ゆし豆腐は沖縄の料理!豆腐の食べ方や作り方を詳しく紹介!
沖縄に行って沖縄そばを食べてもゆし豆腐を食べてくる人はあまりいないようです。そもそも、ゆし豆腐は何かを知らない人も多いかもしれません。沖縄の豆腐と言えば島豆腐やジーマーミ豆腐が有名ですが、ゆし豆腐の知名度は今一つです。今回は、このゆし豆腐と他の沖縄の豆腐の違い、ゆし豆腐のおいしい食べ方、家庭でもできる作り方、そして気になるカロリーと糖質について紹介していきます。
目次
ゆし豆腐とは
沖縄の豆腐と言えば、ゴーヤーチャンプルーに使われる島豆腐が有名です。しかし、沖縄にはもう一つ「ゆし豆腐」という庶民に親しまれている豆腐があります。
どんな豆腐かと言えば、わかりやすい表現をすると本州のおぼろ豆腐に似ています。固まり切っていない、少し崩れた形状です。しかし、おぼろ豆腐より固めで塩味がきいているといいます。
ゆし豆腐と島豆腐の違い
ゴーヤーチャンプルーに使われる島豆腐は、沖縄の木綿豆腐で崩れにくいのが特徴です。大豆からの作り方は、島豆腐もゆし豆腐も同じです。違うのはにがりを入れた後で型にいれて固めれば島豆腐、そのままであればゆし豆腐になります。
もう一つ、沖縄の豆腐で「ジーマーミ豆腐」というものがありますが、こちらは材料が大豆でなく落花生(ピーナッツ)です。ピーナッツ豆腐とも呼ばれます。とろりとした食感で、食事にだけでなくスイーツとしてもいただける豆腐です。
沖縄豆腐は本州の豆腐とは違う?
沖縄の豆腐消費量は全国一で、とても豆腐を食べる県民です。それが長寿にも結び付いているのかもしれません。さて、沖縄の豆腐は本州の豆腐といろいろ違うところがあります。それを見ていきます。
作り方:沖縄は生絞り
豆腐の作り方は本州と沖縄で違う所があります。決定的に違うのは、本州では大豆をつぶして煮てから絞る(炊き絞り製法)のに対して、沖縄では大豆をつぶして絞ってから煮る(生絞り)ところです。煮る前に絞ると熱に弱いたんぱく質が壊れにくくなるということです。
また、沖縄ではかつて豆腐を作る時に、にがりではなく海水を使っていたといいます。現在では海水で作ることは禁じられていますが、そのなごりから現在でも塩を足して塩味をつける作り方が受け継がれています。
買い方:沖縄では出来立てを買う
沖縄ではできた豆腐は冷やさず、温かいまま販売します。沖縄の人たちは、より温かい豆腐が新鮮ということで選びます。なお、沖縄弁で出来立てでホカホカなものを「アチコーコー」といいます。アチコーコーな豆腐を買ってアチコーコーなうちに食べる楽しみは沖縄でしか味わえません。
実は日本の衛生法では、温かい豆腐を販売することはできないそうです。沖縄も日本に返還されたときにその法律が適用されて、アチコーコーの豆腐が販売できなかったといいます。しかし、伝統的に温かい豆腐を購入する沖縄では、政府と交渉し沖縄だけの特例として出来立ての温かい豆腐を販売できるようにしたそうです。
沖縄では、豆腐の出来立てを買う習慣があります。スーパーでは豆腐の出来立て時間を表示して売っています。地元の豆腐屋さんでは地元民が朝やってきて豆腐を買い付けてすぐに売り切れてしまい、観光客が昼頃やってきても買えないどころと店も閉まっていることもしばしばといいます。豆腐の商品量全国一の沖縄県ならではの光景です。
ゆし豆腐のカロリーと栄養
一般的に豆腐は低カロリーで栄養満点と言われますが、ゆし豆腐は他の豆腐に比べてどうなのでしょうか?
