2021年12月23日公開
2024年11月17日更新
鶏肉が焼いても赤いときの原因は?生焼けの原因や食べたときの症状も
鶏肉を加熱しても赤いときの原因について解説します。表面と中心部分の色の違いや肉汁の色など、赤い肉が生焼けかどうか判別する方法を詳しく説明します。生焼けの鶏肉を食べたときの症状や生焼けを防ぐ方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
鶏肉を焼いても赤いときは食べられるのか調査!
安くて美味しい鶏肉は普段の食事に使いやすい食材ですが、食べようとしたら中が赤い色をしていたことはありませんか?赤い鶏肉は生焼けの可能性がありますが、しっかりと加熱しても肉の一部が赤いことがあります。
本記事では、焼いても赤い鶏肉が食べられるのか調べてまとめました。焼いても鶏肉が赤い原因や生焼けとの判別方法、生焼けを防ぐ方法などを一挙紹介します。
鶏肉が焼いても赤い原因は?
鶏肉に火を通したときの色の変化
生の鶏肉はきれいなピンク色をしていますが、火を通すとそれがだんだんと白色に変わっていきます。これはタンパク質が凝固したせいですが、タンパク質は60℃くらいで凝固をはじめて80℃くらいで白くなる特徴があります。
つまり、白くなった部分は、80℃に達するほどしっかりと加熱されているという証拠になるのです。表面から白くなりはじめた鶏肉は加熱とともに全体が白くなり、最後は鶏肉の中心部が赤からピンク、ピンクから白へと変わります。
このように中心部が白い場合は中まで完全に火が通っていることになるので、周りにうっすらとピンク色の箇所が見えても心配はいりません。
原因①脊髄液
鶏肉の骨の中には髄膜液という液が入っていますが、加熱調理をしているとこの髄膜液が外に流れ出てくることがあります。
この髄膜液は加熱しても変色しにくく、十分に加熱しているのにも関わらず赤い色が残ることがあります。赤いと生焼けのような気がしてしまいますが、肉自体の色が白くなっていれば大丈夫です。
脊髄液は食べても問題はない
赤い髄膜液は食べられるのか迷うこともありますが、肉さえしっかりと加熱してあれば食べても問題ありません。髄膜液にはコラーゲンや旨味がたっぷりと含まれているので、むしろ積極的に食べたい部分でもあります。
原因②発色剤や塩分
しっかりと加熱しているにも関わらず鶏肉が赤い原因は、発色剤や塩分が原因の可能性があります。ハムなどの加工品に多く使われる発色剤には亜硝酸塩が使われていますが、この亜硝酸塩は肉に含まれているミオグロビンに反応して発色します。
すると、しっかり加熱調理をしているのに、うっすらと赤い色の肉に見えるようになるのです。この亜硝酸塩は玉ねぎにも含まれており、生の鶏肉を玉ねぎと一緒に調理すると発色現象が起きやすくなります。
また、鶏肉は塩分に反応して赤く発色することがあり、もともと赤い色が強かった鶏肉はほんのりとピンク色になることもあります。
鶏肉が焼いても赤い部分があるときに注意する「生焼け」
焼いたときに表面が白く中身がピンクのときは生焼けの可能性
中心部が白くて外側がうっすらピンクであれば食べても問題はありませんが、逆に表面近くが白くて中心が赤い場合は要注意です。
中心部分が白か薄茶色になっていない鶏肉は、生焼けの可能性が高くなります。生焼けかどうかを判断するときは、鶏肉全体の色ではなく中心部分の色で判断するようにしましょう。
生焼けのときはカンピロバクターが潜んでいる可能性も
生焼けの鶏肉が危険な理由のひとつが、カンピロバクターという細菌の存在です。カンピロバクターは鶏や牛、豚などの食用肉だけでなく、犬や猫、鳩などの身近な動物の消化管の中に潜んでいます。
鶏は特にカンピロバクターの数が多く、鶏肉を捌くときに肉の表面に細菌が付着する可能性も高くなります。カンピロバクターは新鮮な鶏肉に最も多く潜んでおり、食肉への加工段階で完全に取り除くことは不可能です。
スーパーなどで売られている鶏肉でも、40%はカンピロバクターに汚染されているという報告もあります。ただ、カンピロバクターはしっかりと加熱すれば死滅する菌ですので、生焼けにさえ注意すれば心配する必要はありません。
カンピロバクターが引き起こす症状
カンピロバクターに汚染された食品を食べた場合は、だいたい2〜7日の間に胸焼けや吐き気が起こります。それに続いてひどい腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出てきます。
潜伏期間が長いため原因を特定しづらいのですが、2〜3日前までにさがのぼって食べたものを思い出してみましょう。
最初はただの腹痛だと思っていても、時間とともに腹痛や下痢がひどくなってくることがあります。症状がひどくなってくると1日に10回以上もトイレに駆け込むことになるので、早めに受診することが大事です。
体調不良時に鶏肉の生焼けを食べると症状が重くなる?
