2022年04月12日公開
2024年11月21日更新
ウニの中身の正体は何?食べられる部位と見極め方について紹介
ウニの中身の正体は何かを解説します。ウニの食べられる部位や色、味わいの違い、地域ごとの特徴を詳しく説明!スカスカしていないかなど、美味しい中身の見極め方も紹介します。ウニの中身の正体を知って、美味しく食べる参考にしてください。
ウニの中身の正体は何?
ウニは、旨味を凝縮したクリーミーな味わいと、とろりとした食感が特徴の高級食材です。口に広がる磯の香りを楽しめるため、お寿司のネタとして人気があります。
殻が多く、可食部は全体の一部分だけです。この記事では、ウニの食べられる部位の正体が何かを解説します。含まれる栄養素や、スカスカでなく美味しい中身の見極め方も紹介するため、食べるときの参考にしてください。
ウニの食べられる部位
ウニの食べられる部位は精巣と卵巣
食卓に出されるウニは、オレンジ色でとろりとしています。この食べられる部位の正体は、生殖巣である精巣と卵巣です。
ウニは一部の種類を除いて、雄雌異体の生物です。1個1個に性別があり、オスとメスのどちらも5つの生殖巣を持っています。ウニを開くと、消化器官など5つに分けられた房があり、それぞれの房にある塊が生殖巣です。
ウニの中身でオスとメスが区別ができる
ウニは、雄雌異体で、個々にオスとメスがある生物です。完熟期には、生殖巣の色や形で雄雌の区別ができます。
メスが持つ卵巣は、赤身を帯びたオレンジ色でどろっとしており、粒がはっきりしていません。オスが持つ精巣は、白みがかった黄褐色で、粒がしっかりしています。産卵前は、卵巣のオレンジ色が濃くなるため、特に区別しやすいです。
また、完熟前は色や形にあまり違いがないため、叩いて調べる方法がおすすめです。精巣からは白い液体が出ることがあり、卵巣からは卵のようなものが出てくることもあります。
ウニの栄養素
ウニは、さまざまなビタミンやミネラルが含まれている、栄養価の高い食材です。特にビタミンEが多く含まれています。ビタミンEは抗酸化作用があるため、生活習慣病や高血圧の予防、アンチエイジングに有効です。
また、エキノネンと呼ばれるカロテノイドの一種が、含まれています。ビタミンAと同じ作用があり、皮膚や粘膜の維持、眼の健康に効果的です。
血液や血管の健康維持に役立つEPA、疲労回復に効果があるビタミンB1とB2も、多く含まれています。鉄分や葉酸などのミネラルの含有量も豊富で、非常に健康効果が期待できる食材です。
ウニの中身が黄色い理由
ウニの黄色やオレンジ色は何かというと、エキノネンと呼ばれるカロテノイドの一種で、天然色素です。エキノネンが多く含まれる精巣や卵巣ほど、オレンジ色が濃くなります。味わいは、含有量によって違います。
特に産卵期のメスの卵巣には、エキノネンが多く含まれるため、より濃い赤褐色になるのが特徴です。味わいも、濃厚で甘味が強くなります。
ウニの中身にある黒い部分の正体
5つの房の隙間には、黒っぽい部分が見られます。この黒い正体は何かというと、エサとして摂取した海藻や海苔、昆布などです。これらは、食材として食べることができるため、体に害はありません。
また、デトリタスという生物の死骸や、排泄物が粒子になった微生物も、エサとして食べます。これが黒っぽい部分の正体の場合もあるため、洗ってから食べるのがおすすめです。
ウニの食べられない部位
ウニには外敵から身を守るために、トゲがついている殻があります。殻は固くてトゲがあるため、食べることはできません。
また、殻を割った中身の中心部に、骨があります。骨を中心に、食べられる部位である生殖器を、5つの房にわけている消化器官がありますが、これらは食べられません。生殖器管の部位のみ食べることが可能です。
ウニの中身の違いと見分け方は?
ウニの中身の色の違い
食べられる部位である生殖巣は、成熟する前はオスもメスも薄いオレンジ色で、ほとんど変わりません。完熟すると、オスの精巣とメスの卵巣は、色が少し違ってきます。
オスの精巣は白っぽい黄褐色で、メスの卵巣は赤身を帯びたオレンジ色です。メスの卵巣のほうが、オスの精巣よりも色が濃く、はっきりしています。特に産卵期は、さらに色が濃くなるため、分かりやすいでしょう。
また、種類によっても赤っぽい、白っぽい、黄色っぽいなど色の違いがあります。食べる海藻の種類によっても色が変化し、個々に少しずつ違いがあるのも特徴です。
ウニの中身の味わいの違い
食べられる部位は、生殖巣の部分になります。生殖巣の成熟の仕方や雄雌による味わいの違いは、ほとんどないです。ただ、産卵時期の卵巣は、とろりとしていてコクがあるため、クリーミーな味わいが好みの人におすすめです。
種類や産地が異なると、味わいに違いがあります。濃厚と淡泊、甘味が強い、上品な味わいなどが主な違いです。
また、主食となる海藻によっても、味わいが少し違います。産地によって食べる海藻が違うため、同じ種類でも、それぞれの味わいがあります。
販売されている商品の加工方法は、完全無添加、塩水漬け、ミョウバン使用、冷凍などです。ミョウバンを使用すると、身が引き締まるため形がしっかりします。その反面、とろみが減りパサパサした食感になりやすいです。
ウニの地域における違いとは?
