梅干しの土用干しの干し方とは?タイミングや干した後など解説

梅干しの土用干しの干し方とはどのようなものなのでしょうか?土用干しとは梅雨が終わる夏の土用の時期に行われる「干す」作業です。梅雨まっただなかの6月頃になると、スーパーの青果売り場には梅干しにするための青梅やホワイトリカーが多く並びます。昔から日本では収穫した青梅を塩漬け、赤紫蘇漬けにして、土用の時期になると一斉に3日ほど干すという習慣がありました。今回は梅干しの土用干しについて、作業をするタイミングや詳しい干し方を解説しています。上手な土用干しの干し方を覚えて美味しい梅干しを作りましょう!

梅干しの土用干しの干し方とは?タイミングや干した後など解説のイメージ

目次

  1. 1梅干しの土用干しとは?
  2. 2梅干しの土用干しのタイミング/時期
  3. 3梅干しの土用干しの干し方
  4. 4梅干しの土用干しのコツ
  5. 5梅干しの土用干し後は?
  6. 6梅干しの土用干しの干し方をマスターしよう

梅干しの土用干しとは?

土用干しという言葉を聞いたことはありますか?日本では古くから夏の土用に干し物をするという習慣があります。梅雨の時期からスーパーに並ぶ青梅は、梅干しづくりの材料として売られており、梅雨が明けるとともに漬けていた梅干しを天日干しする土用干しの作業を行います。

本記事では梅干しの土用干しについて詳しい干し方と干し方のコツ、それに、土用干し後の梅干しの保管方法について解説しています。上手な梅干しの干し方を知って、美味しい梅干し作りにチャレンジしてみましょう!

土用干しの土用とは?

そもそも土用干しの「土用」とはどういった意味を示しているのでしょうか?土用とは春夏秋冬の暦のなかである時期を指し示す言葉です。

より詳しく言うと立夏、立秋、立冬、立春の前のそれぞれ18日間の時期を土用と呼んでいます。が、昨今では「土用の丑の日にうなぎを食べる」と夏の季節に言うように、立秋の直前である夏の土用を示すことが一般的です。

土用の言葉の由来としては、陰陽五行説では春・夏・秋・冬の4つの季節を木・火・金・水に当てはめて考え、その間の時期を土が支配するとしたところから土用の考えが生まれたとされています。

季節の変わり目にある土用は、昔からさまざまな禁忌や風習があることで知られています。例えば、土用の時期には土いじりをしてはいけないという禁忌があります。また、今回解説している梅干しの土用干しについても土用の風習として現代に伝わっている習慣です。

土用干しの意味

梅雨が明けた夏の時期に行う土用干しですが、ひと口に「土用干し」と言っても、実は干す対象は梅干しだけに限りませんし、対象が異なればその意味も違ってきます。

例えば、土用干しには衣類や書籍を干すことを示す場合もあります。衣類や書籍を陰干しすることで害虫がつくことから守る意味があります。また、農業における土用干しとは、水田の水を抜くことで稲の根の生育を促し秋の台風に備えるという意味があり、「田の土用干し」と呼ばれています。

そして、梅干しの伝統的な製法の過程にある土用干しがあります。6月に熟した青梅を塩漬けにし、土用に3日ほど天日に当てて干す風習です。

土用干しの効果

梅雨が明けると行う土用干しの作業ですが、そもそも土用干しをするとどんな効果があるのでしょうか?ここでは梅干しの土用干しに意味を絞って説明しましょう。

梅雨が終わるころ、日本では地域にもよりますが本格的な夏の季節が到来します。太陽の日差しも日に日に強くなってくる頃ですが、強い日差しの下で梅を干すことで、梅に含まれている水分を一気に飛ばし、旨味を凝縮させる効果が期待できます。

太陽光の下で置かれた梅干しは、梅の皮や果肉をふっくらと柔らかくし色よくし、日光消毒も兼ねているため保存性の高い梅干しに変わります。

土用干しは絶対必要?

梅雨の季節が終わる晴天に3日ほどかけて行う土用干しですが、梅干しを作る上で土用干しは絶対に必要な工程なのでしょうか?

一般に夏の土用が梅雨が終わる季節であることから、土用干しと言われていますが、土用の時期に梅雨が終わらず雨の日が続くこともあります。

また、地域によって気候が異なることもあるでしょう。塩漬けした梅を干すには晴天の日が3日以上続くことが大切ですから、土用にこだわらず、晴天を選ぶことが肝要です。この点で土用干しは絶対に必要というわけではありません。

また、正確に梅干しとは言えませんが、塩漬けした梅は干す工程を省いてそのまま熟成、食べることも可能です。これを「梅漬け」と呼びます。梅干しの日干しは必ず必要な工程ではないのです。いずれにせよ土用干しにこだわらず、干し方は自分の好みと気候に合わせて決めるのがおすすめです。

梅干しの土用干しのタイミング/時期

本項からは土用干しの干し方について詳しく解説していきます。まずは土用干しのタイミングや時期、適した時間帯について紹介しています。いずれも上手な干し方のコツとなりますので、しっかりとチェックしていきましょう!

