伊勢海老のさばき方は?味噌汁・刺身など料理に合わせた方法を解説!
お祝い事や年末年始に欠かせない食材のひとつが伊勢海老ですが、大きくて殻の固いイメージがある伊勢海老を家でさばくのは難しい、というイメージがあり、なかなか購入して家でさばく人はいないようです。しかしさばき方のポイントさえわかれば、実は難しいものではありません。家で伊勢海老がさばければメニューの幅も広がります。伊勢海老のさばき方やポイント、代表的な味噌汁や刺身、焼き物など豪華な伊勢海老料理などを紹介します。
目次
伊勢海老のさばき方を覚えて豪華な手料理!
存在感があり、食卓に並ぶだけで豪華な伊勢海老ですが、意外と自宅で調理されることは少ないようです。理由は、さばくのが難しそうということ。しかし、実はポイントさえ抑えていれば伊勢海老の調理は難しくありません。伊勢海老のさばき方を覚えて自宅で豪華な伊勢海老料理を楽しんでみましょう。伊勢海老を食卓に出せば周りの評価もワンランクアップすること間違いなしです。
伊勢海老について知っておこう
だいたい1年を通してデパートなどで見かけることがある伊勢海老ですが、もちろん伊勢海老をもっとも美味しく食べることができる旬があります。高価な伊勢海老ですから、食べるなら美味しい旬の時期にいただきたいもの。まずは伊勢海老のおいしい時期や産地など基本的な事から知っていきましょう。
伊勢海老の産地はどこ?
伊勢海老は主に茨城県・太平洋沿岸から朝鮮半島南部や日本海沿岸の一部に生息しています。そして伊勢海老という名前からイメージされるのは、やはり三重県伊勢市でしょう。しかし、実は伊勢市での伊勢海老の漁獲高は全国2位で、もっとも漁獲高があるのは千葉県で、勝浦市やいすみ市などで多く獲れていて「外房イセエビ」というブランドになっています。
そのほか、伊勢海老が獲れるのが三重県に近い和歌山県で漁獲高は全国3位となっています。実は和歌山の紀南地方は、伊勢と同じく古くから伊勢海老漁が盛んなところで、古くから伊勢海老が食べられてきました。また、静岡県伊豆市や御前崎市、九州の鹿児島県や宮崎県でも獲られています。特に宮崎県は「伊勢海老まつり」を開催するなど日南を代表する味覚のひとつになっています。
伊勢海老の旬は?
5月から9月に産卵期を迎える伊勢海老の漁獲の旬は10月から4月です。この時期は、活発だった夏場とうってかわり、寒さに弱い伊勢海老の活動が静かになり、岩場などに隠れてしまいます。
しかし、漁のメインは秋から冬にかけてです。活発な時期に漁をしてしまうと、産卵ができなくなってしまうことも関係しています。また、伊勢海老は養殖技術が無いため寒い時期にしか捕ることができませんし、県によって違いがありますが、禁漁期もあります。そんな伊勢海老は冬場の海が荒れた時に捕られたものが一番おいしいといわれています。つまり12月から2月ごろまでがもっともおいしい時期ということになります。
伊勢海老はなぜお祝いの席の料理に使われる?
お祝いの席では必ずと言っていいほどメイン料理の一品として出てくる伊勢海老ですが、縁起物として使われるのにはちゃんと意味があります。まず、伊勢海老を覆っている殻。この硬い殻は戦国武将が先手必勝を賭けた甲冑に例えられており、背中が曲がった姿を老人に例え、長寿の象徴とされています。
また、伊勢海老はとっても長生きなのをご存知でしょうか。ほとんどの海老の寿命は2~3年程度ですが、伊勢海老は20年以上も生きることができ、ほかの海老の10倍もの寿命なのです。このことも長寿を意味する縁起物といわれる所以です。つまり、伊勢海老には「必勝祈願」と「健康長寿」の願いや意味がこめられているのです。
伊勢海老の赤い色も縁起物の証
実は赤い色は縁起物の色の象徴です。これはもともと中国から伝わってきた宗教的な考え方で、赤い色は厄払いを意味するといわれています。また神社の鳥居が赤いように魔よけの意味もあるのです。鳥居の色や伊勢湾で捕獲されることもあり、伊勢神宮では神嘗祭では必ず伊勢海老は三尾お供えされています。伊勢海老は体の色にも縁起物としての意味を持っています。
伊勢海老の味噌汁や焼きにする場合のさばき方
伊勢海老は焼きや味噌汁、刺身など料理方法によってさばき方が変わります。まずは豪華に見える焼きや味噌汁でのさばき方を見ていきましょう。味噌汁と焼きのさばき方はほとんど同じなので、やり方さえわかれば料理のアレンジにもきくのでとても便利です。また、このやり方が伊勢海老の基本的なさばき方になります。
伊勢海老を縦割りにしよう
