押し麦ともち麦の違いを解説!ダイエット・美容にいい麦はどれ?
押し麦やもち麦は、白米に比べて栄養価が優れているとよく言われます。白米のごはんを麦ごはんに置き換えると健康にいいとは聞きますが、大麦には糖質がどのくらい含まれているかも気になります。また、味や食感にはどのような違いがあるのでしょうか?今回は押し麦ともち麦の特徴や違いを紹介して、どの麦が健康やダイエット・美容にいいのか考えてみます。ぜひ参考にしてみてください。
押し麦とは?
大麦と小麦の違い
大麦と小麦はどのような違いがあるのでしょうか?どちらも同じイネ科の植物です。大麦は幼植物の頃は小麦よりも大きく見えることから、大麦という名前がついたと言われています。実の大きさにはほとんど違いがありません。
大麦と小麦では含まれているたんぱく質に違いがあるので、用途にも違いが出てきます。小麦のたんぱく質はグルテン。粘り気があり、パンをふんわりと膨らませ、麺にはコシを出します。一方、大麦のたんぱく質はホルデイン。粘り気はありませんが、大麦は小麦に比べ吸水性があるのが特徴です。そのため、白米と一緒に大麦を混ぜて炊くと、ふっくらとした食感の麦ごはんになります。
品種
米にうるち米ともち米があるように、大麦にも粘りが少ないうるち性と粘りが強いもち性があります。もち麦はもち性の大麦で、押し麦はうるち性の大麦と理解するとわかりやすいです。
製法と加工
大麦は品種によってうるち性ともち性に分類されることがわかりました。一方、加工の仕方によって押し麦、丸麦、米粒麦に分類することができます。押し麦に加工されることが多いのは、うるち性の大麦です。完全に外皮を取り除いて、蒸したうるち性大麦を押しつぶして作られます。そうすることによって吸水性が高まるので、米といっしょに炊飯するとふっくらとした食感に仕上がります。
見た目の特徴
押し麦は上の写真のように、蒸したあとにローラーで押しつぶされた平らな形状をしています。平らにすることにより、水を吸収しやすい形になります。米といっしょに炊いても気にならない食感と味わいに仕上がります。粒の真ん中に見える黒い線が特徴です。
もち麦とは?
品種
大麦はうるち性ともち性に分類され、さらに二条と六条に分類されます。六条麦茶という言葉を聞いたことがあるかもしれません。六条は大麦は麦ごはんや麦茶に使われます。それに対して、二条大麦はビールや焼酎を作る時の原料となっています。
製法と加工
もち麦はもち性の大麦を精麦したものです。押し麦のようにローラーで押して平らにする工程はありません。精麦の度合いについては、食感や味わいを生かすように各メーカーがそれぞれ調整をしています。外皮を少しだけ残したもち麦もあれば、多く残したもち麦もあります。
見た目の特徴
もち麦の見た目については、精麦の仕方によって違ってきます。外皮を多く残した場合は色が濃くなりますし、味わいも違ってきます。
押し麦ともち麦の味と食感の違い
押し麦ではうるち性の麦が使われているので、粘りが少なくプチプチの食感が特徴です。それに対して、もち麦はもち性なので粘りがありモチモチした食感が特徴です。押し麦ももち麦も様々な料理に使いやすく、味については美味しいという声が多く聞かれます。ネット上では、押し麦やもち麦を使ったメニューでちょっとおしゃれにダイエットしている情報も見られます。昔の麦ごはんのイメージとはまったく違います。
押し麦ともち麦の栄養価の差
押し麦ともち麦どちらにも含まれるビタミン類
大麦にはビタミンB群・ビタミンEなど、美容や健康に欠かせない栄養素がたっぷり含まれています。押し麦であってももち麦であっても、これらの栄養素を摂取することができます。
昔は麦ごはんというと貧しい食事のイメージでした。麦ごはんのかわりに白米を食べるようになって、ビタミン不足による病気が増えたと言われた時期もありました。毎日のご飯に押し麦やもち麦を加えて炊くことは、簡単で続けやすい健康法と言えます。
もち麦の外皮に含まれるβ-グルカン
もち麦にはうるち性の大麦よりも食物繊維・β-グルカンが多く、その健康効果と人気ぶりがテレビで取り上げられることがあります。お値段については押し麦よりもち麦の方が少し上がりますが、食物繊維を効率よく摂取したいという方にはもち麦がオススメです。
大麦のβ-グルカンは、穀粒の中心部分(胚乳)にたくさん含まれています。そのため精麦しても栄養価を損うことがないという点が、大麦の優れた特徴です。その他に大麦では外皮にもβ-グルカンを多く含んでいます。押し麦の場合は外皮を完全に取り除いてしまいますが、もち麦の場合は外皮の一部を残しておくのが一般的です。そのため、押し麦よりもち麦の方がβ-グルカンを多く含んでいるのです。
もし押し麦ともち麦を同じように精麦するのであれば、栄養の違いはそれほどないと言われています。加工の課程で外皮を残したかどうかがポイントです。どのくらい外皮を残すかは各メーカーで違いがありますので、含まれる栄養や味わいにもそれぞれ違いが出てきます。
β-グルカンとは?
