2018年08月19日公開
2024年07月30日更新
人工甘味料を料理に使う安全性と危険性とは?種類一覧から詳しく解説!
人工甘味料と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?食品添加物の一つとして何となく危険性があるもの、安全性が疑わしいものというイメージを持つ人も多いと思います。しかしながら、現代日本で使われている人工甘味料の種類は数多く、市販の食品には広く使用されているほか、糖質制限の人のために作る食事として、料理にも積極的に使われています。本記事では人工甘味料の種類一覧からそれぞれの特徴や、指摘されている危険性や副作用、料理への上手な取り入れ方などを特集しています。
人工甘味料の正しい知識を知ろう
人工甘味料にどんなイメージを持っているでしょうか?食品添加物の一つとして何となくイメージが良くない、体に悪い感じがするという印象を持つ人は多いと思います。しかしながら、人工甘味料はわたしたちの生活の中ではすでに欠かせない甘味料の一つとして浸透しているのが事実です。料理など上手に使えば、糖質やカロリーを抑えることができ人工甘味料は健康的なからだ作りに役立つとさえ言えるでしょう。
本記事では人工甘味料の基本的な知識を紹介するほか、人工甘味料の種類一覧から、それぞれの特徴を紹介しています。人工甘味料は正しい知識をもって使えば、糖尿病患者やダイエットをしている人など糖質制限中の人にとって料理で積極的に使えるなど良い面をもっています。正しい知識を知って普段の生活に人工甘味料を役立ててみませんか?
人工甘味料とはどんなもの?
甘味料について
まず、甘味料についてお話しします。甘味料とは一般に、食品に甘みをつけるために用いる調味料の種類のことを指します。甘味料には大きく分けて天然甘味料と、合成甘味料の2種類があります。料理によく使われる砂糖やハチミツ、メープルシロップなどは天然甘味料の種類の一つです。天然甘味料にはまた、ステビアやキシリトールなど天然に存在する甘味料でありながら、人工的に合成される種類もあります。
天然甘味料と対をなすのが合成甘味料で、こちらは天然に存在しない甘み成分を人工的に合成したものを指します。スクラロースやサッカリン、アステルパームやアセスルファムカリウムなどはこの種類に入ります。天然甘味料、合成甘味料ともに甘味料は、ノンカロリー、ノンシュガー食品を含む様々な商品に使われているほか、一部は個人が料理に使うための調味料として市販されています。
人工甘味料について
人工甘味料は一般に、天然に存在しながら人工的に合成された天然甘味料と、天然には存在せず人工的に合成された合成甘味料の2種類に分けられます。前者は、ステビアやキシリトール、甘草抽出物、羅漢果抽出物など、広く食品類に使われています。後者ではサッカリンやスクラロース、アステルパーム、アセスルファムカリウムなどが代表的な合成甘味料で、食品の他、歯磨き粉やのどスプレー等にも使用されています。
人工甘味料のうち、特に合成甘味料と呼ばれる甘味料は、種類によってはしばしば健康が脅かされる危険性があるとして話題になります。過去にはズルチン、ぺリルアルデヒド、チクロなどがその毒性、危険性により使用が禁止された経緯もあります。また、一般に個人差はあれど人工甘味料は摂取し過ぎると、緩下作用が起こりお腹がゴロゴロしたり下痢を生じたりすることがあるという副作用が報告されています。
人工甘味料の種類一覧と副作用について
では、ここからは人工甘味料の種類一覧を紹介します。日常的によく聞く名前の人工甘味料の種類から、名前はあまり聞いたことがないけれど、実は身近なところで使われ、口にする可能性の高い人工甘味料や個人が料理に使える人工甘味料まで一覧にしています。また様々な種類の人工甘味料、それぞれについて報告されている副作用や、指摘されている危険性、体への影響が懸念されている例を調べてみました。
「パルスイート」に使用されているアスパルテーム
