してしまうと根が弱って生育が悪くなってしまいます。蒸れに弱いという性質もありますが、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。根元に敷き藁をしておくと、蒸れにくいのに乾燥もしにくくなるので、梅雨が明けたころに敷き藁をするようにしましょう。敷き藁は雑草予防にもなるので、一石二鳥でおすすめです。敷き藁用の藁はホームセンターで買うことができます。
アスパラガスの育て方で基本となる肥料のあげ方
肥料は植え替えた年は元肥で十分なため、特に肥料を与える必要はありません。ですが冬になって地上部が枯れた後に、堆肥やボカシ肥といった有機肥料を追肥として与えます。化成肥料をすすめるサイトもありますが、化成肥料は土質を酸性に傾けやすいため、アスパラガスにとって合わない土質になりやすいので避けたほうが賢明です。
アスパラガスの根を傷めないように注意しながら、畝の底など根元から少し離れたところを軽く耕して土をほぐし、肥料の上に土を被せるように土寄せしておきます。他にも春に芽を出し始めるころと夏の親株の成長期のころに、株に力をつけさせるために追肥を施し、肥料切れを起こさないようにします。プランター植えの場合は冬に一度、新しい土に植え替えすると良いでしょう。
アスパラガスの成長具合に合わせた育て方
アスパラガスは成長力のある野菜です。充実した株から伸びる芽の高さは1mを軽く超えます。そんなアスパラガスですが、自力で立てるほどの強度は正直言ってありません。放っておくと周りに倒れてしまいます。中には自力で立ち続けるものもありますが、強い風が吹くとさすがに倒れてしまいます。倒れた茎をそのまま放置しておくと、病害虫の発生の元にもなるので、きちんと対処してあげる必要があります。
アスパラガスの芽が成長してきて高さが50cm~60cmになったら、アスパラガスの四隅にしっかりと支柱を立てて、支柱と支柱の間に紐を張って茎が倒れないように支えます。特に露地植えの場合には台風などの影響も受けやすいため、風が強くなるようであれば防風ネットも使って補強しましょう。茎が倒れてしまったときは、支柱を立て直して倒れた茎を起こして再び支えるようにします。
種まきから栽培したアスパラガスの1年目の育て方
1年目のアスパラガスの苗は、とにかく成長させて株を充実させることを第一として育てます。最初のころは出てくる芽も細く頼りないですが、目に見えて成長するのもこの1年目です。まだ成長途上で株の力も弱いので、真夏に水切れを起こしたり病害虫の被害にあわないように、茎が倒れないよう支柱で保護しながら育てましょう。雑草が茂ると日当たりや風通しが悪くなってしまうので、こまめに抜いて駆除します。
冬になって、アスパラガスの茎が黄色く変わってきて枯れたら、根元から5cm~10cm残して刈り取ります。アスパラガスは凍害に弱いので、冬の間何もしないままだと枯れてしまうこともあります。そのため追肥もかねて堆肥をかけた上に、さらに敷き藁などで覆って冷気から守ってあげるようにします。冬は休眠期でもあるため水やりは控えめにします。夕方にあげると夜の間に凍ることもあるので、晴れた日の朝に少量与えます。
種まきから栽培したアスパラガスの2年目の育て方
1年目をプランターで育てたアスパラガスの苗は、3月~4月に1年目同様にしっかりと肥料を混ぜ込んだ肥沃な土に植え替えます。露地で育てた場合も、根を傷つけないように気をつけながら掘り起こし、改めて肥料を混ぜ込んでから植えなおすと良いでしょう。2年目もまだ収穫はできず、株の充実に努めることになります。苗の根を広げて入れられる大きさで、深さは苗が5cmほど埋まる深さの穴を掘って植えつけます。
株の間は1年目同様、30cm~40cmで植えつけます。植えつけた後に籾殻(もみがら)を被せておくと、乾燥や雑草よけになるだけでなく、アスパラガスが新芽を出す妨げになりません。2年目に入ると1年目よりははるかに太い芽が出るようになり、成長が実感できるようになります。1年目同様に夏には根元に藁を強いて保護したり、支柱で茎を支えたりしながらしっかり株を充実させましょう。植え替えたときには元肥だけで大丈夫です。
