しめじの栄養と効能は?成分と栄養効果を上げる食べ方も紹介!
しめじの栄養には、恐るべきものがあります。良いことづくめで、どこから紹介したら?と迷うくらいです。そんなしめじの栄養素や栄養価を分析し、しめじの成分が我々の体にもたらす、さまざまな効能との関係を詳しく述べていきます。キノコ類は、一般的に栄養的に優れた食材です。そんなキノコ類のなかで、しめじがもつ特性を考えながら、さらに栄養価を上げる方法とか、美味しい食べ方もあわせて紹介します。
目次
しめじの素性を確かめる
私たちが現在、多く口にしているしめじと言われているものは、ぶなしめじのことであって、本来のほんしめじとは異なります。ほんしめじは天然物に限られ、松茸以上に希少な高級品のため、市場にはほとんど流通していません。20世紀後半に人工栽培で作られたぶなしめじが、当初はほんしめじという商品名で市販されたために、ぶなしめじがほんしめじと混同されることになった次第です。
現在は、林野庁の通達もあって、人工栽培されたしめじはぶなしめじと表示されて市販されています。また、最近ではほんしめじも人工栽培されるようになったようですが、天然物とはやはり一味も二味も違うようです。ここでは、以下に紹介する記事において、ぶなしめじをしめじという表記で書いてまいりますが、以上のような事情をご承知おきのうえに、お読みください。
しめじの栄養と効能について
キノコ類全般が、ヘルシーな栄養素をもっていることはよく知られています。しめじも例外ではありません。たくさんあるキノコ類のなかで、しめじは栄養素の成分表をみても平均的な位置にあります。その値段の大衆的なこともふくめて、しめじをキノコ類の代表選手といってさしつかえないでしょう。そんなしめじは炭水化物や脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルと、さまざまな栄養素もっていますが、主な栄養素を挙げてみます。
しめじの栄養価
しめじ100g当りのエネルギーは18kcalです。炭水化物が5.0g、脂質0.6g、蛋白質2.7gです。食物繊維が3.7gありますから糖質は5.0-3.7=1.3gと、わずかしかありません。この数値をご覧いただいてもお分かりになるとおり、しめじはまちがいなく低糖質、低脂質なヘルシー食材です。この他、ビタミン類やミネラル類も多く含まれています。なかでもビタミンDやカリウムが豊富です。
しめじのさまざまな効能
低カロリーや低糖質、低脂質なうえに、ビタミンやミネラルが豊富なしめじには、さまざまな栄養効果が期待できます。便秘の解消や肌荒れ防止といった美容のための効能、代謝力を向上させるダイエット効能、疲労回復効能、血糖値やコレステロールの抑制効能、などです。この後の章では、そんなしめじの栄養効果をさらに詳しく具体的にみていくなかで、よりよくしめじの成分を引き出す、方法や料理レシピなどを紹介していきます。
しめじの食物繊維がもたらす栄養効果
野菜や穀類に多く含まれている食物繊維は、キノコ類であるしめじにも豊富にあります。その食物繊維は、よく知られる便秘の解消ばかりでなく、コレステロールや血糖値の急な上昇を抑制する効能があり、肥満や糖尿病、動脈硬化の予防につながっています。また、食物繊維は胃の中で膨らむことで満腹感をもたせることにより、ダイエットのための効能もあります。ただ、食物繊維の摂りすぎは下痢にもつながるので注意が必要です。
しめじのビタミンDがもたらす栄養効果
しめじにはエルゴステロールという成分が豊富に含まれています、エルゴステロールは紫外線を受けることでビタミンDへと変わる成分です。ビタミンDの主な栄養効果は、カルシウムやリンなどのミネラル成分を調整することです。そうしたことで、乳幼児ならくる病、大人なら骨軟化症や骨粗しょう症を防ぐ効能があります。また、カルシウムにストレス軽減作用があることから、ビタミンDにはストレスを和らげる効能もあります。
ビタミンDは以上のような意味で、人の成長や健康に大きく関与する成分となっています。特に、女性の慢性的なカルシウム不足が指摘されていますが、しめじのビタミンDパワーがもつ効能を大いに活用すべきです。ただし、食物繊維同様に、ビタミンDの過剰摂取は嘔吐や食欲不振をひきおこす可能性もあるので、注意が必要です。何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし、かもしれません。
しめじのビタミンB群がもたらす栄養効果
