ふぐで食べられる種類はどれくらい?市場価格やふぐ料理も紹介!
ふぐは美味しい魚として有名ですが、食用できるふぐはどのくらい種類があるのでしょうか?また、ふぐは色々な料理で食べられていますが、どの部位も残さず食べることができるのでしょうか?ここでは、食べられるふぐの種類や部位について詳しく紹介します。さらに、高級品であるふぐの価格やちょっと心配なふぐの毒についても調査しています。ふぐに関する知識を深めて、美味しくふぐ料理を食べてみましょう。
ふぐの種類は意外に多い!
ふぐは日本で古くから親しまれてきた魚の1つです。ふぐ料理は専門店や和食店で食べることができますが、どんな種類のふぐがあるのか分からない人も多いのではないでしょうか?ふぐは世界に100種類、日本の近海おいては約50もの種類があるとされています。
ふぐ料理はふぐの部位や調理法によって、それぞれ異なる美味しさを味わうことができる魅力があります。ふぐは「福」という言葉と似た名前であるため縁起の良い食べ物としても親しまれ、お祝いの席で食されることもあるようです。
今回は、日本で古くから親しまれ美味しいと言われる食用ふぐの種類について詳しく紹介します。食用できるふぐの旬や味わい、価格などについてまとめています。代表的なふぐ料理についても紹介しますので、ぜひ美味しいふぐの魅力をチェックしてみましょう。
ふぐはなぜ美味しいと愛されるのか?
ふぐは日本で古くから親しまれてきた魚の種類です。魚は主に赤身の魚と白身の魚に分けられますが、ふぐは代表的な白身魚の1つです。白身魚というと他にもたくさんの魚の種類がありますが、ふぐはなぜ美味しいと愛され続けているのでしょうか?
代表的な白身魚であるふぐは、普通の白身魚よりもたんぱく質が豊富に含まれています。また、脂肪がとても少ないことも特徴です。皮にはコラーゲンがたっぷりと含まれています。ふぐは高たんぱくで低脂肪な白身魚の中でも、さらに脂質が少なくヘルシーという特徴をもつ魚です。
ふぐの肉質は繊維が豊富なため、弾力が強いという特徴があります。普通の人ではふぐを噛み切ることが大変なので、ふぐの刺身は他の刺身と比べて薄く切られています。ふぐの身には旨みがたっぷりと含まれているので、甘みがあります。歯ごたえのよいふぐは、噛むごとに美味しさを味わうことができます。
ふぐは毒によって食用を禁じられていた時代がある
現在ふぐ料理は専門店や和食店などで食べることができますが、ふぐを食べることを禁止されていた時代もあったようです。ふぐは縄文時代の貝塚から骨が発見されており、古くから食されていたことが分かっています。しかしふぐは毒をもつ魚であるため、ふぐ毒によって命を落とす人もいました。江戸時代にはふぐを食べることを禁止する藩もあったようです。
明治維新後もふぐ毒による中毒が絶えずふぐを食べることを政府が禁止しましたが、伊藤博文の働きかけによりふぐ食が解禁となります。伊藤博文が下関の料亭でふぐ料理を食べ、ふぐの美味しさに感激したことで山口県知事に働きかけ、山口県ではふぐを食べることができるようになったといいます。
それ以降、日本ではふぐ毒の研究が進んだりふぐの食用や販売に関する条例が制定されたりしました。ふぐに関する特別な免許も必要となり、現在では安心してふぐ料理を食べることができるようになっています。海外においては、日本食レストランでの提供や訪日外国人の増加などでふぐ料理の知名度があがり、輸入や流通が解禁されたりふぐ料理を食べられる飲食店も増えているようです。
ふぐの食べられる種類
ふぐの種類は日本近海では約50種類あり、マンボウやカワハギなどのふぐの一種とされるものを含めると100種類以上にもなるようです。その中で食用できると認められている種類は、現在のところ22種類です。
食用として認められている種類のふぐは余すところなくすべて食べられるかというと、そうではありません。ふぐはそれぞれの種類で食べられる部位が異なります。地域によって食用できない部位もあるなど決められています。日本で現在食用と認められているふぐのうち、代表的なふぐの種類を紹介しましょう。どの部分が食べられて、どのような料理になるのかも合わせて紹介します。
ふぐの食べられる種類:トラフグ
「トラフグ」はふぐの王様と呼ばれ、ふぐの中で最も高級で美味しいと言われています。トラフグの身には旨みがギュッと凝縮されており、刺身や鍋など様々な料理で味わうことができます。トラフグは皮や白子も食べることができ、トラフグは白子も極上の美味しさと言われます。トラフグはその他にも、唐揚げやひれ酒として食べることができます。
