節分のいわしにどんな意味がある?地域別の風習・飾り方など【柊鰯】
節分にいわしを飾ったり、食べたりする風習があるのを知っていますか?節分には豆まきや恵方巻きを食べても、いわしを用いたことがないという方も多いと思います。実は節分に食べるいわしや、柊の枝にいわしを刺して門に飾る柊いわしには知られざる意味が込められていました。今回は柊いわしの由来や飾り方、地域ごとの違いについて解説していきます。日本古来から受け継がれてきたいわしの風習を知ればご利益があるかもしれません。2019年の節分はいわしを用いてみましょう!
節分に柊いわしの意味が知りたい!
いわしを食べる由来
節分といえば、豆まきに恵方巻きが定番ですが、柊いわしを門に飾るという風習があるのを知っていますか?節分に行う柊いわしとは日本古来から地域ごとに行われてきた風習です。また、節分の日にいわしを食べるという地域もあります。どうして節分にいわしがつきものなのか、その由来を詳しく見ていきましょう。
節分の日にいわしを食べるようになった由来はいわしの語源にあります。いわしの語源は弱し、卑しという意味があり、漢字を見てもいわしは魚編に弱いと書いて鰯となっています。また、いわしには独特の臭いがあることから、弱くて卑しく、臭いがあるいわしを食べることは、陰の気を消すという意味があるそうです。また、節分は季節を分けるという漢字を意味することからわかるように、冬の最後の日で旧暦の大晦日にあたる日です。
新しい年を迎えるにあたって、いわしを食べることで魔除けをする、という意味でいわしを食べるようになったというわけです。いわしは臭いとともに、その煙も魔除けに有効です。節分にいわしを食べるときの調理法は、煮魚や揚げ物ではなく、必ず焼いて食べるようにしましょう。
いわしを柊の小枝飾る意味は?
節分にはいわしを食べるだけでなく、地域によって家の門に柊いわしを飾る風習があり、柊いわしと呼ばれています。柊の小枝と焼いたいわしの頭を飾っているのをはじめて見た方は、びっくりすると思います。柊いわしを門に飾るようになった由来ですが、昔の人は病魔などの悪い気は、鬼が持ってくるもの、と信じていたことから来ています。鬼は臭いのきついものやとがったものを嫌います。
柊のとげが目に刺さり、いわしの臭いがする家には鬼が入ってこられない、ということから、柊いわしは魔除けの意味で飾られるようになりました。これは「門守」と行って、魔物や災難を避けるおまじないのひとつとして、日本古来から行われてきました。柊鰯の歴史を見てみるとなんと平安時代までさかのぼり、土佐日記には柊の小枝に焼いたいわしの頭を刺して作った柊いわしの記述が出てきます。
柊いわしは平安時代に飾られていた風習に由来します。正月の門口に飾られていた当時はしめ縄に柊の枝とボラの頭を刺していましたが、いつの間にかボラの頭から手に入りやすいいわしの頭に変わったようです。柊いわしを門に飾る風習は江戸時代に一気に広まり、一般的になりました。
どの地域の風習?
柊いわしは日本全国どの地域でも行われているわけではありません。主に柊いわしを門に飾る風習がある地域は、関西地方、福島から東京にかけての東北地方一帯、関東の一部地方です。特に関西地方中でも奈良県は柊いわしの風習が盛んで、奈良県に受け継がれている和歌山県熊野の山中に住む一本だたらという一つ目、一本足の妖怪から家を守るために行っているということで、今も奈良県の多くの家で柊いわしが飾られています。
節分の柊いわしの地域ごとの飾り方や風習
関西が発祥で門に飾る?
柊いわしの風習は全国的ではなく、一部地域で行われていることは前述のとおりですが、その飾り方にも地域ごとに違いが見られます。柊いわしの発祥の地と言われている関西地方の飾り方は、鬼が外から入ってこないように玄関の門に飾るのが一般的です。焼いたいわしの頭を柊の枝に刺して固定し、柊いわしの由来である魔除けの意味を込めて、鬼が逃げ出すように門に飾られます。
奈良県では?
全国的にも柊いわしの風習が根強く残っている奈良県では、どのような飾り方なのでしょうか?奈良県では一本だたらの侵入を防ぐため、柊いわしを門に飾るのですが、トゲのある柊の小枝にいわしの頭を刺す地域といわしの頭ではなくしっぽを使う地域があり、2種類の飾り方が用いられます。地域ごとに飾り方が違うので、旅行の際などに違いを見てみるのも楽しそうです。
名古屋市では?
柊いわしの飾り方で、ユニークなのは名古屋市です。こちらの地域では柊いわしを丸ごと袋に入れて飾られます。猫などの動物からいわしを守るために始まったとされていますが、その由来は定かではありません。
埼玉県の南区文蔵では?
