2019年05月01日公開
2024年09月13日更新
菜種油とは?キャノーラ油との違いは?効能・選ぶポイントやおすすめの菜種油は?
菜種油はアブラナ(菜の花)を原料にした油で、昔から様々な料理に使われてきた日本では馴染み深いものです。しかし、一方では体に悪い成分が含まれた危険な油ともいわれており、アメリカでは食用での使用が禁止されていたという歴史があります。菜種油は本当に危険なのか、なぜアメリカでは使用を禁止されていたのか、キャノーラ油との違いと共に紹介していきます。国産の菜種油には体にいい効能もあるといわれています。危険のない、おすすめの国産菜種油も併せて紹介します。
菜種油とは?
アブラナを原料に作られる「菜種油」は、昔から食用として様々な場面で使われてきたものです。揚げ油にはもちろん、お菓子作りやドレッシング作りなど用途は幅広く、私たちの食生活を支えてきた油です。
しかし、その一方で体に悪い危険な油、といわれることもあります。実際にアメリカでは、菜種油の食用での使用は禁止されていたという事実があります。
今では菜種油よりもキャノーラ油を使う家庭が多く、菜種油を使うことは少ないかもしれません。菜種油は本当に体に悪い危険な油なのでしょうか?危険と言われる一方で、健康にもいい様々な効能も期待できるといわれています。健康にいい効能とはどのようなものがあるのでしょうか?
危険な油といわれることも多い、菜種油の詳しい性質とその効能をみていきましょう。誤解されることも多い菜種油ですが、その性質を詳しく知って上手に料理に取り入れていきましょう!
菜種(なたね)とは?
そもそも、菜種油の菜種(なたね)とは一体何か知っていますか?菜種とはアブラナ・菜の花のことです。青空の下、一面に花を咲かせる黄色い菜の花は春の風物詩です。
菜の花・アブラナは呼び方は違いますが同じものです。菜の花はアブラナ科アブラナ属の植物で、古くから食用や灯火の原料として生活に密着してきたものです。種は油として、茎は食用として日本人に愛され、重宝されてきたもので日本に伝わってきたのは奈良時代ともいわれる非常に歴史のある植物なのです。
菜種油の成分や特徴
菜種油の成分は56%がリノール酸、21%がオレイン酸となっています。しかし5%エルカ酸という成分が含まれています。このエルカ酸、菜種油が危険な油といわれる原因になっているものです。
菜種油は、製造過程の抽出方法や品種によっては逆に体にいい効能を持ったものもあります。エルカ酸の含有量も品種によって変わってくるのが特徴で、そのため菜種油の選び方がとても大切になってきます。
危険性はある?
菜種油が危険と言われる原因にもなっているエルカ酸。菜種油は品種によって、このエルカ酸の含有量に違いがあります。また、抽出方法によってもその危険度は違います。
エルカ酸には発がん作用、心臓障害、消化障害、肝臓障害を起こす危険があると言われています。これだけを聞くと、菜種油がとても危険なもののように思えてしまいます。実際にアメリカでは1985年までは、食用での流通を禁止していたほどです。
しかし、この危険と言われるエルカ酸、ラットを使った実験結果をもとに証明されたものです。もともとラットと人間では植物油脂の消化の仕方が違うため、エルカ酸が人体に対して本当に危険かは疑問も残っています。
今、国産の菜種油は品種改良がされ、エルカ酸を含まない菜種油が流通しています。そのため国産の菜種油は危険はなく、むしろ体にいい効能を得ることができます。国産の菜種油はあまり出回っていないのですが、心配な方は輸入の菜種ではなく国産の菜種で作った菜種油を選びましょう。
もう一つの注意点が、菜種油の抽出方法です。菜種油を作るとき、化学溶剤によって抽出されたものは油の酸化、栄養素の破壊、トランス脂肪酸が生成されるなど品質が悪くなる危険があります。
菜種油は低温圧搾(コールドプレス)で抽出したものは品質の劣化もなく、危険のない安心して使用できる菜種油になります。
また、昔ながらの玉締め製法という抽出方法で作られた菜種油も安心して使用できるものです。昔ながらのこの製法は、効率は悪いのですが品質がいい菜種油が抽出できるため、今でもこだわった製造会社でこの方法で作られているのです。
このように国産の菜種油は品種改良された、安全な菜種から安全な製法で作られたものが多くあります。菜種油は危険、という噂ばかりが一人歩きしていますが、国産のこだわった菜種油は安心して使用できるといえます。
菜種油の使い方
昔は灯火として重宝された菜種油。その使い方は、サラダ油やキャノーラ油などと同じように使用でき、揚げ油や調理油として使えます。加熱しても成分や効能は変わらず、美味しくカラッと揚げ物を仕上げることができます。
菜種油は高価ですが、熱に強いので揚げ物で使っても繰り返し使えるという特徴があります。きちんと濾し器でこして、正しく保管しておけば2、3回は繰り返し使うことができます。
良質な菜種油はクセもなくそのまま食べるのに適しているので、ドレッシングやマヨネーズ、パンにそのままつけて食べるのもおすすめです。菜種油はお菓子作りにも利用でき、シフォンケーキなどに使われています。
菜種油とキャノーラ油の違い
菜種油と同じく、揚げ油や炒め物によく使われているのがキャノーラ油です。キャノーラ油と菜種油は一緒だと混同している方も多いのではないでしょうか?菜種油とキャノーラ油の違いはなんなのか詳しくみていきましょう。
それぞれの油の違い、キャノーラ油のメリット・デメリットを知ることは、食生活を守るためにも大切なことです。
キャノーラ油は改良されたもの
キャノーラ油は菜種油、サラダ油と並んで、家庭でよく利用される油です。キャノーラ油と菜種油はよく混同されるのですが、その違いはなんでしょうか?