味の素のパルスイートに使われている人工甘味料がアステルパームです。他にもローカロリー、ノンカロリーの食品に添加されることが多く、ショ糖の100~200倍ほどある強い甘みや砂糖に近い柔らかな甘さが特徴です。化学的性質としてはアミノ酸を由来とした人工甘味料であり、パルスイートのパッケージにも甘みについて「パルスイートのの主な甘さはアミノ酸からできた甘味料アステルパームによるものです」と記述されています。
アステルパームの安全性、危険性については過去に人体への毒性が指摘されたこともありましたが、その多くが普通に使う量であれば問題は認められないという結論に至っています。例えば、70年代に脳腫瘍を引き起こす危険性について疑われましたが1996年に行われた再試験では否定されています。他に発がん性物質である危険性についても、現在国際がん研究機関(IARC)ではアステルパームを発がん性物質として認定していません。
また、日本においても、コープ商品を販売する日本生活協同組合がかつてアステルパームを含む食品を危険性があるとして取り扱っていませんでしたが、2002年には留意使用添加物から除外し取り扱い制限を撤廃しました。しかしながら、アステルパームは健康な人が適当量を摂取する分には問題ありませんが、フェニルケトン尿症の人にはアレルギー症状が出る可能性があると指摘されており該当する人は注意が必要です。
アステルパーム製品として有名なのは味の素のパルスイートです。人工甘味料であるアステルパームの甘さを主に使い、作られています。パルスイートは小さじ1杯で、砂糖小さじ3杯と同じ甘さになります。一方でそのカロリーは砂糖より90%カット、糖類ゼロです。糖質であるマルチトールやエリスリトールが含まれていますが糖類ではないので、血糖値への影響はほとんどないと言われています。
さまざまな用途で普段の料理にも使えるパルスイートですが、一般的な砂糖の性質とは異なる部分があります。そのため、料理の際には注意が必要な点もあります。例えば、防腐性がないためピクルスやらっきょうの酢漬けなど、長期保存を目的とした料理には不向きです。また、保水性がないのでジャムを作るときにも艶が出にくく使用は不向きと言えるでしょう。
コーラなどの飲み物に使用されるスクラロース
次に、アステルパームよりもより砂糖に近い甘みをもつ人工甘味料と言われているスクラロースを紹介します。水に溶けやすい性質で、コーラなど清涼飲料水やアイスクリームによく使われています。スクラロースは、砂糖の主成分であるショ糖の約600倍の甘みをもちます。高い甘みを持つ人工甘味料のなかには苦みを感じるものも多いのですが、スクラロースにはそういった性質がなく後味が良いのも特徴です。
スクラロースは砂糖のように体内で消化、吸収されず排泄されるため、カロリーはゼロ、血糖値やインスリン値にも影響を与えません。また、スクラロース自体は非う食性であり、虫歯の原因にならないことが報告されています。その他の性質として、熱や酸に強いことが挙げられます。このため、クッキーやビスケットなど高温で加熱する必要がある商品にもよく使われています。
出典: https://rou5.biz
以前、スクラロースは高温(138度以上)で熱すると塩素系ガスが発生するという報告があり、国会でも取り上げられたことがあります。しかしながら、厚生労働省はスクラロースを添加物として指定する際に、クッキーを210度で8分焼いた場合に塩素系ガスなどの分解物は検出されなかったと報告しています。スクラロースは1976年にイギリスで発見されて以来、現在は世界50か国以上で使用が認可されている人工甘味料です。
チューインガムに使用されるサッカリン
サッカリンは人工甘味料の一つで、その水溶液はショ糖の350倍、または200から700倍の強い甘さを持つと言われています。後味が強く、高濃度では苦みを感じる特徴があります。1874年に発見されて以来、砂糖不足となった第一次世界大戦中の世界や、戦後の日本では砂糖に代わる甘味料として急速に普及しました。サッカリンナトリウムとも呼ばれています。
現代の日本においては一時はダイエット用のゼロカロリー飲料などに使われていましたが、その後発がんの危険性が指摘されるようになり使用禁止となりました。のちに、再実験されてサッカリン自体に発がん性はないとの見方が優勢になるも、飲食物への使用が控えられているのが現状です。今では水に溶けにくい性質もあり、主にガムや歯磨き粉、のどスプレーなどに使われています。