埼玉県の南区紋蔵地区で、柊いわしの飾り方を見てみると柊いわしと一緒に家内安全の御札が飾られています。魔除けの由来を持つ柊いわしと一緒に、家内安全の願いを込めて柊いわしが飾られているようです。
節分の柊いわしを飾る期間は?
いつごろから飾る?
ここからは、柊いわしを飾るにあたってどのような飾り方をしたらよいかを説明します。お正月のしめ縄などの飾り物は「一夜飾り」は良くないものとして嫌われますが、節分の柊いわしは節分当日夕方に飾るのが一般的です。ただ柊いわしを飾る日にちについては地域差が見られ、小正月の翌日である1月15日から飾るという地域もあります。
いつごろに片付ける?
節分の柊いわしをいつ外すのか、ということですが、こちらも地域によって大きく異なっています。一般的には節分の日の夕暮れから飾り、次の日の日中に外すという地域が多いようですが、2月いっぱいまで飾っておく、次の年の節分の日まで飾っておくという地域もあります。住んでいる地域の習って片付けるのがよさそうです。
どう処分すればいい?
節分に柊いわしを門に飾って外したあと、どのように処分したらよいか悩んでしまいます。柊いわしの処分方法についても地域で違いがあり、灰になるまで焼いてから玄関前に盛る、玄関先に埋める、塩で清めてから半紙に包んで捨てる、神社でお焚き上げをしてもらう、とさまざまです。神社に持って行って埋める、などは手間も時間もかかってしまうので、難しい場合は紙でくるんで塩で清めてから処分するのがよさそうです。
節分の柊いわし以外の風習
豆まき
節分の日に飾る柊いわしの風習について見てきましたが、節分の他の風習についても紹介しましょう。節分の一大イベントといえば、豆まきが有名です。昔から季節の変わり目には邪気が入りやすいと考えられていたことから、新しい季節が来る前に邪気を払って幸福を呼び込むために豆まきが行われました。
実は豆まきの「鬼は外、福は内」という掛け声にも意味があります。鬼に由来する陰は目に見えない邪気や悪い気を意味し、昔は災害や病、飢餓などの悪い出来事は全て陰、つまり鬼の仕業と信じられていました。そこで穀霊が宿り、魔の目を意味する豆をぶつけて鬼を退治するために豆まきが行われるようになりました。
豆まきは真夜中にやって来ると言われる鬼を退治するために節分の日の夜に行います。家族が揃ったら玄関や窓を開けて「鬼は外」と言いながら外に向かって豆をまきましょう。あとは鬼が戻ってこないようにすぐに玄関やまどを閉め、家の中に「福は内」と言いながら豆まきを行えばOKです。豆まきが終わったら厄払いを願いながら自分の年齢よりもひとつ多い数の豆を食べれば、豆まきの完了です。
恵方巻き
節分の日につきものの食べ物、恵方巻きですが、恵方巻きという名前が広まったのは割と最近のことです。江戸時代の終わり頃に大阪の商人の間や、花柳界で行われていた縁起を担いで巻き寿司を吉方に向かって食べるいう風習を受け、1980年代にコンビニが節分の販促商品として恵方巻きという名前で巻き寿司を売り出し、全国的に広がったとされています。
2019年の恵方は東北東です。節分の日に歳徳神さまのいる恵方をしっかりと向いて、お願い事を心の中に浮かべながら最後まで黙って恵方巻きを食べきります。ちなみに恵方巻きはお寿司に巻き込んだ幸福を一気に体に収めるということから切るのは厳禁です。喋らず黙って丸ごと一気に食べるとその年も幸せに過ごせそうです。
ちょっと変わった地域の風習
柊いわしが地域ごとに違ったやり方で行われていたように、節分の風習も地域ごとに違いが見られます。節分の風習を見てみると北海道や東北、信越地方などでは豆まきならぬ落花生まきが行われています。雪の多い地域で雪の中にまいたあとに拾いやすいよう、落花生をまくようになったそうです。
出典: https://tenki.jp
また、渡辺さんという苗字の方は豆撒きをしなくても良いという地域もあります。平安時代に最強の鬼と言われた鬼、酒呑童子を退治した渡辺綱を鬼が恐るようになり、渡辺性の子孫に近づかなくなったからという理由だそうです。近くに渡辺さんという苗字の方がいたら教えてあげてください。
節分の柊いわしの意味を知って厄除け祈願をしよう!
節分の日に行う柊いわしについて紹介してきました。今まで知らなかった由来を知ることで、ご利益が深まりそうです。今年の節分は魔除けと福を呼び込む気持ちを込めて、柊いわしを飾ってみてはいかがでしょうか?