味噌汁や鍋に使うときの伊勢えびのさばき方は同じです。ここでは、包丁でのさばき方はもちろん、調理用のはさみを使った簡単なさばき方も紹介していきます。
まず伊勢海老の胴と頭を切り離しやすくするように、境目に切り目を入れます。そして、ひねるようにして、身を抜き出していきましょう。切り離した頭と胴は、滑らないようタオルなどを敷いて固定、腹を上にして包丁で縦割りにしてください。殻は固いので力が必要です。
調理用はさみを使う場合は、伊勢海老のひげなどで怪我をしないよう軍手などをしてしっかりと伊勢海老を持ちましょう。そして、尻尾側から頭に向けてはさみで縦割りにしていきます。伊勢海老の殻は固いので力が必要です。また、生きている伊勢海老だと動いて難しいのであらかじめ20分ほど氷水にいれ動かなくなるようにすれば大丈夫です。頭の形を残したい場合は、最初に胴と頭を切り離してください。
適当な大きさに切ろう
縦割りにした伊勢海老は殻に身がついたままの状態で、食べやすい大きさに切っていきましょう。見た目を豪華にしたいときは、縦割りにしたままでも大丈夫ですが、食べづらいため、頭はそのままで胴の部分は適度な大きさに切ることをおすすめします。適度な大きさに切るときは身を殻からはずしても大丈夫です。
頭も殻も鍋に入れて水から煮込もう
鍋に水を入れ、伊勢海老は頭はもちろん、尾を含む殻も身もすべて鍋にいれてしまいましょう。伊勢海老の味噌汁は殻からとても良い出汁と旨みが出るので、捨てないようにしてください。
すべて入れてしまったら、まずは強火で沸騰させます。沸騰したら火は弱火にして10分ほどコトコトと煮ましょう。水から伊勢海老を煮るとしっかりとした出汁がとれ、うまみもたっぷりでますが、身が締まってしまいます。やわらかめの身で味噌汁を食べたい人は最初は身を入れず、殻から身をはずし、頭と殻のみを入れてください。身はお湯から入れるのがおすすめです。
アクを取り好みの味噌を入れて完成!
弱火で煮ているとアクが出るので、こまめにアクをとっていきましょう。10分ほど煮てアクが取れたら、好みの味噌を溶きいれてください。その後、器に盛り付け、小ねぎを散らせば伊勢海老の味噌汁の出来上がりです。盛り付けるときに、頭をしっかり見えるようにすれば豪華な雰囲気になります。できれば写真のように手足もしっかり見せることが好ましいです。
グリルで簡単「伊勢海老のマヨ焼き」
伊勢海老を使った代表的な洋食が「伊勢海老のマヨ焼き」です。さばき方さえわかれば、伊勢海老のマヨ焼きはとても簡単に作ることができます。伊勢海老のマヨ焼きを作る場合、さばく前に塩と酒を入れた湯でオレンジ色になるまで茹でて縦割りにしましょう。海老の臭みをこれで取ってしまいます。
縦割りにしたら、殻についたままの伊勢海老の身に塩コショウをしてください。そしてマヨネーズに卵黄を入れ、よく混ぜます。このとき、ワインビネガーを少々足すことで焼いてとび気味になったマヨネーズの酸味を補正してくれます。身にマヨネーズを塗ったらオーブンで軽く焼きましょう。身は茹でることで火が通っているのでマヨネーズに焦げ目がつけば出来上がりです。好みでパセリを振りかけてもいいです。
お祝いの日を豪華に彩る「伊勢海老の味噌汁」
伊勢海老の味噌汁はハレの日にピッタリな一品です。一品出るだけで見た目も豪華になり、お祝いをするのにふさわしい食卓を演出することができます。
また、お味噌汁に使う場合は旨みと出汁がしっかり出ておいしいこと、見た目の豪華さが大切なので、多少身が小さくでも大丈夫です。新年のお祝いや、長寿祝いなどにぴったりな伊勢海老の味噌汁は、水からしっかり煮て、アクを丁寧にとれば、海老の持つ臭みも気にならなくなります。味噌汁に散らすのは、小ネギはもちろん、カイワレなどでもOKです。豪華な伊勢海老の味噌汁をぜひハレの日に楽しんでみてください。
伊勢海老の刺身にする場合のさばき方
続いては刺身にするときの伊勢海老のさばき方です。基本のさばき方に大きな違いはありませんが、刺身は豪華に盛り付けて見せることが大切なので、味噌汁や焼きに使うような縦割りにせず、殻をいかしたさばき方をしていきます。
刺身にするなら「活造り」で豪華に見せよう
残酷に見えてしまうかもしれませんが、伊勢海老は活造りにすることで、その美味しさを十分に堪能することができます。また見た目も豪華になるので、食卓を彩るのにピッタリです。