カロリーと糖質
ゆし豆腐の100gあたりのカロリーは50kcalです。本州の木綿豆腐のカロリーは100gあたり72kcal、同量の絹ごし豆腐のカロリーは56kcalです。本州の豆腐に比べてカロリーが若干低いといえます。一方島豆腐のカロリーは100gあたり106kcalです。ゆし豆腐の方が水分を多く含んでいるのでカロリーが低くなっています。
一方糖質量の目安となる炭水化物の量ですが、100gあたり8.5gです。同様に本州の木綿豆腐は8g、絹ごし豆腐は6g、島豆腐は3.5gとなっています。カロリーが一番高かった島豆腐ですが、糖質量は一番低くなっています。
栄養
本州と沖縄での豆腐の作り方の違いは、たんぱく質の量に表れています。ゆし豆腐は、100g中たんぱく質が21.5g入っています。それに比べて、本州の木綿豆腐は19.8g、絹ごし豆腐は14.7gです。島豆腐はもっとたんぱく質が多く入っていて、100g中45.5gです。
ゆし豆腐には他の豆腐と同様、ビタミンやミネラルを多く含んでいます。特にビタミンK、ナトリウム、カリウム、マグネシウムといった成分が、1食に必要とされる量以上に1パック(500g)の中に含んでいます。低カロリーで栄養満点ですから、ダイエットの味方と言える食材です。
ゆし豆腐の作り方:豆乳から作る
本州では購入するのが困難なゆし豆腐を、家庭で作るレシピがいくつか紹介されています。その中で「絶対失敗なし!」というレシピを紹介します。
用意するもの
まずは材料ですが、無調整豆乳、にがり、かつお節、水、塩を用意します。豆乳は必ず無調整で大豆固形分9%以上のものを用意します。かつお節はだしを取るのに使います。そして、豆乳の温度をはかるためクッキング温度計があるといいです。
豆乳を温める
豆乳を400㏄ほど鍋に入れて温めます。豆乳は温めが足りないと固まらず、温めすぎるとボロボロになってしまいます。70℃から75℃になるように温度で測りながら弱火で温めます。
にがりを投入する
温まった豆乳ににがり中さじ1杯(7㏄)を入れます(中さじがない場合は小さじ1杯と少なめの1/2杯で代用します)。にがりを入れる時は木しゃくなどで豆乳を回して渦を作り、そこへにがりを回し入れます。そのあと十字を切るように10回ほど混ぜます。
蓋をして蒸らす
蓋をして15分ほど蒸らします。この時に決して混ぜないようにします。蒸らしている間かつおだしを作ります。400㏄の水を沸騰させて、かつお節を50gと塩を適量いれて弱火で10分ほど煮ます。塩を入れなくてもよいですが、少し入れた方が沖縄豆腐らしい味わいになります。また、だしの素を使って手間を省くこともできます。
ゆし豆腐の出来上がり
15分したら蒸していた豆乳鍋の蓋をあけると、豆乳が固まって豆腐になっているのがわかります。器に出来立ての豆腐と作ったかつおだしを入れると出来上がりです。
ゆし豆腐の作り方:木綿豆腐から作る
ゆし豆腐を豆乳から作るのは手間と時間がかかります。もっと気軽な作り方として、木綿豆腐から作る方法を紹介します。
まず、木綿豆腐1丁をフォークで穴をあけます。水200㏄と塩小さじ1/2、そして豆腐を鍋にいれます。沸騰した後5分ほど茹でます。
フォークなどで潰して、余計な水分を捨てます。ざるにあげて出来上がりです。その後、料理で使う時に入れて2分ほど茹でるようにします。ラーメンやそばに入れたり、みそ汁に入れたりしてゆし豆腐風の食べ方をします。
木綿豆腐からつくったのはゆし豆腐風木綿豆腐料理で厳密にはゆし豆腐とは言えないものの、ゆし豆腐らしいホロホロ感や塩気を味わうことができます。
ゆし豆腐のおいしい食べ方:みそ汁
ゆし豆腐の味噌汁の作り方は二通りあります。一つ目は、普通の豆腐の味噌汁のようにだし汁に水を切ったゆし豆腐を入れます。二つ目は、だし汁を少なめにしてゆし豆腐を水を切らずにそのまま入れます。また、だし汁なしで、ゆし豆腐だけを鍋に入れて味噌を大さじ1杯入れて味付けるというレシピもありました。
二つ目のだし汁少な目でつくるゆし豆腐味噌汁の方が、より沖縄風の食べ方です。また、沖縄ではゆし豆腐とアーサー(沖縄のあおさ)を入れる食べ方もあります。アーサーが手に入らなければあおさで代用してよいかもしれません。
ゆし豆腐のおいしい食べ方:鍋
ゆし豆腐を鍋にいれる食べ方もあります。沖縄のオリオンビールのサイトでは、その名も「ポカポカゆし豆腐鍋」という少しエスニックな味わいの鍋の作り方が紹介されています。
作り方が、まず白菜、ニラ、エノキなどの野菜を一口サイズに切ります。次に豚肉をやはり一口サイズに切って、ごま油をひいたフライパンで炒めます。豚肉はバラ、肩、モモ、小間切れなどお好みでよいです。
豚肉に火が通ったら、鍋にスープを用意します。水(400cc)に対して、ごま油、一味唐辛子、砂糖、おろしにんにくを小さじ1、醤油を小さじ1と1/2、コチュジャン、鶏ガラスープの素、お酒を小さじ2、そして長ネギのみじん切りを適量入れます。
