貴船の川床のランチおすすめランキングTOP7!川床料理も紹介!

京都の夏の風物詩の一つに川床がありますが、大変高価なイメージがあり、敷居が高いお店ばかりと思っていませんか?特にドレスコードがある訳ではありませんし、ほんの少し一般的な常識さえあれば、誰でも川床を愉しむことができます。川床には貴船・鴨川・高尾などにありますが、今回は特に貴船の川床に特化しておすすめの川床料理が食べられるお店をランキング形式で7店ほど紹介したいと思います。また、川床についても呼び方の違いや、歴史なども少し触れたいと思います。

貴船の川床のランチおすすめランキングTOP7!川床料理も紹介!のイメージ

目次

  1. 1貴船で風情溢れる上品な川床ランチを堪能しよう
  2. 2貴船の川床おすすめランチランキングTOP7を紹介!
  3. 3川床とはどんなもの?
  4. 4貴船の川床で贅沢な夏の風物詩を味わおう

貴船で風情溢れる上品な川床ランチを堪能しよう

温暖化が進んで夏の暑さが年々厳しくなっていますが、日本の中でも京都の暑さは盆地特有の暑さで、出来れば観光も避けたい季節ではあります。しかし、長期で休みを取りやすい夏休みに、家族旅行や友人との旅行で京都を訪れることもあるでしょう。そんな暑い京都の夏でも、大変おすすめの場所が貴船です。京都唯一の避暑地とも言われている貴船には、夏になると川床が軒を連ねます。

京都の奥座敷である貴船の川床では、冷たい川の水が手の届く距離で流れており、天然のクーラーがきいているようです。暑さでだるくなった体と心をそっと優しくほぐしてくれる、そんな癒しの場所でもある貴船で川床料理を食べることは、ちょっとした贅沢です。確かに安くはありませんが、お店によっては、庶民でも手の届くリーズナブルな価格の川床料理を提供しているところもあります。

今回は一応ランキング形式で順位を付けて紹介していますが、料理の素材に拘った店、貴船の名産である鮎に拘った店など、それぞれの持ち味があります。何処も甲乙つけがたいほど、おもてなしの心を持って川床を愉しみにやってくるお客を満足させてくれます。ランキング順位にとらわれず、ご自身のニーズに合ったお店が見つかるよう、様々な角度からランキング形式での紹介をしてみます。

貴船の川床おすすめランチランキングTOP7を紹介!

第7位:「奥貴船 兵衛」

貴船ランチでおすすめのランキング7位は、奥貴船 兵衛です。貴船に20軒ほどある川床を提供するお店の中でも、貴船川に沿って貴船神社を通り越し奥の奥へと続く道にある、いわば上流の方にあります。貴船の山菜や川魚を使った料理を振舞ったところから始まった料理旅館で、春には山菜料理、夏には川床料理、秋には手作りスイーツの食べられるカフェ、冬にはぼたん鍋と季節によって違う顔があります。

川床の季節には鮎をメインとした料理を愉しむことができ、涼のお昼膳は5・6月のランチ時限定で、6,480円と手軽な会席となっています。7・8・9月には平日のみのお昼限定で、金額も8,100円となります。5・6月に食べた方が金額がかなりお得と感じるでしょうけれど、貴船の気温は京都市内よりも10度も低く、5月にはまだコタツのいる日もあります。やはり、暑い時に行くからこそ価値があります。

そして山の膳は、イタドリのうま煮・卵黄の醤油漬け・ミョウガの梅酢漬け・りちめん山椒・木の芽煮など、山の旨味を堪能できる膳となっており、お昼が9,720円で夜が10,800円となっています。夕飯で食べられる際には、お昼には付いていないお吸い物が付いています。

そして鮎の笹焼きと兵衛名物の鮎のひつまぶしが付いた、鮎の膳はお昼が10,800円で夜が11,880円です。夕飯にはお吸い物が付きます。また、京の夏には外せない鱧しゃぶや鱧を中心としたお料理に鮎の笹焼きも付いた、鱧の膳はお昼が14,040円で、夜が15,120円となっています。夕飯にはお吸い物が付いています。

兵衛でも牛しゃぶや、すきやきを食べることができます。牛しゃぶは八寸・ご飯・水物が付いて9,720円で、自家製のポン酢でいただけます。牛すきも厳選した国産牛肉とたっぷりの野菜に八寸・ご飯・水物が付いて9,720円となっています。また、鶏水たきは白濁したじっくりと鶏ガラを煮込んで作ったスープで楽しめ、灰汁が出るのを防ぐ為に軽く湯通しした鶏肉を提供してもらえます。