土用干しのタイミング

土用干しは梅干しを作るうえで最後の工程となる作業です。土用干しをするタイミングは梅を漬けてからどれくらい経っていればいいのでしょうか?

一般に土用干しをするタイミングは梅を漬けてから1か月を経てからが望ましいと言われています。塩漬けの期間が短いとアクの抜けがしっかりとできないため、できる梅干しは塩が馴染まない味となってしまいます。

土用干しの時期

土用干しにふさわしい時期は、主に夏の季節、梅雨が明けてから晴天が続く時期がベストです。梅雨の期間は同じ日本でも地域によって異なります。梅雨が終わってからは週間天気予報を気にするようにし、3日3晩晴天が続く日を土用干しを始める日に定めると良いでしょう。

土用干しの時間帯

青空の写真

土用干しにふさわしい時間帯とは、太陽の光が十分に届く時間帯を指します。おおむね午前11時半ごろから午後2時くらいの時間帯が一番良いと言えます。家や環境によっては太陽の光が降り注ぐ時間帯が異なります。その環境に合わせ、土用干しの時間帯を決めると良いでしょう。

梅干しの土用干しの干し方

本項では梅干しの土用干しの干し方について解説しています。どのような干し方をすればいいのか、必要な材料から干し方の具体的な工程まで動画を交えて紹介しています。

また、基本的な土用干しの干し方は竹ざるなど、大きなざるや干し物用ネットを必要としますが、ざるや専用ネットがない場合でも家庭にあるものを使ってできる干し方の工夫を紹介しています。

土用干しの干し方はさまざまな方法がありますから、自宅の環境や手持ちの材料に合わせ干し方も工夫すると良いでしょう。

用意するもの

土用干しをするにはどんなものを用意すればいいのでしょうか?ここではまず、梅干しの土用干しに必要な道具について解説しましょう。

まずはあると便利なのが梅干しを並べて天日干しするときに使う、大きなざるです。なかでも清潔に保てる竹製のざるがあるといいでしょう。そして、ざるを載せる台が必要です。台は地面に直置きしないためですので、ダンボールでもレンガブロックのようなものでも構いません。

次に土用干しの過程で梅干しを梅酢に漬けたり、くぐらせたい人は、梅干しと梅酢を合わせるためのボウルや容器が必要です。

そして土用干しを終えたあとに梅干しを保管するための保存容器も用意しておきましょう。ガラス製のものでフタをして密閉できるものがおすすめです。
 

土用干しのやり方

基本の土用干しのやり方について解説します。まず梅酢に漬かっている梅の実を保存容器から取り出し、平らなざるに間隔をあけて並べます。次にこのざるを風通しがよく、日当たりの良い場所に置きましょう。ざるの下にはブロックなどを置いて、地面に直接置かないのがベストです。

梅を干し始めたら1時間程度で裏返します。干し始めはざるにくっつきがちなのでそれを防ぐためです。ざるに並べた梅干しを3日間日干しにすることで基本的な土用干しの工程は完成です。

後は好みに応じて途中で梅酢にくぐらせる工程を入れたり、梅酢に数日漬け直し再び天日干しを繰り返すという方法を取りましょう。

ザルやネットがない場合

梅干しの土用干しの基本的な干し方は、竹ざるを用いて天日に晒す干し方です。しかし、家庭に大きな竹ざるがない人も多いでしょう。近年では食べ物を干すための専用ネットが100均一などでも手に入りますので、そういったネットを使う干し方もおすすめです。

一方でざるも専用ネットもない人は、家庭にあるものを使って土用干しをすることが可能です。画像のようなプラスチック製の食器かごのようなものがある人はこれをざる代わりに使っても良いですし、大きなお盆にクッキングペーパーやオーブンシートを敷き、その上に梅を並べて天日干しするという干し方もできます。

ただし、お盆にシートを敷いて梅を天日干しする干し方には注意点があります。それはざるを用いる場合に比べて風通しがどうしても悪くなりますから、カビの繁殖に注意する必要があるということです。ざるを使わない干し方をする際には、できるだけ風通しの良い場所で行うのが重要なポイントです。

雨に濡れた場合

子供用の長靴と傘、雨のイメージ

土用干しをしている最中に運悪く天候が悪くなり、梅干しが濡れてしまった場合はどうしたらいいのでしょうか?突然の雨で干していた梅が濡れてしまった時には、すぐに流水に当てて梅を洗いましょう

その後ざるに並べ直し、晴れた日に再び天日干しして水分を飛ばします。水気を完全に飛ばすことができたら、一度梅を梅酢に漬け、ここからまた土用干しを始めれば大丈夫です。

梅干しの土用干しのコツ

本項では梅干しの土用干しのコツについて紹介しています。梅干しの干し方にはおさえておきたいポイントが幾つかあります。梅雨が明けたばかりの湿気の多い季節は特に梅干しにカビが発生しやすくなりますので、しっかりとカビの予防方法を覚えておきましょう。