日本と海外のウニの消費量
ウニは世界中の海に生息しており、特に南米のチリの漁獲量は、世界の半分以上です。消費量は、日本が世界の約8割を占めています。
二番目に多い国はフランスで、年間1000トンの消費量です。他にはチリ、フィリピン、ニュージーランド、ギリシャなどでも食べられています。イタリアではパスタの具材としても人気です。
海外では、元々生で魚介類を食べる習慣がありません。しかし、日本で生ウニを食べた外国人が、その濃厚でクリーミ―な味わいを気に入り、SNSなどで広めています。海外でも日本食レストランを中心に、提供する店が増加中です。
地域によってウニの色が違う?
日本近海で獲れるウニは、主に5種類です。それぞれ生育地が異なり、旬の時期や色、味わいが違います。また、同じ種類でも食べるエサが違うため、色や味わいが違ってきます。
生産量が最も多いのは、北海道です。北海道で獲れるエゾバフンウニは、旨味成分の多い利尻昆布をエサとしています。そのため、濃厚な甘味とクリーミーな味わいで人気です。色は濃いオレンジ色で、粒が比較的しっかりしています。
北陸や三陸地方で獲れるものは、薄い黄色が多いです。上品な甘味で、崩れにくく寿司ネタによく使われます。九州のみで獲れるものは、赤身を帯びた黄褐色で、濃厚な甘味が特徴です。
チリ産のものは、北部と南部で違います。北部のものは黄色っぽく、南部のものはオレンジ色です。
同じ種類でも、冷水系の海で獲れるものと暖水系の海で獲れるものとで、色や味わい、旬の時期が違います。
美味しいウニの見極め方
見極め方①ウニの特徴を知る
ウニは、ヒトデやナマコの仲間である棘皮動物です。深海の海底から沿岸域の岩の下やくぼみまで、さまざまな場所に生息します。
海藻や微生物、付着した動物などがエサです。稀に、中身がスカスカなことがあります。これは栄養不足によるものです。エサを他の生物に食べられてしまい、栄養を摂取できないと、スカスカになります。スカスカのものは味が落ちているため、注意しましょう。
ウニは外的から身をまもるため、トゲを持つ殻に覆われているのが特徴です。この殻を剥くと、時間が経つほど味が落ちていき、苦みが出ます。
見極め方②ウニの価格の違いを見る
日本で漁獲できるウニは主に5種類です。希少価値のものほど、価格が高くなります。北海道のバフンウニは、旨味成分が濃く高価です。また、九州で獲れるアカウニも、漁獲量が少ないため、価格が高くなります。
価格が安いものは何かというと、アメリカやチリなどからの輸入ものです。これらは国産の物に比べ大ぶりなため、食べられる部分が多く、価格が抑えられます。味は、国産よりも淡泊で甘味が薄いです。
見極め方③ウニの新鮮さを見る
ウニの食べられる部分は何かというと、その生殖巣です。新鮮な生殖巣は、輪郭がはっきりしており、1つ1つの粒がしっかりして盛り上がっています。
また、色は赤身を帯びたものや黄色っぽいものなど、成熟度や種類、産地によって、違いがあります。茶色のものは、鮮度が落ちているため、注意しましょう。
見極め方④ウニの旬を知る
ウニの旬は、基本的に初夏から夏ですが、種類や産地、漁獲する海によって少しずつ違います。
北海道内では、エリアごとに獲れる種類が違うため、旬もさまざまです。本州では、種類により春が旬のものと夏が旬のものがあります。九州で獲れる珍しい種類のものは、秋が旬です。
名前 | 旬の時期 |
---|---|
バフンウニ | 3~4月 |
エゾバフンウニ | 7~8月 |
ムラサキウニ | 6~8月 |
キタムラサキウニ | 9~11月 |
アカウニ | 9~10月 |
見極め方⑤高級寿司店のウニを食べる
高級寿司店の板前は、市場に自ら足を運び、目利きした最良のネタを用意します。高級寿司店のウニは、新鮮で美味しい可能性が高いです。
また、高級寿司店で提供されるのは、より味が濃厚とされるオスの精巣になります。回転ずしなどで食べられるのは、ミョウバンで締めたメスの卵巣がほとんどです。そのため、高級寿司店のものとは、味わいが違うでしょう。
見極め方⑥ウニの中身がスカスカしていないかを見る
海水温度の上昇などにより、ウニの生息地に海藻をエサとする魚が増えると、エサがなくなってしまいます。
このような海で獲れたものは、中身がスカスカです。スカスカのものは、栄養不足なため、味も落ちます。
ウニの中身を知って美味しく食べよう
ウニはクリーミーで濃厚な味わいと栄養価の高さから、古来より日本人に人気の高級食材です。
トゲのある殻を割ると、中身は消化器と生殖巣になります。その生殖巣の部位が可食部です。オスは精巣、メスは卵巣になり、その色や味わいは少し違います。
また、色や味わいは、産地や種類、新鮮さによっても異なります。それらの違いを把握し、美味しいウニを見極めて堪能してください。