地鶏の旨味と、しっかりとした肉質を部位ごとに食べ比べできる鶏すきが8,640円となっています。牛すきと鶏水たき、鶏すきは7月1日~9月9日までは提供不可となっています。

第6位:バラエティーに富んだメニューの「ひろ文」

貴船ランチでおすすめランキング第6位は、ひろ文です。ひろ文では、雨が降ったら中止の予約もできない流しそうめんを5月~9月のランチ営業時間に提供されています。価格が1,300円と貴船で流しそうめんが、破格の値段で味わえるので待ち時間の平均が、3時間のようです。とにかく行ってみて、並ぶしかないようですが、ランチの時間が11時~16時までですので、受付は13時までのようです。

この貴船で流しそうめんが愉しめて1,300円も捨てがたいのですが、ひろ文では川床メニューが豊富ですので、その時の気分に合わせてメニューを選んでみてください。まず一般的な先付・八寸・お造り・吸い物・焚き合わせ・焼物・油物・冷鉢・ごはん・香物・デザートという内容の川床料理が8,600円、10,800円、13,000円とお料理のグレードも良くなっていきます。

そして16,000円のおまかせコースは要予約で、会席と鱧しゃぶが付いた贅沢なコースとなっています。また夏の京都で外せない鱧をふんだんに使った鱧しゃぶコースも要予約で14,000円です。それから、会席料理が苦手な人におすすめなのが、八寸・鮎の塩焼き・牛しゃぶしゃぶ・ご飯・水物の牛しゃぶコースが8,000円です。また、牛すきやきが付いたコースも8,000円です。

7.8月でも涼しい日であれば、貴船は肌寒く感じる日もありますので、牛しゃぶや牛すきやきの方が身体が温まって、丁度いいかと思います。イメージで言うならば、思い切りエアコンを聞かせた部屋で、鍋を食べるような感じです。貴船では天然のエアコンが効いているようなものです。ランキング6位に選んだのは、この豊富なメニューがあるからです。それから、まだメニューはあるのです。

八寸・鮎の塩焼き・地鶏すきやき・ご飯・水物の地鶏すきやきコースが8,000円です。それからひろ文の水炊きのコースも大変おすすめのコースで、鶏ガラを長時間かけて煮詰めたスープを使った、骨付きの鶏肉を使用した水炊きが付いているコース8,000円です。白く白濁した濃厚な鶏ガラスープでいただく水炊きは、体に優しく染み込んでくるようで、コラーゲンもたっぷりですので、美肌になれるかもしれません。

第5位:野趣に溢れた川床が楽しめる「貴船 右源太」

貴船ランチでおすすめランキング5位は、貴船 右源太です。水の神様であり古来から崇拝を集めている貴船で、鳥居右源太は貴船神社の社家として、長年奉仕を務めていたそうです。また、貴船 右源太は5年連続でミシュランガイドに掲載されたお店でもあります。

貴船 右源太の川床料理のランチメニューは、お昼のおまかせコース(7・8月と土日祝日・お盆は除く)が、8,900円です。また川床会席には11,178円と14,904円とがあります。はもしゃぶ会席は18,630円です。ランチ営業は11時半~16時までです。夜は17時~20時半までです。貴船 右源太の川床は起伏があり、川の流れの勢いがよくマイナスイオンと水しぶきとでより涼しさを感じられます。

会席料理では自分で炭火で炙れる、バチ子(ナマコの卵巣を干したもの)、カラスミなどが出されることもあります。また前菜には生湯葉など、3種類ほどの小さな料理がどれも手の込んだものです。それから京都の夏には外すことのできない鱧の椀物や、新鮮なお造りが季節の野菜や花などで彩られていて、目でも愉しめます。

もちろん、貴船では欠かせない鮎の塩焼きを石庭盛りにして、まるで鮎が川を泳いでいるように盛り付ける手法が施されています。その後も鱧しゃぶや野菜を使った絶品料理など、どれ一つとして手を抜いていない料理に驚かされます。流石、ミシュラン獲得の川床料理です。

第4位:「貴船 仲よし」

貴船ランチでおすすめランキング4位は、貴船 仲よしです。作り置きは一切せずに、熱い料理は熱いうちに、冷たい料理は冷たいうちに、美味しい瞬間を大切に提供してもらえます。貴船の素材と、貴船の水を使って作り上げた自慢の料理を堪能できる、貴船 仲よしです。ランチは月曜から日曜の11時~15時までで、2名以上であれば貴船口駅まで送迎してもらえます。

