コーヒー粉の正しい保存方法とは?おすすめの容器と場所や賞味期限について
コーヒー粉を保存するとき、どうしていますか?一度焙煎してあるから大丈夫、と思って、ただそのまま袋の口を閉じただけで棚にしまったりしていませんか?確かにコーヒー粉は先に焙煎処理した豆を挽いた物ですから、そのままでも長期保存可能と思えるかもしれません。ですが実はコーヒー粉は、保存方法で賞味期限が大きく変わるのです。コーヒー粉の正しい保存方法と、保存に適した容器や収納場所なども紹介します。
目次
コーヒー粉の保存方法はどうしていますか?
近頃はスーパーでもコーヒー豆をその場で挽いて買ってこられるようになったり、こだわりのコーヒー豆専門店も人気を集めています。始めはカフェで飲んでいただけだったコーヒーも、家電店でも家庭用サイフォンが普通に売られ、自宅で気軽にカフェ気分を味わう人も増えています。ですが、肝心のコーヒー粉の保存方法は知らない人も多いのではないでしょうか?そんなコーヒー粉の保存方法を紹介します。
コーヒー粉は実は生鮮食品
コーヒー豆はすでに焙煎された状態で売られています。焙煎しているからには保存が効く、そう思っている人も多いことでしょう。ですが実はそれは大きな間違いです。コーヒー豆は時間とともに酸化し傷んでいきます。問題はそれが目に見えてわからないことです。プロの売り手ですら、香りで確認することがほとんどです。ましてや挽いて粉になっているコーヒー粉は、豆よりも傷みやすい生鮮食品なのです。
コーヒー粉は保存期間を長くできる真空パックができない?
実はコーヒーの香りは、新鮮なコーヒーに含まれているガスにあたります。新鮮であればあるほど香りが良いのは、このガスのおかげと言えます。鮮度の良い豆ほどこのガスの量が多くなるため、パック時に一時的に真空状態にはできます。ですが日が経つにつれてこのガスがコーヒー豆から出て行くため、真空状態を解いてしまうことになるのです。逆を言うと真空パックができない豆ほど新鮮ということになります。
コーヒー豆をお店で挽く前に、袋の状態を確認してみてください。もし賞味期限もまだまだ余裕がありながら、袋が軽く膨らみ始めているコーヒー豆は、元々が新鮮で品質の良い豆であるという証拠です。コーヒー粉のパックでも同様です。特にコーヒー粉は挽かれているためにガスが抜けやすく、いつまでもぴっちり真空状態の商品は、すでに香りの素であるガスが抜け切っているため避けたほうが無難です。
コーヒー豆からコーヒー粉にした時点で劣化は始まっている
コーヒー豆ですら生鮮食品です。コーヒー粉は挽くことによって表面積が広くなるため、豆以上に酸化しやすく香りも抜けやすくなっています。メーカーの工場での製造段階で劣化が始まってしまう、文字通りの生鮮食品なのです。コーヒー粉は購入したら開けていようといまいと関係なく、賞味期限の短い飲み物として早めに使い切るようにしましょう。
コーヒー粉の保存に適した保存容器
コーヒー粉が生鮮食品であることはわかりました。食品にはそれぞれ適した保存方法と保存場所があります。コーヒー粉の場合はどう保存するのが最適なのか、まずは容器から検討してみましょう。
コーヒー粉の保存で気をつけたいこと
コーヒー粉を保存する容器を選ぶ前に、まずはコーヒー粉を早く劣化させる原因を探ってみましょう。コーヒー粉が苦手とするものは、湿度・酸素・温度・光です。元々コーヒー豆も湿度には弱く、目に見えない小さい穴が一杯開いているため、周囲の湿気をすぐに吸収してしまいます。コーヒー粉はさらに細かくなったことでこの穴が表面にも多数開いているため、豆以上に湿度に弱くなってしまっています。
コーヒー粉の穴が吸収しやすいものは、湿度だけではありません。酸素も吸収しやすく、結果非常に酸化しやすくなっています。コーヒー粉が酸化してしまうと、後味も悪くなり変に酸味のあるコーヒーになってしまいます。さらにそこに温度が加わると、酸化速度が上がってコーヒー粉の劣化が早まってしまいます。温度が10℃上がると賞味期限は半分になる、と言われるくらい違いが出てしまいます。
出典: https://tiful.jp
コーヒー粉を劣化させる最後の原因の光は、正確にはその光の中に含まれる紫外線による劣化です。紫外線は蛍光灯の中にも含まれているため、直射日光に当てなければ大丈夫、ということにはなりません。もちろん直射日光は論外です。強い紫外線を含む日光に当ててしまうと、あっという間に劣化してしまいます。時間によっても日当たりは変わるので、コーヒー粉を使うときにも日当たりのいい場所で淹れるのは避けましょう。
