ロウニンアジは食べるとまずい?刺身など料理の味も併せて紹介!
ロウニンアジという魚は食べるとまずいと言われることもありますが、実は刺身がかなり美味とする声も上がっています。ロウニンアジは通常のアジに比べると家庭で食べる機会は少ないかもしれませんが、刺身を含めたさまざまな料理で食べる価値がある魚だと言えるでしょう。そんなロウニンアジとはどのような魚であり旬や値段はどうなっているのか、そして具体的なさばき方・料理をチェックしていきましょう。
目次
ロウニンアジは美味しく食べられる!
ロウニンアジは普段あまり食べる機会がないために食べるとまずいという意見を述べる人もいますが、実はかなり美味な魚であり刺身などの料理でも特有の美味しさを堪能できるとされています。ロウニンアジはかなり美味しいために他の魚以上に病みつきになる人も多いようですが、ロウニンアジはどのようにさばき食べるべきなのでしょうか?
今回は、意外なことに美味しいとされるロウニンアジを美味しく楽しむために知っておきたい、そのさばき方や具体的な料理についてみていきます。また、美味しいロウニンアジを食べるためにはサイズなどにも注意しなくてはなりませんから、ロウニンアジを取り扱う上での注意点も含め、ロウニンアジという魚について理解を深めていきましょう。
ロウニンアジとは?
ロウニンアジは名前にアジと入っていますが、確かにアジ科の魚ではあります。そんなロウニンアジは普段あまり食べることが少ない魚かもしれませんが、実は食用としてさまざまな料理で親しまれている地域もあるようです。そんなロウニンアジを刺身などで美味しく食べるためにも、まずはその特徴や性質、旬などについてみていきましょう。
ロウニンアジの特徴や性質
ロウニンアジはスズキ目スズキ亜目アジ科ギンガメアジ属に分類される魚であり、アジ科の中でも最大の種類の魚として釣り人には親しまれています。ロウニンアジは普段食べているアジとは似ても似つかないほどに大型になることが多く、成長すると群れをなさずに生息するようになります。最大で、180cmほどの大きさにまで成長するようです。
そしてロウニンアジという名前はその生態に由来しており、大型のものが単独で泳ぐ姿が浪人武士になぞらえられることでロウニンアジという名前になっているようです。そんなロウニンアジの見た目は小さな目と対照的な大きな顎が特徴的であり、外見はマダイなどに類似しているようです。その生息域は、100m以下の浅瀬となっています。
インド太平洋に広く分布していますが、日本近海では冬の寒さで死滅することがあるようです。しかし、日本国内でも南西諸島などを中心に釣りや食用として親しまれており、スキューバダイビングにおける観賞魚としても知られています。また、釣りにおいては大型で引きが強いことから人気となっており、大物を狙う釣り人もかなり多いようです。
ロウニンアジの味
日本近海においては関東以北では冬の寒さが厳しいために繁殖できないというロウニンアジですが、小笠原諸島や鹿児島県・沖縄県ではかなり広く食用として親しまれています。そんなロウニンアジの味はアジとはまた違った奥深い味わいだとして話題になっていますが、熱を通しても硬くなりづらい柔らかな食感の身が特徴となっています。
旬の時期のロウニンアジはほどよく脂がのっているとされており、やや粘性のある柔らかな甘みを楽しめる魚だと言えるでしょう。特に刺身であればその風味を存分に楽しむことができると言えますが、既述の通り加熱しても身が硬くなりづらいという特徴があるため、刺身以外にも煮付けや塩焼き、味噌汁などの料理で楽しむことができるようです。
また、ロウニンアジは鱗が薄く処理がしやすい一方で、皮はやや厚めとなっているので食べる前に調理する際には注意が必要です。そんなロウニンアジはある程度大きな個体の方が食味がよいとされている一方で、大きすぎる個体は食中毒の原因になりやすいという側面もあるので、そのようなデメリットも把握した上で食べるべきでしょう。
ロウニンアジの旬の時期
ロウニンアジはぜひ新鮮で最も美味しい状態で楽しみたいものですが、時期によっても風味が変わるものです。ロウニンアジは日本では南西諸島などを中心に釣り上げられることが多い魚ですが、そんなロウニンアジは基本的に通年楽しめる魚だとされています。しかし、特に秋以降には脂がのってより上質な状態の刺身を堪能できるようです。
よってロウニンアジの旬は秋から冬にかけてだとも言われていますが、この時期のロウニンアジは刺身にするとかなり脂がのっていてねっとりとした味わいを楽しむことができる魚だと言えます。そんなロウニンアジは沖縄などでは他の類似した魚も含めて「ガーラ」と呼ばれて親しまれており、兜煮や味噌汁でも美味しいと評判になっています。
関東圏・関西圏ともにあまり流通量が多いとは言えない魚ではありますが、その食味のよさは一度は食べておくべきだとも言えます。もちろんロウニンアジを食べる上ではそのさばき方を覚えておく必要がありますし、シガテラ毒などの注意点もあるものですが、ぜひ旬の時期のロウニンアジはフレッシュな刺身として味わってみてはいかがでしょうか?