平日限定のランチタイムのみに食べることが出来る、ミニ会席が6,700円と貴船の川床の中では、良心的な価格です。その他の川床メニューには、前菜と天婦羅付きの本格的な竹コースが8,750円、ディナーにおすすめなお吸い物や変鉢などが付いた松コースが10,300円であります。また、フルコースを堪能したい人には、雪コース13,400円がおすすめです。

貴船の川床は、店によって川の幅が違います。勿論、自然の川をそのまま活かした川床ですから、場所によって形や、景色、水の流れの速さなども違ってきます。仲よしの川床は川幅が狭いので、流れが少々早く、その分マイナスイオンも多く発生します。川床と川面との距離は約30センチで、手を伸ばせば川の水を触ることが出来る距離です。

座敷も幅が狭い分、一つの川床に一つのテーブル、多くて3つのテーブルしか置けない分、より静かにプライベートな空間を堪能できるでしょう。また、仲よしではWi-Fiを川床でも利用できます。静かな貴船の自然を堪能するのに、Wi-Fiなど必要ないのでは?という意見もあるかもしれませんが、これも様々なお客が増えたり、時代の変化に対応してのサービスではないかと思います。

また、仲よしのホームページでは日本語での案内と一緒に、英語での案内もありますので、海外からの友人に上手く説明が出来ない時にも役立つかと思います。こういった、外国から来てくださったお客へのおもてなしも、貴船ランチでおすすめランキング4位に選んだ理由の一つです。

第3位:貴船川 きらく極楽 夏の天国「貴船 㐂らく」

貴船ランチでおすすめランキング3位は、貴船 㐂らくです。大正10年、㐂らくの前身である旅籠九谷屋を創業してから、水害と戦争を潜り抜けて終戦後の昭和21年に、料理旅館 貴船 㐂らくとして新たにスタートを切りました。その後も何度となく水害にあい、貴船川に押し流されたり、土砂崩れに襲われたりしながらも、3度店を立て直しては貴船 㐂らくを続けてきました。

だんだんと貴船が賑わいだし、㐂らくならではのおもてなしをするようになり、電車で夜に到着したお客の出迎えを、小田原ちょうちんを持って行くという風流なおもてなしや、当時だからこそ出来たおもてなしですが、猟師であった主人がお客を山へ一緒に連れて行き、イノシシや鳥、松茸を採り、その場で振舞ったそうです。自然の恵みを自然の中で味わう野趣溢れたおもてなしで、贔屓客も増えました。

そんなお客の立場になって出迎えるおもてなしの心が、脈々と受け継がれている㐂らくは、現在もお客が心地よく過ごせる為の気配りを忘れない、料理旅館です。㐂らくの川床料理は、鮎・川伏魚(ゴリ)・鯉などの川魚生簀料理が中心となっています。5月から9月の平日ランチのみの川床料理は8640円です。その他の土日祝日のランチと、全日ディナーは10,800円~18,630円の川床料理がいただけます。

観光客が増えてくると、だんだんと昔の想いを忘れてしまったり、上手くおもてなしの心を受け継ぐことが出来なかったりする昨今、こういった日本のおもてなしの心をきちんと受け継いでいるところが、貴船ランチでおすすめランキング3位に選んだ理由の一つでもあります。

第2位:無料送迎もある「貴船荘」

貴船のランチでおすすめランキング2位は、貴船荘です。新鮮な身の引き締まった鮎を、焼き立ての熱々の状態で提供したいという想いから、1トンもの水量のある大型水槽を設置し、貴船川の冷たくて綺麗な水を水槽内へと引き込み、その激しい酢龍により常に酸素と綺麗な水が循環する、自然の川の状態に近い環境で鮎を育てている貴船荘の鮎は、余分な脂のない極上の食材です。

注文が入ってから活け締めして焼き上げるので、鮎本来の旨味と香りが楽しめます。また緑茶発祥の地である、京都の宇治田原産の茶葉のしっかりとした旨味と、香りをたっぷりと出汁に浮かべて魚介やお肉をいただく茶葉鍋が、貴船荘の自慢の逸品です。通常はお茶としていただく上質な茶葉を、茶葉のアミノ酸などの豊富な栄養素と、旨味を取り入れられる健康的にも味も良い優れた料理を提供されています。

