片栗粉の代用は小麦粉で出来る?違いは?とろみ・つなぎの代用粉を紹介
片栗粉の代用は小麦粉で出来るのでしょうか?そもそも片栗粉と小麦粉の違いはどこにあるのか、紹介します。片栗粉といえば餡かけ等「とろみ」を付けるときに使用されるのが代表的で、揚げ物の衣や、つみれ等つなぎの役割も果たします。そんな片栗粉ですが、昔は「カタクリ」という植物から取っていたので片栗粉と呼ばれますが、カタクリは希少でなかなか取れない為、現在の多くの片栗粉は他のものから代用されています。とろみ、つなぎの代用となる粉を紹介します。
片栗粉は代用できる?
朝ごはんや晩ごはんを作っている時、使おうと思っていた片栗粉が切れていた。そんな時すぐに買いに行ければ良いですが、買いに行けない時、他のもので代用できないか考えたことのある人も多いはず。ほとんどの料理では、片栗粉が無い時に小麦粉やコーンスターチなどで代用することが可能ですが、用途によっては代用がきかない場合もあります。ここでは、そんな片栗粉の代わりには何が適しているのか、追っていきたいと思います。
片栗粉とは
片栗粉は、かつてはその文字通り、東北地域の原野などに自生するユリ科の「カタクリ」という植物の根茎から製造していました。主に料理に使い、らくがんなど菓子の材料としても、とろみをつける際にも、また熱湯で溶いて飲む用途もあります。国産カタクリの減少と同時期、北海道の開拓によりじゃがいもが大量栽培されるようになると、原料は希少なカタクリからじゃがいもに切り替わっていきましたが、名称はそのまま残りました。
片栗粉は小麦粉で代用できる?
急遽片栗粉が無い時に小麦粉で代用できないか、料理をする人は誰しも考えたことがあるのではないでしょうか?見た目としての色味は多少黄色味がかった小麦粉に対して、真っ白な片栗粉。同じ粉でも見た目から少し異なります。そうでありながらも片栗粉の代わりに小麦粉を使っても遜色ないのでしょうか?片栗粉と小麦粉、それぞれの特徴や違いを追っていきます。また小麦粉以外に片栗粉の代用をできるものも紹介します。
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片栗粉の用途
片栗粉の使い道としては、その特徴から主に4つ挙げられます。まず、糊化(ネバネバ化)する温度が低いので、火を止めた後に水で溶いた片栗粉を加えるだけで簡単にとろみがつきます。そして粘度が高いので、片栗粉を混ぜた料理が冷めにくく、保温効果があり、調味料が食材によく絡みます。またその透明度が高く、料理の色味を損ねません。食材の表面をコーティングしてくれる効果もあり、魚や肉などの旨味や栄養を逃しません。
片栗粉と小麦粉の違い
片栗粉も小麦粉もどちらも揚げ物の衣や、料理にとろみを付ける為に使われます。また肉や魚にまぶして焼いたり揚げたりする料理では衣の食感に違いが出ます。そしてとろみを付ける料理ではとろみの付き方に違いが生まれます。そもそも片栗粉はじゃがいものでんぷんが、小麦粉は名前のまま小麦が原料です。でんぷん100%の片栗粉に比べ、小麦粉にはでんぷんの他にたんぱく質が含まれることが調理の仕上がりを大きく変えます。
片栗粉を小麦粉で代用する方法
小麦粉にも、片栗粉と同様にでんぷんが含まれています。水と小麦粉を同量で溶かせば、料理にとろみをつけることも出来るので、いざというときには片栗粉の代用となります。ただし、小麦粉は片栗粉に比べて焦げやすく、料理の色味も変えてしまうため、代用する際には注意して下さい。また小麦粉はダマになりやすく粘度が弱いため、トロっとしてほしいが粘り気は要らないシチューやカレーなどを作るのに適しています。
小麦粉の種類
片栗粉の代用として考えられる小麦粉ですが、その成分で大きく3つに分類できます。薄力粉は、たんぱく質が8.5パーセント以下のもので、主にお菓子や天ぷらなどに使われます。中力粉は、たんぱく質が9パーセント以下で、主にうどんなどに使われます。そして強力粉ですが、たんぱく質が12パーセント以上で、パンやピザ、餃子の皮などに使われます。薄力粉、中力粉、強力粉の順番に粘度が高くなり、歯ごたえが増します。
つなぎとしての片栗粉
片栗粉の使い道として、ハンバーグやピーマン肉詰めなどの肉料理で卵の代わりのつなぎで使う事も出来ます。またお菓子作りでは小麦粉の代わりに生地として使う事も出来るので、小麦アレルギーのある方に活用できます。そのほか蒸したじゃがいもを潰してつなぎとして片栗粉を加え成形し、甘辛い醤油タレを塗って焼くと、片栗粉のモチモチとした食感が出てとても美味しいです。片栗粉を使えば、何とわらび餅やジェラートも作る事が出来ます。
