藻塩と普通の塩の違いとは?使い方や味/成分も紹介!
藻塩という塩を知っていますか?藻塩の名が示すとおり、海藻を使って作られた塩だというのです。藻塩はその作り方を裏付けるように、うっすらと茶色く色付いていることが多いのが特徴です。ではこの藻塩は普通の塩と比べて、味や成分にも違いがあるのでしょうか。藻塩と普通の塩にどんな違いがあるのかから、その違いがもたらす効果効能を始め、藻塩のおすすめの使い方やレシピも紹介します。
藻塩って何?普通の塩とどう違う?
藻塩というのは一体どんな塩のことをいうのでしょうか。最近ではスーパーでもさまざまな国のさまざまな塩が売られていますが、この藻塩という塩は普通の塩と何か違いがあるのでしょうか。まずは藻塩がどんな塩なのかから見ていってみましょう。
藻塩とは?
藻塩とは日本固有の塩で、以前は玉藻とも呼ばれていたホンダワラなどの海藻から作られる塩です。玉藻が原料の塩なので、「藻塩」と呼ばれるようになったようです。藻塩とは定義として「海水に海藻を浸して作られた塩のこと」、もしくは「海藻抽出物や海藻を浸した海水から取ったにがりを加えた塩」とされています。藻塩を一言で言えば「海藻から採れる塩」となるのです。
藻塩は復活した塩でもある
藻塩はすでに古墳時代には日本各地で作られていたといいます。ですがその作り方が記録に残っていなかったこと、1000年以上前にいつの間にか消えてしまっていたことなどから、その存在すら忘れられた塩になっていたのです。そんな藻塩が再び知られるようになったのは、1984年に広島で見つかった製塩土器がきっかけでした。見つかった製塩土器を使ってどのように塩が作られていたのか、長い研究が始まったのです。
藻塩の作り方が文献に残されていなかったため、藻塩の作り方はなかなかわかりませんでした。そんな中、万葉集にいくつか塩に関する和歌が残っており、その歌の中に「藻塩」という言葉が出てくることがわかったのです。そして「朝凪に玉藻かりつつ夕凪に藻塩焼きつつ」という歌のおかげで、かつて玉藻と呼ばれたホンダワラに行き着くことができ、藻塩の作り方を復活させることができたのです。
藻塩の作り方
藻塩の作り方は、ろ過して不純物を取り除いた海水を濃縮させ、そこに乾燥させたホンダワラ(地域によって違う海藻を使うこともあり)を何度も繰り返し浸します。ホンダワラを繰り返し浸すことにより、海水にはホンダワラの成分がたっぷりと抽出されます。そうしてできた濃縮液を、アクを取り除きながら6時間~8時間煮詰めていくことで、塩の結晶が出来上がってくるのです。
できた塩の結晶は、今度は乾燥の工程に入ります。できた塩の結晶を遠心分離機にかけて、余計な水分を飛ばします。このときににがりの成分が全て飛んでしまわないように、あえて残す程度に脱水するのです。遠心分離機である程度まで水分を飛ばしたら、今度は焼き釜で焦げないように気をつけながら、さらさらの状態になるまでじっくりと焼いていきます。藻塩はこれほど手をかけて作られているのです。
味は?
藻塩には海藻の旨味がたっぷりと溶け出しているため、普通の塩と違い尖った塩辛さはありません。海藻の旨味やまろやかさが感じられるだけでなく、とても柔らかい口当たりをしています。藻塩ならではの旨味やまろやかさは、調味料にこだわるプロの料理人にもこだわる人がいるくらい、普通の塩にはない藻塩ならではの味があるのです。
普通の塩との違い
藻塩と普通の塩との一番の違いは、その作り方にあります。普通の塩は海水を熱して水分を蒸発させて作ります。普通の塩には藻塩のように他のものの成分も含まれていないため色は白く、塩分濃度も高いことから味も尖った塩そのものの味をしているのです。
藻塩の特徴は?
