2019年05月19日公開
2024年09月15日更新
スモークチーズ(チーズ燻製)の簡単な作り方!自宅で作るコツは?
スモークチーズなどの燻製は、食品を燻す(いぶす)ことによって保存性を高める調理法のひとつです。燻製された食品の独特の香りや風味が好きな人も多いかもしれません。スモークチーズは、チーズを燻製させて作ります。燻製は専用の場所と道具がないと作れないと思っている人もいるかもしれませんが、実は自宅でも簡単に作ることができます。今回はスモークチーズの作り方やカロリー、おすすめの食べ方、アレンジレシピを紹介します。
目次
スモーク(燻製)の基礎知識
燻製は、食品を長期間保存するための調理法として、古くから利用されてきました。それは、燻製することによって生じるある効果が影響しています。また燻製は、食品を燻す温度によって3種類に分けられます。ここでは、燻製についての基礎知識を紹介します。
殺菌・防腐効果
燻製は、木材を不完全燃焼させた時に出る煙(燻煙)で食品を燻します。この燻煙に、食品を殺菌・防腐する効果があります。代表的な殺菌・防腐効果を有する成分は、カルボニル化合物、フェノール系化合物、有機酸などです。
これらの成分は、たんぱく質を変性させる働きがあります。もし食品の表面に細菌が付着していたとしても、この働きによって死滅します。
またこれらの成分は、膜を形成して食品を包み込みます。膜に包まれると、外部から細菌などが侵入することができなくなります。そのため細菌が食品内に侵入できず、保存性が高まります。ただし、この膜は食品中に水分が残っていると形成されません。
脱水効果
水は、食品の腐敗と密接に関係しています。腐敗とは、細菌が食品中に侵入し増殖した状態を指します。この細菌の増殖に必要となるのが水です。脱水することによって細菌の増殖を防ぐことができ、食品を長期間保存できるようになります。
燻製そのものも脱水効果がありますが、下処理の段階で脱水すると、より効率的に脱水できます。よく行われる方法は、食塩水や砂糖水に漬ける脱水です。その後、風乾などによって乾燥させることでさらに脱水できます。
また食品に水分が残っていると、燻煙の香りが食品にうまく乗らず、えぐみが出てしまいます。食品の保存性を高めるためにも、美味しい燻製を作るためにも、脱水は必要な工程です。
冷燻
燻製の作り方は、温度や燻製する時間によって3種類に分けられます。これらの作り方は、燻製の温度の低い順に、冷燻、温燻、熱燻と呼ばれています。
冷燻は、15から30℃で長時間燻製する作り方です。長いものなら1ヶ月ほど燻製することもあります。長時間燻製することで水分がしっかり抜けるので、長期間保存することができます。また、水分が無い分、食感は硬くなります。代表的なものに、生ハムやドライソーセージなどがあります。
冷燻は温度管理が非常に重要です。また、15から30℃で燻製する作り方なので、外気温がそれ以上になる季節は作ることができません。
温燻
温燻は、50から80℃で燻製する作り方です。燻製時間は数時間から1日程度です。冷燻に比べると脱水効果は低いため、保存性は下がります。保存可能な期間は、数日から1週間程度です。しかし、水分がある程度残っている分、ジューシーな食感となります。肉類や魚介類の多くが、この温燻で燻製されます。
熱燻
熱燻は、80℃以上の高温で燻製する作り方です。燻製時間は30分から1時間程度と短く、燻製器など専用器具が無くても、フライパンなどで代用して作ることが可能です。
燻製時間が短いので、脱水効果はあまり無く、保存には向いていません。水分が多い分、食感は温燻よりもジューシーになります。燻製の香りや風味を楽しむことを目的に行われる作り方です。作ったらできるだけ早く食べきることをおすすめします。
スモークチーズ(チーズ燻製)の基礎知識
スモークチーズは、冷燻、温燻、熱燻のどの作り方でも作ることができます。ここからは、スモークチーズに適したチーズの種類や作り方、スモークチーズのカロリーについて紹介します。
燻製剤は何を使う?