山の中になる貴船では、春になると多くの山菜が育つ食材の宝庫となります。冬の間に体に蓄積された余分な毒素を排出するデトックス効果や、新陳代謝を促して消化器官の働きを促進する作用があり、冬に溜まった脂肪も分解しやすくしてくれます。これらの作用は、山菜の苦み成分のアルカロイドやタンニンのおかげですので、春に山菜を食べることは、理にかなっているのです。

こうした天然の山菜も、天婦羅や佃煮、煮物などにして提供してくれます。その中でも山椒は若葉・花・実と余す所のない食材で、時期が合うと貴船山で採れた山椒を食べることが出来ます。この上なく四季を感じられる貴船で、季節の移り変わりを料理で伝えてくれる貴船荘の料理を、堪能されることをおすすめします。

ここの川床料理は、玉手御前4,950円(7・8月は提供していません)、お昼のミニ会席(7・8月は平日のみ)、石火焼き御前10,000円、せせらぎ懐石10,000円、彩り懐石12,500円、石火懐石15,500円、鱧しゃぶ懐石15,500円、清流懐石15,500円があります。また、小学低学年の子供が対象のお子様懐石は3,000円で松花堂弁当をアレンジしたものを用意してもらえますので、是非家族で訪れてみてください。

子供に味の違いなど判らないと思っていませんか?実は幼少期からの食生活で、子供の味覚は影響を受けます。やはり、質の良い天然の食材を旬の季節に食べることが、一番の食育でもあります。こういった、子供向けの料理を用意してくれるところが、貴船ランチでおすすめランキング2位に選んだ要素の一つでもあります。

第1位:元祖川床発祥の「貴船 ふじや」

貴船でランチのおすすめランキング1位は、貴船 ふじやです。貴船神社の鳥居前にあり、創業天保年間の貴船では元祖川床発祥の料理旅館です。創業以来、川魚ひとすじに、吟味された旬の食材を使った逸品ばかりで、京懐石は特に料理人の拘りにより、最上級の仕上がりとなっていておすすめです。

川魚ひとすじのふじやにとっての川床料理は、ふじやのおもてなしの原点であり、忘れていたものを思い出させてくれ、別世界へと誘います。ふじやでは、川床の期間中ほぼ週替わりで献立がかわり、ひと夏に何度お邪魔しても、その都度違った料理を愉しむことができます。朝は11時から夜の8時まで営業しており、料金は一人9,000円(川床料・奉仕料・消費税は別)です。

雨天の際は、部屋の中にちゃんと席が用意されています。また、川床では席料として、一人1,080円が必要です。春から秋にかけては、ふじやの原点である川床料理が楽しめますし、川床の終わった秋には秋の川魚料理を、冬にはぼたん鍋を堪能できる料理旅館です。しかし、ここふじやは川床発祥の料理旅館だけあり、川床に対する思いは今も脈々と受け継がれています。

大正のころに5尺と6尺の畳ほどの大きさの床几(しょうぎ)を川の中に置いて、足を浸けながらお茶を飲んで涼んでいた程度で、料理は部屋の中でした。戦後になってから、今のような川床で料理を食べる形式になったそうです。更に、観光調になったのは、ほんの十数年前からと最近のことのようです。

ただ、観光客が増えたからと収容量を拡張し、大衆化してしまうと、貴船の良さが失われ自分の首を絞めるようなものと、仰ったのはふじや先々代の藤谷虎男さんです。高雄に道がなかったころには、北丹波の周山から京都の町への最短距離だった貴船です。そんな江戸時代後期から旅籠屋をしていたふじやが、一軒のみ料理旅館をしていたそうです。

昭和になってから、鞍馬電鉄(現在の京福電鉄鞍馬線)が開通して、京都市からバスも走るようになり、人で賑わうようになり始め、川の中に置いた床几が受けて、画家に歌人、俳人などの名士の人たちも好んで通ったそうです。10月から5月までコタツがいるほどで、夏は京都市内と10度も温度差があるほど涼しいですが、冬の寒さはそう厳しくない過ごしやすいところのようです。

とにかく土地が少ないので、食料を調達するのに苦労した戦争中や、何度も水害にあい、土砂に埋まったり、土砂にせき止められた川の水によって、家が流されたこともあるそうです。良くも悪くも、貴船の歴史を全て見てきた、料理旅館ふじやが貴船で旅館をし続けるのは、貴船に対しての熱い想いがあるからこそでしょう。そういったところが、おすすめランキング1位に選んだところでもあります。