藻塩の一番の特徴はその製法にありますが、海藻を使う製法由来の特徴も数多くあります。藻塩ならではの特徴を、その成分や色、藻塩ならではの効果効能の観点からまとめてみました。
藻塩に含まれる成分
藻塩は海水に海藻を漬け込んで作るため、海藻と海水の両方の栄養成分をたっぷりと含んでいます。塩のひとつだけあって特に多いのは塩分ですが、負けずに多いのが海藻由来でもあるヨード分です。このほかにもカルシウムやマグネシウム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛など、多数のミネラルを豊富に含んでいます。これらの豊富なミネラルが、藻塩のまろやかな味わいを作り出しているのです。
成分と色との関係
藻塩は含まれるミネラル分の含有量によって、色も白っぽいものから濃い茶色や緑色、黒色のものまでさまざまな色をしています。そのため一般的に塩は0kcalですが、藻塩は商品によってそのカロリー量も違います。気を付けたいのは色が濃いものが良品とは限らない、という点です。あくまで含まれるミネラル量のバランスによるものなので、成分表を元に好みの藻塩を購入すると良いでしょう。
藻塩の効果
藻塩はミネラル分が豊富な反面、塩分は普通の塩よりも低いのが特徴です。そのため普段使っている塩を藻塩に変えるだけで、塩分を減らす効果が期待できます。さらに藻塩にはさまざまな種類のミネラルが豊富に含まれています。普段気を付けていてもなかなか摂りにくい微量ミネラルも、藻塩でなら簡単に補うことができます。ミネラルを補うことで健康維持はもちろん、抵抗力をつける効果も期待できるのです。
藻塩のおすすめの使い方
藻塩のことがわかったところで、早速いろいろな使い方を試してみましょう。藻塩は塩なので、そのまま普段使っている塩を藻塩に交換するだけで大丈夫です。藻塩のおすすめのさまざまな使い方を紹介していきます。
料理の味付けに使う
藻塩は塩なので、やはり使い方の代表格は料理の味付けでしょう。普段の塩を藻塩に変えるだけでも、料理の味に旨味と深みが加わって美味しくなる効果があります。味の濃いものが好きだけど減塩もしたいという人は、旨味が増すだけで減塩しても美味しく感じることができます。普段の塩を藻塩に変えるだけで、減塩しつついつものレシピの料理が本格的な味に変わるのも、藻塩の優れた効果のひとつなのです。
すし飯に使う
藻塩の料理の使い方として、すし飯を炊くときに入れる出し昆布をあえて入れずに普通に炊いて、炊き上がったご飯に藻塩で作ったすし酢を入れれば、いつもよりも簡単なレシピですし飯を作ることができます。これも藻塩に海藻の旨味がたっぷり含まれているからこその効果です。自宅で手作りすしを楽しむときに、ぜひこのお手軽すし飯レシピを試してみてください。
料理の見た目アップに使う
藻塩は元から色が付いているため、化粧塩としての使い方も効果的です。化粧塩とは魚を焼くときだけでなく、焼き鳥や焼肉などさまざまな料理で仕上げに振りかける塩のことです。化粧塩で大切なのは塩味を足して味を調節するということもありますが、料理をより魅力的に引き立てることも含まれます。藻塩には色の濃さや色合いにもさまざまな種類があるため、レシピに合わせて複数の銘柄を使い分けるのもおすすめです。
うま味調味料として使う
藻塩は使う量さえ間違えなければ、旨味調味料としての使い方もおすすめです。通常の旨味調味料と言えば、何かしらの添加物が含まれているため、健康被害も考えられます。ですが藻塩は天然の塩なので、化学調味料のような危険性が非常に低いのです。海藻由来の深いコクと旨味で、どんなレシピで使っても料理の味を引き立ててくれることでしょう。
スイーツに使う
藻塩は最近流行りの塩を使ったスイーツにも向いています。元々スイーツは甘味を引き立てるために塩を足すことが多いですが、塩味をあえて感じさせるスイーツに藻塩を使っても、味にまとまりが出るのでおすすめです。普通の塩と違い風味がまろやかなので、感じられる塩味も自然な風味として仕上がります。
食用以外にも使える!
藻塩は海のミネラルだけでなく、海藻の成分もたっぷりと含んでいるため、スキンケアに使っても大活躍してくれます。トリートメントとして髪に使えば、頭皮も含めハリとツヤ、潤いが出るだけでなく、バスソルトとして使っても身体の芯から温まり、美肌効果も期待できます。身体の気になる部分に藻塩をすり込んでマッサージすれば、老廃物を取り除き疲れの改善やスキンケアにもより効果を発揮してくれることでしょう。
藻塩のおすすめレシピ
藻塩の効果効能だけでなく、さまざまな使い方があるのはわかりました。ですがやっぱり藻塩の基本的な使い方は、料理の味付け・旨味出しとしての使い方です。藻塩を使ったおすすめレシピをいくつか紹介していきます。
簡単で美味しい「イカのお刺身の藻塩とオリーブオイルがけ」
- A・イカの刺身1人前一パック
- B・オリーブオイル大さじ2
- B・藻塩ひとつまみ
- B・レモン汁小さじ1
- B・にんにくチップ(あれば)適量
- B・大葉(お好みで)適量
- Bのにんにくチップを先にみじん切りにしてから、低温の油で焦げないようにキツネ色になるまで、フライパンで炒めておきます。
- Aのイカの刺身をお皿に盛り付けたら、Bのオリーブオイルを回しかけます。
- 次にBのレモン汁をかけたら藻塩を少し振りかけ、お好みでにんにくチップや大葉を刻んだものを乗せてできあがりです。
このレシピの注意点は、レモン汁で酸味の利いた味が出るので、藻塩をかけすぎるとくどくなってしまう点です。最初はほんの少しだけかけて、分量を調節していくのがおすすめです。
甘酒で作る藻塩を使った「スイートポテト」
砂糖の代わりに玄米甘酒を使ったスイートポテトです。ただの砂糖よりも甘酒の健康効果も取り入れられるおすすめレシピです。今回のレシピで8個分作れます。
- A・さつまいも450g
- B・玄米甘酒大さじ2
- B・藻塩適量
- B・バター50g
- Aの好きな種類のさつまいもの皮をむいたら輪切りにし、水っぽくならないよう注意しながらほっこりと茹で上げます。
- さつまいもにおはしがすっと通るようになるまで茹で上がったらボールに上げて、Bの材料を入れて混ぜ合わせながらつぶしていきます。
- AとBが良く混ざったらラップに乗せて、巾着にしたらできあがりです。
藻塩を料理や生活に取り入れよう!
藻塩は日本の伝統的な塩です。その健康効果や味の良さでも他の塩にはないものをたくさん持っています。普段の生活にもっと藻塩を取り入れて、藻塩ならではの味わいや健康効果を、普段の生活の中で楽しんでみてはいかがでしょうか。