現在、アメリカや中国などにおいては大量に使用されているサッカリンですが、日本においては安全性維持のため、食品衛生法により各食品への使用量が制限されています。世界最古の人工甘味料と呼ばれるサッカリンですが、その副作用としては下痢、胃酸過多があり、近年では耐糖能への影響があると言われています。特に耐糖能異常の原因であることは、糖尿病の原因にもなるため摂取には注意が必要です。
虫歯を防ぐキシリトール
ガムやタブレットによく使用されているキシリトールは、人工甘味料の種類一覧のなかでは比較的馴染みのある名前ではないでしょうか?砂糖と同等の甘さがありつつも、砂糖に含まれるスクロースよりもカロリーが低い甘味料です。キシリトールはいちごやレタスなど自然界にも存在していますが、一般にガムなどに使われているものは工業的に作られた人工甘味料です。清涼感のある甘みが特徴です。
キシリトールは虫歯菌のエネルギー源にならない成分でできているため、一般に歯に優しいと言われています。虫歯の原因となる細菌の邪魔を受けることなく、結果として歯の再石灰化を促す効果があります。市販のガムには虫歯予防になるとキシリトール効果を謳っている商品がありますが、実際にキシリトールが虫歯予防に効果を発揮するにはガムの比率90%はなければいけないため含有量には注意しましょう。
また、糖尿病患者のための甘味料としても有用であり、体内への吸収が緩やかなためインスリンの反応を引き起こさず、高血糖症になる恐れがないと言われています。キシリトールの副作用としては他の糖アルコールと同様下剤の働きがありますが、毒性は特にないと言われています。ただし、埼玉県獣医師会の指摘によれば犬がキシリトールを多量に摂取した場合、低血糖の中毒症状がでる可能性があると報告されており、注意が必要です。
人工甘味料の糖尿病への影響
ここまでは人工甘味料の種類一覧について紹介しました。ここからは人工甘味料にまつわる素朴な疑問について調べていきます。砂糖の代替調味料として飲料や菓子などの食品に広く使われている人工甘味料ですが、人工甘味料を使っている食品を多く摂取したり、普段の料理に人工甘味料を頻繁に使うことで、かえって糖尿病になる危険性はないのでしょうか?糖尿病への影響について詳しく調べてみました。
2018年5月、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校食品栄養科学部の研究者たちは29件のランダム化比較試験(RCT)を対象に行ったメタ解析を行い、その報告として「人工甘味料を摂取しても血糖値には影響を及ぼさない」と結論付けました。その上で、「血糖値が気になる場合でも人工甘味料の摂取は安全だと言えるが、人工甘味料入りの飲料や食品を好きなだけ食べてよいという意味ではない」と注意を促しています。
人工甘味料は体内で吸収されないので血糖値には影響を及ぼさないという報告がある一方で、人工甘味料の糖代謝に及ぼす影響についてはまだ十分わかっていないというのが実情です。2014年イギリスの科学雑誌ネイチャーで発表された論文によれば、一部の人工甘味料が引き起こす耐糖能の異常が報告されており、血糖値を上げるということとは別のアプローチから人工甘味料が糖尿病を引き起こす可能性があると指摘しています。
これは人工甘味料サッカリンを用いた実験で、マウスにブドウ糖または人工甘味料の一つであるサッカリンを投与し行われました。その結果、サッカリンを投与されたマウスでは、糖負荷試験で耐糖能異常を認めたというものです。耐糖能の異常はサッカリンによる腸内フローラの変化のため引き起こされたと考えられ、このような経緯からサッカリンが糖代謝に影響を及ぼす、糖尿病に影響があると結論付けられたのです。
人工甘味料の依存の危険性
人工甘味料には依存の危険性があるとの指摘があります。これはどういうことなのでしょうか?その原因は人工甘味料の種類一覧でも示した通り、人工甘味料が強い甘みをもつという性質にあります。人工甘味料の強い甘みに慣れてくると、甘みに対する感覚が鈍ってきて、より強い甘みでなければ満足しなくなってしまい甘味料全体に対して依存を引き起こす恐れがあります。
