ヒイラギという魚の捌き方は?唐揚げ・刺身など食べ方や味も調査!
ヒイラギを知っていますか?樹木ではなく、魚のヒイラギです。高級魚とかいうわけではありません。ひとクセもふたクセもありそうな、ヒイラギを調べてみました。扱いに注意の必要なヒイラギの捌き方から調理の仕方まで、手に取り足に取るように説明します。なんとか捌き終えたヒイラギの、おすすめの食べ方もいくつか紹介します。また、ヒイラギの味がどのようなものなのかも、併せて報告していきます。
ヒイラギという葉っぱみたいな魚がいるらしい
スズキ目ヒイラギ科に分類される魚で、本州中部以南から台湾にいたるまで分布します。湾内や汽水域に棲息する小型魚です。沿岸において、地引網などや釣りによって獲られる魚で、群れで行動するために一度に数多くが捕獲されやすい。尾に近い部分にかすかな鱗があるが、ヒイラギの体全体に鱗はありません。このヒイラギという魚も地方によって、呼び名はバラバラです。
ヒイラギは、大きなものは15cmに達するものもあるようですが、だいたい10cm前後のものがふつうです。体は平たく楕円形に近く、体色は青みがかった銀白色で、後頭部に黒褐色の斑点があります。背びれの前半部も黒くなっています。広葉樹ヒイラギの葉と形が似ていて、背びれや腹びれが鋭く、人に痛みを与えるところからも、同じ名前が付いたようである。ヒイラギは肉食性で、海底にいるベントスを捕食する魚です。
餌を採る際には、前方下方に、小さな口を筒のように伸ばすことで、小動物を捕獲します。
ヒイラギってどんな魚?
ヒイラギはお腹が光る魚
ヒイラギは、いくつか変わった特徴をもつ魚です。そのなかの一つに、腹部が光るという現象があります。ヒイラギという魚は、体表に特殊な粘膜を発生させて、普段からテカテカした輝きを放つ魚です。それとは別に、ヒイラギは、食道にあたる所に発光バクテリアを共生させることで、海中の暗い場所に居ても腹部から光を発生させることができます。このことが、光る魚といわれる所以です。
ヒイラギは釣り人の嫌われ者?
ヒイラギの呼び名が、地方によって異なることは前に述べました。そのなかに、ネコゴロシとかネコクワズ、ネコナカセ、ネコマタギなどと、猫にまつわる名前がけっこう多くあります。それらの名前から、ヒイラギが釣り人に嫌われたワケが、想像できるような気がいたします。けれども、ヒイラギは好かれる人には好かれているのです。ヒイラギが嫌われたり、好かれたりする事情を紹介していきます。
ヒイラギは、全国区の魚ではありません。関東地方以北では見かけないうえに、食用の対象となっていないことがふつうです。嫌われる理由としては、ヒイラギが平たい小型の魚で可食部が少ないという点が、はじめに挙げられるでしょう。さらに、普通の魚以上にヒイラギは、ヌルヌルとしていることと、鋭い背びれが手を傷つけやすいということがあります。つまり、うまみが少ないうえに、取り扱いに手間暇がかかることにあります。
同じヒイラギが関西以西になると、高値で取引されるようなことまであります。ヒイラギを見知らぬ方は、鯵を想像してください。身質も鯵に似た白身です。しかし、味を承知した人は、鯵なんてものじゃない!と言います。つまり、知る人ぞ知る、という魚なのです。ヒイラギの食べ方、捌き方については、後ほどの章で、詳しく紹介いたします。
ヒイラギは釣り上げると鳴く魚
前にも述べたように、ヒイラギの口はけっして大きくなく、唇も薄いのですが、採餌の際には筒のように伸ばすことができます。その口内にある、上下の咽頭歯をこすり合わせることで、ヒイラギは音を発することができるのです。それが、釣り人などには、ギィギィという鳴き声に聞こえます。鳴いたり、光ったりと、ヒイラギはたしかに変わっています。
ヒイラギの背びれに注意!
ヒイラギの名前の、「ヒイラ」という言葉は、古語の「ひひら・く」という自動詞からきています。意味は、「切って焼いたようにうずいて、ずきずき痛む」ということです。ヒイラギの背びれの8棘条や尻びれの3棘条、腹びれの1棘は、いずれも鋭く発達していて、これが刺さったら「ヒイラ」くに違いありません。ヒイラギが敬遠される、理由の一つになっているのも理解できます。
ヒイラギの捌き方を解説!
