コーレーグースの作り方&使い方は?沖縄の調味料の魅力を紹介
沖縄ならではの調味料「コーレーグース」はお好きですか?辛み成分が、アルコールによって染み出し、沖縄そばやチャンプルー、豚肉料理にちょっと足すだけで、沖縄ならではの風味をコーレーグースで楽しむことができます。このコーレーグースは手作りすることもできるので、基本的な作り方やアレンジした作り方、コーレーグースの使い方などをまとめました。また、辛み成分やアルコールを原料としているので、体によい効能もありますので、あわせて紹介します。
目次
沖縄オリジナルの調味料「コーレーグース」ってどんなもの?
沖縄の食堂や沖縄料理のお店などに必ず置いてあるともいえる「コーレーグース」は沖縄ならではのもので、ピリッとした辛みのある調味料です。一見、タバスコやラー油のようにも見えますが、オイルは使っていずに、アルコール漬けになっているので、サラっとしていて辛みがあり、沖縄のソーキそばなどに少し足らすだけで、辛みを加えてくれるものです。
「コーレーグース」は唐辛子全般のことを言う沖縄の方言ですが、朝鮮半島から伝わった唐辛子が薬として使われていたことから、「高麗の薬」という意味で「コーレーグース」といわれるようになったという説もあります。「高麗胡椒」という説もあります。このコーレーグースは、手作りすることもできます。コーレーグースの作り方と、おすすめな使い方、コーレーグースを食したときの効能などを紹介します。
コーレーグースの原料は?
コーレーグースはとてもシンプルな材料と作り方の調味料です。原材料は、島唐辛子と泡盛だけのものが多く、どちらも沖縄ならではの食材です。
コーレーグースの原材料「島唐辛子」
沖縄では唐辛子の中でも、キダチトウガラシという、一般的にみる唐辛子よりも小さくて丸々としたような小粒の唐辛子が栽培されています。これを「島唐辛子」といいます。ナス科の植物で、暑い地域であれば、プランターでの栽培もできます。たくさん収穫できたり、まとめて購入した場合は、乾燥させて保存することもでき、冷凍保存も可能です。一般的な唐辛子と同じように使うこともできます。
島唐辛子そのものを割ると、中からとても辛い成分がでてきます。これは、そのままではとても辛くて、痺れも生じるような危険なものですが、しょうゆやオイルに加えて、料理に使うこともできます。またアルコールに漬けることで、辛み成分がぬけて、その辛みを使った調味料がコーレーグースです。
コーレーグースの原材料「泡盛」
コーレーグースに使われるアルコールは泡盛で、米を使った蒸留酒で黒麹菌を使っています。作り方は比較的単純で、タイ米を黒麹を使って米麹にして、そこに水と酵母を加えてもろみにしてアルコール発酵させます。この仕込みは1回だけの全麹仕込みも、泡盛ならではの特徴で、焼酎は2度に分けて仕込みが行われます。発酵させたものは、単式蒸留機を使って、もろみの成分をほどよく蒸気に含ませて、古酒にも育つ泡盛となります。
コーレーグースに使う、泡盛はどんなものでもよいですが、古酒よりも比較的手に入りやすく、一般的に飲まれているようなものがおすすめです。コーレーグースに純米酢などの酢を合わせている場合もありますが、泡盛だけで漬け込んだものよりも、マイルドで旨味が増すといわれています。泡盛を造る時にできるもろみ酢を足している市販品もあります。
泡盛を使っているということで、アルコールに弱い人が、多めに使うと酔ってしまうこともあります。子どもや妊婦、アルコールの分解ができないような体質の人は、使かわない方がよいかもしれません。それでもコーレーグースの旨味を料理に加えたいときには、加熱してアルコール分を飛ばしてしまう方法もあります。
コーレーグースの辛さはどのくらい?