また、次のような考え方もあります。人工甘味料はカロリーがゼロです。甘みを摂った後に本来であれば血糖値が上昇するはずが、実際には上昇しません。このため脳が満足を得られずまた別の食べ物や飲み物を求めてしまうのではないかという指摘があります。甘みの強い人工甘味料を摂取した場合、このように心理的な影響を受け、かえって糖尿病にかかりやすくなるという危険性があるということを承知しておくべきかもしれません。
では、依存を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか?人工甘味料の種類一覧で紹介したそれぞれの人工甘味料は、厚生労働省により安全に摂取するための一日の摂取許容量を定められています。普段の料理に人工甘味料を使用している人や、人工甘味料の入った食品を頻繁に口にする人は、依存症を避けるためにも人工甘味料の摂取許容量の各数値を把握しておくと良いかもしれません。
人工甘味料の肥満の危険性
人工甘味料は代替甘味料として血糖値の上昇や摂取カロリーを抑制する効果が期待され、肥満・糖尿病の予防や治療に有用であると言われています。その多くが低カロリー、ゼロカロリー商品に使われています。そういった商品は消費者が肥満にならないよう糖質を制限するために意識して購入するものですが、実は、人工甘味料を摂取することでかえって肥満になるのではないかと指摘、報告している研究があります。
人工甘味料の代表的な摂取源であるダイエット清涼飲料水の摂取が糖尿病発症リスクを高めることが報告されている。人工甘味料は血糖値やインスリン分泌に直接影響を与えないものの、味覚刺激や最近では腸内細菌叢そうの変化を介して糖代謝に影響することが考えられている。人工甘味料は、砂糖の代替甘味料として肥満や糖尿病の予防や治療に有用と思われるが、慢性的な健康影響も考慮した上で上手に利用すべきである。
上記は農畜産業振興機構で報告されたレポートの一部です。人工甘味料は血糖値とインスリン分泌に直接の影響は与えないけれども、強い甘さをより欲してしまうようになる味覚刺激や、腸内細菌叢そう(腸内フローラ)の変化により糖代謝に影響があることを指摘しています。
腸内フローラについては近年、肥満と関連していることが知られてきていますが、人工甘味料により腸内環境が変化することで、ブドウ糖不耐性が引き起こされ、結果として肥満に繋がるのではないかと指摘されています。肥満を予防するために人工甘味料を使用し始めたのに、摂取量を間違えるとかえって血糖値を上げ糖尿病を誘発する原因になってしまいかねず、安易な人工甘味料の常用摂取は注意が必要です。
人工甘味料は下痢をおこす?
人工甘味料の種類一覧のなかでも、よく目にするのがキシリトール配合の商品ですが、ガムやタブレットのパッケージの裏書に下の画像のような注意書きを読んだことはありませんか?「一度に多量に食べると、体質によりお腹がゆるくなる場合があります」とあります。人工甘味料は果たして下痢を引き起こす原因になるのでしょうか?既出の人工甘味料種類一覧のなかで特に注意すべき成分について調べてみました。
結論から言えば、人工甘味料は個人差や慣れによる差はあるが、摂取量によっては下痢を生じる可能性があるのは事実です。例として普通のコーラでは何ともないのにダイエットコーラではお腹が緩くなり下痢してしまうという場合では、人工甘味料に原因があると言えます。残念ながらどれくらい摂取すれば下痢になるのかは、個人差によるため明言できるものではありませんが、心当たりがある人は摂り過ぎないように気をつけましょう。
本記事ですでに述べた人工甘味料の種類一覧のなかでは、キシリトール、サッカリン、エリスリトールが摂取量により副作用としてお腹が緩くなる緩下作用があると言われています。人工甘味料一覧のなかでも特に、糖アルコールと呼ばれる種類の人工甘味料は難消化性であり、緩下作用があるので摂取量に注意が必要です。しかしながら各人工甘味料による緩下作用はいずれも一過性のものであり、大きな心配はありません。
人工甘味料は料理にも使えて安心?
