豚肉の生焼けが食べられない・危険な理由!食中毒を避ける赤い時の判断

豚肉の生焼けは食べてはいけないとよく言われていますが、それはなぜだか知っていますか?豚肉には他の鶏・牛などの肉と比べ、食中毒を引き起こす菌やウイルスが多く存在しています。そのため、豚肉を生焼けで食べると危険なのです。しかし、お店で出される豚肉がほんのり赤いものだったりと、豚肉の加熱具合の見分け方は少し難しいです。今回は豚肉の生焼けの危険性について、菌が死滅する加熱温度や時間、判断の仕方、焼き方などについて紹介します。

豚肉の生焼けが食べられない・危険な理由!食中毒を避ける赤い時の判断のイメージ

目次

  1. 1豚肉の生焼けは食べられない?
  2. 2豚肉の生焼けが危険な理由
  3. 3豚肉が生焼けか判断する見分け方【赤い時】
  4. 4豚肉の生焼けで食中毒にならないための注意点
  5. 5豚肉が生焼けにならない焼き方
  6. 6豚肉の生焼けを食べてしまった時の症状・対処法
  7. 7豚肉の生焼けを防いで安全に美味しく

豚肉の生焼けは食べられない?

焼く前の豚肉

ボリュームたっぷりのトンカツや豚の生姜焼きなど、豚肉を使った料理はビタミンBやタンパク質も豊富で美味しいです。しかし、牛肉や鶏肉と違い豚肉を生で食べることはありません。昔から豚肉は生焼けで食べてはいけないと言われています。

豚肉の生焼けが危険なのはなぜでしょう?また、そうかといって火を通しすぎてしまうと、美味しい豚肉も硬くてパサパサになってしまうものです。豚肉の生焼け具合の判断・見分け方や焼き方についても紹介します。ぜひ参考にして美味しく豚肉を食べて下さい。
 

豚肉の生焼けが危険な理由

豚肉の生焼けはなぜ危険なのでしょう?豚肉は牛や鶏などの他の家畜動物と比べ、様々な菌やウイルス、寄生虫を保有しています。現在の飼育環境はかなり衛生的になっていますが、豚の飼育場は他と比べ衛生状態が悪くなりやすいです。

また、豚は雑食なため菌やウイルス・寄生虫を体内に保有しやすい面があります。豚肉に多い菌やウイルス、寄生虫について紹介します。
 

腸管出血大腸菌で食中毒

腸管出血大腸菌とは、主に牛の腸にいる細菌です。食中毒を引き起こす危険があります。屠畜後の処理で内臓と肉は分離して加工処理されますが、注意をしていても腸にいた細菌が肉に付着する危険があり、完璧には防げません。

豚の腸にはこの細菌がいないため、食中毒の危険はないと判断できなくもないですが、肉の流通の関係上、最後はお肉屋さんやスーパーの加工室で牛・鶏・豚を同じ部屋でカットする場合がほとんどです。そのため、どうしても交差汚染されてしまう危険があります。

腸管出血性大腸菌による食中毒は、発熱・激しい腹痛・水溶性の下痢・血便・吐き気・嘔吐などの症状がでます。抵抗力の弱い子供妊婦高齢の方は重い症状になりやすいため注意が必要です。
 

カンピロバクター

カンピロバクターとは、主に牛や鶏の腸にいる細菌ですが、ペットや野鳥など多くの動物が保菌している細菌でもあります。

カンピロバクターは乾燥に弱く、室温では長く生きることはできませんが、冷蔵庫の中などは生存日数が長くなります。潜伏期間が2~5日間と他の胃腸炎より長く、少しの菌数でも発症します。 カンピロバクターによる食中毒は発熱・腹痛・下痢・吐き気などの症状が出ます。
 

トキソプラズマ症

あくびをする猫

トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ原虫という寄生虫によっておこる食中毒です。トキソプラズマ原虫は豚だけでなく、多くの哺乳類・鳥類を中間宿主とし、ネコ科の動物に最終的に寄生して増殖します。そこから人間の口・消化器官を経て体内に入り込みます。

猫の排泄物に触れたり、生肉を食べると感染しやすい寄生虫です。症状がでることはまれで、発症したとしても風邪のような症状のため危険性は低く見られがちです。

しかし、妊婦は注意が必要です。妊娠中にトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんに視力障害や精神発達障害などの悪影響がでたり最悪の場合は死に至る事もあります。今でも年間数名の赤ちゃんがトキソプラズマ症に発症しています。
 

E型肝炎ウィルス

豚肉を完全に火を通さず赤い生焼けの状態で食べると、E型肝炎ウイルスに感染する危険があります。E型肝炎ウィルスに感染すると38℃以上の高熱、発熱後数日を経て、全身の倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、右季肋部痛などが現れ、その後褐色尿、黄疸などの症状が現れます。