燻製剤には、チップタイプとウッドタイプの2種類があります。チップタイプは、チップの下から熱源で加熱することによって煙を出して燻製します。そのため、熱燻するときに使われることが多いです。
ウッドタイプは、木くずを固めて棒状にしたものです。直接ウッドに火をつけることで煙を出して燻製します。ウッドタイプの燻製剤は、冷燻や温燻に用いられることが多いです。スモークチーズをどの燻製方法で作りたいかによって、燻製剤のタイプを選ぶ必要があります。
また、燻製剤に用いられる木材には、さくら、りんご、ヒッコリー、くるみ、ナラなどさまざまな種類があります。また、ウイスキーを寝かせた樽で作ったものもあります。どの木材で作られた燻製剤を使うかで、スモークチーズの風味や香りが変わります。さまざまな種類を試して自分好みの燻製剤を見つけてください。
プロセスチーズがおすすめ
チーズは、ナチュラルチーズとプロセスチーズに大別されます。ナチュラルチーズは、牛や羊、山羊などから得られた生乳を、乳酸菌やレンネットと呼ばれる凝乳酵素の力で凝固させたものです。一方プロセスチーズは、ナチュラルチーズを溶かしてそこに乳化剤などを加えて、再び成形して作ります。
スモークチーズにおすすめなのは、プロセスチーズです。プロセスチーズは、乳化剤によって強固に固められているので熱に強く、温燻や熱燻を行なっても溶け出しにくいです。ただし、高温にしすぎると溶けてしまうプロセスチーズもあるので、温度やチーズの状態を確認しながら燻製しなければいけません。
カマンベールチーズは使えない?
出典: http://iewine.jp
一方、スモークチーズに向いていないチーズの代表は、カマンベールチーズです。カマンベールチーズは、フランスのカマンベール原産のチーズで、軟質の柔らかいチーズの表面に白カビを繁殖させて熟成させます。熟成が進むほど食感が柔らかくなります。
カマンベールチーズは加熱するとすぐに溶けていきます。スモークチーズというよりは、燻製してすぐは、チーズフォンデュのようになります。スモーキーな香りのチーズフォンデュを食べてみたい人にはおすすめです。スモークチーズのように食べたい場合は、燻製後、冷蔵庫などで一晩寝かせてから食べることをおすすめします。
燻製にするとカロリーは変わる?
チーズを燻製してスモークチーズにしたからといって、カロリーに大きな変化はありません。燻製する食材によっては、ソミュール液と呼ばれる塩や砂糖、ハーブなどを煮詰めた液に浸して味付けします。その場合は、ソミュール液が浸漬した分、カロリーが高くなります。
スモークチーズの場合は、チーズそのものに味が付いているのでソミュール液に浸す必要はありません。そのため、スモークチーズに使うチーズそのもののカロリーに左右されると言えます。
ただし、スモークチーズ1個あたりのカロリーは大きく変わりませんが、100gあたりのカロリーを算出すると、少しカロリーが高くなることもあります。それは、スモークチーズにすることでチーズに含まれている水分が抜け、少し小さくなるからです。小さくなった分、数を食べすぎるとトータル的にカロリー過多になるので注意が必要です。
スモークチーズの簡単な作り方
自宅での燻製作りはブームになっており、家庭用の燻製器や燻製専用のレシピ本なども販売されています。しかしスモークチーズは、専用の道具がなくても簡単に作ることができる燻製です。ここでは、自宅でできるスモークチーズの簡単な作り方を紹介します。
必要なもの
最低限、燻製器と燻製剤、熱源があればスモークチーズを作ることができます。燻製器には、家庭用コンロにのせて使うものと、屋外でのみ使用できるものとがあります。自分に合った燻製器を見つけてください。専用の燻製器を買わなくても、中華鍋や深型のフライパンと金網があればスモークチーズを作ることができます。
燻製剤はウッドタイプとチップタイプどちらを使ってもスモークチーズを作ることができます。冷燻や温燻にしたい場合はウッドタイプの燻製剤を、熱燻にしたい場合はチップタイプの燻製剤を使います。
冷燻や温燻にする場合、温度管理が重要になります。これから燻製器を新調するという場合は、温度計の付いた燻製器を買うことをおすすめします。また、カセットコンロや家庭用コンロで加熱すると、温度が高くなりすぎることがあります。電熱器なら、温度管理がしやすくなるのでおすすめです。
燻製した食材には独特の照りが付きます。この照りを出すために、燻製剤に三温糖を混ぜます。もし三温糖がなければ、上白糖やグラニュー糖などでも代用可能です。
下準備
燻製する食材によっては、燻製する前にソミュール液に浸けて味付け、水抜き、乾燥と様々な工程が必要な場合もあります。スモークチーズを作る場合、チーズそのものに味が付いているので味付けの必要はありません。また、水分が多い食品でもないので、乾燥も不要です。