貴船の川床へのアクセス

貴船の川床は、貴船神社の鳥居がある前の一本道の横に平行して流れている貴船川の上に、上流へと向けて奥へ奥へと連なっていますので、それぞれのお店のアクセスの説明は、ある意味必要ありませんので、貴船神社へと向かうと自然と川床が見えてきます。京都駅からいくつかのアクセス方法がありますが、一番早いのが地下鉄とバスを使って行く方法で、52分かかります。

京都駅から地下鉄烏丸線の国際会館行に乗り、20分ほどで終点の国際会館駅まで行きます。国際会館駅を出たところに京都バスのバス停がありますので、52系統のバスに乗り20分ほど走ると、貴船口バス停でおります。そこから京都バスの33系統に乗って5分ほどで貴船に着きます。歩いて5分ほどで貴船神社前に着きます。運賃はトータルで730円です。

貴船の道は大変狭いので、マイカーで行かれる際は、駐車場のあるお店に予約を入れておられるのなら大丈夫ですが、出来る限り公共機関を使って行かれる方が無難かと思います。マイカーで行って、止める場所の確保が出来ない時には、折り返して離合するのも大変な道幅でしので、注意してください。

川床とはどんなもの?

川の上のお座敷で懐石料理が楽しめる

鴨川の川床では、高床式のテラス席のような形式で懐石料理・京料理・割烹・中華料理・西洋料理・焼き肉に喫茶と、様々な店舗があり川床を愉しめるようになっています。貴船の川床では、川に足が付けられるほどの距離で、川床が設置されており京料理や流しそうめん、すき焼きなどが愉しめます。

川床は「納涼床」とも呼ばれる

川床のことを納涼床と書いて、のうりょうゆかやのうりょうどことも言います。鴨川沿いの川床は、二条から五条の間に約100軒もの店がひしめき合って並び、店からバルコニーのように張り出す形で、5月が近づくと各店舗が川床の設置を始める光景が見られます。時期が終わると再び川床は取り外されます。一方、貴船の川床は老舗旅館などが、道路を挟んで対面した川の水面に手が届くほどの位置にあります。

昔の鴨川沿いにあった川床は、貴船と同じような形式だったようですが、明治時代以降に高床が並ぶようになり始め、昭和時代になり河川の使用にあたっての基準が定められてから、現在ある高床の形式に統一されていったそうです。

貴船では「かわどこ」と読む

川床と書いて、大阪の北浜ではかわどこと言い、京都の鴨川ではゆか、貴船、高尾ではかわどこと言います。京都の貴船は、京の奥座敷と言われているので、京の街全体から見た時に、床の間というイメージから、かわどこと呼ばれるようになったそうです。もともと川床の発祥と言われている鴨川では、川沿いの高い位置に設置されているため、高床を省略してゆかと呼ばれるようになったようです。

しかし、鴨川沿いの川床をゆか、貴船の川床をかわどこと呼び分けられていることを知っている人は少なく、鴨川のお店に予約を入れるお客さんから、かわどこを予約したいのですがと、問い合わせの電話を受けると、「ゆか」でよろしいでしょうか?と、京都ならではの拘りで、ついつい遠回しに「ゆか」と呼ぶことをにおわせてしまうところが、京都あるあるのようです。

川床のはじまり

川床の歴史は、江戸時代の初期にまで遡ります。江戸初期の鴨川は今の川幅よりも更に広く、四条辺りでは、川の中央に大きな中洲があったようです。1669年に鴨川の両岸に石垣を積む工事が行われてから、芝居小屋が集まり花街も形成され、歓楽街として栄えるようになりました。そのころの祇園祭のころには、鴨川の中州で見世物小屋が建てられたりし、見物客が集まるようになりました。

また、祇園のお茶屋は、鴨川の川沿いに床几という長椅子のようなものを、敷き詰めて床のようにし、涼める場所を作ったことが川床の起源となったようです。江戸初期の文献ではすでに、床という表現がされており、江戸の中期には400軒もの茶屋が、床机の数を定め組織化していきました。その当時は河原の涼みと呼ばれていたようです。江戸後期には日本一の夕涼みの場所として有名になったようです。

明治時代に入ると、鴨川の右岸と左岸の両方に、7月と8月に川床を出すのが定着しました。そのころの鴨川の川床は、両岸には高床式の床が立ち並び、三条大橋の下側には河原から鴨川へと張り出す形で川床が出され、砂洲には床机が並ぶといった具合だったのです。明治27年の鴨川運河開削、大正4年の京阪電車鴨東線の延伸などにより、左岸の川床は姿を消し、大正の治水工事で床机も禁止され姿を消しました。