キャノーラ油と菜種油の明確な違い、それは使われる菜種の品種の違いです。キャノーラ油は、菜種を品種改良して作られた「キャノーラ種」から作られた油のことをさします。
もともとエルカ酸の含有量が問題になっていた菜種油。体に悪いと言われるエルカ酸や、グルコシノレートの含有量を少なくするために品種改良されたのが菜種の品種改良「キャノーラ種」なのです。
キャノーラ種の登場によって、アメリカでは1985年頃になって使用が認可されました。同じ菜種から作られた油ですが、品種の違いで呼び方が違うのです。
キャノーラ油のメリット
同じ菜種から作られた油ですが、品種の違いがあるキャノーラ油。キャノーラ油にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
まず、先ほども説明した通り体に悪いとされる、エルカ酸、グルコシノレートという成分の含有量が少ない、というメリットがあります。従来の菜種と違い、これらの成分が少ないことで様々な健康リスクの心配がなくなりました。
また安価であり、手に入りやすいというのも大きなメリットでしょう。スーパーでは2、300円あればキャノーラ油が手に入ります。毎日料理で使うものなので安定して安く購入できるのは大きなメリットです。
キャノーラ油のデメリット
それでは逆にキャノーラ油のデメリットはどのようなものでしょうか?キャノーラ油の原料、キャノーラ種は菜種を品種改良して作られたものです。輸入されている多くのキャノーラ種は、大半が遺伝子組み換え原材料、または遺伝子組み換え不選別の原材料を使用しています。
キャノーラ油の遺伝子組み換え原材料は、パッケージなどに表示する義務がありません。そのため、パッと見ただけではわからず、知らず知らずのうちに口にしている可能性があります。遺伝子組み換え食品の危険性は、メディアなどでもセンセーショナルに取り上げられ、皆さんもよく知っていることでしょう。
遺伝子組み換え食品を摂取することで、遺伝子が傷ついたり、がん、アレルギーなどの原因になると言われています。遺伝子組み換え原材料を使用しているかは表示されていない場合もあるので、原材料にこだわっている人は、この点に注意する必要があるでしょう。
多くのキャノーラ油は、製造工程で化学溶剤を使っています。化学溶剤を使うことで効率的に油を抽出できる一方で、薬品の残留が気になるところです。また、化学溶剤を使うことで、油が酸化したり、栄養素が破壊されたり、トランス脂肪酸が生成されるなどのデメリットがあります。
菜種油を品種改良し、エルカ酸、グルコシノレートの含有量は減ったものの、このようなデメリットがあるキャノーラ油。私たちは、メリット、デメリットを知って食生活に取り入れていく必要があります。
菜種油の効能
菜種油は体に悪いイメージばかりが取り上げられることも多いのですが、国産のこだわって作られたものは健康にいい効能が多くあります。どのような効能があるのか詳しく見ていきましょう!
コレステロールの低下
菜種油に多く含まれている「リノール酸」は人体に必要な必須脂肪酸です。リノール酸は、血中のコレステロールを下げる働きがあります。
「オレイン酸」もまた、コレステロールを下げる効能があります。血中のコレステロール値が下がれば、生活習慣病の予防効果も期待できます。糖尿病やガンなど、重大な病気を防ぐことが期待できます。
動脈硬化を予防
菜種油に含まれる「オレイン酸」「リノール酸」のコレステロールを下げる働きは、動脈硬化などの心疾患を予防する効能があります。リノール酸は血液をサラサラにし、血行を良くし、血管が詰まるのを予防する効果もあります。
便秘解消
菜種油の意外な効能のひとつに便秘の解消があります。これもまた「オレイン酸」の働きによるもので、オレイン酸には腸の働きを活性化させるという効能があるのです。
オレイン酸は腸管で吸収されにくいので、大腸まで届きます。その結果、大腸を刺激して腸の動きを促してくれるため便秘に効果があるのです。
特にダイエットで食事制限をすると便秘になる場合が多いものです。適度な油は便秘にも効果があり、腸内環境が整えば美肌にもいい効能をもたらします。
菜種油を選ぶポイント
菜種油について詳しく知れば、危険なものでないということがわかっていただけたかと思います。健康的に菜種油を摂り入れるためには、高品質のものを選ぶ必要があります。体にも良い、高品質な菜種油を選ぶには何に注意すれば良いのでしょうか?