トラフグは天然ものは高級料理店でしか食べることができませんでしたが、現在では養殖による生産が増えたため一般の料理店でも食べられるようになりました。天然のトラフグの旬は12月~2月になっており、飼育の改良が進んだ養殖のトラフグは一年中食べることができます。
ふぐの食べられる種類:マフグ
トラフグがふぐの王様と呼ばれるのに対し、「マフグ」はふぐの女王と称されています。マフグはトラフグと比べて少し味が劣るため、鍋に用いられることが多いようです。マフグは主に身を食べることができ、鍋の他にも塩焼きや唐揚げ、味噌汁に使われています。
マフグは寒い地方を好む種類で、産地によって「新潟ふぐ」「北海道ふぐ」などとも呼ばれます。マフグは冬に旬を迎えます。トラフグは養殖が多いのに対し、マフグはほとんどが天然物になっています。
ふぐの食べられる種類:サバフグ
「サバフグ」は全国各地でみられるふぐの種類です。サバフグには、ふぐの毒をもっていない珍しい種類のシロサバフグやクロサバフグ、ふぐの毒をもったドクサバフグなどの種類があります。シロサバフグは、下関や北九州では「カナト」と呼ばれています。
サバフグは塩干物やかす漬けなど加工用に使用される種類のふぐです。サバフグは身と皮、白子も食べることができ、調理法は鍋や汁もの、唐揚げ、干物、焼きもの、一夜干しなどにして食べられています。
ふぐの食べられる種類:ショウサイフグ
「ショウサイフグ」は小売店で見かけることはほとんどありませんが、値段が安いため江戸時代には関東で主に食べられていた種類のふぐです。ショウサイフグは身を食べることができ、調理法は鍋や汁もの、焼きもの、唐揚げ、天ぷら、、霜皮造りの刺身、一夜干しなどになっています。
ショウサイフグは秋に数釣りができ、春から初夏には白子が大きくなるため、東京湾や外房などは多くの釣り人でにぎわうようです。ショウサイフグは筋肉にも弱い毒がある種類ですが、過食しなければ中毒の危険は少ないとも言われています。しかし、ほかのふぐとの見分けがつきにくいので、釣りの場合には注意が必要と言われています。
ふぐの食べられる種類:シマフグ
「シマフグ」は比較的値段が安いものが多い種類のふぐで、冬から春にかけて入荷します。シマフグのヒレはすべて鮮やかな黄色をしています。シマフグは身、皮、白子を食べることができ、調理法は鍋や煮つけ、汁もの、唐揚げ、焼き物、一夜干し、焼霜作りの刺身などになっています。
ふぐの食べられる種類:ゴマフグ
「ゴマフグ」は加工に使われることが多い種類のふぐです。ゴマフグは値段は安いですが、やや水っぽいふぐです。ゴマフグの旬は初夏ですが、その時期はふぐの需要がないためあまり市場に出回らないようです。石川県や福井県などの地域では、ゴマフグの毒のある卵巣をぬか漬けに加工していることで知られています。ゴマフグは身もぬか漬けや干物に加工されています。
ふぐの食べられる種類:カラスフグ
「カラスフグ」は、トラフグとよく似ている種類のふぐです。カラスフグは臀ヒレが黒色になっていることでトラフグと区別するようです。姿はトラフグと似ていますが、味はトラフグよりも劣り価格も安くなっています。カラスフグは身、皮、白子の部位を食べることができ、鍋や焼もの、唐揚げなどで食されています。
ふぐ料理も種類豊富で豪華!
食用できるふぐは、現在日本では22種類となっており、それぞれの種類で食用できる部位が異なります。ふぐの食べられる部位は主に身と皮、白子の3ヶ所で、部位によって様々な調理法が使われています。ふぐ料理で楽しめる味や歯ごたえは、部位や料理方法によっても変わります。
ふぐの価格について
ふぐの価格の相場はふぐの刺身一人前で3,000円~数千円ほど、専門店のコース料理の平均は1~3万円ほどになっています。ふぐ料理のコースを食べられる和食店の中には、数千円の価格で食べられるお店もあるようです。また、ふぐの取扱い量が日本一の山口県下関では、ふぐの刺身が1,000円台という驚きの価格で提供しているお店もあるようです。
ふぐは高級な食材としても有名ですが、ふぐは天然ものと養殖とで価格が大きく異なります。養殖のふぐは安定して多くの数を出荷することができますが、天然もののふぐは漁獲量が変動します。そのため、天然のふぐの価格は養殖のふぐより高い価格であり、価格の変動もあるようです。
ふぐのうまみをダイレクトに味わえる「てっさ」