ただし、燻製を始める前にチーズを室温に戻しておく必要があります。冷蔵庫から出してすぐのチーズが表面に水滴がついてしまいます。燻製を行うにあたり、水分は大敵です。水分があると燻煙がうまく食品にのらず、えぐみも出てきてしまいます。キッチンペーパーを敷いたバットの上や、干物用のネットなどにチーズをのせて室温に戻します。
チップタイプの燻製剤を使う場合は、下にくっつかないタイプのアルミホイルを敷くことをおすすめします。チップタイプの燻製剤は、下から加熱することによって発煙させます。そのため、長時間加熱していると焦げてくっついてしまいます。また燻製剤に砂糖を混ぜるのでより焦げ付きやすくなります。
フライパンなどを燻製器の代用として使う場合は、鍋の蓋にアルミホイルを巻いておきます。燻煙が鍋蓋につくと、混ぜ込んだ砂糖の影響で蓋がベタベタになります。また隙間に入った汚れは落とすことが難しく、後片付けが大変になります。
燻製の仕方
下準備ができたら、いよいよ燻製開始です。準備さえできてしまえば、スモークチーズの作り方は簡単です。
まず燻製剤を加熱していきます。ウッドタイプの燻製剤を使う場合は、燻製剤そのものを火で炙って着火していきます。着火は家庭用コンロやカセットコンロでもいいですが、バーナーがあればより早く着火することができます。チップタイプの燻製剤を使う場合は、くっつかないタイプのホイルを敷いてコンロにのせ、中火で加熱していきます。
煙が出てきたら火を弱め、金網の上にチーズをのせていきます。この時、チーズ同士がくっついてしまうと、その部分が燻製されなくなるので適度に間隔をあけてのせていきます。燻製の途中でチーズの表面に水滴がついてしまうことがあるので、時折蓋を開けて水分を拭き取ります。冷燻なら4時間、温燻なら2時間、熱燻なら30分程度で完成です。
ポイント
プロセスチーズは熱に強いので、冷燻や温燻でスモークチーズにする場合は溶け出してしまう心配はありません。ですが、高温にすると柔らかくなってしまうチーズもあります。燻製の途中でチーズが溶けてしまいそうだと感じた場合は、アルミホイルやクッキングシートで受け皿を作って、その上にチーズをのせる方法もあります。
また、クッキングシートで模様を作り、プロセスチーズの上にのせてから燻製すると、クッキングシートをのせた部分にだけ色がつかずに、模様付きのスモークチーズを作ることができます。ちょっとしたアレンジをするだけで、パーティーを華やかにするスモークチーズになるはずです。
スモークチーズのおすすめの食べ方
スモークチーズは、出来立てを食べてももちろん美味しいですが、冷蔵庫で一晩寝かせることで落ち着き、よりスモーキーな香りのスモークチーズを楽しむことができます。また、スモークチーズはそのまま食べても美味しいですが、アレンジしても美味しいです。ここでは、スモークチーズのおすすめのアレンジした食べ方を紹介します。
そのまま切って食べる
まずおすすめの食べ方は、スライスしてそのまま食べる食べ方です。同じスモークチーズでも、燻製剤に使った木材の種類によって香りや風味が全く異なります。香りを楽しみながらスモークチーズを食べたい人におすすめの食べ方です。
蜂蜜をかけて食べる
次におすすめのアレンジした食べ方は、スモークチーズに蜂蜜をかけて食べる食べ方です。スモークチーズに甘い蜂蜜が合うのか疑問に思う人もいるかもしれませんが、実はよく合う食べ方としてバーなどでも提供されている食べ方です。
蜂蜜にもさまざまな種類がありますが、おすすめは甘めの蜂蜜やメイプルシロップです。スモークチーズのスモーキーな香りと、蜂蜜の甘い香りが混じってさらに濃厚な香りを楽しむことができます。ただし、甘みの強い蜂蜜は、糖分が多い分、カロリーも高くなるので、かけすぎには注意が必要です。
クラッカーやチョコレートに乗せて
最後におすすめするアレンジした食べ方は、クラッカーやチョコレートにのせて食べる食べ方です。クラッカーにチーズをのせる食べ方はおなじみの食べ方ですが、普通のチーズのかわりにスモークチーズにアレンジするだけで、スモーキーな香りが加わり一味違った味わいになります。
チョコレートにのせてスモークチーズを食べる食べ方もありますが、チョコレートを溶かしてスモークチーズをコーティングして食べる食べ方もあります。チョコレートの苦みと甘み、スモークチーズのスモーキーな香りが楽しめるスイーツとなります。ただし、チョコレートを使う分、カロリーアップします。カロリーを気にしている人は注意が必要です。
スモークチーズのアレンジレシピ
スモークチーズをそのまま食べたりトッピングしたりする食べ方以外にも、さらにアレンジして食べる食べ方もあります。ここからは、スモークチーズを使ったアレンジレシピを紹介します。
スモークチーズサンド
- 食パン(6枚切り)1枚
- レタス3枚
- 鶏胸肉50g
- アボカド4分の1個
- 白胡椒適量