国産のものを選ぶ
品質の良い菜種油を選ぶにはやはり、一番は国産のものを選ぶということです。昔は自給率100%を誇っていた菜種も、今は0.04%とそのほとんどを輸入に頼っています。
しかし、先ほども説明した通り輸入の菜種はほとんどが遺伝子組み換え原材料であり、表示義務がないのが現実です。
国産の菜種はエルカ酸などが含まれていない品種改良はされていますが、遺伝子組み換えはされていません。そのため、国産の菜種油は安心して使用することができるのです。自給率が極端に低く、国産の菜種油はとても希少なものなのです。
エルカ酸の含有率が少ない
菜種油が危険と言われる原因にもなっているエルカ酸。国産の菜種は品種改良され、エルカ酸、グルコシノレートの含有量が少ない、もしくは全く含まない品種がたくさん開発されています。
そのため、国産の菜種油は安心して使用できます。パッケージに「無エルカ酸(無エルシン酸)」の表示があるかぜひチェックしてください。
遺伝子組み換えの原料かどうか
先ほども説明した通り、遺伝子組み換えかどうかはぜひチェックしたい項目のひとつです。国産のものは遺伝子組み換え原材料は使用されていないため安心して使うことができます。
しかし、国産の菜種は希少なため、高価で手に入りにくいというデメリットもあります。輸入の菜種を使った菜種油でも遺伝子組み換えでない原材料を使ったものもあります。パッケージをよく見て「遺伝子組み換えでない」と表示されているものを選ぶようにしましょう。
一番搾りが良い
菜種油は化学溶剤を使用していない製造方法で作られたものがおすすめです。キャノーラ油はそのほとんどが化学溶剤で油を抽出しているのに対し、菜種油は製造方法にこだわって作られたものが多くあります。
おすすめなのが低温圧搾方で作られた菜種油で、その中でも一番搾りの未精製油が高品質で、健康にも良い効能があります。
菜種油のおすすめ商品
高品質な菜種油は危険どころか体にも良い油です。先ほどの選び方を基準に、特におすすめの菜種油を5点紹介します。菜種油を選ぶ際の参考にしてください。
平出油屋 玉締め圧搾菜種油
まず最初におすすめする菜種油が「平出油屋 玉締め圧搾菜種油」です。この菜種油は、昔ながらの玉締め圧搾方で丁寧に抽出されています。
熱は加えず、石臼の重みだけでゆっくりゆっくり抽出された菜種油は和紙で濾過されます。原材料の菜種は青森、秋田産の安心安全な国産。脱色をしていないのでトロリと黄色いのが特徴で、コクと独特の風味があります。
丁寧に作られているので1650gで2000円以上と値段が高めですが、健康に気を使いたい方には特におすすめ出来る菜種油です。
カネゲン 圧搾一番しぼり 国産なたねサラダ油
次におすすめの菜種油が「カネゲン圧搾一番しぼり国産なたねサラダ油」です。この菜種油は、圧搾された一番搾りの菜種油で、お湯で不純物を洗い流す「湯洗い」という方法で仕上げた菜種油です。
クセがなくさっぱりとした口当たりで、値段も比較的リーズナブルです。健康が気になるけれど、高い菜種油は手が出ない、という人にもおすすめの菜種油です。
村山製油 純菜種油
次におすすめの菜種油が「村山精油 純菜種油」です。一番搾りの菜種油は、余計な脱色や脱臭処理を一切していません。そのため、菜種油本来の風味が感じられ、揚げ物もカラッと美味しく揚げることができます。
原材料はもちろん、安心安全な国産です。値段は1650gで3000円以上とかなり高価です。しかし、その分本物の菜種油の風味を味わうことができます。健康と美味しさを両方手にしたい方におすすめの菜種油です。
創健社 国内産 菜種油
次におすすめの菜種油が「創健社 国内産菜種油」です。原材料はもちろん、希少な安心国内産の菜種を使用しています。化学溶剤は使わず、昔ながらの圧搾方法一番搾りの菜種油です。
クセがなくサラッとした油なので、揚げ物や炒め物にはもちろん、そのままドレッシングやマリネなどでも美味しく食べることができます。
ムソー 純正なたねサラダ油
次におすすめなのが「ムソー純正なたねサラダ油」です。こちらの菜種油は国産の菜種ではなく、輸入の菜種を使用しています。原材料はオーストラリア産ですが、遺伝子組み換えでない菜種を使用しているため安心して使用できます。