これまでに紹介したいろいろな事情から、ヒイラギを見かけない地方もあり、したがって、食べたことも食べ方も、ご存じない人も少なくないと思います。ヒイラギはもちろん釣ることもできますが、ヒイラギだけを狙って釣りに出る人はあまりいません。地引網や底引き網で、いわゆる雑魚として漁獲されるケースがほとんどです。そんなヒイラギの食用魚としての特徴や捌き方、食べ方を、ここから詳しく紹介していきます。
捌く前にヒイラギという魚の特性を知ろう
食べるためのヒイラギは、ここまで幾度も述べた、魚体表面のヌルヌルとした触感と鋭い棘に注意することの他、鱗がほとんどなくて、その皮は薄くて弱いこと、骨は柔らかく、血合い部分は薄く透明感のある白身である、ということです。また、小型魚で白身の魚ですが、その肉食性の食性のせいか、脂質はけっこう高い味の魚です。ヒイラギの表面のヌルヌルは、扱いにくさだけではなく、いろいろな利点もあるのです。
なによりも、ヒイラギの鮮度を判断するのには、このヌルヌル度が一番です。生きの良いものほどヌルヌルしています。これを確認したうえで、ヒイラギをどんな料理に仕上げるか、捌き方も決まってきます。刺身などは、当然ヌルヌルのヒイラギでなくてはなりません。また、潮汁などにする場合は、このヌルヌルを取り切らないで活かす、ニロギ汁という食べ方もあります。ヒイラギのヌルヌルは、旨味成分も多く含んでいるからです。
いよいよヒイラギという魚の捌き方です
釣り上げた場合も、購入した場合も同じですが、ヒイラギのヌルヌルが他の魚に移らないように、別々にして持ち帰る必要があります。ヌルヌルを活かす料理の場合をのぞいて、まずは、ヒイラギのヌルヌルを大ざっぱに取り除きます。このヌルヌルは、毒を含んでいたり、味がまずいという成分ではないので、神経質になることはありません。大きめの、刺身に下ろしたくなるようなヒイラギならば、一匹ずつ水洗いするだけでかまいません。
小さめで数も多い場合は、ザルにあけて塩を多めに振りかけます。柔らかい材質のスプーンなどで撹拌します。この時に、素手で撹拌しないでください。背びれなどに触れて血だらけになり、作業中止に追いこまれかねません。後は、流水で流せばOKです。水気をよくふき取ってから、ヒイラギの捌き方に入ります。
ヒイラギの捌き方は、二通りあります。頭を落とすか、残すかで分かれます。頭を残す捌き方の場合は、ヒイラギの後頭部から肛門にかけて、胸びれを外すように切り落とします。この時に、内臓も一緒に取り除けます。頭を残す捌き方の場合は、ヒイラギの肛門から顎下にかけて包丁を入れます。水洗いしながら、残った内臓を取り除き、エラ蓋の内側にある、赤いぎざぎざのエラも指で引っ張って除いておきます。
この時期(6月中旬ころ)には、捌き方で気をつけなければならないことがあります。この時期のヒイラギのオスには白子が、メスには卵が孕まれています。白子も卵も珍味です。肛門のすぐ後ろ、腹びれの始まりあたりの、上になる部分にあります。これを傷つけないように取り置いておかねばなりません。後は、ヒイラギの中骨に沿って包丁を入れて三枚に下ろし、腹骨をすきとり、皮を引けば刺身のできあがりです。
その他の料理の場合に、ここで注意したいのは、食べ方が焼物や煮物いずれになるにしても、お子さんの危険を避けるために、背びれや腹びれは外しておいたほうが無難であるということです。画像の黄線や青線に沿って、包丁で切り落としておくことです。家庭でなら、キッチンバサミのほうが、捌き方が楽かもしれません。
下準備を終えたヒイラギたち
画像の左側にある、白っぽいのがヒイラギの白子で、赤っぽいのが卵です。両方とも食べ方は、軽く霜降りをしてから、ぽん酢で食べるのがよろしいでしょう。小さくて物足りない分、その味はより感動的になるはずです。ヒイラギにかぎらず、どんな白子も卵も、新鮮であればその味が、不味かろうはずがありません。
ヒイラギのおすすめの食べ方
大き目のヒイラギで作ってみたい刺身
たしかに、刺身にしても姿、形は、鯵に似ているとは思います。しかし、鯵よりも身は透き通っていて、白身もきれいです。さて、その味は?ですが、これが、思いのほか脂がのっています。食べた人は、たぶん「ヒイラギの握りが食べたい!」と、連想するはずです。刺身でもそうですが、握りで食べたら、わさび醤油はさらに活きてくることでしょう。そして、ぽん酢で食べても絶品です。