ビタミンB1「チアミン」の栄養効果
しめじなどのキノコ類はビタミンB群を多く含んでいます。そのなかでビタミンB1はチアミンとも呼ばれ、糖質の代謝に欠かせません。このチアニンは、脚気や神経炎などの病気を予防する効能をもちます。ビタミンB群類は、水溶性のために調理中に流出する分量が多く、煮汁も一緒に摂るスープなどの料理法が適しています。なお、同じ水溶性という理由で、過剰摂取の心配はありません。
ビタミンB2「リボフラビン」の栄養効果
同じビタミンB群類のなかで、B2はリボフラビンと呼ばれています。脂質や炭水化物、蛋白質などの代謝に欠かせないうえに、多岐にわたって、人の正常な発育に必要な成分である。リボフラビンは別名、美容のビタミンとも呼ばれている、美容効果のきわめて高い栄養素です。やはり、水溶性であるために、体内での蓄積ができませんから、毎日摂取する必要があります。
ビタミンB3「ナイアシン」の栄養効果
ビタミンB3はナイアシンと呼ばれています。リボフラビン同様、脂質や炭水化物、蛋白質の代謝に不可欠です。ナイアシンには、皮膚炎や口内炎、神経炎、下痢などを予防する効果があります。しめじは、ナイアシンを豊富に含んでいます。ただ、ナイアシンは人の体内で生成することが可能で、不足に陥ることはありません。なお、これらのビタミンB群類はすべて水溶性のため、調理などの際にうまく摂取することを考慮してください。
きのこのβグルカンがもたらす栄養効果
食物繊維のなかの一種である、βグルカンの成分がもたらす栄養効果にも、大切なものがあります。しめじ100g当りの成分表をみても、1.8gと豊富に含まれています。β―グルカンは、免疫細胞を活性化させて免疫力を高める効能があります。しかし、βグルカンは、それが不足した場合に人になんらかの症状を引き起こす、というような成分ではありません。
けれども、免疫機能を高める効能とともに、花粉症などのアレルギー症状を改善する効果も期待されています。また、βグルカンは腸に直接働きかける成分ですので、その栄養効果を高めるためにも、できれば空腹時にしめじを食べることをおすすめします。
しめじのオルニチンがもたらす栄養効果
二日酔にオルニチンというのは、みなさんはご承知でしょう。けれども、そのオルニチンという栄養素を含むしめじが、しじみ以上であることは意外と周知されていないのではないでしょうか。100g当りのしじみでは20mg、しめじではなんと含有量140mgです。肝臓の代謝や解毒作用があるオルニチンは、成長ホルモンを高める効能もあり、美容やダイエット効果もあります。
アルコールを代謝する際には、大量のビタミンB1つまりチアミンが消費されます。チアミンという栄養素も多く含むしめじを摂取することは、オルニチンとともに二日酔対策ばかりでなく、疲労回復にもうってつけなのです。
しめじのグアニル酸がもたらす栄養効果
昆布に含まれるのがグルタミン酸、鰹に含まれるのがイノシン酸です。そして、もうひとつしいたけに含まれるのがグアニル酸で、これらを3大旨味成分といいます。けれども、グアニル酸はしいたけばかりじゃなく、しめじにも豊富に含まれています。グアニル酸は、キノコ類特有の旨味成分です。そして、血小板の凝縮や血中コレステロールを抑制する効能があって、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を予防する効果があります。
しめじの保存方法を栄養価とのからみのなかで
しめじの品質管理
しめじの品質を見分けるには、全体の外観がしなびていないことと、笠の裏側が変色していないことを確認すればよいでしょう。そして、冷蔵にしろ冷凍にしろしめじは水気を嫌います。人工栽培されたもので、生食しない前提なら、水洗いはしないことです。保存期間は石づきをつけた状態で、冷蔵庫で3~4日です。大量に入手した時などの際に、しめじを長く保存する方法は、2通りあります。冷凍と乾燥です。
冷凍でしめじの栄養価アップ
しめじを長く保存するには、まずは冷凍です。この時に、けっして水で洗わないことです。汚れが気になるのなら、しめじの石づきを切り落としてから、布かペーパータオルで拭きます。ジッパー袋などに入れて冷凍庫に保存します。1か月ほどは可能です。しめじの旨味が凝縮されて、よりおいしく感じます。使用する際は、解凍をせずにそのまま調理します。旨味や栄養素が流出しやすくなっていることを、考慮した料理法でどうぞ。
干ししめじという妙手がある