ふぐ料理の王道といえば「ふぐ刺し」と言われています。ふぐ刺しはふぐの刺身のことで、別名「てっさ」とも呼ばれています。ふぐ刺しは、お皿の色や柄が透けてみえるほど薄く切られたふぐの刺身がきれいに盛りつけられ、職人技が光る芸術品ともいわれています。
ふぐ刺しが透けて見えるほど薄作りであるのは、ふぐの肉質が繊維質で弾力があるためです。ふぐ刺しにはポン酢のほか、ネギやもみじおろしなどの薬味、湯引きした後に氷水で冷やし細切りにしたふぐの皮などが添えられています。ふぐ刺しを食べるときは、ふぐの刺身を1枚ではなく数枚を一度につかんでポン酢や薬味と合わせて食べるのが、通の食べ方とされているようです。
さっぱり調味料や薬味と相性ぴったり「ふぐ寿司」
「ふぐ寿司」も、絶品のふぐ料理と言われています。ふぐ料理というと刺身や鍋が一般的ですが、ふぐの握りや巻き寿司など様々なふぐ寿司があります。ポン酢を付けたりネギやもみじおろしなどの薬味を添えて食べるのがおすすめです。
ふぐの出汁まで余すことなく楽しめる「ふぐ鍋」
ふぐ料理の代表的な「ふぐ鍋」は体が温まるので、冬の時期にはぜひ食べたい料理です。ふぐ鍋は、魚の切り身鍋を指す「ちり」という言葉を付けて「ふぐちり」、関西では「てっちり」とも呼ばれています。ふぐ鍋は昆布などでとる出汁にふぐの切り身や骨、野菜などを入れて土鍋で煮込む料理です。付けタレは、一般的にはふぐ刺しと同様にポン酢が用いられています。
ふぐ鍋の汁にはふぐの旨みがたっぷりと溶けだしているので、シメにもぴったりです。鍋の残りを塩などで調味してご飯を入れたふぐ雑炊は、ふぐの旨みや甘みを味わうことができます。
手軽なおつまみはカリふわがたまらない「ふぐの唐揚げ」
「ふぐの唐揚げ」も、ふぐ料理の代表的な料理です。ふぐの皮をむいた切り身で作る唐揚げは、カリっとした衣とふわっとしたふぐの身の相性が抜群です。ふぐの唐揚げはおつまみにも最適なので、お酒と合わせてぜひ食べたい料理です。添えてあるカボスを絞るとさっぱり食べることができます。
炭火で焼いた白子はクリーミーで絶品「焼きふぐ」
「焼きふぐ」は、ふぐのぷりっとした白身や白子を炭火で焼いた料理です。香ばしい香りに包まれた焼きふぐは食欲をそそります。特に、ふぐの白子は焼き上げることで表面はカリっと香ばしくなり、中はふわとろでクリーミーな味わいになります。白子は1月~3月頃のものが一番美味しいと言われているので、白子が美味しい時期にぜひ食べたい料理です。
ひれを熱燗で蒸した贅沢な一杯「ふぐひれ酒」
「ふぐひれ酒」も、ふぐを使ったメニューとして広く知られています。ふぐひれ酒は、ふぐのヒレの部分を干物にして火で炙り、熱燗にした日本酒に入れるお酒のことです。日本酒にふぐの旨みが溶けだしているので、いつもの熱燗とは違う味を楽しむことができます。ふぐひれ酒の他にも、ふぐの白子を入れた「ふぐの白子酒」やふぐの骨を炙ったものを入れた「ふぐの骨酒」などもあります。
ふぐの毒には要注意!
ふぐ毒は摂取するとどうなる?
ふぐの毒として知られているのはテトロドトキシン毒です。この毒を摂取してしまった場合には、主な症状として体の麻痺があらわれ、摂取から24時間以内に亡くなるというケースもあるようです。テトロドトキシン毒の解毒方法は見つかっていないため、体から毒が排出されるのを待つしかないようです。
ふぐの食べられる部位や毒がある部位について
ふぐの毒であるテトロドトキシン毒が含まれている部位は肝臓や卵巣です。かつてはふぐの毒によってなくなる人もおり、ふぐを食べることが禁止された時代もあったようです。
食用ふぐの毒の安全性
現在では、ふぐの毒の研究が進められ安心して食べることができるようになりました。販売用として流通しているふぐは、国が指定する衛生確保基準値によって厳選されています。また、ふぐ料理店ではふぐの調理免許を取得している料理人のみがふぐを調理、提供することを認められています。
ふぐ料理にはふぐの身や皮、内臓の部位を使用しますが、どの種類のふぐもすべての部位を食べられるわけではありません。ふぐは種類により食べられる部位が異なっており、それを理解して調理、提供するふぐ調理免許の資格がなければ扱うことができません。現在は、ふぐ毒に関して安心して食べることができるようになっています。
ふぐは正しい知識を持って色んな種類を味わってみよう!
今回は、食用のふぐの種類やふぐ料理、ふぐ毒について詳しく紹介しました。ふぐには様々な種類があり、種類によって食べられる部位が異なります。高級品として知られるふぐですが、天然ものか養殖か、単品料理かコース料理かによって価格も変わります。ぜひふぐについての知識を楽しい食事に役立ててください。