2019年09月30日公開
2024年09月29日更新
カビを食べたらどうなるか解説!対処法は?カビ毒の種類&体への影響も
カビ毒を食べたとしても健康状態に即時悪影響が発生する事はありませんが、できれば食べる事は避けておきたいところです。本記事ではカビを食べた場合の対処法や、カビを食べる事によって懸念される身体への影響などについてまとめてみました。
カビを食べるとどのくらい健康に悪い?
カビは知らないうちに生えてきます。お正月用に買ったお餅が余っていたり、みかんを箱で買ったときに何個かカビが生えていたという経験があると思います。また、パンも常温で保存していたら、食べるときににカビが生えていたなんてこともあるでしょう。
食べるときは注意しているとは思いますが、万が一食べた場合、健康に影響が出るのでしょうか?またカビの生えたチーズなどが売っていますが、そういった食材は食べても体に影響はないのでしょうか?本記事では意外と知らないカビについて詳しく紹介します。
カビを食べたらどうなる?対処法は?
カビを食べることはないと思っているかもしれませんが、見た目は問題なくても食べると中身にカビが生えていることもあります。また小さい子供が大人が見ていない時に間違って食べる可能性もあります。そういう時に体への影響はどうなのか、対処方法を知っておけばカビを食べた時に焦ることはありません。まずはカビの基礎知識を知りましょう。
カビは胃酸で殺菌される
カビとは菌糸と呼ばれる糸状の細胞で真菌や糸状菌とも呼ばれています。1mm以下の肉眼では見ない微生物でその集合体のことを言います。このカビは誤って食べたとしても、胃に入った時点で胃酸で死滅してしまいます。なぜなら胃酸は酸性が強く、カビは殆ど体の中では生育できないからです。
カビを食べた時の対処法
カビを食べたら焦らず自分の体調の様子をみましょう。少量だけを食べたなら、健康被害の影響は殆どなく生活できます。しかし、カビを食べた後に腹痛や吐き気、体調が悪くなったら病院へ行くことをおすすめします。
また、授乳期に食べたとしても母乳には影響ありません。子供が食べたときは顔色や体調をよく観察してください。食材に付着したカビは体調にすぐ影響を及ぼすカビ毒ではないですが、カビが発生するような衛生状況や環境の中ではカビ以外の細菌を発生しやすいので、注意しなくてはいけません。
カビを取り除けば食べることができる?
食材に付着してしまったカビは、その部分だけ取り除けば食べることができるのでしょうか?全体的にカビが発生した時は食べることなく捨ててしまうことが多いですが、一部分だけカビが発生した時は、削ったり包丁で切って取り除けば他の部分は問題ないと思いがちです。中には実際に食べてしまう人もいるでしょう。
しかし、一度カビを発生させてしまった食材には、他の部分にも見えないカビが隠れていることが判明しています。食べ続けると健康にも悪影響を及ぼすことがあるので、取り除けば安心と過信はしないでください。
菌糸は取り除けない
結論から言うと、カビが発生したらその食材は処分しましょう。表面に見えているカビだけ取り除いても、目に見えない菌糸が残りそれを食べる可能性があるからです。この菌糸とは、菌類の体を形作る非常に細い糸状の細胞や細胞の列のことを言います。カビやきのこは菌糸が集まって構成されています。
ということは、黒ずんでいたり青っぽいカビは菌糸の一部であって、実は見えていない場所で菌糸が成長し続けていることがあるのです。なぜなら菌糸は植物に近い性質があり、食べ物の内部を枝分かれさせながら侵入するからです。なので、カビを取り除いて食品を食べるとしても菌糸が残っている可能性があるのです。
毒を作るカビがある
カビには毒を作るカビと、毒を作らないカビの2種類が存在します。カビは何万種類もありますが、その中でカビ毒になるのは約300種類あります。このカビ毒の中には、長期間食べる事によって慢性的なアレルギーや肝臓や腎臓の機能障害、がんなどの原因となるものもあります。