昭和4年には半永久的な川床が禁止され、昭和9年の室戸台風や10年の集中豪雨で、鴨川の川床は壊滅的な被害を受け、第二次世界大戦によって、完全に川床の納涼床は姿を消してしまいました。戦後の昭和27年になってから、納涼床許可基準というものが策定され、京都の景観上の基準にもなり、京都鴨川納涼床共同組合が、納涼床設置規則を定めて、ゆかの文化を未来へと伝えるための努力をされています。

京都鴨川の「ゆか」は有名で、5月から9月まで楽しむことができます。この季節になると、京都の風物詩として、鴨川の河原や鴨川に架かる橋からは、ゆかを愉しむ人の姿や、灯りを見ることができます。

貴船の川床の歴史

一方、京都の奥座敷とされている貴船の川床ですが、貴船は京都市の中心から比べると山あいにあるので気温も10度ほど低く、京都の避暑地として高い人気があります。貴船には貴船神社があり、京都から見て奥まったところにある貴船を、神様のいる床の間とし貴船神社をそれに見立てたと言われているそうです。貴船で川床が始まったのは、大正時代のころと言われています。

福井県の漁港から京都市内へと続く、海に面していない京の都へと、塩サバを盛んに運んだ道である鯖街道の道中にある貴船は、洛中まであと10キロほどの場所に位置しており、鯖を運ぶ人たちの休憩場所として料理やお茶を出したのが起源で、数件ほどしかなかったのですが、現在では20軒ほどが立ち並んでいます。

川床にマナーはある?

誰でも鴨川や貴船の川床を予約することができます。むしろ、事前に予約をしていないと、満席で入れないことが多いかと思います。特に7月と8月の週末は予約でいっぱいです。予約をする際には川床に限らず、どんなお店でも同じことが言えるのですが、お店が混雑していると予想される時間帯を避けて電話をすると、こちらの要望や質問もしやすく、お互い気持ちよくやり取りができます。

それから、雨が降ったからと言っても大丈夫です。川床の規定により室内に席が確保されています。原則として、当日のキャンセルはマナー違反です。川床で食べられないなら意味がないと、思う気持ちも良くわかりますが、お店側も予約を受ければ最高の状態で料理を提供する為の準備をしています。これも、どんな飲食店に対しても言えることで、当日のキャンセルは絶対にしないようにしましょう。

ドレスコードはありませんので、特別な服装で行く必要はありませんが、夏の風物詩である鴨川のゆかを愉しみたいなら、浴衣を着ていくのをおすすめします。旅行で浴衣を持って行くのが大変だったり、自分で浴衣を着る自身のない人が、浴衣をレンタルできるお店が沢山ありますので、利用するといいでしょう。また、着付けもしてもらえて、リーズナブルに借りることができます。

貴船は日によって、夏でも肌寒いくらい涼しい日があります。羽織れる服を一枚持っていくことをおすすめします。川床で川べりの席が空いたからといって、勝手に移動するのはやめましょう。また、繁忙期には人気の川べりの席が指定できないことも多いので、あまりわがままを言わないようにしましょう。

それから、隣接したお店の川床と非常に近い距離になりますし、外で食事を愉しむ川床は風でたばこの煙がどこに流れていくか、予測ができません。喫煙可能のお店であっても、最低限のマナーとして周りの人に、煙がいかないよう注意するか、出来れば食事の間はたばこを吸わない方が良いでしょう。また座敷席の場合、畳の上にお盆を置いて料理の提供をしますので、裸足ではなく靴下を履くようにしましょう。

貴船の川床で贅沢な夏の風物詩を味わおう

20軒ほどの貴船の川床料理を愉しめる店の中から、7店だけランキング形式で紹介してみましたが、気になるお店は見つかったでしょうか?また、今回ランキングから外れたお店も全て、貴船の川床を十分堪能できるお店ばかりです。貴船という昔のままの自然を大切に残してきた、貴船の人々の努力のおかげで、私たちが贅沢なひと時を過ごすことが出来るのです。

鴨川の床から比べると、川床に関しては歴史が少しだけ浅い貴船ですが、鴨川にはない自然の恩恵と、猛暑の洛中から10度も涼しい逃げ場所が今も残っており、何度もの水害にもくじけず立ち直り、貴船という地に川床という、夏の風物詩が残っていることに感謝しながら、贅沢な気分を年に一度自分へのご褒美として、味わってみましょう。

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