2019年08月27日公開
2024年09月25日更新
ソルビトール(ソルビット)の効果や危険性!どんな食品添加物?
ソルビトール(ソルビット)は食品添加物として様々な食品に使われています。ソルビトールのメリットは、味を良く染みさせたり冷凍障害を防ぐなどの便利な効果。しかしこの添加物は危険だという噂もネットに存在します。そこで実際はどうなのか調査しました。
ソルビトール(ソルビット)とは?
ソルビトール(ソルビット)は甘味料として比較的古くから利用されている成分です。その仲間にはブドウ糖やマルトース、マルチトールなどがあります。砂糖と比べるとその甘味度は60%程です。
ソルビットは昔から幅広く利用されており、主に煮物やつくだ煮、そして生菓子などに使用されています。食品添加物ですので、最近はソルビットは危険だと耳にしたことがあるかもしれません。
今回はそんなソルビットの原材料や用途について調査しました。注目を集め始めているソルビットは実際にどのような食品添加物なのか?また何故危険性が問われるようになったのか?など、ソルビットに関する情報をまとめていきます。
甘味料の一種
ソルビトールは、グルコースに水素を添加して作られるデンプン糖アルコールと呼ばれる種類の甘味料です。アルコールという名前がついていますが、お酒ではありません。天然のソルビトールはリンゴや桃などのバラ科の果実や、昆布などの海藻類に多く含まれています。特にドライプルーンの中の含有量は20%に達します。
バラ科ナナカマド属(Sorbus)の植物から発見された糖アルコールのため、ソルビトール(ソルビット)と命名されました。100年以上前にこのナナカマドの果実に含まれる成分を、フランスの科学者が発見したのです。
ソルビトールの原材料
出典: http://ngu.kr
食品添加物のソルビトールは、とうもろこしやじゃがいものデンプン、麦芽糖から作られています。ソルビットは他の糖類に比べて発酵しにくいのが特徴です。
ソルビトールは耐熱性や保湿性に優れている特徴があり、特に保湿性では砂糖の2倍の水分を保持する能力があると言われています。このような性質を持つので、食品添加物に使われます。
食品添加物として使用される
ソルビトールはその性質を利用して、食品添加物として使われています。食品添加物の種類には、甘味料や保湿剤そして品質改良剤があります。
甘味・香味成分としてキャンディー、ガム、チョコレート、カステラ、まんじゅうなどお菓子やジュースに多く含有されているので目にしたことがあるかもしれません。
また、ソース、つくだ煮、煮物など甘味を含む食品にもソルビトールは使われています。食品の長期の保存に効果があり、ハム、ソーセージ、かまぼこ、魚のすり身の食品添加物にもなっています。
化粧品や医薬品に使われることも
ソルビトールには吸湿性があり肌の角質細胞にうるおいを与えるので、化粧水、乳液、クリーム、ローション、パック、ファンデーションなどの化粧品に使用されています。シャンプーに配合されていることもあります。
その他にもうがい薬や歯磨き粉などにも使用されています。これは口腔内で細菌や酸ができにくい性質が活かされているのです。
医薬品としては下剤、便秘薬、栄養剤、浣腸液として使われています。ソルビトールの大量に摂取すると下痢などを引き起こす性質を便秘薬に利用したり、糖質を控えなければいけない糖尿病患者用の甘味料として利用するなど、その用途も多岐に渡ります。医薬品にも使用可能ということは、天然由来で安全性も高い成分といえるでしょう。
ソルビトール(ソルビット)の効果
ソルビトールは水に溶解する時に吸熱反応を起こす性質を利用して、口の中でひんやりした感触を残す清涼剤として用いられるなど、その性質を利用しての様々な効果転用が行われています。
これらの効果を生かした商品が数多く販売されているのですが、その中から味が良く染みる、冷凍障害を防ぐ、微生物の繁殖を防ぐという3つの効果について調査しました。
味がよく染みる
ソルビトールは細胞の浸透圧が高く、味が良く染みるという性質を持ちます。これは分子が小さいために浸透しやすくなっているという性質に拠るものです。この性質は煮物、煮豆、漬物、つくだ煮に利用されています。
