さつまいもの栽培方法・育て方のコツは?収穫時期やプランターでのやり方も

さつまいもは、石焼き芋やふかし芋だけでなく天ぷら等のおかず類、そしてお菓子やお酒の材料としても大人気の野菜です。さらに葉や茎も炒め物やつくだ煮などに幅広く利用できます。またさつまいもは暑さに強く、やせた土地でも水や肥料なしで生育することができるため育て方も簡単で、初心者の方でも楽にさつまいもを栽培できます。今回はご家庭でさつまいもを栽培する方法、またプランターを使ったさつまいもの育て方のコツも紹介します。「庭が狭くて家では野菜作りは無理」と思っている方もぜひトライしてみてください。

さつまいもの栽培方法・育て方のコツは?収穫時期やプランターでのやり方ものイメージ

目次

  1. 1さつまいもの歴史
  2. 2栽培しやすいさつまいもの品種は?
  3. 3さつまいもの栄養成分は?
  4. 4さつまいも栽培に必要なもの
  5. 5さつまいもなどの野菜栽培に必要な道具は?
  6. 6さつまいも栽培に適した環境は?
  7. 7さつまいものプランターでの育て方
  8. 8さつまいも栽培で注意すべき病気は?
  9. 9さつまいも栽培で注意すべき害虫は?
  10. 10さつまいもの収穫時期は?
  11. 11さつまいもの上手な保存方法
  12. 12さつまいも栽培まとめ

さつまいもの歴史

さつまいもの原産地は中南米、ペルー熱帯地方とされます。紀元前800~1000年ごろには、既にさつまいもが栽培されていたと言われています。その後16世紀の大航海時代に頻繁に南アメリカ大陸にやってきたスペイン人やポルトガル人により東南アジアへ渡り、その後フィリピンを経由して中国へ、そしてそこから17世紀に日本へと伝えられました。

飢餓を救った野菜!それがさつまいも

江戸時代の日本では、18世紀の8代将軍吉宗の時期に度重なる飢饉による食料不足に見舞われましたが、その際にこのさつまいもが多くの人の命を救いました。やせ地でも凶作の年でも簡単に栽培でき、育て方も簡単な上、一度に沢山収穫できます。また、食物繊維やビタミン類を多く含んで栄養たっぷり、腹持ちも良いさつまいもは、その時代に全国に広まり、救荒作物として広く栽培されるようになりました。
 

栽培しやすいさつまいもの品種は?

日本国内では40種類以上ものさつまいもが栽培されていますが、ご家庭で栽培しやすい品種を選ぶコツは、まず栽培が簡単であること。味が美味しいこと。保存がきくこと。という点です。今回は育てやすい品種の代表2種を紹介します。

育て方が楽な紅(べに)あずま

紅あずまは早い時期での肥大性に優れ、表皮色が濃く、関東地方では市場の7割以上を占めるほど沢山生産されているさつまいもです。味は甘くホクホクしており、繊維が少ないため口当たりの良い食感で、焼き芋やお菓子の材料のほか家庭料理全般に向きます。
 

栽培生育時期が早く育て方も簡単な鳴門金時

主に西日本で多く栽培されているさつまいもの品種「高系14号」に品種改良を加えた徳島県の特産物が鳴門金時です。いもの大きさは中ぐらい、皮色は紅色、肉色は淡黄で、上品な甘さと見た目の良さを兼ね備えているさつまいもです。ややねっとりしているので焼き芋に最適で、冷めても美味しく食べられます。
 

ウイルスフリー苗(培養苗)でさらにさつまいもの育て方が簡単に!

あなたはウイルスフリー苗(培養苗)というのを聞いたことがありますか?これは、さつまいもの先端部などの細胞を培養して作る苗です。従来の苗の育て方では、ウイルス(病気)を親から貰ってしまうこともあるため、無菌状態から細胞を作り確実に病気を持っていない苗を培養によって栽培する方法です。

手間がかかる分、苗の価格も高めですが、元気で色つやが良い芋ができまた収穫も沢山できるので、育て方がますます簡単になります。

さつまいもの栄養成分は?


さつまいもの主成分はでん粉。エネルギー源として適していますが、実はカロリーは米の3分の1程度と低くダイエット食品にも向いています。またビタミンCや食物繊維を豊富に含むほか、ビタミンEや、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅などのミネラル類もバランス良く含む栄養満点の野菜です。しかし、さつまいもだけではタンパク質の割合が低いため、肉類や魚類など良質のタンパク質と食べ合わせると良いでしょう。

食べ合わせの方法でさつまいもの栄養効果がアップ!