コーヒー粉は密封保存しよう
コーヒー粉の苦手なものがわかったところで、保存に適した容器を選びましょう。まずは湿気が苦手なので、密封できる容器がベストです。除湿材も一緒に入れるとなお良いでしょう。今では除湿材も普通に買うことができるので、一緒に入れておくと良いでしょう。酸素が苦手という点でも、密封容器に脱酸素材も入れての保存がおすすめですが、問題は残りの2つです。温度と光を避けるには、置き場所を考える必要があります。
保存場所によっては、容器が大きすぎてもかさばっても不便です。湿度や酸化を避けやすくするには、小分けにできる密封容器が望ましいです。小さい密封袋に小分けに入れてから大きい密封袋に入れて保存するのが、一番保存場所にも困らず便利です。専用に保存場所を用意して、専用の密閉容器で保存するときも、小分けにしてから容器に入れておけば、その時々で必要な量だけ取り出しやすくすることができます。
コーヒー粉の保存に適した場所
湿度・酸素・温度・光を避けられる、コーヒー粉に適した保存場所はどこでしょう?常温保存で考えれば涼しくて風通しの良い冷暗所、温度を常に低く一定に保ちやすい場所となると、冷蔵庫や冷凍庫ということになります。それぞれの場所を、容器の置きやすさも含めて比較してみました。
コーヒー粉を冷暗所で保存する
風通しが良く直射日光の当たらないところに風通しを阻害しない網カゴを置いて、コーヒー粉を入れた容器を隙間を開けて入れると、湿気も熱もこもりにくい状態で保存できます。コーヒー粉をよく使う場所にこのような保管場所を作っておくと、コーヒー粉を使いやすい状態で保存できます。
コーヒー粉を冷蔵庫で保存する
コーヒー粉を冷蔵庫で保存するときには、いくつか気をつけたい点があります。まずはしっかりと密封容器に入れることです。実は冷蔵庫の中はかなり湿度が高いので、しっかりと密封しておかないと、あっという間にコーヒー粉が湿ってしまいます。さらに出すときに外気温との差で結露しやすく、そういう点でも湿りやすい欠点があります。しっかりと密封容器に入れ、手早く出し入れをし、結露は軽くふき取ってから使いましょう。
コーヒー粉は冷凍保存がおすすめ
コーヒー粉の保存方法として、一般的にプロが一番おすすめとしている保存方法は冷凍保存です。冷蔵庫で保存するときと同様に、なるべく小分けにしてから密封容器に入れます。特に夏場のように冷凍庫が一杯になりやすい時期は、大きい容器だと場所分けもしにくくて大変です。密封袋を使えば薄く延ばして入れることもできるので、場所の調節もしやすくて便利です。
冷凍保存したコーヒー粉の解凍方法は?
冷凍保存したコーヒー粉は、元々湿気を含んでいる量が少ないため、ほとんど固まりになりません。そのため冷凍状態のままコーヒーメーカーにセットしても、時々玉になっている部分はあるものの、指で軽く押すだけで簡単にほぐれます。むしろ解凍するときの結露のほうが問題になるので、冷凍庫から出したらすぐにコーヒーメーカーにセットしましょう。
コーヒー粉の保存方法別の賞味期限
コーヒー粉の保存方法別の賞味期限は、冷暗所では夏季は3日~5日ほど、冬季で7日~15日ほどです。冷蔵庫での保存の場合は2週間~3週間ほどですが、頻繁に冷蔵庫を開け閉めするようだと、かえって温度変化が大きく劣化を招くため、冷凍保存したほうがおすすめです。冷凍保存の場合は1ヶ月~3ヶ月ほど保存することができます。
ただし最初のほうでも紹介したように、コーヒー粉は生鮮食品です。賞味期限内ではありますが、香りははっきり劣化していきます。特に冷蔵庫で保存するときは、きちんと密封できていないと湿ってしまうばかりか、冷蔵庫内の臭いまでコーヒー粉が吸ってしまって、せっかくの香りが台無しになってしまいます。冷凍保存でも香りは劣化していくので、賞味期限はあくまで目安であって、少しでも早く飲みきるようにしましょう。
コーヒー粉はまとめ買いとまめに買うのとどちらがおすすめ?
コーヒー粉が生鮮食品である以上、なるべくなら1週間~2週間で飲みきれる量を買うほうが、味も香りも良い状態で楽しめます。ですがコーヒーのためにそこまで時間を取れない、そこまでこだわれない、と言う人だって当然多いです。ですので上手に保存することで、生活サイクルに合わせて購入するのでも問題ありません。あくまで大切なことは、美味しくコーヒーを楽しむことだからです。
美味しいコーヒー粉の買い方は?