唐辛子の辛さを表す単位で「スコヴィル」というものがあります。唐辛子を一晩アルコールに漬け込み、この液に甘みのついた水を加えて、何倍まで希釈すると辛みを感じなくなるかという指標です。タバスコはおよそ3万に希釈すると辛みを感じなくなるので、3万スコヴィルといい、国産の鷹の爪はおよそ5万スコヴィル、ハバネロは30万スコヴィルともいわれます。島唐辛子はおよそ5万~10万スコヴィルで鷹の爪よりも辛みが強いです。
出典: http://noupro.jp
他の辛味のある調味料と同じで、コーレーグースが好きだからといって使う量を増やしていくと、中毒性のあるものです。あまりに辛味の強いコーレーグースを使い続けると、胃を傷めることもあるので、加減して使ってください。
コーレーグースに期待できる効能
コーレーグースに使われる島唐辛子の辛み成分は、カプサイシンと呼ばれる物質です。このカプサイシンには、殺菌作用、体を温めて血液循環をよくするといった効能があります。また、食欲不振の時には、少しカプサイシンの辛味があることで、食欲を増進させる効能にも期待できます。暑い沖縄ならではの、暑さに負けない体作りにも、効能があるのがカプサイシンです。
カプサイシンは食欲増進の効能だけでなく、新陳代謝をアップしてくれる効能もあるので、ダイエットしたい人にもおすすめです。汗をかきやすくして、血液の流れをよくして、むくみの防止や免疫力を上げるという効能にも期待できます。コーレーグースの好い所は、カプサイシンそのものを口にすると、刺激的な辛さで痺れることもありますが、泡盛のアルコールに、カプサイシンが溶け出して、マイルドな辛みと風味で効率的に口にすることができる点です。
島唐辛子に含まれるカプサイシンは、一般的なものに比べて3倍もあるので、活性酸素を除去してくれる効能も高いです。体の中の活性酸素を除いてくれることと、発汗作用で美肌作りにも効果が期待できます。コーレーグースは、料理にちょっと加えることができるので、効能をねらった使い方をして、ダイエットや美肌に役立てることができるのもコーレーグースならではです。
また泡盛そのものには、他のビールやワインなどに比べて、血液をサラサラにしてくれる効能が高くなっています。醸造で使われる黒麹菌には、活性酸素を除いてくれるポリフェノールの一種が含まれています。カプサイシンの島唐辛子と、泡盛の健康的な効能をあわせ持つコーレーグースは、体にとっても好ましい調味料ともいえます。
コーレーグースの作り方
コーレーグースの作り方は簡単で、島唐辛子と泡盛、それに保存用の清潔な瓶があれば作ることができます。島唐辛子が手に入りにくい時には、生の鷹の爪を代用する作り方もできます。また、泡盛が無い場合は、焼酎で度数が30度以上のものを代用できます。島唐辛子はヘタを取って洗い、1日陰干ししたものを使うこともありますが、干さないものでも使うことができます。
空き瓶をきれいに洗浄し、水気を切ったところに、表面をきれいに洗って水けをふき取り、葉や茎部分を落とした島唐辛子を詰め込みます。そこに、30度くらいの泡盛を注ぎ入れます。この時に、瓶の口元までいっぱいに注ぎ込むと、酸化を防ぐことにもなります。島唐辛子と泡盛の割合は好みですが、作り方の基本は島唐辛子10gに泡盛1カップくらいを目安にしてください。ここに酢を大さじ1~2程度合わせる作り方もあります。
1週間ほど常温で置いておくだけで、泡盛に島唐辛子の辛み成分が溶け出し、黄色っぽくなってきます。3~4週間ほど経ったらコーレーグースとして使うことができます。作る時には、ビニール手袋をはめるのがおすすめです。辛み成分が指先に残った状態で、顔などを触ってしまうと、ヒリヒリとして肌が赤くなってしまいます。流水で洗い流せますが、子どもや皮膚の弱い人が、直接島唐辛子に触れないように気をつけてください。
お土産用に売られている泡盛の小さな瓶詰めが手に入ったら、それを少し飲んで、そこに島唐辛子を入れてコーレーグースにしてしまう、という作り方もできます。泡盛の種類によって風味が異なるので、それぞれでコーレーグースを作って味わいを比べてみるという楽しみ方もできます。オリジナルのコーレーグースを作って、漬け込む時間も変えて、味わいが深くなるのも魅力です。
コーレーグースのおすすめな保存方法
コーレーグースは瓶に詰めていて、アルコールと辛み成分があるので、腐りやすいということもなく、常温での保存ができます。3か月以上漬け込んだものは、かなり辛くなりますが、あまりに長い期間、島唐辛子をいれたままにすると、雑味も出てくるということで、漬けた液だけを別の保存容器に移して、冷蔵庫で保存する方法もおすすめです。
コーレーグースは継ぎ足しもできる?