妊婦が感染すると症状がより重くなる危険があります。E型肝炎ウィルスは主に経口感染で広まります。食肉由来の感染は年に数件から十数件発生しています。
 

寄生虫

寝転がる2匹の豚

これらの他にも、豚肉にはサルモネラ菌リステリア菌などの寄生虫による食中毒の危険があります。サルモネラ菌は人をはじめとして、牛や豚などの家畜の腸内、河川や下水などにいる寄生虫です。

乾燥に強い性質があり、少量の菌でも食中毒を発症することがあります。熱に対する耐性が弱く、十分に加熱することで死滅します。 リステリア菌も、動物の腸内や河川水などにいる寄生虫です。

リステリア菌の特徴は、4℃以下の低温や12%以下の食塩濃度下でも増殖できてしまうことです。冷蔵庫で保存していても増えるため、賞味期限内に豚肉を食べることが重要になります。
 

豚肉が生焼けか判断する見分け方【赤い時】

食中毒を引き起こす寄生虫やウイルスは、基本的に熱に弱いです。中心部まで75℃以上のい温度で加熱を1分以上行うとしっかり豚肉が加熱され、ほとんどの寄生虫やウイルスは死滅します

ただ、肉の中心部の加熱温度は測ることができないので判断するのが難しいです。実際は箸や楊枝で肉を刺したり、切ってみて目視で赤い部分がないか判断することになります。豚肉が生焼けか判断できる見分け方を紹介します。 

とんかつの場合

まずとんかつの見分け方です。とんかつの見分け方は、多めの油で揚げ、とんかつが完全に浮いてくることを確認します。浮いてくればしっかり加熱された証拠、ほぼ生焼けのおそれはないと判断できます。不安な場合は切って確認する見分け方をしましょう。

ただ、豚肉は焼きすぎてしまうとパサパサして美味しくなくなってしまいます。ほんのり赤い豚肉だと生焼けだと勘違いする人が多いですが、焼いたあとの豚肉の色はタンパク質の色であり、この色は空気に触れることによる酸化か、温度によって変化します。

加熱により色が変化する温度は菌が死滅する温度を越えているため、生焼けと勘違いしやすいほんのりとした赤い色は実際はしっかり火が通っている証拠です。見分け方の参考にしてください。

ハンバーグの場合

ハンバーグの生焼けの見分け方を紹介します。ハンバーグの生焼け状態とは、肉汁が赤い状態のことです。ですので、見分け方は肉汁がポイントになります。豚のひき肉を使ったハンバーグは竹串をさして出てくる肉汁が透明であればしっかり加熱された証拠です。肉汁が赤かったときは電子レンジで加熱しましょう。

レバーの場合

豚のレバーからの細菌リスクは非常に高いといわれています。焼き方には十分注意した方が良いです。判断にも慎重になりましょう。

豚肉のレバーは中心部まで細菌が入り込んでいる可能性がとても高い部位です。中心部の赤い部分がなくなるまでしっかり火を通しましょう。見分けやすいよう、焼き方はなるべくレバーを薄くして焼き、赤い部分がなくなるのを確認して下さい。

豚肉の生焼けで食中毒にならないための注意点

豚肉の生焼け状態の見分け方はわかりましたか?豚肉を安全に食べるための対策は見分け方を紹介したときのように、75℃以上の温度で加熱を1分以上行うことが大事です。他、この点を合わせた次の3点を守れば豚肉はほぼ安全に食べることができます。

加熱時間と温度

サーモメーター

やはり一番大事なのは加熱時間と温度です。豚肉にいる寄生虫やウイルスは75℃以上の温度で1分以上の時間をかけて加熱すれば死滅します。また、豚肉のタンパク質の色が変わるのは一定以上の温度と見分け方のときに紹介しましたが、その温度は85℃以上と言われています。

ですので、弱火~中火で色が変わるまで時間をかけて加熱すればしっかりと火が通ることになり、細菌類が死滅することになります。内部まで火が通るよう、時間をかけてじっくりと加熱しましょう。豚肉を焼くときに生焼けを防ぐに最も大事なのは加熱時間と温度です。

生肉に接したもので食べない

トングで肉を焼く

せっかく時間をかけてじっくり加熱しても、生の豚肉に接した器具等を使ってしまえば台無しです。生焼けの豚肉に限らず、生の細菌が死滅していない豚肉に触れた箸やトングは、豚肉の表面から細菌がうつっている場合があります。

焼いていない豚肉をつかむ器具と食べる食器は分けて使いましょう。豚肉を切った包丁やまな板にもウイルスが付着します。これらの器具も、豚肉を切る用と野菜用と別にするか、都度熱湯消毒を行うなどして清潔にして使いましょう。

