2019年08月27日公開
2024年09月25日更新
【人工甘味料】アセスルファムKは安全?危険?成分や効果を徹底解説
アセスルファムK(アセスルファムカリウム)は私たちにも身近な人工甘味料の一つです。砂糖より低カロリーで、摂取後の血糖値を抑制する効果が期待されています。アセスルファムKは果たして安全なのか?危険ではないのか?その成分と効果を解説します。
アセスルファムKとは?
健康志向、ダイエット志向が広がりを見せる世の中で、注目されているのが人工甘味料です。一般的な砂糖(ショ糖)に対し人工甘味料は血糖値の上昇を抑制し、低カロリーな点が大変な魅力です。
アセスルファムK(カリウム)もまた私たちの暮らしに身近な人工甘味料の一種で、ダイエット飲料やゼロカロリー食品に多く含まれています。今回はアセスルファムKの成分や安全性、指摘されている危険性について解説していきます。
合成甘味料の一つ
砂糖(ショ糖)のような自然に存在するものと異なり、人工的に化学合成された甘味料を人工甘味料と言います。人工甘味料のうち、キシリトールやソルビトールなどは天然に存在する甘味料を人工的に合成した甘味料です。
一方、アセスルファムKやスクラロース、アステルパームと言った合成甘味料に分類される人工甘味料は、食品に存在しない甘み成分を人工的に合成したものです。
これらの合成甘味料はショ糖の200倍から600倍もの高甘味度があり、食品の糖含有量を減らすために砂糖の代替として多くのダイエット食品、飲料に使われています。
アセスルファムKはショ糖と比べ甘みの立ち上がりが早く、キレのある後味です。このため人によっては後味がまずい、苦いと感じる人もいます。水に溶けやすく、熱にも強いため食品や飲料に添加しやすい特徴があります。
気になるカロリー
ショ糖の200倍もの甘みを持つアセスルファムKですが、摂取されてもそのほとんど全量が体内で分解吸収されることなく排出されるため、カロリーはゼロです。
なお、カロリーゼロである合成甘味料はほかにもスクラロースがあります。同じ合成甘味料のアステルパームはアミノ酸を原料としているため、砂糖と同じ1gあたり4kcalですが、甘味度が砂糖の100~200倍あるため使用料が減り、結果的に低カロリーとなります。
使用されている商品
アセスルファムKが使われている食品、飲料品は身近なところで多く見つかります。例えばコカ・コーラゼロや、カルピスソーダ、ストロングゼロといった飲料品にアセスルファムKは使用されています。特に、ゼロカロリーのダイエット飲料を中心に使われていることが多いです。
また、飲料品だけでなく食品にも応用されています。コンビニやスーパーで買えるガムには大抵人工甘味料が添加されており、キリリトール、ステビア、アステルパームやアセスルファムKが使われています。
飲料への使用がもっとも多いアセスルファムKですが、ガム、漬物、菓子パン、チョコレートなど多くの食品に添加されており、使用範囲は大変広いと言えます。
アセスルファムKの安全性と危険性
ゼロカロリーで血糖値の上昇を抑制できる効果が期待できるアセスルファムKですが、合成甘味料というと何となく危険というイメージを持っている人も少なくないでしょう。アセスルファムKは各種合成甘味料の中では世界的に安全性が認知されており、容量を守れば安全に摂取することができます。
一方で大量摂取した場合の危険性のほか、一部使われている成分による副作用や、未だ解明されていない糖代謝に及ぼす影響についてその危険性を指摘している報告もあります。
安全性の評価は高い!?