カロリーゼロ、糖類ゼロをかなえる甘み調味料として、また、砂糖に代替する調味料として、今やスーパーの食品売り場でも気軽にさまざまな人工甘味料商品を買うことができます。味の素のパルスイートや、サラヤのラカント、各種メーカーから販売されているエリスリトール商品などがそうです。ここでは人工甘味料を料理に取り入れる利点、上手な取り入れ方や、留意点について見ていきましょう。
まず、人工甘味料を料理に取り入れる利点は、カロリーが低い、またはゼロカロリーのものが多いことが言えるでしょう。糖尿病にり患していて糖質を制限しなくてはいけない人やダイエットをしなくてはいけない人にとっては、このメリットは非常に大きいと言えます。また人工甘味料によっては虫歯になりにくい性質を持つため、体質的に虫歯になりやすい人が虫歯予防のため、砂糖に替わり使うことにもおすすめできます。
次に、人工甘味料を料理に使う際に注意しなくてはならない点をいくつか解説します。第一の留意点としては、一日の摂取量に十分気を付けなくてはいけないということです。調味料として販売されている人工甘味料には、パッケージに必ず一日の摂取量目安が記載されています。副作用のリスクを避けるため、目安を超えて摂取することがないようしっかりと気をつけて上手に人工甘味料を普段の料理に取り入れましょう。
人工甘味料を料理に使う際に留意すべき点、2つ目としては砂糖と同じ量で使えない商品もあるということです。販売されている人工甘味料の商品によっては、砂糖と同計量で使えるものもありますが、例えばパルスイートは砂糖の三分の一の目安量で使うように外装に表記されています。必ず使用時には目安の計算量に注意して料理に活用しましょう。
人工甘味料のイメージが悪い理由
人工甘味料のことをさほど詳しく知らない人でも、何となく人工甘味料に対して悪いイメージ、体にとって安全ではないのではないか?といった印象を持っている人は多いのではないでしょうか?なぜそのような悪い印象が拭えないのか、悪いイメージが構築されてしまった理由について以下の通り考察してみました。
第一に、歴史的な経緯から悪いイメージがあるのは間違いがないでしょう。例えば人工甘味料の種類一覧でも述べたとおり、アステルパームは開発以来、脳腫瘍や発がん性などさまざまな危険性を指摘された時期がありました。その後、各研究機関により危険性を認められないことが報告されたり、または発がん性物質ではないと明確に否定されましたが、何となく良くないものというイメージを持ったままの人は少なくありません。
第二に、数々の危険性について否定された経緯があっても、危険性は認められないが、まだ認められていないだけで、これから分かるかもしれない、という余地があることが、人工甘味料の印象が完全に回復させるに至らない理由なのかもしれません。例えばスクラロースは危険性として、白血病や甲状腺の衰えなどが指摘されていますが未だ症例がはっきりとは報告されておらず不明な点も多いのです。
人工甘味料が悪いイメージになる理由、三つ目は、単純に食品添加物としてのイメージが良くないからということに原因があるのかもしれません。巷であふれる健康食品や、自然を謳った化粧品などには「無添加」を強調するものが少なくありません。無添加であることイコール、良いものというイメージを良くも悪くも私たちは知らず知らずのうちに刷り込まれているのではないでしょうか?
人工甘味料は適量であれば安全
悪いイメージが拭えない人工甘味料ではありますが、種類一覧で紹介した現代日本で使用が許可されている人工甘味料は、摂取量が適量であれば危険性はないと言われています。とはいえ、料理で人工甘味料を使い人には適量がどれくらいなのかという点が気になるところでしょう。これについては、厚生労働省が公表している人工甘味料の一日許容摂取量(ADI)を参考にすると良いかもしれません。
例えば人工甘味料種類一覧であげたキシリトールの場合、一日の摂取量は20gから30gの許容量があると言われています。ロッテのキシリトールガム1粒あたり、キシリトール含有量はおよそ0.5gですから、1日60粒程度摂取すると体にとって危険性があるということになります。1日60粒ですからその危険性が現実的ではないことがお分かりいただけると思います。