もう一方、このヒイラギの刺身に出会ったら、やはり思いつくのは昆布〆です。その日に食べきれないほどのヒイラギが手に入ったのなら、絶対に昆布〆にするべきです。刺身とは、また異なったヒイラギの旨味が引き出されるはずです。そのヒイラギの昆布〆を、押し寿司にしてもよろしいのではないでしょうか。ほんとうに品の良い味の白身です。美味しいヒイラギを目の前にしていると、返す返すも身の小さいことが残念でなりません。
小振りのヒイラギにおすすめの唐揚げ
小さめのヒイラギの定番の食べ方は、やはり唐揚げです。頭なし、頭付きでもどちらもいけます。捌き方を終えたヒイラギは、水気をしっかりふき取ってから、塩、胡椒をふって、同割の片栗粉と小麦粉をまぶします。下揚げの方法は、二通りあります。160度くらいの低温の油でじっくり骨まで火を通す方法と、電子レンジで、ヒイラギの量にもよりますが、ラップをかけて5~6分加熱する方法です。この方法はヘルシーでもあります。
そして、下加熱したヒイラギが常温近くまで冷めてから、180度の油でこんがりとしたキツネ色になるくらいまで二度揚げをします。これで、鯵よりキスより旨い味の、ヒイラギの唐揚げになります。相当に大きなヒイラギでなければ、これで骨も気にならないはずです。この唐揚げを、出汁や酢、ミリン、醤油、砂糖、鷹の爪などを加えてひと煮立ちさせた南蛮酢に落として、味をしみこませればヒイラギの南蛮漬けができます。
たくさんのヒイラギが手に入った場合は、この食べ方にかぎります。唐揚げも旨いですが、南蛮酢がしみこんだヒイラギの味も格別です。第一、日持ちがします。1週間は大丈夫です。焼ねぎや薄切りの玉ねぎ、ピーマン、ニンジンをいっしょに漬け込めば、ヘルシーさも完璧です。南蛮酢の酢が身や骨を柔らかくする作用もあります。これで、夏バテ対策もバッチリの食べ方です。
ヒイラギの煮魚のレシピ
ヒイラギの煮魚のレシピを紹介します。ヒイラギの煮魚は、特徴を活かすためにヒイラギの体表にあるヌメリを、あえて取り除きません。それによって、自然の旨味が加わって、どんな料理人のレシピより旨い味の、ヒイラギの煮魚ができあがるはずです。ヒイラギの脂を考慮して、やや濃いめの味に仕上げます。煮汁は、酒100cc、ミリン大さじ1、砂糖大さじ2、薄切り生姜1かけ分を、鍋で煮立たせます。
煮汁が煮立ったら、ヒイラギを重ならないように並べます。弱火にし、落し蓋をして3分煮ます。醤油を加えたら、煮汁が少なくなるまで煮て完成です。
ヒイラギの骨せんべい
ヒイラギを唐揚げにして食べる場合は、それはそれでけっこうです。刺身にして食べた場合、頭や中骨が残ります。それを唐揚げにして食べれば、これまた、最高だと思います。すべてを食べつくす、食の心にも叶います。中骨は唐揚げで紹介しましたように、やはり電子レンジにかけたほうが、簡単でしょう。油は二度揚げのためだけに使用します。同じく、180度の揚げ油で、こんがりキツネ色に揚げます。
ヒイラギを釣ったら料理を作って食べてみよう
前にも述べましたように、ヒイラギを釣る場合に、ヒイラギをターゲットに釣る人はいないようです。キスなどを釣りに行って、ヒイラギを釣って帰って来てしまった、というの現実のようです。けれども、ここまでみてきたところでは、ヒイラギのその味は、なかなかの奥深さを秘めています。つまり、ヒイラギこそを釣りに出かけることが、あってもよいのではないかということです。そんな釣り人が、今後、出てきそうな気もします。
ここからは、この記事のおさらいやまとめとして、ヒイラギを釣った釣り人が、そのヒイラギをみずから調理して味わってみるときの、処し方を紹介します。そんな釣り人は、大きめのヒイラギを狙うべきです。そして、釣ったヒイラギは、他の雑魚とは隔離して保管、帰宅します。大きめのヒイラギは、ヌメリを取り内臓を除いて、何はともあれ、刺身につくります。これを食べて酒で流した後に、次なる料理に取り掛かります。
その間に焼けた、ヒイラギの焼魚でご飯を食べます。朝早くからの釣りで、減ったおなかもこれで落ち着きます。ヒイラギのから揚げもおすすです。ヒイラギのから揚げは、ビールがよく合うメニューです。
ヒイラギが多く釣れた場合は、下処理をして一夜干しにしておきましょう。ヒイラギを3%の塩水に1時間ほど浸けて、水気をふき取ったのち、一夜漬け専用のシートに包みこんで、冷蔵庫に一晩寝かせればできあがります。この一夜干しは、その都度、軽く炙ったり唐揚げにしたりして、毎日いただけます。ヒイラギは万能です。