ロウニンアジの値段
ロウニンアジの旬の時期は主に秋から冬にかけてだとされていますが、この時期のロウニンアジはぜひ刺身で楽しみたいものです。そんなロウニンアジに関しては値段も気になるものですが、ロウニンアジは実はあまり値段が高くないリーズナブルな魚として親しまれています。そのため、かなり手頃価格でゲットできることもあるかもしれません。
ロウニンアジはお伝えした通り「ガーラ」の一種として沖縄県では親しまれていますが、ガーラに含まれる魚はどのようなものであれそこまで値段が高くならないという特徴があります。ロウニンアジはかなり大型になることもありその大きさによっても値段が変わるものですが、あまりに大型のものはそもそも食用に適さないようです。
よって中くらいの大きさのロウニンアジを選ぶのがよさそうですが、その相場価格は大体1kgあたり500円前後であることが多いようです。高いものであれば1kgあたり800円ほどの値がつくこともあるようですが、かなり安価に美味しく楽しめることも多い魚だと言えるでしょう。だからこそ、ぜひ一度はその味わいを堪能してみたいものです。
ロウニンアジのさばき方
ロウニンアジの旬は秋から冬にかけてということですが、その時期のロウニンアジはぜひフレッシュな刺身でも楽しみたいものです。ロウニンアジはアジに比べるとかなり巨体のためにさばくのが大変だと思っている人も多いと思いますが、要点さえおさえれば案外簡単にうまくさばくことができるのでぜひ挑戦してみてください。
ロウニンアジのさばき方はアジと似ている?
ロウニンアジのさばき方は全くわからないと思っている人もいるかもしれませんが、そう焦ることはありません。アジに比べるとその外見や大きさなどでかなり違いのあるロウニンアジですが、実はそのさばき方に関してはアジに類似している部分も多いため、普段アジをさばいているようなさばき方を参考にして順序よくさばいていきましょう。
アジのさばき方は、まず頭部や内臓を除去してから腹を割って3枚おろしにし、そこから腹骨をすいた上で小骨も取り除いていきます。アジは小骨が比較的多いためにさばくのが面倒だと思っている人も多いかもしれませんが、実はロウニンアジもアジ同様になかなか小骨が多い魚のために、アジ同様に小骨を取り除く作業などを行う必要があります。
はじめは煩雑な過程がやや面倒臭いと感じてしまうかもしれませんが、慣れてしまえば案外簡単にロウニンアジはさばきさまざまな料理で楽しむことができます。その基本的な手順としてはまず、3枚おろしにすることが重要ですが、そこまで終えてしまえば刺身にするのも簡単ですしすぐに塩焼きなどにして楽しむこともできることでしょう。
ロウニンアジは3枚おろしにしてから刺身にさばく?
ロウニンアジを刺身にさばくときにはまず、身を3枚におろす必要があります。まずはロウニンアジの頭を切り落とした上で内臓を引き抜き、しっかりと洗いましょう。内臓は一気に引き抜いてしまうのがおすすめですから、できるだけスムーズに取り除くことを意識しましょう。それから、血合いの部分などが残らないように綺麗に洗い流します。
その上で腹に包丁を入れて割きます。包丁に中骨が当たるのを確認しながら、丁寧に包丁を入れていき、反対側からも包丁を入れます。それから頭側と尾側の身がつながっている部分を切り離し、まずは2枚におろします。この状態までくると、塩焼きや煮付けなどにぴったりとなりますから、ぜひここまでをまずはマスターしてみてください。
それから骨つきの方の身をさらに半分にカットし、3枚におろします。身を切り離した上で中骨をとって3枚おろしが完成となりますから、ここからさらに腹骨をカットします。骨に包丁を沿わせた上で出刃包丁などを使うと、簡単に腹骨をカットすることができるでしょう。その上で、小骨をピンセットなどで丁寧に取り除いていきます。
それから皮を引いて、あとは均等に切り分けて盛り付ければ、ロウニンアジの刺身の完成です。皮は手でも簡単に剥けますし多少は身に皮が残っていても美味しく楽しむことができるのでおすすめですが、刺身に切り分けるときには包丁の根元から刃先までをすべて使うようにし、手前側に引くようにして均等に刺身にしてみてください。
ロウニンアジを美味しく食べるポイント
お伝えしたようにロウニンアジはアジと大体同じ要領でさばくことができ、2枚おろしにすれば煮付けや塩焼きなどにもぴったりですが、そこからさらに3枚おろしにしてから刺身に切り分けるのがポイントとなります。そんなロウニンアジは美味しく食べるためにいくつかのポイント・注意点がありますから、それもチェックしていきましょう。