日本では危険性の高いカビ毒を規制しているので、食べた時に健康被害になった事例は殆ど報告されていません。しかしながら諸外国ではカビ毒を食べたことによって、急性中毒を発症したなどという事例も存在しています。
加熱してもカビ毒はなくならない
取り除くことができなくても、加熱すれば食べられると思うかもしれません。詳しく調べてみると、カビが発生したら60℃以上の熱で加熱や調理をすれば殆どのカビは死滅すると説明されていました。しかし、カビや細菌が死滅されてもカビ毒は熱に強く、分解することはできないのです。
やはり最初に結論を言った通り、カビが発生したら食べることなく処分するのが健康被害にならない一番の解決策です。そのためには食材などの余計な水分はきちんととり、冷蔵庫の湿度は20%を保ちましょう。傷みやすい食材は出来るだけ常温ではなく冷蔵庫や冷凍庫で保存することが大切です。
食べても安全な種類のカビ
カビの中でも無害で安全なカビも存在しています。代表的なのが白カビのカマンベールチーズや青カビのブルーチーズです。これらはチーズを作る段階で無害なカビを人工的に作って発生させています。その他にも味噌や醤油、納豆や表面に付いたカビで固くなっている鰹節など食材の保存として昔から役立っているカビも多いのは明らかです。
有害なカビと無害なカビの見分ける方法の一つとして、後から生えたカビには注意することです。同じチーズでも水分量が多く常温で保存しているチーズは、後からカビが生えている物なので処分しなくてはいけません。味噌や醤油もカビを発酵させて作りますが、保存状態によって後から生えたカビは無害かどうか判断が難しいので処分するのが妥当でしょう。
カビ毒の種類と体への影響
それでは主なカビ毒の種類を紹介します。日本ではアフラトキシン・パツリン・デオキシニパレノールが規制されています。また、健康への影響も記述してますが、基本的には長期間カビを食べた場合に起きる症状です。しかし食べた時に同じような症状があった時は早急に病院へ行きましょう。
カビ毒の種類 | 食品例 | 体への影響 |
アフラトキシン類 | ピーナッツ・トウモロコシ・ナツメグなど | 肝臓障害・肝臓がん |
ステリグマトシスチン | 玄米・穀物類 | 肝臓障害・肝臓がん |
オクラトキシンA | 穀物類・トウモロコシ・コーヒー豆など | 腎臓障害・腎臓がん |
パツリン | りんご・りんごジュース | 消化管・肝臓・肺などの充血 |
シトリニン | 米・小麦・ハト麦など | 腎臓障害・腎臓がん |
ルテオスカイリン | 米・穀物類 | 肝臓障害・肝臓がん |
シクロクロロチン | 米・穀物類 | 肝臓障害・肝臓がん |
シトレオビリジン | 米・穀物類 | 脚気様症状・神経毒 |
ルグロシン | 米・穀物類・味噌 | 肝臓障害 |
ペニシリン酸 | トウモロコシ・豆類 | 下痢・消化管の壊死など |
シクロピアゾン酸 | ピーナッツ・トウモロコシ | 体重減少・下痢・痙攣など |
トリコテセン系 | 小麦・大麦・オート麦など | 吐き気・嘔吐・下痢など |
ゼアラレノン | 小麦・大麦・トウモロコシ | 子宮障害・卵巣障害など |
フモニシンB1・B2 | トウモロコシ | 肝臓障害・肺障害・脾臓障害など |
麦角アルカロイド | ライ麦・大麦 | 四肢の壊死・神経障害 |
デオキシニバレノール | 小麦・トウモロコシ | 嘔吐・食欲不振 |
ルブラトキシン | トウモロコシ | 肝臓障害・腎臓障害など |
カビが生えたら食べるのを止めよう!
カビを見つけた際、これまで取り除いて食べていた人はこれから食べるのをやめましょう。加熱して食べたことがある人も同じです。今まで問題なかったと考えるかもしれませんが、今回の検証で有毒なカビがあることや菌糸が根強いことがわかったのではないでしょうか?
チーズなどの人工的に発生させたカビではなく、保存している間に後から発生したカビは手を付けることなく処分をするのが最適な方法です。万が一誤って食べた時は、落ち着いて体の様子をよく観察し経過を見ることが大切です。真夏や梅雨時期の常温保存には注意して、カビを発生させない環境を心がけましょう!