生肉を触った手を石鹸で洗う

手を洗う様子

生の豚肉を触った手は必ず石鹸で洗い流しましょう。豚肉の表面にいる細菌が手にうつり、そのまま手を洗わずに何か食べてしまうと経口感染する可能性があります。

見分け方・焼き方など気をつけて豚肉の安全を判断したとしても、生の豚肉に触れた手を洗わなければ意味がなくなってしまいます。念入りに手を洗いましょう。

豚肉が生焼けにならない焼き方

豚肉の中心までしっかり熱を通して生焼けを防ぎましょう。豚肉は熱が通って色さえ変化すれば安全に食べることができます。中心部まで熱を通す焼き方について紹介します。

とんかつは余熱を利用

とんかつ

とんかつは余熱を利用しましょう。とんかつは揚げたあとも余熱で火が通ります。焼き方としては見分け方で説明したとおり、多めの油で揚げたとんかつが完全に浮いてきたら火が通った証拠です。

揚げた後はすぐに食卓に出したり切り分けたりせず、3分置くと余熱で中心までしっかり熱が通ります。確認のため切ってみて、焼け具合を確認すればより安心です。まだ赤いと感じた場合は、電子レンジで数十秒ずつあたためましょう。

しかし、基本的にとんかつが完全に油から浮いてきたら火は通っていますので安心してください。3分程度の時間なら揚げたてとあまり変わらない味で食べられます。とんかつの焼き方は浮きあがった状態と余熱がポイントです。

ハンバーグは竹串で確認

ハンバーグの焼き方のポイントは竹串で確認することです。豚肉のひき肉は細菌が中心部まで入っていることもあります。中心部までしっかり熱を通したいものです。焼き方のポイントは弱火~中火で時間をかけてじっくり焼くことです。

強火で表面をまずがっつり焼いてしまうと中は生焼けになるか、生焼けにならずとも外側は真っ黒みたいなことになってしまいます。弱火~中火で時間をかけて焼くと中心部までしっかりと加熱されます。そして焼き方で一番のポイントは竹串で豚肉の生焼け具合を確かめることです。豚肉が生焼けだと、竹串を指したときに赤い肉汁が出てきます。

これが透明になったら生焼けではないと判断できます。竹串を使って生焼けでないかしっかり確認しましょう。また、ハンバーグなら煮込みにするとより安心です。煮込みハンバーグの場合焦がす可能性は群と低くなり、中心部まで確実にしっかり加熱できます。

包丁で切れ目を入れておく

豚肉をシンプルに焼くとき、焼き方のポイントは豚肉に切り込みをいれることです。豚肉に限らず、肉は筋繊維の塊です。火を通すことで水分が飛び、豚肉は縮んで固くなってしまいます。しっかり火を通してもパサパサの固い豚肉では意味がありません。

切り込みを入れることで筋繊維が縮むのを防ぎ、しっかり火を通しても柔らかくジューシーな豚肉が楽しめます。また、ハンバーグ同様時間をかけてじっくりと焼くのも焼き方のポイントです。

まず脂身の部分から焼き始め、他の部分を2~3分ほどの時間をかけながらじっくり焼きましょう。豚肉が生焼けになることも、パサパサになることも防ぐことができます。
 

豚肉の生焼けを食べてしまった時の症状・対処法

もし、生焼けの豚肉を食べてしまった場合はどうすればいいでしょう?レストランなどで出してもらった豚肉など、ときに生焼けかもしれないと不安になるときがあると思います。食べた後にやはり生焼けだったときずいたとき、食中毒の症状はすぐに出てくるのでしょうか?生焼けの豚肉を食べた時の症状・対処法を紹介します。

症状

高熱が出たときの体温計

生焼けの豚肉を食べた時、菌やウイルスによって症状があらわれるまで差があります。早いもので食後6時間、遅いもので1週間の間に何らかの症状があらわれます。つまり食後7日後までに症状が出なければあまり心配する必要はありません。

豚肉の食中毒と判断できる症状は主に、発熱・高熱・下痢・嘔吐・激しい頭痛などです。しかし、E型肝炎ウイルスは潜伏期間も15日から50日くらいと長く、症状も風邪に似たような症状で判断しずらいことがあります。

対処法

カルテと聴診器、ボールペン

生焼けの豚肉を食べたからと言ってかならず症状がでるとは限りません。たまたま菌やウイルスがついていなかった場合もありますし、体調によっては十分ウイルスに対抗して症状がでないときもあります。

しかし、カンピロバクターによる食中毒の場合はギランバレー症候群のような手足がしびれたり、動かなくなる後遺症が出ることもあります。

少しでも気になる症状があればすぐに医療機関を受診し、生焼けの豚肉をいつ食べたのか報告しましょう。軽い症状でも急激に具合が悪くなることもあります、考えすぎて具合が悪くなることもあります。早めの医療機関の受診が安心につながります。

豚肉の生焼けを防いで安全に美味しく

豚肉を焼く様子

豚肉は中心部まで75℃以上の温度で1分加熱するとウイルスや菌が死滅し、安全に食べることができます。豚肉の色がほんのり赤い場合でも、豚肉の色素の変化は85℃以上からはじまるため、色が焼く前と変わっていれば菌は死滅していると判断できます。

もし、生焼けの豚肉を食べてしまい発熱・高熱・下痢・嘔吐・激しい頭痛などの症状が現れた場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。豚肉の生焼けをしっかり防いで安全に美味しく豚肉を楽しんでください。

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