食用は大きすぎないものを選ぶ
ロウニンアジを美味しい状態で楽しむためには、どのようなロウニンアジを食べるかということが非常に重要となります。ロウニンアジは大きいものでは180cmほどになることもありますが、そのような巨体は食用にはあまり向いていないとされています。扱いづらい上に、食中毒などの危険性がどうしても高まってしまうので、不向きのようです。
そのため、ロウニンアジを特に美味しい状態で楽しむ場合には、大体3〜4kgほどのロウニンアジを意識的に選ぶのがポイントになります。特に刺身として美味しく食べられるロウニンアジは限られているとされていますから、あまりに大きすぎるロウニンアジは避け、中くらいの大きさのロウニンアジを選んで刺身などで楽しみましょう。
また、ロウニンアジは30cm以上もの大きな個体となると、食中毒の危険性が高まってしまうと言われています。ロウニンアジは巨体のものであれば特にシガテラ毒という毒を有している可能性が高くなってしまうので、健康のために食べるのは避けるべきのようです。実際に、あまりに大きいロウニンアジはほとんどがリリースされるようです。
確かにロウニンアジは大きければ大きいほど釣りの際の引きも強くなり、釣りごたえはあるかもしれませんが、食べる場合には大きすぎると安全に楽しむことができなくなってしまうものです。そのために、あまりに大きなサイズのロウニンアジが釣れたとしても大きすぎる場合には海に返すのがベストかもしれません。
大型ロウニンアジの「シガテラ毒」に注意
お伝えしたようにロウニンアジは大型のものであれば特に、シガテラ毒という毒に注意しなくてはならないとされています。このシガテラ毒というのは熱帯に生息する魚に特有の毒として知られており、食中毒の症状としては対象となる魚を食べてから数時間または数日以内に吐き気や下痢などの消化器官に症状が現れることが多いようです。
しかし、消化器官だけでなく神経系にもその症状が及ぶことがあり、そのような場合には不整脈や血圧低下などを経験することもありますが、感覚が麻痺するような症状が現れることも珍しくないようです。このようなシガテラ毒の症状は重症の場合には完治までに半年ほどを要することもあるようですが、海外では死亡例もあるようです。
そのため、ロウニンアジを調理して食べる際には細心の注意が必要だと言えますが、そもそもこのシガテラ毒とはどのようにして引き起こされるのでしょうか?シガテラ毒は実はプランクトンが産生する毒素が原因だとされており、日本国内でも沖縄などのサンゴ礁などに多く分布する毛藻が原因である場合が多いようです。
そして食物連鎖によって魚にも影響が出て、生物濃縮によって毒素の濃度が高まってしまうため、食物連鎖の上位に位置するロウニンアジのような魚ほど注意が必要だと言われています。特に大型のロウニンアジはシガテラ毒の毒素が強いとも言われているので、この点にも十分に注意した上で安全にロウニンアジを楽しんでいきましょう。
ロウニンアジの美味しい料理方法とレシピ
ここまでロウニンアジを美味しく食べるために知っておきたいその旬や値段、さばき方と注意点をチェックしてきました。ロウニンアジはあまりに大きすぎるものはシガテラ毒の危険性もあるので注意したいですが、新鮮なものは刺身でも美味しいようです。そんな刺身も含め、ロウニンアジを食べるときの具体的なおすすめ料理をチェックしましょう。
新鮮なロウニンアジは刺身で
ロウニンアジの食べ方としてまず圧倒的におすすめとなるのは、刺身です。ロウニンアジを調理する際にはシガテラ毒などにも注意しなくてはなりませんが、やはりその風味をできるだけダイレクトに楽しむためにも一度刺身で味わいたいものです。ロウニンアジを刺身で味わうときには、既述のような適切なさばき方をまずは実践しましょう。
ロウニンアジは旬の時期であればアジに比べてかなり脂身がありふっくらとした柔らかな身を、ほどよい粘性とともに楽しむことができます。そして特に脂身が多いものであれば、レモンなどの酸味を利用して楽しむのもおすすめですし、醤油ではなくポン酢につけて食べるのも美味しいとされているので、色々な食べ方で楽しんでみましょう。
もちろん薬味に関しても、普段使っているわさびをつけて食べても美味しいでしょうし、アジにはわさびよりも生姜派だという人は生姜をつけてもかなり美味なものを堪能できることでしょう。ロウニンアジは加熱調理しても身が柔らかいので重宝しますが、その食味を最もシンプルに味わうためには、ぜひ一度刺身にさばいて楽しみたいものです。