甘くて吸湿性がありますので料理などにも使用しやすく、この特性を生かして甘味料、保湿剤、品質改良剤などとして使われています。味を良く染みこませるというのは、品質改良剤の使用法だといえるかもしれません。
かまぼこなどの魚肉練り製品に砂糖と一緒に添加されることで、水分を保持しやすく冷凍しても変質しなくなるほか、出来上がった製品の食感を保持する効果があります。これもソルビトールの品質改良剤としての利用の仕方の一例と言えるでしょう。
冷凍障害を防ぐ
ソルビトールは多くの水分を保持できるため、凍るときに食品の細胞膜に傷がつきにくくなる性質があります。この性質によって商品の冷凍障害を防ぐ効果を期待することができるでしょう。
あるメーカーの商品におさつダイスHというものがあります。おさつダイスHはさつま芋の甘露煮であり、さつま芋を蒸しダイス上にカットしたものを冷凍したものです。主にさつま芋アンパンなどに使われていますが、この商品の原材料として冷凍障害を抑えるためにもソルビトールは使われています。
微生物の繁殖を防ぐ
ソルビトールは水分活性を低下させるので微生物の繁殖を抑えることができます。砂糖、水あめと比較すると、多くの水分を保持できる高保湿性という性質が関係しているのです。
糖アルコールは微生物の栄養源になりにくく、菌が繁殖しにくいため品質保持に貢献しますが、これは虫歯の原因になりにくいという性質にも繋がります。
ソルビトール(ソルビット)の危険性
ソルビトールはその危険性について問われることがあります。ここではその危険性について①お腹がゆるくなりやすい②糖尿病との合併症のリスク③依存性が高い④海外では死亡事故の報告もという4つの項目に分け、それぞれ調査しました。
お腹がゆるくなりやすい
ソルビトールを含んだ糖アルコールなどの難消化性糖質を一度に多量に摂ると、お腹が一時的にゆるくなることがあります。
これは小腸で消化・吸収されなかった糖アルコールが、大腸にまで移動して大腸内浸透圧が上昇するためにおこると考えられています。
ソルビトールを一時に大量に摂取すると体質によってはお腹がゆるくなることがありますが、これはあくまでも一過性のものですのでそこまで気にすることはありません。
糖尿病との合併症のリスク
糖尿病を罹患している人はソルビトールの摂取には注意が必要です。砂糖に比べて血糖値をさほど上昇させないため、安全ではないか?と思われるかもしれません。ですがソルビトールは細胞中にたまりやすい性質があるため、高血糖の糖尿病の人には合併症を引き起こすリスクがあるとされています。
糖尿病の神経障害にソルビトールが関係しているという情報もありますが、これは神経細胞に蓄積する物質のことで食品添加物のソルビトールとはあまり関係ないと考えて良いでしょう。
依存性が高い
ソルビトールは甘さ控えめであることから、より多く摂取したくなる衝動にかられやすく依存性が高いという指摘をする人もいます。健康な人でも、あまり積極的に摂取することは好ましくないかもしれません。
海外では死亡事故の報告も
2012年3月27日イタリアで、ソルビトールを摂取した女性が死亡したという報道がありました。報道によれば女性は食品アレルギー検査を受けたクリニックで、ソルビトールを摂取した後に死亡したそうです。これを受け警察当局は詳しい原因の調査に乗り出しました。
ある程度時間がたって原料メーカーは、ソルビトールは国際機関が認めた安全性の高い物質であると発表しまています。そして食品添加物として長年の実績がありソルビトール自体が原因の死亡事故は過去に発生していないという見解も発表しました。
この事故の被害者が1つのクリニックの診察を受けた患者のみであるならば、そのクリニックの診察や投薬の問題ではないかという意見もあるようです。
ソルビトールの摂取は控えた方がいいかも
ソルビトールの原料や主な使用方法並びに効果や危険性について見てきました。ソルビトールに漠然とした不安を持っていた人も、これでソルビトールがどの様な物なのかがお分かり頂けたことでしょう。
ソルビトールの危険性について書きましたが、気になる人はさらに本やネットなどで調べたほうがいいかもしれません。信用できる情報を求めるならば、病院で医者や専門家に聞く事も良いでしょう。
糖尿病を持っている人はもちろん、健康な人もソルビトールの摂取は控えめにするという心がけで対応するのがいいかもしれません。