お菓子作りの片栗粉
餡かけにとろみをつけたり、ハンバーグのつなぎに使ったり、唐揚げなど揚げ物の衣に使ったりする片栗粉ですが、意外なことにお菓子作りにも使われます。具体的には、わらび餅や水まんじゅう、ムースなどが片栗粉から作れます。そんなお菓子作りの時に片栗粉が無かった場合の代用には、タピオカ粉を使ってみると良いでしょう。タピオカ粉を使うと片栗粉と同じ様にモチモチとした食感に仕上がるのでおすすめです。
小麦粉で代用できない料理
それでもやはりあんかけ料理には片栗粉がマストです。というのもあんかけは適度に具材に絡む「とろみ」が重要になるからです。小麦粉では粘度が弱く、そのとろみが十分につかず、サラサラに仕上がってしまいます。反対に小麦粉を使うべきな料理がカレー、シチュー、クラムチャウダー等です。これらの料理はサラサラとした仕上がりにしなければいけないので、粘り気の強い片栗粉を入れてしまうとしつこい印象になってしまいます。
肉の下処理で使う片栗粉と小麦粉
肉を焼く前の下処理としても使われる小麦粉。そうすることで食材の旨味を閉じ込める役割があります。小麦粉を付けるとサクサク、カリカリ食感になります。一方で片栗粉をまぶすとモチモチ、しっとりとした食感になります。なのでソテーなどの、表面はカリッと、中はジューシーにしたい料理には片栗粉より小麦粉がおすすめです。揚げてから煮る料理にはしっとりとなる片栗粉が向いています。用途によって使い分けてみて下さい。
揚げ物で使う片栗粉と小麦粉
鶏の唐揚げなど揚げ物の衣として使う場合、片栗粉を使うと衣が白っぽく揚がり、表面がサクサクとした軽い食感になります。いわゆる「竜田揚げ」には片栗粉が使用されています。また、小麦粉を使うと衣がきつね色に揚がり、表面がカリッと硬く中がやわらかい食感になります。これらの特徴を踏まえて小麦粉と片栗粉を混ぜ合わせた衣にすると、個別で使うのとはまた違う食感を楽しむことができます。お好みでアレンジして下さい。
揚げ物に使える片栗粉の代用品
唐揚げなどの揚げ物にも欠かせない片栗粉ですが、無くなってしまった時の緊急事態に代わりに使えるものはあるのでしょうか?結論から言えば、既述の小麦粉だけでなく、コーンスターチや葛粉、米粉やじゃがいも、上新粉などでも代用できます。中でも葛粉には美容効果があると言われており、おすすめです。揚げ物をする際のカロリーや効果などで数多くある片栗粉の代用品から一つを決めると良いでしょう。
揚げ物にコーンスターチ
正直言って、片栗粉の代用品というには勿体無いほどの物が「コーンスターチ」です。あまり知られていませんが、揚げ物の衣にコーンスターチを使うとサクサクと軽やかな食感に仕上がります。その名の通りコーンスターチの原料はとうもろこしのでんぷんです。片栗粉よりもコーンスターチは粒子が細かいので、衣が薄く付き、油切れが良いのが特徴です。健康の為に小麦粉や片栗粉にコーンスターチを混ぜて揚げ物に使ってみて下さい。
揚げ物に米粉
ほかにも揚げ物の衣に使えるのが「米粉」です。うるち米を砕いている米粉は非常にキメが細かく、コーンスターチと同様に衣が薄く付きます。衣が薄い分、油を吸いにくいのでヘルシーで、食べたらカラッと軽い揚がり具合になります。ほんのりですが、お米の風味を感じることも出来るので、揚げ物に旨味をプラスしてくれます。米粉に溶き卵を加えた衣で揚げると、ふわふわでモチモチ食感の一風変わった揚げ物になります。
その他とろみやつなぎの代用粉や食材
揚げ物の衣やつなぎとして使う以外に、とろみを付ける用途での片栗粉の代用として小麦粉のほかに使えるものはあるのでしょうか?その選択肢は案外多くあり、考えられる候補としては、コーンスターチ、米粉、葛粉、天ぷら粉、じゃがいも、白玉粉、上新粉、サイリウム、レンコンパウダーなどが挙げられます。それぞれの特徴や片栗粉との違いを追っていきたいと思います。
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コーンスターチ
片栗粉の代わりとしてコーンスターチは使えるのでしょうか?じゃがいものでんぷんから作られている片栗粉に対し、コーンスターチはとうもろこしのでんぷんから作られています。ちなみに片栗粉は英語で「ポテトスターチ」と呼ばれています。小麦粉と同様にコーンスターチも、水と同量溶かせば代用することが出来ます。ただ、片栗粉に比べるとコーンスターチは粘りが弱いので、とろみを前面に活かした料理には向いていません。