- マヨネーズ適量
- スモークチーズ10g
- 赤パプリカ適量
- きゅうり適量
- マーガリン適量
- 鶏胸肉を茹でて、手で割いて冷やしておく。
- アボカドは中身を取り出し、赤パプリカときゅうりはみじん切りに、スモークチーズは薄くスライスする。
- ボウルに1と2を入れてよく混ぜ合わせる。
- 食パンを半分に切り、両方にマーガリンを塗る。
- 片側の食パンにレタスを敷き、スプーンで3をのせる。
- その上から残りのレタスを重ねて、もう片方の食パンをのせて軽く押さえる。
チーズを挟んだサンドイッチは数多くありますが、スモークチーズを挟んだサンドも格別です。休日のランチなど、時間に余裕のあるときに試してみたいアレンジレシピです。
スモークチーズとセロリのごま油和え
- セロリ1本
- えのき1パック
- スモークチーズ適量
- かいわれ大根
- 白ごま適量
- ごま油大さじ2
- 塩適量
- 黒胡椒適量
- セロリは千切りに、えのきは石づきを落として半分に切り、手で割く。
- スモークチーズもセロリと同じ長さの千切りに切る。
- フライパンにごま油を入れて中火で加熱し、白ごまを入れて香りを出す。
- セロリとえのき、塩胡椒を入れて強火でさっと炒めて火を止める。
- 粗熱が取れたら、スモークチーズを入れて合える。
どの食材も簡単に火が通るので、時間の無いときでも簡単に作ることができるアレンジレシピです。もう一品欲しいときや、晩酌のおつまみにおすすめのアレンジレシピです。
スモークチーズとサラミのポテトサラダ
- じゃがいも3個
- スモークチーズ40g
- サラミ5枚
- オリーブオイル大さじ2
- マヨネーズ大さじ4
- 塩適量
- 黒胡椒適量
- レタス適量
- じゃがいもは茹でるかレンジで加熱して柔らかくし、皮をむいて食べやすい大きさに切り冷ます。
- スモークチーズとサラミは食べやすい大きさに切る。
- レタスは手でちぎって皿に敷く。 ボウルにじゃがいも、スモークチーズ、サラミ、調味料を入れてよく混ぜ、塩胡椒で味を整えていく。
- レタスを敷いた器に盛り付ける。
定番のポテトサラダもスモークチーズを入れることで一風変わったレシピになります。スモークチーズのスモーキーな香りが漂う一品です。低カロリーのマヨネーズを使えば、カロリーダウンも可能なアレンジレシピです。
アボカドとスモークチーズのマヨ和え
- アボカド1個
- トマト1個
- スモークチーズ120g
- マヨネーズ適量
- 粗挽き胡椒適量
- アボカド、トマト、スモークチーズを角切りにする。
- ボウルにアボカド、トマト、スモークチーズ、マヨネーズを入れて合える。
- 黒胡椒で味を整える。
全ての材料を切って合えるだけの非常に簡単なアレンジレシピです。マヨネーズで和えても、スモークチーズのスモーキーな香りは負けることなく香ってきます。アボカドは「森のバター」と呼ばれるようにカロリーが高い食材です。カロリーを気にしている人は注意が必要なレシピです。
スモークチーズのチョコナッツバー
- ミルクチョコレート60g
- ブラックチョコレート60g
- マーガリ110g
- メイプルシロップ大さじ1
- スモークチーズ60g
- 好みのナッツ類30g
- ビスケット30g
- スモークチーズは小さくカットし、ビスケットは細かく砕いておく。
- スモークチーズ、ナッツ、ビスケット以外の材料を鍋に入れて、弱火でチョコレートを溶かす。
- チョコレートが溶けたら、スモークチーズ、ナッツ、ビスケットを鍋に入れて混ぜ合わせる。
- バットに流し込み、冷蔵庫で冷やし固める。
スモークチーズを使ったアレンジスイーツレシピです。スモークチーズの絶妙な塩加減がチョコレートの甘みを引き立ててくれます。このレシピに使われているチョコレートもナッツもカロリーが高いので、食べ過ぎには注意が必要です。
スモークチーズを自宅やキャンプで作ってみよう!
いかがでしたか?燻製の基礎知識や、スモークチーズの作り方、カロリー、食べ方、アレンジレシピなどを紹介しました。スモークチーズの作り方はとっても簡単で、かつ自宅にあるものでもできてしまいます。
また、スモークチーズはそのまま食べるのもおすすめですが、はちみつやチョコをかけたり、クラッカーにのせたりするのもおすすめです。スモークチーズは、決してカロリーの高い食べ物ではありませんが、トッピングをすることでカロリーは増えてしまいます。カロリーを気にしている人は注意が必要です。
スモークチーズは、アレンジして様々な食材と合わせても美味しく食べることができます。スモークチーズの様々なアレンジレシピがあるので、それらを参考にお気に入りのレシピを見つけてみてください。
低カロリー食材と合わせれば、カロリーを気にせず美味しくスモークチーズを楽しむこともできます。ぜひ自宅やキャンプなどのアウトドアでスモークチーズに挑戦してみてください。