食物繊維が豊富なさつまいも。こんにゃくやひじき、リンゴなどと一緒に食べる方法により便秘や動脈硬化予防により効果があります。またコレステロールの低下を促進するには、さつまいもと牛乳、きくらげの組み合わせが良いです。ビタミンCの美肌効果をより一層高めるには、さつまいもとレモン、いちご、小松菜の食べ合わせがお効果的です。なすやきくらげ、酢などと合わせると生活習慣病の予防効果がアップします。

さつまいも栽培に必要なもの

さつまいもの栽培にあたって、必要なものは次の3つです。さつまいもの苗、土、プランターになり、プランターは庭で栽培する場合は不要です。野菜栽培に必要な道具についてはまた次の項目で紹介していますのでそちらも参考にしてください。

育て方に差が出る!さつまいもの苗の選び方 

サツマイモは、苗というよりはツルを切り取った状態のものを植え付ける方法で栽培します。苗(ツル)は、お店やインターネットで購入できます。値段は10本で500円前後です。良い苗を選ぶ方法は、しおれていないもの、茎が太くて節間が間のびしておらず、葉色が濃く厚みのあるものを選ぶことです。葉の色が薄く茎が細いものは避けましょう。また、節数が4〜5あり、長さが15〜20cmくらいのものを選びます。
 

さつまいも栽培に適した土は?

さつまいもは痩せた土地でも簡単に育ちますが、日当たりが良い場所を選びましょう。ご家庭の庭に家庭菜園用のスペースがある場合は、事前に耕して風通しを良くしておきます。土壌の肥料分が多いと蔓ボケ(つるばかり伸びて肝心の芋が育たない状態)するので、肥料は控え目にするか、もしくは入れない方が良いでしょう。また、プランターで栽培する場合は、ホームセンターなどで野菜栽培用の培養土を購入します。
 

さつまいも栽培に適したプランターは?

さつまいも栽培に使うプランターは、野菜栽培用の容量20L以で30センチ以上の深さがある、大型で深型のタイプがおすすめです。またプランター栽培の場合はよくばってたくさん植えてしまうと、さつまいも一つひとつが大きく育たないので、プランターに植えるのは多くても1~2本の苗にすること。長方形のプランターなら1~2株、直径30cm程度の円形プランターなら1株が適量です。

さつまいもなどの野菜栽培に必要な道具は?

家庭菜園が初めての方は、まず野菜栽培に必要な道具を揃えましょう。色々な道具がホームセンターやインターネットで購入可能で目移りしますが、あれもこれもと買っても結局普段よく使う道具は限られてきますので、ここでは野菜栽培に欠かせない、最低限の道具を紹介します。

野菜栽培に必要な道具1:スコップ

スコップは種類も色も豊富です。園芸用のスコップは、通常のスコップと違い根を切ったり土を砕いたりしやすいよう様々な工夫や加工がしてあります。プラスチック製のものは劣化も早いのでステンレス製のものなどがおススメです。

野菜栽培に必要な道具2:はさみ

葉や茎、つるを切ったり、間引きや収穫、摘芯など色々な作業に使います。普通のはさみよりも刃が細いのが特徴です。写真のような剪定ばさみは、剪定だけではなく芽切りをしたり、太めの枝を切るなどの作業にも使えて便利です。作業がしやすい、手になじむものを選びましょう。

野菜栽培に必要な道具3:じょうろ

野菜に水を与える時に使います。軽くて丈夫なものが良いでしょう。大きさや材質も様々なので、普段のお手入れに使いやすいものを選びましょう。また、先端のハス口(くち)の部分が取り外せると、液体肥料を与えるのにも使えたりと、野菜栽培に必要ないろいろな利用方法があって便利です。

野菜栽培に必要な道具4:手袋

普通の軍手でももちろん使えますが、ガーデニング用の手袋だと作業のしやすさを考えて作られており、滑り止めがついていたり、作業をするときに手を保護してくれるのでよりおススメです。手首までのものと、肘あたりまでのものの2種がありますが、さつまいも栽培には短い手袋で十分役立ちます。

さつまいも栽培に適した環境は?

さつまいも栽培に適した温度

さつまいもはとても丈夫な野菜で、やせた土地でも簡単に栽培が可能です。原産地は熱帯地方なので基本的に寒さには弱く、暖かい場所で栽培されることが多い野菜です。日本では鹿児島県で4全国の生産量の4割ほども生産されています。最高温月の平均気温が22℃以上、あるいは年平均気温10℃以上の場所が最適です。

さつまいもの苗の植えつけ時期と収穫時期

さつまいもの苗を植える時期、収穫時期は地域や品種によってやや違いがありますが、だいたいの目安としては霜が下りなくなって、平均気温が18度以上の時期(5月~6月下旬)に植え付け、そして収穫時期は秋、10月初旬から11月初旬にかけてです。低温に当たると芋が腐ってしまうため、霜が降りる前までには収穫してください。

さつまいも栽培に適した土壌

基本的に乾燥した土を好み砂地、火山灰土、傾斜地、痩せた土地でも十分に育ちます。ただし、通気性の良い土壌で充分な酸素を与えることが大切です。土壌が固く締まっていると酸素不足となりますので、土をよく耕し、風通しを良くしておきましょう。また「土のことなんて分からない!」という方は、お店で野菜用の培養土を購入しましょう。

さつまいものプランターでの育て方

「マンションやアパート住まいで庭が無いから、うちでは家庭でさつまいも栽培は無理」と諦めてしまっていませんか?いえいえ、大きめのプランターを使う方法でも立派にさつまいもも育ちます。ここではさつまいもをプランターで栽培する際のコツや注意点を紹介します。

