2022年05月19日公開
2024年05月21日更新
カワハギの肝には寄生虫がいる?安全に食べる方法や下処理方法も解説
カワハギの肝には寄生虫がいるのか、調べてまとめています。寄生虫であるアニサキスがいる可能性や、生食できるかどうかを詳しく説明!冷凍をするなど、食中毒にならない安全な食べ方についても解説します。カワハギの肝の下処理方法や、簡単なおすすめレシピも紹介します。
カワハギの肝には寄生虫がいて危険?
カワハギはクセのない淡白な味で、刺身や煮付けなど、さまざまな料理に使われる魚です。肝の美味しさには定評があり、身より好きだという人も多くいます。
特に、生で食べたときの味は格別ですが、生の肝には寄生虫が潜んでいる可能性があります。本記事では、カワハギの肝にいる寄生虫や、安全な食べ方について解説します。食中毒を避けるためにも、事前にしっかりと確認しておきましょう。
カワハギの特徴と寄生虫
カワハギの特徴
カワハギは北海道の南から九州まで、日本沿岸の広いエリアに生息しています。ザラザラとした皮が特徴で、鱗はありません。簡単に皮が剥げることから、「皮剥」と名づけられました。他にも、「バクチウオ」「ハゲ」「マルハゲ」といった別名もあります。
カワハギの身を美味しく食べられる時期は、7〜8月頃です。春から夏に産卵を終えるため、夏になると身が引き締まって歯ごたえが出ます。
カワハギは肝も食べることが可能で、こちらの旬は11〜1月です。秋から冬にかけて産卵に備えて栄養を溜めるため、肝臓が肥大して美味しくなるのです。
カワハギの肝は生食できる?
カワハギの肝は、新鮮であれば生で食べても大丈夫です。生の肝は脂がたっぷりと乗っていますが、くどさを感じることはありません。濃厚なコクと旨味は、お酒のおつまみにぴったりです。
基本的には、釣った当日であれば、生で食べることができます。カワハギを釣った後に血抜きをすることもありますが、急激に劣化が進んでしまいます。
釣り場で血抜きをした場合は、氷詰めにしたクーラーボックスの中に入れて、早く持ち帰りましょう。帰ったらすぐに内蔵を取り出し、肝を切り離してしまうことがポイントです。こうすることで、肝の鮮度を保つことができます。
肝にはアニサキスがいる可能性がある
カワハギの肝には、アニサキスという寄生虫がいる可能性があります。新鮮であれば寄生虫の危険性は減りますが、完全に安全だという保証はありません。アニサキスによって食中毒になると、激しい腹痛などの症状を起こします。
表面についたアニサキスは水洗いで落とせますが、中に入り込んでいると洗っただけでは取れません。アニサキスは体長が2〜3cmほどあるため、目で確認することができます。食べる前にしっかりと観察し、アニサキスがいないかどうかを確認しましょう。
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。
カワハギの肝を安全に食べる方法
方法①十分加熱する
寄生虫のアニサキスは、加熱をして死滅させることができます。また、アニサキスが死滅する温度は、70℃以上の必要があります。
60℃でも、1分加熱し続ければ大丈夫です。ただ、それより低い温度になると、食中毒の危険性が増してしまいます。寄生虫対策で加熱するときは、加熱温度に気をつけるようにしましょう。
方法②冷凍する
アニサキスは、寒い気温の中で生きていけないため、冷凍すれば死滅させることができます。アニサキスを死滅させるための条件は、−20℃以下の場所に24時間以上置いておくことです。この条件で凍らせた場合は、安心して食べることができます。
ただ、家庭用の冷凍庫は、−20℃に達しないこともあります。−20℃に達していないと、アニサキスを完全に死滅させることはできません。
できれば温度計などを使って、庫内の温度を確認してから冷凍しましょう。冷凍するときは、食べる分だけ小分けにしておくのがポイントです。食べるときは流水に5分くらい当てると、解凍することができます。
煮物などに使う場合は、凍ったまま使ってもOKです。すぐに食べる予定がない場合は、凍らせたまま保存しておくこともできます。1週間は保存できますが、できるだけ早目に食べ切りましょう。
カワハギの肝の下処理方法とおすすめレシピ
カワハギの肝の下処理方法
【下処理方法】
- 胸ビレから頭に向かって包丁を入れて、背骨を断ち切ります。
- 頭を手前に引きちぎり、肝についている筋を切ります。
- 肝を手で取り出し、血管をピンセットで取り除きます。
- 3を半分に切り、軽く押して血合いを洗い流します。
- 包丁で滑らかになるまで叩き、冷蔵庫で冷やしたら完了です。
肝は非常に柔らかいため、取り出すときに潰さないように気をつけましょう。また、近くに「苦玉」と呼ばれる部位があるため、これを潰さないようにするのが大事です。苦玉とはカワハギの胆嚢のことで、潰すと強烈なにおいを発します。
くさいだけでなく味も苦く、潰すとカワハギ全体が苦くなってしまいます。くれぐれも、包丁で傷つけないように気をつけましょう。
取り出した肝を包丁で細かく叩くと、寄生虫を死滅させることができます。叩くことでドロドロになりますが、冷蔵庫に入れると再び固まります。叩かずにそのまま食べたい場合は、湯通しするのがおすすめです。
肝の下処理で最も手間がかかるのが、血管を取り除く作業です。しっかりと処理をすることで、食べたときの食感が良くなります。面倒ですが、できる限り取り除くようにしましょう。
カワハギの肝醤油
【材料】
- カワハギの肝 2尾分
- すりおろし生姜 適量
- 醤油 適量
【作り方】
- カワハギから肝を取り出し、10秒ほど湯通しします。
- 1を氷水に入れて、水気を拭き取ります。
- 2をザルで裏ごしして、すり鉢に入れます。
- 3にすりおろし生姜と醤油を加え、軽く擦りながら混ぜます。
- 器に盛りつけたら完成です。
カワハギの肝醤油は、調味料にもご飯のお供にもなる一品です。カワハギの刺身をつけて食べても良いですし、白いご飯に乗せても美味しく食べられます。
生姜を少し加えることで、生ぐささを抑えることができます。生姜の味が苦手な場合は、湯通し後に酒で洗うのがおすすめです。濃厚でコクがあるため、淡白な刺身の調味料に使うと良いでしょう。
カワハギの肝の甘辛煮
濃厚な味わいのカワハギの肝は、甘辛い味付けの料理によく合います。潰したにんにくと一緒に煮込むことで、奥深い味わいを出すことができます。
こってりとした味付けで、白いご飯が進むこと間違いなしです。お好みで大葉の千切りを乗せると、さっぱり食べることができます。
カワハギの肝の酒蒸し
日本酒さえあれば作れる、簡単な酒蒸しのレシピです。一度筒状に固めてから分厚く切ると、食べごたえのある一品に仕上がります。
濃厚だけれどもさっぱりとした味わいで、いくらでも食べてしまえる美味しさです。お好みでネギを散らし、ポン酢などをかけて食べましょう。
カワハギの肝には寄生虫がいる可能性がある
カワハギの肝は、新鮮であれば生で食べることができます。しかし、どれだけ新鮮であっても、寄生虫がいる可能性は捨てきれません。生で食べるときは、寄生虫の有無をしっかりと確認してください。
加熱したり冷凍したりすることで、食中毒のリスクを減らすこともできます。寄生虫対策をしながら、いろいろな食べ方を楽しみましょう。