また梅干しの土用干しをしたものの、硬く仕上がったり、しょっぱすぎる梅干しになってしまったときのリカバリー方法についても紹介しています。

カビの予防方法

梅干しの土用干しは梅雨明けの夏の晴天に3日間かけて行われるのが一般的です。梅雨が明けたとは言え、湿度の高い地域で土用干しをしなくてはいけないこともあるでしょう。そこで気になるのが梅干しに発生するカビです。土用干しの梅干しにカビを発生させないよう予防する方法を紹介します。

ポイントは梅干しを作るときに余計な水分をしっかりふき取ること、また、漬け込む際の塩は決められた分量を守り塩分濃度をきちんと保つこと、梅酢に漬ける際には空気に触れないように漬け込むことです。いずれも土用干しをする前の段階でのコツですが、これらをきちんと守ることでカビが予防できます。

硬くてしょっぱすぎた場合

手間ひまをかけて梅干しの土用干しを行ったのに、できあがった梅干しが硬くてしょっぱすぎた場合はがっかりしてしまいます。できたばかりの梅干しが理想の味にならなかったときのリカバリー方法について紹介しましょう。

梅干しが乾燥し過ぎて硬く干からびた状態になっている場合は、もう一度梅酢に漬け込み水分を含ませるといいでしょう。数日漬け込みまた、干すことで硬さがましになります。しかし、この方法をとると味が濃くなっていくので注意が必要です。

しょっぱすぎる梅干しは、塩抜きをした上ではちみつに漬けるのもおすすめです。梅干しに梅の重量の5倍の水を加え半日ほど置くと塩抜きができます。その上ではちみつに漬けるとまろやかな梅干しに仕上がります。ただし、塩抜きをすると長期保存ができなくなるので気をつけましょう。

梅干しの土用干し後は?

梅干しを土用干しした後は、どんな作業を行えばいいのでしょうか?本項では梅干しの土用干し後にすることをまとめています。土用干しは干し過ぎると干からびてしまいます梅をつまんでみて果肉が皮からすぐに離れるようならOKです。すみやかに回収して乾燥防止のために密閉容器に入れましょう。

干した後①別の容器にそのまま移す

土用干し後の保存方法にはいくつかやり方があります。干した梅干しをそのまま別容器に移す保存方法はもっとも簡単なやり方です。梅が漬かっていた梅酢にはもう漬けずに、梅だけを瓶などの保存容器に入れます。

そのまま別容器に梅だけを移すこの保存方法は、柔らかすぎない梅の固さと凝縮された旨味を楽しむことができます。濃い味わいと固い食感が好きな人におすすめです。

また、保存しているうちに自然と容器のなかに蜜のような梅酢がたまってくるため、日を経るごとにしっとりとした味わいを楽しめるのも利点です。

干した後②梅酢にくぐらせて別の容器で保存

土用干し後の保存方法、次に紹介するのは土用干しのあとの梅に一度梅酢をくぐらせてから保存容器に移す方法です。

具体的には土用干し後の梅干しを数日間梅酢に漬け、その後別容器に移す方法と、数日梅酢にくぐらせてまた干すを数回繰り返し、その後梅だけを取り出して保存する方法があります。後者の場合、好みで味わいを調整することができます。梅酢をくぐらせてから保存することで、梅干しの色合いが鮮やかになり風味が豊かになります。

干した後③梅酢に戻して保存

土用干し後の保存方法、3つ目の方法は土用干しした梅干しを梅酢に戻しそのまま保存容器で保存するやり方を紹介します。

梅干しを作る工程で出てきた梅酢に戻し、そのまま保存する方法はしっとりとしたみずみずしい梅干しが好きな人におすすめの方法です。梅干しはふっくらと柔らかい食感になり、梅エキスが凝縮された梅酢自体も楽しむことができます。また、長期保存が可能な点もメリットの一つです。

干した後の食べごろ

土用干しをした梅干しの食べ頃の時期というのはあるのでしょうか?実は土用干し後の梅干しは、すぐに食べてもしばらく置いてから食べてもどちらでも大丈夫です。

土用干し後すぐの梅干しは大きめの瓶に入れて保管し、すぐ食卓で食べられるように小さな瓶に分けて食べるのが便利です。干してすぐの梅干しは食感がやや硬いのが特徴で、時間が経つにつれ柔らかくなっていきます。好みにもよりますが半年ほど熟成させるとより美味しさが増し、おすすめです。

梅干しの土用干しの干し方をマスターしよう

梅雨のシーズンが到来すると梅干しにするための青梅がスーパーに並び始めます。今年は自分の家で梅仕事にトライしてみませんか?今回は梅雨が終わる晴天を利用して梅干しを干す梅干しの土用干しについてその干し方や干し方のコツを解説しました。

梅干しの土用干しはどのタイミング、どの時間帯にすればいいか、また土用干し後の梅干しの保管方法についても詳しく説明しています。

梅酢への漬け方、保存の方法によっても味わいの違いを楽しめる土用干しの梅干しは、自分好みにアレンジできるのが良いところです。ぜひ本記事の干し方を参考に、お好みに合わせた土用干しの梅干し作りにチャレンジしてみてください。

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