さばく時も殻を切るのは最小限にして、背中側の殻を残して活造りにします。色目を抑えた渋い皿などに大根のツマやクラッシュアイスなどを敷いて盛り付ければ、まるでお店で出せれる活造りのような出来栄えとなるので、家庭で豪華な食事を楽しみたいときなどにはピッタリな一品が出来上がります。ただの刺身として盛り付けるのではなく、一工夫してみましょう。
頭を切り離す場合のさばき方
まずは頭を切り離すさばき方です。ここではキッチンはさみを使って出来る刺身向けの簡単なさばき方を紹介していきます。まずは、頭と胴を切り離せるよう、境目に切れ目を入れます。その後、頭と胴をねじれば切り離せます。
切り離した胴は、お腹側からさばいていきます。お腹と背中の継ぎ目を両方ともキッチンはさみを使って切り目を入れていきます。両方とも切り目が入ったら身と腹側の殻の間に包丁を入れ、頭側から尻尾にかけて包丁を滑らし殻をはずします。その後、へらやスプーンを使って身を取り出せば出来上がりです。殻に身が残らないよう、背中の殻にそって身は取り出してください。
身だけを取り出すさばき方
伊勢海老を頭つきのまま身だけを取り出すさばき方は、包丁よりもキッチンはさみを使ったほうが簡単にできます。まずは切るときに邪魔な腹ヒレを切り落としてしまいます。
大きな違いはここからです。最初のさばき方では、頭と胴に切り目を入れとりはずしましたが、今回は切り目はいせません。その代わり腹側と背殻に切り目を入れていき、腹の殻をすべて切り落としてしまいます。
腹の殻を取り除いたら伊勢海老の身をスプーンやビニール手袋をした指でこそぎ落としていきましょう。こうすれば頭を残した状態で身だけを取ることができます
腹の殻についている身は包丁でこそぎ落としてしまえば刺身に一緒に盛り付けることができます。殻から身を取り出すときはできるだけ形が崩れないように注意してください。
さばけたら身を氷水に浸けよう
さばいて取り出した身は刺身として盛り付ける前に、氷水に5~10分ほど浸けて身を締めましょう。やわらかい食感が好きな方は1分程度氷水に浸ければ大丈夫です。その後、キッチンペーパーなどを使ってしっかり水気をとり、食べやすい大きさに切りましょう。
刺身を盛り付けて完成!
伊勢海老の活造りは盛り付けを豪華にするのがポイントです。伊勢海老の頭や背殻を使って豪華に見えるように盛り付けていきましょう。
皿などに大根で作ったツマなどを大目に乗せ、その上に伊勢海老の頭と背殻を乗せていきます。背殻の上や横に大葉などを2~3枚乗せ、食べやすい大きさに切った刺身を乗せていきます。海老ミソもおいしさのポイントとなるので、別の器に入れて刺身の横に添えてください。これで伊勢海老の活造りの出来上がりです。盛り付けるとき、大葉だけでなく海藻類などを横に添えてもいいでしょう。
伊勢海老の刺身の後は味噌汁やビスクに
刺身を食べ終わった後の伊勢海老の殻は味噌汁だけでなく、おいしいビスクの材料として使うことが出来るので捨てないようにしましょう。
伊勢海老の殻はフードプロセッサーなどで細かく砕き、オリーブオイルでみじん切りのたまねぎ、にんにくと一緒に炒めます。その後水2カップ、ローリエ1枚、ブイヨンを入れて煮込み、アクをとります。そして漉したら生クリームを加え、再度フードプロセッサーにかけて滑らかにします。その後塩コショウで味を整えたらできあがりです。
刺身だけじゃなくしゃぶしゃぶもおいしい!
伊勢海老を使ったとっても贅沢なしゃぶしゃぶは身だけでなく、頭や殻もしっかり使って作るので、捨てるところがありません。まずは伊勢海老の頭と殻を乾煎りし、しゃぶしゃぶの出汁として切り落とした頭と殻を昆布と料理酒を入れた水に入れこします。これでしゃぶしゃぶの出汁のできあがりです。
あとは、水菜や白菜、薄切りのにんじんなど好みの野菜を準備します。出汁に野菜を入れて火が通るころに身を取り出しや伊勢海老をしゃぶしゃぶしてください。刺身くらいに切ったものでもいいですし、尻尾を残してそのまま身をむき出しにしたものでもOKです。頭と殻を使ってしっかりとした味のある出汁になっているので、そのまま食べると伊勢海老の美味しさを十二分に堪能することができます。
伊勢海老のさばき方は意外と簡単で覚えやすい!
お店でいただく機会が多い伊勢海老ですが、基本的なさばき方さえ覚えてしまえば、難しいものではないということがわかりました。ポイントを抑えれば刺身はもちろん、伊勢海老の焼き物や味噌汁など、食卓を豪華に彩ってくれます。特にパーティなどでは活造りや焼き物は活躍しそうです。ぜひ家庭でもチャレンジして素敵な食卓を演出してみてください。