また、人工甘味料種類一覧でも取り上げたサッカリンの一日許容摂取量(ADI)は、体重1kgあたり0.5mgです。この数値は、成人男性の場合、1日およそ293mg以下の摂取量が望ましいということです。同様にアステルパームの一日許容摂取量(ADI)は体重1kgあたり40㎎で、スクラロースは体重1kgあたり15㎎と定められています。多量に摂取することなく適量を使えば安全であることが人工甘味料は確認されているのです。
一方で安全性が十分に確認されているため、摂取上限量が決められていない人工甘味料も存在します。それ糖アルコールの一種、エリスリトールです。エリスリトールに関しては、FDA(アメリカの食品医薬品局)とEMA(ヨーロッパの医薬品局)が「摂取上限量を設定する必要はない」と示しています。また羅漢果エキスも、摂取上限量が設定されていません。
糖質制限におすすめの人工甘味料エリスリトール
糖質制限のため砂糖の代替調味料を探している人に特におすすめなのがエリスリトールです。エリスリトールはキシリトールと同じ糖アルコールの仲間で、ブドウ糖を発酵することにより作られます。天然に存在する甘味料ながら人工的に合成して作られるため、人工甘味料の一種として本記事では紹介していますが、商品によっては「人工甘味料無添加」と表記されることもあります。砂糖の60%から80%くらいの甘みを持ちます。
エリスリトールは摂取された後、体内に吸収されるので、大腸内の浸透圧を高める効果が少なく、他の緩下作用のある糖アルコール系の人工甘味料に比べ下痢が起きにくいことが分かっています。また、血糖値を上昇させず、インスリンの分泌を誘導しないため、糖尿病患者のための食事作り、料理に活用しやすい甘味料です。キシリトールと同じ非う蝕性のため、虫歯になりにくいのも特徴です。
エリスリトールは、個人が手に入れることができる人工甘味料一覧のなかでは、もっとも安全で使いやすい甘味料と言えるでしょう。現在のところ下剤効果(それも他の糖アルコールと比べると緩やか)以外の副作用は発見されていません。甘みは後味がさっぱりとしていて、人工甘味料特有の甘すぎるところがなく使いやすいとのレビューが多く見受けられます。
個人が使う調味料としてのエリスリトールは、インターネットでもさまざまなメーカーが出している商品を購入することが可能です。その中から特に、糖質制限中の人やダイエッターの方の料理に使いやすいと評判で、売れ筋のエリスリトール商品について以下に何点か紹介します。
数あるエリスリトールの調味料のなかで日本で一番売れているのが、サラヤ株式会社が出している「ラカントS」でしょう。ラカントSの素材は、植物由来の甘味料エリスリトールと、漢方として古来より中国で使われてきた羅漢果から採れる高純度エキスです。ラカントSは砂糖と同じ甘さに調整されているため、料理をするときの計量が簡単で便利です。カロリーゼロのため、カロリー摂取制限をしている人に人気の調味料です。
次に、国内の老舗メーカー浅田飴から出ている「シュガーカット」もエリスリトール調味料のなかで人気の商品です。浅田飴シュガーカットはぶどう糖を発酵して得られる糖質エリスリトールと、砂糖から生まれ、自然な甘味質を有するスクロースを原料としています。浅田飴シュガーカットを料理に使う時は、砂糖の三分の一の量を目安に使います。カロリーはゼロです。人気の理由は安全性と、癖のない甘さにあるようです。
人工甘味料は強い甘みで砂糖の量を減らせる
多くの人工甘味料は先述のとおり、砂糖よりも強い甘みを有しています。例えば、アセスルファムカリウムは砂糖の200倍、スクラロースは600倍、ステビアは250から300倍の甘さであると言われています。また、ノンシュガー、ノンカロリー食品に多く使われているアステルパームは砂糖の200倍の甘みを有します。
人工甘味料は砂糖の代替甘味料として使えるだけでなく、少量で甘みを感じられる特質があるため、食事に上手に利用することができれば摂取する砂糖の量を減らすことができます。そのため結果として、血糖値の上昇や摂取カロリーを抑制する効果が期待され、肥満や糖尿病の予防と、その治療に有用と考えられています。
人工甘味料は私たちの生活になくてはならない存在
何となく健康を脅かす危険性があるイメージをもちがちな人工甘味料ですが、今や私たちの暮らしにはなくてはならない存在です。本記事では人工甘味料の基本的な知識から、人工甘味料の種類一覧、その特徴や副作用、指摘されている危険性について特集しました。人工甘味料は上手に使用すれば、糖質制限の料理に活用するなど大いに生活に役立ちます。ぜひ正しい知識を身につけ工夫して、人工甘味料とうまく付き合っていきましょう。