コーレーグースは中身が少なくなってきたら、島唐辛子の実がまだ赤いうちであれば、泡盛を継ぎ足すこともできます。島唐辛子から赤い色がぬけて、黄色や白っぽくなっていたら、もう旨みや香り、辛みも抽出されないので、泡盛を継ぎ足してもコーレーグースにはなりません。ただ、継ぎ足してから1週間以上置いた方が旨味もでます。赤いけれど、辛みや旨みがないのは、泡盛ばかりを継ぎ足しばかりしているものかもしれません。
数年経ったコーレーグースの中にある白くなってしまった島唐辛子は、辛さが抜けていて美味しいものではありません。ただ、赤味が残っているような数カ月漬けたものは、辛みもあるので、取り出して刻んで、炒め物や餃子の具材に混ぜ込んだりして使うことができます。辛味の強さは、その島唐辛子によって、だいぶ違うようなので、少しずつ加えて味をみてください。
コーレーグースのおすすめな使い方
コーレーグースのおすすめの使い方は、何といっても、熱い汁物、麺類に垂らすようにして辛みと旨み、風味を足す方法です。沖縄のラーメン、沖縄そば、うどんにはもちろん、カップ麺などにちょい足しした使い方もおすすめです。沖縄の豚の角煮などに少し垂らしたり、チャンプルーの味付けで少し加えたりする使い方もできます。コーレーグースは、サラサラとしているので、一気にかけすぎないように、気をつけて使ってください。
辛み調味料として、ラー油の代用品としての使い方もできます。餃子のタレに少し加えたり、麻婆豆腐を食べる時に少し加えたりできます。またお刺身を食べる時に、しょうゆに少しコーレーグースを加えた使いかたもおすすめです。沖縄では、コーレーグースではなくて、生の島唐辛子を割ってしょうゆに辛みを加えた使い方もしています。
意外な使い方もできるコーレーグース
和食や沖縄料理だけでなく、イタリアンや洋食メニューにもコーレーグースは使えます。タバスコの代わりに、ピザやナポリタンなどのパスタを食べる直前に、垂らして使います。みそ汁や納豆に少しコーレーグースを加えると、発汗作用が働くので夏の暑いシーズンにもおすすめな使い方ができます。
コーレーグースを使って、簡単に作ることができる沖縄料理風なものに、そうめんチャンプルーがあります。フライパンで、豚肉やイカ、ニンジン、玉ねぎなどを塩こしょうで炒めて、そこに茹でておいたそうめんを加え、顆粒だしを加えて仕上げに、少しコーレーグースを垂らすと、おつまみにもおかずにもなります。また、アジの南蛮漬けなどの調味料の中に、コーレーグースを少し加えると、ピリ辛の南蛮漬けとなっておすすめです。
炒め物をする時に、フライパンに味付けとしてコーレーグースを加えて、具材を炒めると、コーレーグースのアルコール分がとぶので、子どもでも食べられるものになります。ただ、辛さはあるので、あくまでも隠し味としての使い方がおすすめです。
コーレーグースの他にもおすすめな沖縄の調味料
沖縄にはコーレーグースの他にも、独特の調味料があります。「石垣島ラー油」はテレビでも紹介されることが多く、島唐辛子の他にもウコンなどの香辛料が入った人気のラー油です。「ピパーツ」「ヒバーチ」というのは、粉になっている島こしょうともいわれるスパイスで、シナモンと八角をまぜたようなほのかな甘い香りに爽やかな辛みが特徴です。ラーメンにかけてもよいですし、炒め物にこしょうの代わりにふりかけても使えます。
油みその「あんだんすー」も沖縄ならではの味噌で、辛みがないので、子どもからおつまみとして大人も味わえるものです。細かく切った豚の脂身を味噌、砂糖、泡盛で炒めて煮込んだもので、ほんのりと甘みがあって、沖縄では家庭ごとで作られ、おにぎりの具にしたり、野菜スティックにつけて食べたりします。
他にも、ミネラルたっぷりのサトウキビから作られる黒糖や、香りと酸味が強いシークヮーサー、ぬちまーすと呼ばれる海水から抽出されたミネラル豊富な塩などもあります。お菓子や泡盛といったお土産とあわせて、沖縄ならではの、コーレーグースや調味料を旅の思い出に購入して、家でも沖縄らしい料理を楽しむという使い方もおすすめです。
コーレーグースは沖縄料理だけでなく楽しめる調味料!
コーレーグースは、泡盛のアルコールによって、島唐辛子の辛味成分が染み出た調味料です。ラーメンや炒め物に加えるだけで、刺激的な辛さ、香り、そしてアルコールのまろやかなうま味も一体化して、料理の味わいをアップさせてくれます。沖縄料理だけでなく、さまざまな料理に使える調味料なので、手作りしたものでも常備して、料理の味付けの幅を広げてください。