2019年04月02日公開
2024年09月10日更新
どてかぼちゃの意味と由来は?おたんこなすとの違いも紹介
「どてかぼちゃ」や「おたんこなす」の言葉を聞いたことはありますか。「どてかぼちゃ」や「おたんこなす」の意味や由来、語源などを知らないと、使い方を間違ってしまうので注意してください。「どてかぼちゃ」と「おたんこなす」の違いや類義語も調べてみました。また、わらべ歌として昔から歌い継がれている「どてかぼちゃの歌」も紹介します。どてかぼちゃの意味や由来を知って、わらべ歌を子どもたちにも教えることも大切です。
「どてかぼちゃ」や「おたんこなす」は野菜の名前?
「どてかぼちゃ」や「おたんこなす」は、野菜のかぼちゃとなすが使われていますが、本当に野菜の名前なのでしょうか。どてかぼちゃやおたんこなすの意味や由来、語源などについて調べてまとめました。なかなかきちんとした使い方が難しいようですが、この機会に正しい意味や由来を知って、使ってみるのもおもしろいかもしれません。
どてかぼちゃの意味と由来は?
最近では「ジャンボかぼちゃコンテスト」や「どてかぼちゃフェスティバル」などの催しが、全国各地で開催されています。しかし、どてかぼちゃの意味や由来について、きちんと知っている人は少ないのではないでしょうか。そこで、どてかぼちゃの意味や由来をきちんと知って欲しいので、まとめてみました。
意味
かぼちゃにはたくさんの種類があり、色や形も様々です。そんなかぼちゃを使った言葉の「どてかぼちゃ」とは、「役立たず」「半端者」という意味です。あまりいい意味の使い方ではありませんが、なぜそのように言われるようになったのでしょうか?
由来
「どてかぼちゃ」の由来は所説あります。普通の畑ではなく、川の土手に自生してしていたかぼちゃが、充分に陽も当たらず肥料も少ないので、小さく痩せていて美味しくないから「役に立たない者」とか「半端者」といったような悪口として使われるようになりました。
また、川の土手は痩せて私有地ではないので、昔から貧しい人たちがかぼちゃを植えていたそうです。土手は日をさえぎるものがなく、日が当たりすぎてかぼちゃの表面が割れて美味しくないので、「役に立たない」ものを「どてかぼちゃ」というようになったそうです。
どてかぼちゃは「土手かぼちゃ」と書く
どてかぼちゃの語源や由来が、昔、川の土手で育てられたかぼちゃということで、漢字では「土手かぼちゃ」と書きます。今では、ほとんど畑で栽培されているかぼちゃばかりで、土手で育っているかぼちゃを見る機会がないので、なかなか想像しにくいのですが、どてかぼちゃの語源を知れば、納得できると思います。
おたんこなすの意味と由来は?
次に、「おたんこなす」について調べました。どてかぼちゃと同じように、おたんこなすの意味や由来をきちんと知っておくことが大切です。あまり使うことはないかもしれませんが、意味や由来、違いを知らないと間違って使うかもしれませんので、注意しましょう。
意味
「おたんこなす」とは昭和から使われている言葉で、間抜けな人、のろまな人やぼんやりしているなど、「まぬけ」や「のろま」と同じ意味で、人を馬鹿にしたときに使われます。つまり、どてかぼちゃと同じように、悪口として使われる言葉です。
由来
おたんこなすの由来も諸説あります。一つ目は、小さく「御短小(おたんこ)」な茄子ということで、「できそこないの茄子」から「できそこない」という説があります。二つ目は「炭鉱の茄子」という説です。炭鉱付近の茄子は灰をかぶってしまい売り物にならないことから使い物にならない人を「おたんこなす」と悪口として使ったそうです。
どちらの説でも「できそこないで使い物にならない茄子」という共通した使い方になっています。しかし、なぜ茄子が使われているのでしょうか。悪口をストレートに言うと角が立ちますが、みんながよく知っている野菜を使った言葉に置き換えることで、表現が和らぐという利点があるようです。
「どてかぼちゃ」と「おたんこなす」の違いは?