また、ロウニンアジのシガテラ毒は基本的に加熱調理でも処理できないことが多いですが、刺身の場合にはより安全性を考慮して楽しむ必要があると言えます。そのため、既述の通りできるだけ大きすぎる個体は避けてほどよい大きさ・重さのものを選びましょう。そして、できるだけ新鮮な状態でロウニンアジをさばくことも重要だと言えます。
口の中でふわっと解けるロウニンアジの塩焼き
続いて紹介するロウニンアジを使用したおすすめの料理は、塩焼きです。ロウニンアジは刺身でもかなり柔らかい身をその甘さを楽しむことができますが、塩焼きにするとまた違った味わいを楽しむことができます。アジはあまり塩焼きにして食べる習慣がない人もいるかもしれませんが、ロウニンアジはぜひ塩焼きにするべき魚だと言えます。
ロウニンアジは加熱調理しても身を柔らかいままで楽しむことができるのでかなりおすすめですが、まずはロウニンアジを二枚におろした上で必要であればさらに切り分け、塩をふって寝かせておきましょう。1時間ほど寝かせた上でしっかりと水気を切ってからグリルで両面を焼き上げていきますが、皮の面はじっくりめに焼くようにしましょう。
ロウニンアジの塩焼きはかなり身離れがよく食べやすいのが特徴的ですが、ほどよい甘みと繊維質の歯ごたえを感じることができるでしょう。そんなロウニンアジの塩焼きは特に脂がのった状態であればレモンやすだちなどをかけて楽しむのもおすすめとなります。とろとろに口の中でとろける新感覚の食感を、ぜひ体感してみてはいかがでしょうか?
旨味が凝縮されたロウニンアジの味噌汁
ロウニンアジは刺身や塩焼きなどの料理であれば特にロウニンアジ特有の風味を楽しめるのでおすすめだと言えますが、実は味噌汁にしてもかなり美味しく楽しむことができます。ロウニンアジを味噌汁に入れることで特有の旨味を追加することができますが、特に沖縄などではロウニンアジを入れる汁物料理は、庶民の料理として親しまれています。
ロウニンアジの味噌汁はあらなどの部分も無駄にすることなく楽しめるのが魅力的だと言えますが、あらの部分などは湯通しをした上で冷水で冷やし、ぬめりなどをしっかりと落としておきましょう。その上で身の部分と一緒に煮込んだ上で白味噌などで優しく味付けするのが望ましいですが、最後に刻みネギなどを散らすとより美味しいでしょう。
ロウニンアジからはかなり濃厚なエキスが抽出されるので、特に他に具材がないときでも風味豊かな汁物を楽しめるのが特徴的だと言えます。もちろん大根などの野菜をいちょう切りにして入れてもロウニンアジの味がしっかりと染み込んで美味しいですから、一般的なレシピだけに限らず、自分好みの具材や味付けで味噌汁を楽しんでみてください。
頭部も残さずに楽しめるロウニンアジの兜煮
ロウニンアジの身はかなり柔らかく刺身にしても美味しい上に塩焼きでもレモンをかければさっぱりめに味わうことができますが、そんなロウニンアジは頭部も余すことなく楽しめるのが嬉しいものです。ロウニンアジは頭部もかなり身がほぐれやすく美味しいですが、やや甘めの味付けで煮込むことでより食べやすくなるのでおすすめだと言えます。
ロウニンアジの頭部は刺身などにはあまり向いていないために刺身などの料理を堪能する際には捨ててしまうというケースも見受けられますが、実際には筋肉質ながらもかなり美味しい可食部となっているので、ぜひ兜煮にして楽しんでみてほしいものです。味付けは通常の煮付けと同じく醤油・みりん・酒をベースとし、好みで砂糖も加えましょう。
ロウニンアジの頭部は火が通りにくいと勘違いしてしまい加熱し過ぎることもありますが、適度な加熱時間でも十分に柔らかい身を楽しむことができます。もちろん頭部と一緒に腹部の身を同じ味付けで煮込んで部位ごとの味わいを食べ比べるのもアリですが、旬の時期の脂ののった状態は、このように刺身以外の料理でもかなり美味しいのです。
ロウニンアジを美味しく料理して食べてみよう!
今回は、気になるロウニンアジのさばき方や食べ方についてみてきました。ロウニンアジは通常のアジのさばき方を知っていれば案外簡単にさばくことができますが、新鮮なものは刺身などのシンプルな料理で楽しむことができます。そして刺身でロウニンアジを楽しむときには、あまり大きすぎるサイズは避けることがポイントとなります。
そんなロウニンアジは、刺身以外にも塩焼きや味噌汁などにして楽しむことができる人気の食用魚となっています。普段はあまりロウニンアジを意識的に選んで食べることがない人もいるかもしれませんが、そのさばき方を知っていれば美味しく楽しめますから、ぜひ旬の時期のロウニンアジをさまざまな形で楽しんでみてはいかがでしょうか?