こちらも、丁寧に圧搾した一番搾りの菜種油を、湯洗いによって不純物をとりのぞいています。600gで700円前後と比較的リーズナブルなので普段使いにぴったりな菜種油です。
サラッとして使いやすく、どんな料理にも使えます。紙パックなので簡単に捨てることができるのも嬉しいポイントです。
菜種油を使ったおすすめレシピ
菜種油は揚げ物や炒め物にももちろん使えますが、様々な料理に大活躍する油です。揚げ油や炒め油以外の使い方でも、ぜひ菜種油の美味しさを味わってみてください。
菜種油を使ったカップケーキ
- 卵1個
- 薄力粉60g
- グラニュー糖60g
- 菜種油27g
- ベーキングパウダー2g
- 卵は常温に戻しておきます。
- オーブンに鉄板を入れて170度に予熱しておきます。
- 薄力粉とベーキングパウダーを一緒にふるいにかけます。
- 卵をよくときほぐしておきます。
- グラニュー糖を3回ほどに分けて加え、よくかき混ぜます。
- 菜種油を5回ほどに分けて入れ、よくかき混ぜます。
- 薄力粉も3回ほどに分けながら加え、よくかき混ぜます。
- 型に生地を入れます。
- 170度のオーブンで20分焼きます。
- 竹串を刺し、生地がついてこなければ出来上がりです。
菜種油を使ったドレッシング
- 人参2本
- 玉ねぎ1/2個
- A・菜種油
- A・酢
- A・塩
- A・レモン汁
- A・甘酒
- 人参、玉ねぎは小さく切ります。
- Aの調味料を適量合わせます。
- 切った野菜にAの調味料を入れたら、ブレンダーにかけます。
- とろみがついたら出来上がりです。
菜種油を使ったマヨネーズ
- 菜種油200cc
- A・卵黄1個
- A・酢大さじ1
- A・塩小さじ1/2
- A・砂糖小さじ2/3
- A・からし小さじ1
- こしょう少々
- 仕上げ用・酢小さじ1
- 仕上げよう・レモン汁小さじ1
- 卵黄にAの調味料を加え、泡立て器でとろみが出るまで良くかき混ぜます。
- 菜種油を少しずつ加え、良くかき混ぜます。
- 仕上げに酢とレモン汁を加え、こしょうで味を整えます。
菜種油を使ったシフォンケーキ
- 卵4個
- 砂糖70g
- 菜種油25g
- 豆乳(牛乳)50ml
- 薄力粉70g
- バニラビーンズ(お好み)1/4本
- オーブンは170度に予熱しておきます。
- 卵は卵黄と卵白に分け、卵白は冷蔵庫で冷やしておきます。
- バニラビーンズは鞘から出しておきます。
- 卵黄をボウルに入れたら、砂糖の1/3量を入れ良くかき混ぜます。
- 次に菜種油を加え良く混ぜたら、豆乳を入れます。
- 薄力粉は振るって入れ、ダマがなくなるまで良く混ぜます。
- 卵白をハンドミキサーでかき混ぜ白っぽくなったら残りの砂糖1/2量を加えます。
- 砂糖のザラザラがなくなるまでハンドミキサーにかけたら、残りの砂糖全部加えます。
- キメが細かくつやつやとし、メレンゲの先を持ち上げた時、少しお辞儀をするくらいの硬さに仕上げます。
- 卵黄にメレンゲをひとすくい加え、良くかき混ぜます。
- その生地を今度はメレンゲの入ったボウルに入れます。
- ゴムベラで泡が消えないようかき混ぜます。
- 生地を型に入れ、空気を抜いたら170度のオーブンで30分焼きます。
- 焼き縮みを防ぐため、上から軽くトンと落とします。
- 空き瓶などを使い、逆さまにして2〜3時間冷まします。
菜種油を使ってもっと健康的になろう
菜種油は、健康に害を及ぼす悪者として扱われることも多い油です。しかし、その製造方法や性質を知れば、害どころか健康に良い効能を得られる油であるとわかると思います。
品質の良い健康的な菜種油を食生活に摂り入れるには、製造方法、原材料について詳しく知る必要があります。今回の記事で、菜種油を選ぶポイントを知っていただけたことでしょう。
キャノーラ油と違い、国産の菜種油は製造にこだわって作られたものが多くあります。ぜひ、健康的な食生活に菜種油を取り入れてみましょう。国産で製造にこだわった菜種油は、みなさんを健康にする手助けをしてくれることでしょう。