冬になって地上部が枯れたら刈り取って、再び堆肥と藁で覆って寒さよけもかねた追肥を行います。そして3月~4月、アスパラガスが目覚めたときに力を失わないように追肥をすれば、ようやくお待ちかねの収穫ができるようになります。種から育てたときには収穫まで3年目になってようやく楽しめるようになる、ということも念頭に置いて栽培する必要があります。
苗から栽培したアスパラガスの育て方
苗から育てたアスパラガスは、もともとの苗が何年物かで収穫までの期間が変わります。まだ1年目の苗であれば、種から発芽させる手間だけを省いただけなので、収穫は3年目から、ということになります。2年目の苗でも、1年間はしっかり肥培する必要があります。苗のタグをきちんと確認して、何年目の苗なのか承知の上で購入し、適した栽培方法で育てましょう。
種から栽培したアスパラガスの収穫は3年目から
ここまで説明してきたとおり、アスパラガスを種まきから栽培すると、収穫できるのは3年目からになります。その分初収穫は感慨もひとしおですが、やはりかなり時間が必要という感は否めません。さらにアスパラガスの収穫は6月まででやめないと、株の力が弱ってしまいます。収穫をある程度楽しんだ後は、再び株の力を回復させるために肥培することになります。
そんなアスパラガスは夏に黄色い小さい花を咲かせます。その後実になり熟しきると赤くなります。その中にはもちろん、アスパラガスの種が入っています。2年間は肥培のみで終わるとはいえ、好きなだけアスパラガスの苗を増やすこともできます。アスパラガスの苗はきちんと手入れをすれば10年ほど持ちますが、通常は5,6年ほどで枯れてしまうことも多いです。種で更新するか、苗で更新するかは好みで決めると良いでしょう。
アスパラガスをプランターで栽培する方法
アスパラガスをプランターで育てるときには、土は野菜用の培養度でも大丈夫です。基本的な育て方は露地栽培と一緒ですが、なるべく土は毎年植え替えを行って入れ替えるようにしましょう。アスパラガスが土の養分を吸い尽くしてしまうため、収穫するようになると追肥だけでは株が弱りやすくなります。冬に枯れた部分を刈り取った後、植え替えを行うようにしましょう。
またアスパラガスは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。風通しの悪い場所に置くと、蒸れて病害虫の被害にあいやすくなります。元々大きくなる野菜だけに、置き場所を考えた上で栽培を始めるようにしましょう。葉も広範囲に広がるのと、他の植物のように整枝してしまうと根に十分な栄養を蓄えられなくなる可能性が高くなるので、十分な場所を確保しておく必要があります。
アスパラガスのプランター栽培では鉢選びが大切
アスパラガスの根は、上手に育てていればどんどん大きくなっていきます。そのため最低でも、深さが30cm以上ある鉢を選ぶようにしましょう。前年よりも出てくる芽が細くなったら、根が弱ってきている証拠です。思い切ってその年の収穫を諦め、翌年にはさらに大きな鉢に植え替え十分に栄養をとれるようにすれば、また収穫を楽しむことができますが、全体の重さと必要とする土の量も増えるので、計画的に栽培しましょう。
プランター栽培でも支柱立ては大切な育て方の基本
プランター栽培でも、芽の成長に合わせて支柱を立てて、紐を張って茎を支えてあげましょう。余計に広がり過ぎるのを防いでもくれるので、無駄に場所をとられるのも防ぐことができます。マンションのように風の強いところで育てるときには、なおのこと茎が折れやすいので支柱を立て忘れないようにしましょう。
ホワイトアスパラガスを栽培するための育て方
ホワイトアスパラガスは、実はアスパラガスとまったく同じ品種です。光や風をさえぎって育てると、光合成が行われず白いアスパラガスになります。ホワイトアスパラガスを作るのは簡単です。アスパラガスの頭が出ないように土寄せを行ったり、光を通さないように黒く塗ったダンボールを被せておくなどして、光合成をさせないように育てれば、自宅でも簡単にホワイトアスパラガスを収穫できます。
翌年もホワイトアスパラガスを楽しむ育て方