育て方のコツ1:苗の植え付け方法

さつまいもは苗の植えつけ方法で、いものつきかたが変わります。プランター栽培でのおススメは次の2通りです。まず、水平植えといい、水平植えは苗全体を浅く、土に水平に沿って植える方法です。いもが比較的多くつきます。もう一つが、斜め植えというもので、苗を斜めに刺して植える方法です。さつまいもの数が少ないけれど各いもが大きく育つのが魅力です。

育て方のコツ2:肥料

苗を直接地面に植えつける場合は、元肥などの肥料は必要ありませんが、プランター栽培の場合は、市販の培養土の場合は肥料は不要ですが、それ以外では土の量が限られるため、つるが伸び葉っぱの色が黄色っぽくなったら化成肥料や薄い液肥を与えます。

育て方のコツ3:日照条件

さつまいもは強い日差しと高温をを好みますので、なるべく日光が良く当たる場所を選びましょう。プランター栽培の場合は、手軽に場所を移動できる利点がありますので、季節によってどこが日の当たりの良い場所かをチェックし、その都度プランターの置き場所を変えてあげることも上手な育て方のコツです。

育て方のコツ4:水やり

さつまいもは乾燥を好みますが、苗を植えつけした後は1週間ほど毎日朝に水を与えて、根の生長を促します。その後は、プランター栽培の場合は土の表面が乾いたら水を与えるようにします。

育て方のコツ5:水はけ

さつまいもは乾燥した環境を好むため、水はけが悪い場所で栽培した時には長雨などで冠水した場合腐ったり枯死する場合があります。プランターで栽培する場合は、培養土に赤玉土などをブレンドすると水はけがより良くなります。

育て方のコツ6:風通し

風通しが悪い場所で野菜を栽培すると、害虫や病気が発生したりと、植物の成長に悪い影響を与えます。特にプランターの中は蒸れやすい環境にあるので、風通しの良い場所を選んで置きましょう。

育て方のコツ7:つる返し

つるが長く伸びて来たら、先端を引っ張りプランターの上にまとめて置く作業を「つる返し」といいます。特にプランターでさつまいもを栽培する時にはこの「つる返し」が重要です。葉やつるにばかり養分が行き、肝心のいもが育たなくなることを防ぐためと、また省スペース化のためでもあります。

さつまいも栽培で注意すべき病気は?

基本的には病気に強いさつまいもですが、中には病気にかかってしまう場合もあります。さつまいも栽培で起こりやすい病気とその対策をまとめてみました。一つ目が、つる割病です。日中でもつるがしおれ、葉も色が黄変、その後枯死します。病害の発生した個体は抜き取って処分します。

二つ目が黒斑病といい、黒色の斑点が出来て広がります。梅雨時期には注意です。被害が出た葉は、除去・焼却処分します。三つ目が立枯病です。葉、茎や花に病斑が現れ、やがて褐色になって腐敗・枯れてしまいます。対策としては清潔な土を使う、水はけを良くする。発症した場合は土壌を消毒します。

 

さつまいも栽培で注意すべき害虫は?

さつまいもは害虫にも強い野菜ですが、やはり発生しやすい害虫があります。一番深刻なものはサツマイモネコブセンチュウで、根の中に寄生し、根を腐らせたりコブを作ります。対策は連作を避けることです。

その他、ドウガネブイブイ、イモキバガ、ナカジロシタバなどの虫も害を加えます。被害が出た部分は最少に押さえすぐに取り除くこと、また虫が増える夏の高温期は温度管理や蒸れなどに注意することが大事です。
 

さつまいもの収穫時期は?

さつまいもを植えつけてから120日くらいで収穫できます。秋になり、茎葉が少し黄色く枯れてきたら収穫時期です。一度試しに掘ってみて、大きさを確かめてから残りのさつまいもを掘ると良いでしょう。収穫の方法は軍手やガーデニング手袋をはめ、スコップや移植ごてを使って手で掘ります。つるをばっさり切り株元を持って引き抜きます。皮はやわらかくて傷つきやすいので丁寧に掘り上げましょう。

さつまいもの上手な保存方法

さつまいもは長期保存ができる野菜です。また収穫したてよりも1か月ほど寝かせた方が甘みが増し美味しくなります。さつまいもの収穫後、水洗いせず土を落としたまま風通しの良い場所に置き、1日ほど乾かします。いもが乾いたら、1つ1つ新聞紙で包み、通気口をあけた段ボールなどの箱に入れ、直射日光の当たらない冷暗所で保存します。ビニール袋や冷蔵庫には入れないで下さい。

さつまいも栽培まとめ

いかがでしたか?沢山の項目を書きましたので何だか難しそうに見えるかもしれませんが、実際はとても簡単んなさつまいも栽培なので、ご家庭でも挑戦することをおススメします。今年の秋にはまるまると太ったさつまいもで「実りの秋」をぜひ味わってください。

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