「どてかぼちゃ」も「おたんこなす」も、どちらも相手を馬鹿にして悪口を言うときに使う言葉です。その違いは、「どてかぼちゃ」の方が、「役に立たない」とはっきりと相手に対して強く悪口を言う場合に使います。一方「おたんこなす」の方は、「まぬけ」や「のろま」まど、少しだけソフトな使い方になります。
おたんこなすの語源と類語
次に、おたんこなすの語源と類語について調べました。日本でも方言としてよく使われている地域もあるようです。おもしろい使い方も知ると、日本語の理解も広がります。
語源
「おたんこなす」の語源は「おたんちん」と言われています。江戸の遊郭で遊女達が嫌な客のことを「おたんちん」と呼んでいたそうです。つまり、「御短ちん」を小さな茄子として「おたんこなす」という言葉が生まれたそうです。今では「間抜けな人」や「ぼんやりしている人」に使われていますが、語源としては男性に対して言う言葉でした。
どの説も「茄子」が注目されてます。野菜にいいイメージも悪いイメージもないのに、なぜ茄子を悪口に使うのでしょう。悪口を直接表現すると角が立ちます。それを耳障りよくするために、「みんなが知っているオーソドックスな野菜」で置き換えているのです。
類語
おたんこなすと同じ意味で使われる言葉には、馬鹿者・馬鹿野郎・あんぽんたん・与太郎などがあります。全て人を傷つける言葉なので、あまり日常的には使いたくない言葉です。一方、同じ意味の「おたんこなす」と言われると、少しかわいい響きになります。
みんなが知っている野菜を使った言葉は、オブラートに包んだ表現として、日本人の奥ゆかしさとも言えます。
おたんこなすと少し違いますが、「ぼけなす」という言葉もあります。ぼんやりした人やとぼけた人に使う言葉です。環境が良すぎて繁殖しない茄子の特徴を、呆けるくらい「なにもできない人」として使っています。
地域の言葉?
おたんこなすは日本全国使われている標準語でしょうか?それとも方言として使われている地域があるか調べてみました。
宇和島では、「おたんこなす」は「馬鹿者」に対する言葉として使われています。また「おたんちん」もほぼ同じ言葉の意味として使われています。おたんちんは、江戸の遊女だけではなく、現在も宇和島で使われ、宇和島では方言として使われています。
また長野県の松本や宮崎、愛知など日本各地でも「おたんこなす」は方言として使われています。一方、「おたんちん」は江戸の遊女が使っていたことから、東京や千葉などが発祥という説もあります。しかし、日本中に「おたんこなす」という言葉は広まっています。
どてかぼちゃの使い方
「どてかぼちゃ」や「おたんこなす」など、野菜を使った言葉の意味や由来、語源などを調べましたが、実際にどてかぼちゃの使い方についてまとめました。
良い表現には使われない
どてかぼちゃはおたんこなすと同じように、悪口を言うときに使う言葉ですので、良い表現には使われない言葉です。そのため、公的にはあまり耳にしないかもしれませんが、個人的な会話では使うこともあります。
また、有名な絵本のノンタンシリーズ「ノンタンの誕生日」では「どてかぼちゃ」という表現が使われています。「くまさんのどてかぼちゃ!」とノンタンが怒ります。つまり、「くまさんの『役立たず』!」と直接に言って怒ると、かなりキツイことを言っています。
しかし、「どてかぼちゃ」と表現することで、知っているかぼちゃを想像することでオブラートに包まれ、子ども向けの絵本でも使いやすい言葉になります。
どてかぼちゃの歌がある
良い表現には使われない「どてかぼちゃ」ですが、実はどてかぼちゃの歌があります。長野・山梨のわらべ歌として有名で、今でも親子で遊びながら歌い継がれています。「おらうちの どてかぼちゃ 日に焼けて 食われない」という短い歌です。元々、男の子が女の子をからかうわらべ歌だったそうです。
女の子がままごとなどをしているときに、男の子たちがこの歌を歌ってからかったそうです。土手で育ったかぼちゃは食べられないから、役に立たないとかなり高度なたとえ歌です。
また、赤ちゃんのあやし歌として歌っていたこともあるそうです。どてかぼちゃのように役に立たなくても、我が子は愛おしいと愛情を込めて歌っています。わらべうたは生活の中で生まれたもので、歌に深い意味があります。
どてかぼちゃは悪口だった!
実はどてかぼちゃは悪口だった!つまり、どてかぼちゃやおたんこなすは、みんながよく知っている野菜のかぼちゃや茄子を使った遠回しな表現ですが、実は相手を傷つける悪口です。遠回しに言ったとしても、悪口は悪口なので、本来はどんな場合も使わないように注意してください。
かぼちゃや茄子が、悪口を少しオブラートに包んではくれますが、意味を知っている人が聞けば、大変怒ってしまいかねない言葉です。悪口は周りを委縮させ、周囲を暗くしてしまいます。周りが明るくなるような言葉を選んで使うように心掛けましょう。