米粉
米粉はその文字通りお米を砕いて細かくし、粉状にしたものです。米粉でも片栗粉の代わりにとろみを付けられますが、お米由来なので仕上がりで白色になってしまいます。なので透明なとろみを付けられる片栗粉に比べて、使う料理は選ぶ必要がありそうです。また米粉も片栗粉と同様に熱によってダマになりやすいので、必ず鍋に入れる前に水で良く溶いてから使うようにしてください。小麦アレルギーの方におすすめの方法です。
葛粉
葛切りやくずもちに用いられる葛粉は、元々「葛」という植物の根からデンプンを抽出したものです。しかし今では葛粉100%由来のものは高価である為、じゃがいもやコーンスターチ等を混ぜたものが多く出回っています。なので、葛粉でも片栗粉の代用としては使えます。葛粉はその商品によって葛の含有量が異なりますので、水で混ぜるときの分量は調整が必要です。成分表示をチェックするようにしてください。
天ぷら粉
天ぷら粉は片栗粉の代わりになるのでしょうか?天ぷら粉には片栗粉と異なり、小麦粉や卵、調味料などが複数入っていて、それだけに味が付いています。とろみは片栗粉よりもやや弱いとろみになります。片栗粉の代わりに天ぷら粉を揚げ物で使うとカラッと仕上がりますが、天ぷら粉自体に味が付いているので、具材に下味を付け過ぎると辛くなることもあるので注意が必要です。勿論とろみも味がかわるので、使える料理が限られます。
じゃがいも
今市販されている片栗粉のほとんど全てはじゃがいもから作られているので、片栗粉の代用として使うことができます。使い方としては皮を剥いて摺りおろしたじゃがいもとお水を、1対2の割合でよく混ぜ、ザルへ流し入れしばらく置きます。上澄みの水分を捨てれば、水溶き片栗粉として使用することができます。少々時間と手間がかかるのがデメリットですが、他の方法より片栗粉に近いので代用したいのならお勧めの方法です。
白玉粉
白玉を作る際の原料である「白玉粉」ですが、片栗粉が無い時の代わりに白玉粉は使えるのでしょうか?白玉粉はお米が原料で、仕上がりが白くなってしまう事を除けば、片栗粉の代わりとして使うことが出来ます。白玉粉は、比較的粒が大きいものが多いのでよく水に溶いてから使うよう注意が必要です。また白玉粉は砂糖が入っているものもあるので、成分表示をチェックしてから料理に使うようにして下さい。
上新粉
上新粉はうるち米を加工した粉のことで、主に和菓子の材料に使われます。かしわ餅や、月見団子などを作るときに使われるものです。上新粉を使って作る食品は作る過程で加熱する必要があります。実はこの上新粉も片栗粉の代用が出来るのです。使い方は片栗粉と同じで、水でよく溶いてから料理に加えればとろみ付けが出来ます。また片栗粉と同じ様に、つなぎとして使っても、揚げ物の衣に加えてもモッチリ感が出て美味しいです。
サイリウム
片栗粉の原料はジャガイモなので、糖質が含まれます。糖質制限がブームとなって、片栗粉の代用品となるのが、「サイリウム」というもの。エダウチオオバコというオオバコ科の植物由来で、片栗粉と同じように使えて便利、と話題になっています。あまりクセもないので、色々な料理に使いやすく、つなぎとしても使え、簡単にとろみがつけられます。さらにサイリウムには食物繊維も豊富に入っているので、便通改善に役立ちます。
レンコンパウダー
番外編として片栗粉の代わりに使えるものが「レンコンパウダー」です。食物繊維が豊富なレンコンの特徴である粘りの特性を活かしたのがレンコンパウダーなのです。片栗粉の代わりに餡かけ料理のとろみ付け、ハンバーグなどのつなぎにも使えます。その他、パンやホットケーキ、お好み焼き、クッキー等の生地に混ぜても美味しいです。きめ細かく大変舌触りが良いので色々な料理で使ってみて下さい。
片栗粉の代用は様々なものでできる!
片栗粉が無い時の代わりとして、色々なものが代用できます。手間を惜しまなければ、すり潰したジャガイモが一番片栗粉に近いのでおすすめですが、小麦粉や葛粉、コーンスターチ、米粉などでも代用できます。ただ、とろみを付ける餡かけ料理等では幅広く代用できますが、揚げ物の衣で使う場合は焦げやすいものや付きにくいものもあるので、注意が必要です。米粉や葛粉、コーンスターチは不向きといえます。