コーヒー粉の保存だけ上手になっても、肝心のコーヒーの味が口に合わなかったら意味はありません。スーパーなどですでに袋詰めになっているものを買う場合には、なるべく賞味期限が先のものを選ぶだけですが、コーヒー専門店でコーヒー粉を買う場合には、いくつか参考になるチェックポイントがあります。もちろんあくまで参考ではありますが、豆で買うときも同様なので選ぶときには思い出してみてください。
コーヒー豆を店舗内で自家焙煎しているか
コーヒー豆を先に他所で焙煎してから売っているお店の場合、焙煎直後から豆の劣化が始まっているため、どうしても鮮度に問題が出てきます。鮮度はそのまま味と香りの質に直結するため、買って帰ってから上手に保存しても、満足できない可能性が高くなります。コーヒー豆を買うときは自家焙煎のお店を選びましょう。近くを通ってコーヒーを煎る香りがしてくるお店なら、一番間違いがないでしょう。
焙煎後のコーヒー豆の保存方法もチェック
いくら店内で自家焙煎しているお店でも、ひっきりなしにお客さんが通ってくるような人気店ならともかく、商品の在庫状況に合わせて焙煎しているのが通常です。当然のことながら、お店での焙煎後の豆の保存方法も、品質に大きく関わってきます。冷凍保存しているお店が良いのは言うまでもありませんが、賞味期限もその場で確認すればいっぺんに焙煎して保存している店か、状況に合わせて焙煎している店かも判断できます。
コーヒーの種類の多さはお店の規模と合っている?
コーヒー店の規模やお客さんの入りに対して、置いている豆の種類が多すぎるお店は避けたほうが無難です。コーヒー豆の種類が多くなれば、当然売れ残りやすい豆も出てきます。お店の中を見回して知らない名前のコーヒーが多かったり、やたら希望もしていない種類の豆を勧められるようなお店は、売れ残りが出ている可能性も否定できず、売れ残った豆の鮮度は当然落ちていることが考えられます。
コーヒー粉は粗挽き?中挽き?細挽き?
コーヒー粉はその挽き方でも、味がはっきり変わります。スーパーで豆を粉に挽くときに、なんとなくで選んでいる人も多いことでしょう。大体のお店では、通常コーヒーミルの設定を中挽きにしてあります。つまり中挽きが基準の味、と考えて問題ありません。では粗挽きにするとどうなるかと言うと、粉の粒が大きくなるためお湯に触れる面積が少なくなり、味は薄めながら優しい味わいになります。
中挽きは程良い一般的な味に、細挽きだとお湯に触れる面積が最も多いために、濃度の高いいわゆる濃い目の味になります。コーヒーは嗜好品ですから、好みに合うように挽き方をいろいろと試してみるのもおすすめです。好みの飲み方としては、以前流行った言葉に「粗挽きネルドリップ」と言う言葉があります。これはコーヒーの入れ方を指していて、粗挽きのコーヒー粉を2倍使って煎れた、かなり贅沢な飲み方を指します。
元々は缶コーヒーの宣伝文句で使われた言葉ですが、実際にやるとなるとなかなか勇気のいる飲み方と言えます。コーヒー粉を2倍にすることで、それなりの濃さもありながら粗挽きならではの優しい飲み口と、そのコーヒーの個性あるテイストをはっきりと感じられる、とても大人な飲み方と言えます。ただしお財布には重いので、たまの贅沢として楽しんでみてはいかがでしょうか?
コーヒー粉の鮮度の見分け方
コーヒー粉を買ってきた後、他に買ってきたものに埋もれてしまっていたり、他のことに気を取られているうちにすっかり忘れてしまっていたなど、後で気が付いたけどいつ買ってきたコーヒー粉かわからなくなってしまった、ということはありませんか?賞味期限内であっても、保存方法次第では味がまったく変わってしまうのがコーヒーです。そんなコーヒー粉の鮮度を、簡単に見分けられる方法があります。
コーヒー粉の鮮度を見分けるには、コーヒーフィルターに入れてお湯を回し掛けて注いでみる、ただそれだけでわかります。コーヒー粉が新鮮さを保っていれば、お湯をかけるとふんわりと膨らんできます。これが鮮度の低いコーヒー粉の場合は、膨らまずにフィルターに張り付くだけです。本当に保存の悪い痛みきった粉の場合、木の皮とコルクが混ざったような変な香りがすると言う人もいます。
ただしこの方法でわかることは、あくまでコーヒー粉の鮮度であって味の良し悪しではないことです。味の悪いコーヒー粉でも、新鮮であれば綺麗に膨らんでいきます。逆に味の良い本来は高品質だったコーヒー粉でも、鮮度が落ちればまったく膨らまなくなります。あくまで鮮度の良し悪しの判断方法であって、味の良し悪しの判断方法ではないことだけ、間違えないようにしてください。
コーヒー粉を上手に保存して美味しいコーヒーを楽しもう
近頃は買えるコーヒーの銘柄の種類も増え、自宅でも手軽にカフェ気分を味わえるようになりました。コーヒー粉の保存ひとつで、豊かな香りと深い味わいを長く楽しむことができます。こだわりの銘柄ができたら、次はコーヒーの保存方法にこだわって、いつまでも素敵なコーヒータイムを楽しんでください。