アセスルファムKは合成甘味料のなかでは比較的その安全性が世界的に認知されていると言っていいでしょう。FAO・WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)による評価によれば、変異変異原性やガン原性は認められず、毒性試験では無害、各種動物実験でも安全性が報告されています。
妊娠中や授乳中は避けたほうが良い
全身オートラジオグラフによる検討では、妊娠ラットにおいても、アセスルファムカリウムの分布は非妊娠ラットと同様であった。胎児への移行も認められたが、投与24時間後には消失し、蓄積性は認められなかった。
アセスルファムカリウム10.6mg/kg体重を授乳中のラットに投与したところ、投与5時間後に乳汁中で最高値(12.9μg/ml)に達したが、その後低下し、投与24時間後では、投与量の約1.6%となった。
妊娠中や授乳中の女性はアセスルファムKを避けた方が良いという意見はインターネットを中心に散見されます。これは母体が摂取したアセスルファムKが胎児や乳児に移行されるため、毒性が蓄積されるのではないかという心配によるものです。
上記引用は公益財団法人日本食品化学研究振興財団による、アセスルファムKを投与した動物実験の結果報告の一部です。胎児及び乳汁への移行は認められるものの、病理的な異常は認められませんでした。
しかしながら、アセスルファムK並びに人工甘味料が持つ、腸内環境への影響など未だ解明されていない点も多く、胎児や乳汁への移行が認められる以上、妊娠中や授乳期の女性は安易に人工甘味料を摂取すべきではないのかもしれません。
心配される副作用
アセスルファムKの製造過程において、塩化メチレン(ジクロロメタン)が溶媒として使われることがあります。この塩化メチレンは発がん性が疑われる物質であり、慢性毒性として肝機能障害を引き起こすことが知られており、不安視する声もあります。
塩化メチレンが原因となったアセスルファムKの副作用については、客観的なデータは見つかりませんでした。とはいえ、国内でも職場で多量に扱うジクロロメタンが原因と見られる胆管がんに対して労災の認定が認められた報告事例があり注意が必要です。
また、アセスルファムKの副作用として、過剰に摂取すると下痢を起こしやすいことが指摘されています。これは人工甘味料全体に言えることですが、難消化性であるがゆえに胃腸に負担をかけてしまうのが原因です。
また、最近の研究ではサッカリンやスクラロースといった人工甘味料が腸内細菌叢(腸内フローラ)に悪影響を及ぼすということが分かっています。アセスルファムKが腸内環境に影響を与えるかどうかは解明されていませんが不明な点が多く、今後の研究の動向には注目したいところです。
安全な摂取量の目安
アセスルファムKの安全な摂取量の目安として、1日の許容摂取許容量は0~15mg/kg体重と言われています。日本においてはアセスルファムKは2004年に食品添加物として指定され、食品の種類ごとに使用基準が定められています。
例えばチューインガムの場合1kgにつき5g以下であること、アイスクリーム類、ジャム類、たれ類などにあっては1kgにつき1g以下であること等、規格基準が決められているのです。
アセスルファムKの成分とその効果
アセスルファムKは人工的に合成して作られる合成甘味料です。1967年にドイツ人化学者カール・クラウスにより偶然発見されたのが最初の歴史です。日本では2004年に食品添加物に指定されており、使用基準と成分規格が定められた結果、多くの食品に使われるようになりました。ここではその主な成分と効果について解説しましょう。
主な成分
アセスルファムKの原材料はジケテンという酢酸由来の物質です。ジケテンと酸性洗浄剤などに利用されるスルファミン酸を反応させた後、無水硫酸を加えるなどの化学合成を経て製造されています。
血糖値上昇を抑制する効果
血糖値の上昇を抑制することは糖尿病やメタボリックシンドロームを予防する上で大切なポイントです。血糖値の上昇を抑えるために炭水化物ダイエットをしたり、低GI値食品を選ぶ人もいます。
アセスルファムKはダイエット飲料、食品に砂糖の代替甘味料として使われていますが、使用の理由としてゼロカロリーであるが故に摂取カロリーの節減できるという点以外に、血糖値の上昇を抑制できる効果が望めるからという点があります。
アセスルファムKはショ糖の200倍の甘味度を持つため、少量でも十分な甘さを感じられます。米国糖尿病学会及び米国心臓病学会は砂糖の代わりに人工甘味料を使用することで肥満・糖尿病の予防や治療に有用な可能性がある、と共同で提言しています。
アセスルファムKの摂取はほどほどが無難
合成甘味料の一種であるアセスルファムKはショ糖の200倍の甘さを持つ甘味料です。体内に摂取してもほとんどが排出されるゼロカロリーであり、多くのダイエット食品、飲料で砂糖の代替として使われています。
アセスルファムKはFAO(食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が設けているJECFAの安全評価をクリアしており、世界的にみてもその安全性が認知されていますが、多量に摂取した場合の危険性や言われており摂取容量には気をつけなくてはいけません。
容量を守ればアセスルファムKは安全に肥満予防や、血糖値の上昇を抑制することができる成分です。ダイエットや健康にと上手に活用してはいかがでしょうか?