生焼けの鶏肉を食べたとしても、健康な状態で少しだけ口にした場合はそこまで心配する必要はありません。人間の胃液はとても強い酸性ですので、ある程度の菌であれば自然に殺菌してくれます。
注意しなければならないのは、生焼けの鶏肉を食べたときに体調不良だった場合です。もともと風邪をひいていたり疲れがたまっていたりすると、人間の免疫機能はガクッと下がります。
すると体内に入ってきた細菌に抵抗できなくなり、食中毒を発症しやすくなってしまうのです。体調が悪いときに鶏肉を食べるときは、いつも以上に焼き加減に注意するようにしましょう。
子供と妊婦は生焼けに特に注意する
大人よりも小さい子供のほうが、食中毒の症状がひどくなります。細菌が原因の食中毒は抗生物質を投与することで劇的に改善がはかれるので、食中毒の疑いがあるときは早めに病院へ連れていきましょう。
まだ固形物が食べられない赤ちゃんでも、大人の手からカンピロバクターに感染することがあります。特に生の鶏肉を触っていたときに赤ちゃんのお世話をする場合は、しっかりと洗剤で手を洗ってから赤ちゃんに触るようにしましょう。
離乳食や幼児食を作るときは、大人の料理以上に加熱に気をつけることが大事です。また、子供と同じくらい注意が必要になるのが、抵抗力が下がっている妊婦です。
妊婦も食中毒にかかりやすいだけでなく、激しい下痢や嘔吐でお腹の赤ちゃんに悪影響が出る可能性もあります。鶏肉を食べるときは生焼けに注意するとともに、調理器具などの洗浄にも気を払うようにしましょう。
鶏肉の生焼けの見分け方と防ぐ方法
見分け方①切り口の色
塊のまま焼いたり揚げたりした鶏肉は、食べる前に切って中の色を見てみましょう。表面近くだけが白くて中心が赤い色であれば、まだしっかりと加熱されていない証拠です。
その場合はもう一度火を通すか、レンジなどで再加熱しましょう。ただし、低温調理をしたときは、しっかりと加熱をしても全体的にうっすらとピンク色に見えることがあります。
鶏肉に含まれているミオグロビンは80℃以上で褐色に変わりますが、低温調理の場合は60℃くらいまでしか上がらないためです。この場合は食べても大丈夫ですが、生焼けと間違えないように注意しましょう。
見分け方②肉汁の色
鶏肉の色だけでは生焼けかどうか判断できないときは、肉汁の色を確認するのがおすすめです。鶏肉を押したり爪楊枝で刺したりして、中から透明な汁が出てきたら生焼けの心配はありません。
しかし、出てきた肉汁がまだ赤い色をしていたら、加熱が不十分だと考えられます。肉汁が赤かった場合は、完全に透き通るまで加熱を続けましょう。
見分け方③中心温度
カンピロバクターは75℃以上の加熱で死滅するため、中心温度をはかることで生焼けかどうか見分けることができます。温度計があれば、調理後の鶏肉の中心部分まで温度計を刺して温度をはかりましょう。
家に温度計がないときは、爪楊枝を使って温度をはかることができます。爪楊枝を用意したら鶏肉の中心部分に10秒ほど刺し、それを手の甲に当てて温度を確認してください。
お風呂の温度よりも温かく感じるようであれば、中心温度が75℃に達している目安となります。
防ぐ方法①切り方を工夫する
鶏肉が大きければ大きいほど中心まで火が通りにくくなるので、生焼けを防ぎたいときは小さめにカットするのがおすすめです。
また、鶏肉を1枚そのまま使いたいときは、厚みのある部分に切込みを入れるなどの工夫をしましょう。厚みを均等にするだけで、生焼けの危険性を減らすことができます。
防ぐ方法②鶏肉の温度を常温に
冷えた鶏肉をそのまま調理すると、表面部分だけ焼けて中が生焼けになることがあります。中までしっかりと火を通すためには、調理前に鶏肉を常温に戻しておくと良いでしょう。
ずっと常温に置いておいても傷んでしまう可能性があるので、調理を始める30分前を目安に冷蔵庫から出しておきましょう。
再加熱の方法
赤い鶏肉を再加熱する方法はいろいろありますが、中でも一番手軽な方法は電子レンジを使った方法です。しかし、電子レンジを使うと鶏肉がぱさついたり、衣がついていた場合はべちょべちょになってしまうというデメリットもあります。
焼き物であればもう一度フライパンで焼き直し、揚げ物であれば揚げ直すなど同じ調理法で再加熱するのが一番です。焼き物や揚げ物の場合は、魚焼きグリルを使って再加熱することも可能です。
鶏ハムのようなメニューだったときは、ビニール袋の中に入れた鶏肉をお湯の中で10分ほど放置しておけばOKです。お湯は一度しっかりと沸騰させ、火を止めた状態のものを使うようにしましょう。
鶏肉が赤いときは生焼けに注意しよう!
しっかりと焼いたはずの鶏肉でも、中心部分だけが赤いときは生焼けの可能性が高くなります。しかし、加熱が十分でも、さまざまな要因で赤い色に見えることもあります。
見た目だけでわからないときは肉汁の色や中心部分の温度などで判断するのがおすすめです。生焼けの鶏肉を食べてしまうと食中毒になることもあるので、調理前に生焼けを防ぐ対策を行っておきましょう。