β-グルカンとは食物繊維のひとつです。食物繊維には水に溶ける水溶性タイプと水に溶けにくい不溶性タイプの2種類があって、それぞれが異なる働きをしています。野菜にはたくさんの食物繊維が含まれていますが、ほとんどは水に溶けにくいタイプ。大麦には他の食材では摂取しにくい水溶性食物繊維のβ-グルカンがたっぷり含まれているという違いがあります。
糖質が多いのはどっち?
美容や健康に気をつかっている人なら、糖質についても気になることでしょう。メーカーによる含有量の違いがありますが、一般的には押し麦よりもち麦の方が少しだけ糖質が少ないようです。上の写真の例では、押し麦が糖質69.1gに対して、もち麦が糖質65.2gとなっています。ただ白米の場合は糖質76.6gですので、押し麦が特に糖質が高いというほどではありません。
押し麦ともち麦の栄養素とダイエット効果
便秘改善
食物繊維には、便秘を改善したり腸の働きを整えたりする働きがあることがわかっています。大麦には不溶性と水溶性の2種類の食物繊維がバランスよく含まれています。特に水溶性食物繊維である「β-グルカン」が、排便を促進します。便のカサを増して、腸のぜん動運動を活発にしてくれます。
β-グルカンは押し麦よりもち麦の方が多く含まれています。そのため便秘を改善したい人にはもち麦がおすすめと言えます。
血糖値の上昇を抑える
大麦は血糖値の上昇を抑える効果があると言われています。では、なぜ血糖値を急上昇させてはいけないのでしょうか?食事をすると血糖値が高くなり、インスリンが分泌されます。インスリンは血液中の糖をエネルギーとして消費させます。ところが、血糖値が急上昇した場合は、消費しきれなかった余分な糖が脂肪として蓄積するので肥満につながります。
β-グルカンの働きにより、大麦は胃から腸へゆっくり移動します。消化吸収に時間がかかるので、血糖値の急上昇を防ぐことができます。大麦を食べると、肥満予防だけでなく糖尿病予防にも役立ちます。上の図のように、血糖上昇について考える時も押し麦よりもち麦が優れていると言えます。
コレステロール値の改善
大麦に含まれるβ-グルカンには、血中のコレステロールを下げる作用もあります。β-グルカンは、小腸でコレステロールや、コレステロールを原料に作られる胆汁酸と結びつきます。そうすることによって、コレステロールの吸収を妨げて、体の外に排泄させる働きをしています。
上の図のように、白米を食べた人と麦ごはんを食べた人では総コレステロールに違いが出てきます。高コレステロールに悩む方は、押し麦より多くのβ-グルカンが含まれているもち麦を毎日の食事に取り入れてみましょう。
内臓脂肪の低減
大麦が内臓脂肪の低減に役立っていることは、科学的にも実証されています。高コレステロール血症の日本人男性に、白米を高β-グルカン大麦に置き換えた食事を12週間摂ってもらうという調査がありました。その結果、LDLコレステロールだけでなく内臓脂肪面積も減少させることがわかりました。
大麦は胃や腸の中でゆっくり消化されるため、満腹感が持続します。腹持ちのよい麦ごはんを食べると、1日の摂取カロリーを抑えることにつながります。特に朝食に麦ごはんを食べるのがおすすめ!β-グルカンがたっぷり含まれたもち麦は、内臓脂肪を減らす効果も期待できます。
美肌・美容効果
先ほど、大麦には食後の血糖値急上昇を防ぐ働きがあることをお話ししました。このことは美肌・美容効果について考える時にも大切なポイントとなっています。
食事のあとで血糖値が急上昇すると、処理しきれずに余った糖は脂肪に変わって蓄積されます。一方で、コラーゲンなどの体内のたんぱく質と結びつく「糖化」も起きているのです。この糖化で生じた糖化最終生成物(AGEs)こそが、肌のたるみ、シワ、くすみができる最大の原因だと考えられています。大麦は美容に関心が高い人にも見逃せない食材です。
また、大麦はダイエットにも効果的です。ダイエットで大切なことのひとつは、カロリーコントロール。腹持ちのよい大麦を加えたごはんなら、1日に食べる量を減らせます。毎日の白米に押し麦やもち麦を加えるだけなら、ダイエットを続けやすいという点もポイント。続けることによって、違いが出てきます。血糖値急上昇を防ぐためにはもち麦の方が効果的ですので、美容に関心の高い方にもおすすめはもち麦です。
押し麦より効果の高いもち麦で麦ごはんを作ろう!
今回は押し麦ともち麦の違いについて紹介しました。いかがでしたでしょうか?もちろん、どちらも栄養価に優れた食品ですが、もち麦は外皮を残しているという違いがあります。β-グルカンが多く含んでいるという違いがあるため、健康や美容のためにはもち麦の方が効果が高いことがわかりました。ぜひ、もち麦を毎日の食事に取り入れてみましょう。