スープの材料を入れた鍋に、炒めた豚肉と切った野菜をいれて火をかけます。沸騰したら中火にして、野菜に火が通るまでグツグツと煮ます。野菜が煮えたら器に盛って、仕上げにコーレーグースを掛けます。コーレーグースは泡盛に島唐辛子をつけた沖縄の辛み調味料です。なければ、かけなくてもおいしくいただけますし、代わりにラー油を掛けるのも手です。
ゆし豆腐のおいしい食べ方:サラダ
ゆし豆腐はサラダにしてもおいしくいただけます。半熟卵やパルメザンチーズを入れたシーザーサラダ風レシピをここでは紹介します。
袋に入ったゆし豆腐をざるに空けて、水分をとります。1,2時間放置すると十分とれます。サラダ菜の葉を一枚ずつとり、ベーコン、ニンニク、トマトを食べやすい大きさに切ります。
卵を半熟くらいに茹でます。目安としては、沸騰したお湯にいれて約7分するとちょうどよい半熟卵ができます。卵は水に浸して殻をむきやすくします。
次に、ベーコンをカリカリに炒め、ニンニクも焦げ目がつく程度に炒めます。卵の殻をむいて、ボールに入れてフォークなどで粗くつぶします。そこへ炒めたベーコン、ニンニク、ゆし豆腐を入れて和えます。お皿にサラダ菜をひいて、和えたものをのせます。
仕上げに市販のシーザードレッシングとパルメザンチーズをふりかけて出来上がりです。お好みで、玉ねぎのスライスやクルミのみじん切りを加えてもよさそうです。
好みのレタスの上に、水を切ったゆし豆腐と海ブドウ(沖縄の海藻)をのせたシンプルなサラダも美味しそうです。ドレッシングは青じそやゴマなど和風ドレッシングが合いそうです。
ゆし豆腐のおいしい食べ方:ゆし豆腐そば
ゆし豆腐そばは、沖縄で人気のメニューですが、意外と食べずに帰る観光客は多いようです。作り方はいたって簡単です。まずは沸騰したお湯にかつおのだしの素を入れます。沖縄そばにお湯をかけて油を抜きます。かつおのだし汁にゆし豆腐を好きなだけ入れて2,3分煮込みます。どんぶりにそばを入れて、煮込んだゆし豆腐入りだし汁をかけます。紅ショウガと刻みネギをトッピングしたら出来上がりです。
沖縄そばは乾麺や生めんで、沖縄のスーパーに売っていますが、本州ではなかなか手に入りにくいかもしれません。沖縄食材専門店としては、「わした」と「沖縄宝島」が全国の大都市にお店をかまえています。そこで乾麺や生めんが手に入ります。また百貨店や大型スーパーでも取り扱っていることがあるそうです。首都圏ではマルエツで買えるという口コミもありました。楽天市場やAmazonなどのネットで購入する方法もあります。
ゆし豆腐のおいしい食べ方:スイーツと合わせる
ゆし豆腐にはちみつやきな粉をかけて、スイーツのように食べるのが意外と美味しいという口コミがあります。ゆし豆腐の塩気が甘みが引き立たせているということです。低カロリーな豆腐スイーツは、ダイエット中のおやつとして人気です。
出典: http://fum2.jp
ゆし豆腐はそのまま食べるのが一番おいしい?
沖縄人に言わせると、ゆし豆腐はシークワーサー醤油をかけて食べるのが一番おいしいといいます。本州でシークワーサー醤油は手に入りにくいので、レモンやすだちを醤油に加えたり、ポン酢しょうゆを使ってもよいでしょう。
また現地で買ったばかりの温かい豆腐を、なにもかけずにそのまま食べるのが一番という人もいます。いずれにしても豆腐を温かいままか、温かくして食べるのが沖縄流のおいしい食べ方です。
ゆし豆腐のお店情報
沖縄以外で入手が難しいゆし豆腐が買えるところや、行列ができるゆし豆腐の出来たてを食べられるお店の紹介です。
沖縄以外でゆし豆腐が買える「わしたショップ」
アチコーコーではありませんが、沖縄特産品の専門店わしたショップで、沖縄産のゆし豆腐が買えます。わしたショップは札幌、銀座、名古屋、大阪、福岡などの年に店舗があり、またオンラインでも購入できます。
ここで取り上げた沖縄特産の食材、島豆腐、ジーマーミ豆腐、アーサー、海ブドウ、コーレーグース、沖縄そばといった食材もわしたショップで買うことができます。
出来たてのゆし豆腐が食べられる店
沖縄本島や石垣島では、ゆし豆腐が食べられる店がいくつもありますが、中でも石垣島にある「とうふの比嘉」では併設されている豆腐工場でできたばかりのゆし豆腐が食べられることで有名です。朝早くから営業して人気のメニューはお昼前になくなってしまい、メニューが完売すると早々と営業終了してしまうそうです。なので朝食を食べるつもりで早めにいくのがオススメです。
人気のメニューは、650円のぶっかけゆし豆腐で、100円で副菜がつけられるそうです。豆乳つきのセットは大人気ですぐ売り切れになるといいます。やさしい味で、食べ過ぎでお腹が疲れた翌朝の朝食によさそうです。
ゆし豆腐でヘルシーに食事を楽しもう
本州ではなかなか食べられないゆし豆腐ですが、作り方やおいしい食べ方を紹介してきました。低カロリーでたんぱく質などの栄養が満点のゆし豆腐はダイエットの味方でもあります。沖縄に行かなくても、沖縄食材店やネットで手に入れることもできますので、本州にいながらヘルシーで美味しく食べられるゆし豆腐を試してみるといいです。
それでも、もし沖縄に行く機会があったら、ぜひ現地でアチコーコーのゆし豆腐を試してみない手はないでしょう!