ここで、生しめじと生しいたけ、干ししいたけ三つの栄養価を比較してみます。いずれの栄養価もこの順で並べてみます。すべて100g当りです。まず、水分は、90.8g、91.0g、9.7gです。炭水化物が、5.0g、4.9g、63.4g。脂質、0.6g、0.4g、3.7g。蛋白質、2.7g、3.0g、19.3g。カリウム、380mg、280mg、2100mg。ビタミンD、95IU、90IU、640IUです。一目瞭然、これで明らかになったことがあります。
この比較で挙げた生しめじと生しいたけの栄養素についての栄養価は、多少の変化はあってもほとんど同じである、ということです。もう1点は、干ししいたけの栄養価が他のそれよりも群を抜いている、ということです。そして、水分を比較してみれば、当然のことながら干ししいたけはほとんど含まれていません。つまり、干ししいたけの栄養価が群を抜いているというよりも、単に水分が抜けてその栄養素が凝縮したにすぎないのです。
もちろん、ビタミンDなどは太陽光の紫外線を受けて増しています。いずれにしても、しめじも天日干しで乾燥させれば、干ししいたけのように栄養価が増すことは十分に考えられます。しかし、干ししめじというのはあまり耳にしたことがありません。なぜか?という疑問も湧きますが、ここはそれを作ってみる一手です。干ししいたけと同様の手順でいけるはずでしょう。
ときどき、しめじをひっくり返しながら全体に太陽光が当たるようにして、4日ほど干します。しめじの全体の色が、茶褐色になって、風にフワフワ飛ばされそうになったら完成です。しめじの風味も栄養価も格段に増しているはずでしょう。これは、すべてのキノコ類に当てはまるようで、しめじに限らず、いろいろ試してみる必要はあります。この栄養価を増した干ししめじをどう食べればよいのか、といったレシピをこの後紹介します。
なお、この干ししめじはジッパー袋などに乾燥材とともに保存すれば、常温でも1か月ほどはもちます。
しめじの栄養素を活かし栄養効果を高めるレシピ
しめじとニンニクのバター醤油ソテー
炒めたり、揚げたりする料理法は、水分を抜いて素材の旨味や栄養素を凝縮する作業でもあります。したがって、しめじの栄養効果を高めるのに、その意味で天ぷらや炒め物は理にかなっています。ここでは、油と一緒に摂取することでビタミンDの吸収率がアップするという、特性を活かして「しめじとニンニクのバター醤油ソテー」を紹介します。しめじのもつチアミンの吸収をニンニクのアリシンが助ける、という相性の良い食材です。
フライパンを熱してバターを溶かします。ほぐしたしめじを炒めたら、スライスしたニンニクを加えて胡椒を振り、バターを加えて仕上げに醤油を回しかけます。バター醤油の良い香りが立ったら、火を止めて器に盛りドライパセリを振れば完成です。塩は、バターや醤油に含まれていますから必要ありません。このレシピは、簡単かつ栄養効果抜群のスタミナ食でもあります。それに、なんといっても美味しいのです。
しめじのスープや味噌汁
生のしめじでもよいのですが、干ししめじならなお生きてくるのが、しめじのスープや味噌汁です。天日干しによりすでに増している旨味成分グアニル酸は、加熱することでさらに旨味が増すという性質をもっています。水溶性のビタミン類なども、干ししめじを解凍しないまま煮ることで、流出しやすい栄養素を一緒にいただくことができます。
鍋の水を沸騰させたら、コンソメスープの素や繊切り玉ネギ、冷凍しめじを加えます。具に火が入ったら塩、胡椒を振って、カップに盛ってパセリを散らします。
鍋で出汁に醤油と酒を数滴たらして、温めます。しめじやその他の具を加えて火を通したら、味噌を溶いて火を止めます。七味を振ったら完璧です。スープにしても味噌汁にしても、飲みすぎた時などにいただけば、オルニチン効果で体がシャッキとすることはまちがいありません。
しめじの鍋物やご飯物
スープや味噌汁以外にも、しめじの栄養素をうまく摂取する方法はあります。鍋物やご飯物がそうです。特に、「しめじのペペロンチーノパスタ」や「しめじの炊き込みご飯」などは、定番といってもよいでしょう。
しめじの栄養や効能についてのまとめ
どうでしたか?しめじに頭が下がったのではないでしょうか?栄養と効能などについて、これまでみてきたとおり、総合点でしめじに優る栄養食材、健康食材はないといって過言ではありません。しかも、それほど手の込んだ料理法を用いなくても、しめじは十分に美味しいのです。食材である以上、この美味しいははずせません。