ホワイトアスパラガスを収穫している間、アスパラガスの根は溜め込んでおいた養分と土から吸い上げた養分で芽を出し続けています。そのため通常よりも消耗が激しいため、収穫は早めに終わりにしましょう。収穫後にボカシ肥料などを追肥して、日の光をたっぷりと浴びさせて消耗した養分を取り戻させます。冬にも堆肥で覆ったり、春に新しい土で植え替えるなどして、根の負担を軽くしてあげればまた楽しむことができます。
アスパラガスの苗を長く栽培し続ける育て方のコツ
アスパラガスの寿命は、根の充実度と冬越しでほぼ決まります。冬は寒い地方では病気で枯死しやすいため、堆肥で覆ってその発酵熱で守ったり、さらに藁などで覆って霜や寒風除けを行います。根は充実している限りどんどん成長を続け、年々収穫量も増えていきます。根を充実させるためには、肥料の他にもコツがあります。
肥料をたっぷりあげて根を充実させるのはもちろん大事ですが、養分を作る茎や葉もとても大切な要素です。十分に栄養をあげるだけでなく、残す芽も選んであげましょう。まず収穫中は細い芽はとらずにそのまま伸ばしましょう。収穫中の栄養補給を補ってくれます。収穫が終わったら、病害虫の予防もかねて細い茎は刈り取って風通しを良くし、太くて力強い芽を伸ばしてしっかり光合成を行わせます。
前年と比べて、出てくる芽が細くなったときは、細いほうの芽を収穫して太い芽をあえて残すのも、根の力を回復させるのに役立ちます。収穫としては寂しくなりますが、翌年力を取り戻した根からは、たくさんの収穫が見込めます。アスパラガスの根は、長さが1mにもなる大きな根です。維持するだけでも相当な栄養が必要なのに、さらにそこに蓄えた栄養を使って芽を出すのですから、養いを良くしてあげるのが長持ちのコツです。
アスパラガスに発生しやすい病害虫
アスパラガスで最も被害の多い病気は、茎枯病(くきがれびょう)です。蒸れや冬の寒さが原因で、土中のカビに犯されてしまう病気です。一度発生すると治す方法がないので、株ごと抜いて処分します。伝染性の病気なので、発見が遅れると他の株もやられてしまいます。茎に褐色の斑点ができて枯れ始めたら、即処分しましょう。敷き藁などで泥跳ねを防ぎ風通しを良くしたり、雨よけ屋根などで湿気対策すると良いでしょう。
ジュウシホシクビナガハムシは、テントウムシのような色をした甲虫で、赤い背中に黒い斑点を持った虫です。幼虫・成虫両方ともアスパラガスの葉や茎の表面を食い尽くしてしまいます。この外にもヨモギエダシャクという、シャクトリムシそっくりの動きをする幼虫が新芽を食い荒らしたり、カイガラムシという白い蝋のような甲羅状のものを被った虫が、茎から養分を吸い取ったりします。
カイガラムシを除く害虫は、農薬での駆除が可能です。近頃は収穫前日まで使っても残らない農薬も販売されていますが、土中の有用菌やバクテリアを殺してしまうこともあるので、なるべく使いたくないものです。普段から風通しを良くしたり、防虫ネットを被せたりしておくと、相応の予防効果が見込めます。カイガラムシはその甲羅で農薬が届かないので、見つけ次第ブラシでつぶしながらこすり落とします。
アスパラガス栽培に向くコンパニオンプランツ
お互いが害になるものを防ぎ合う性質を持つ植物を、コンパニオンプランツと呼びます。近頃無農薬栽培に効果的ということで、耳にする機会も多いことでしょう。アスパラガスにもコンパニオンプランツがいくつか存在します。有名なところではトマトがそうです。トマトはアスパラガスに付くハムシ類を防ぎ、アスパラガスはトマトに付くセンチュウ類を防ぎます。
問題はトマトが連作障害を持つため、1年限りということです。ですが他ではにんにくが、アスパラガスの立枯病を防いだりお互いの生育を助け合う効果があったり、スイートバジルやマリーゴルドに害虫を追い払う効果があるなど、畝に交互に植えたりプランターで寄せ植えにしても良いでしょう。ただしプランターの場合は、より追肥をしっかりするなど、アスパラガスの根の充実には要注意です。
上手に栽培してアスパラガスを楽しもう
アスパラガスは、きちんと手入れをして栄養をたっぷり摂らせてあげれば、長い間収穫を楽しませてくれる野菜です。中には30年もの間、収穫を楽しんでいるという人もいるくらい長命な野菜です。ちょっと大食漢なところもありますが、手をかけた分収穫で返してくれるアスパラガスを、あなたも育ててみませんか?