豚肉の栄養は健康や美容に効果あり!栄養がもたらす効能を詳しく解説
豚肉、牛肉、鶏肉、羊肉など、肉類には、さまざまな種類があります。今回は、豚肉について焦点をあてます。豚肉には、たんぱく質はもちろん、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれています。豚肉に含まれるこれらの栄養成分は、体を健康に保つだけでなく美容に対する効能も持っています。豚肉に含まれる栄養とその栄養がもたらす効能、そしてその栄養を効率よく摂取する方法について紹介していきます。
豚肉の栄養は健康と美容に効果的?
豚肉には健康や美容に良いさまざまな栄養が含まれていることを知っている人は多いかもしれません。夏の暑い日などには豚肉料理を食べて英気を養っているという人もいるかもしれません。
しかし、豚肉にどのような栄養は含まれているのか、そして豚肉に含まれているどのような栄養が健康や美容に良い効能をもたらすのか、について詳しく知っている人はなかなかいないかもしれません。まず、豚肉に含まれる栄養とその効能について詳しく紹介していきます。
豚肉の栄養と効能
豚肉には、ビタミンやミネラル、アミノ酸など、さまざまな栄養成分が含まれています。ここでは、各栄養成分とその効能について紹介していきます。
疲労回復にビタミンB1
出典: https://mofmo.jp
豚肉には、ビタミンB1と呼ばれる栄養成分が豊富に含まれていることで有名です。豚肉の部位にもよりますが、例えばもも肉であれば、可食部(食べることができる部位)100gあたりに1.01mgのビタミンB1が含まれています。
厚生労働省は、「食事摂取基準」という指標を設定し、エネルギーや各栄養素の摂取基準を定めています。この基準によると、ビタミンB1の1日あたりの摂取推奨量は成人男性で1.2から1.4mg、成人女性で1.0から1.1mgと定められています。豚肉を100g食べるだけで、1日に必要なビタミンB1を摂取できるということになります。
ビタミンB1は体内に吸収されると、我々が生きていくうえで欠かすことができないエネルギー源である糖質という栄養成分を分解してエネルギーにする働きをサポートする働きを持っています。ビタミンB1の摂取が不足すると、糖質が効率よく分解されずにエネルギー不足状態に陥ります。その結果、体が疲れやすくなったり、記憶力が低下したりします。
健康維持に役立つたんぱく質
たんぱく質は大きく、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質に分けられます。動物性たんぱく質は豚肉などの肉類や魚の肉類に、植物性たんぱく質は大豆などに含まれています。たんぱく質は摂取されるとアミノ酸にまで分解されてから吸収されていきます。たんぱく質は、私たちの筋肉や骨など体を構成するもととなる重要な栄養成分です。
アミノ酸には、食べ物から必ず摂取しなければならない「必須アミノ酸」と、体の中で作ることができるので必ずしも食べ物から摂取する必要のない「非必須アミノ酸」があります。
食品中に含まれている必須アミノ酸の量によってたんぱく質の質を100点満点で評価する指標として「アミノ酸スコア」があります。豚肉のアミノ酸スコアは100点です。つまり、質の良いたんぱく質が含まれているということを意味します。
うつ病を予防するトリプトファン
トリプトファンは必須アミノ酸の一種です。トリプトファンは体内に吸収されると様々な経路に使われていきます。有名な経路は、セロトニンやメラトニンに代謝される経路です。
セロトニンやメラトニンは、体内時計に重要な役割を果たす物質です。ヒトを含む全ての生物は、体内に一定周期のリズムを持っており、これを体内時計と言います。ヒトは約24時間の周期を持っています。体内時計は、目から入ってくる光の刺激によってリズムの調整を行なっています。
光の刺激を受けるとメラトニンの分泌が減少し、夜になるとメラトニンの分泌は増加します。そして、このメラトニンの分泌を、セロトニンが刺激しています。トリプトファンの摂取が不足すると、セロトニンやメラトニンの合成量も不足することになります。
トリプトファンの摂取不足によってセロトニンやメラトニンの合成が不足すると、体内時計の乱れを引き起こします。体内時計の乱れは不眠症やうつを引き起こします。そのためトリプトファンはうつ病を予防する栄養成分といわれています。
筋肉を強化するロイシン
ロイシンは、バリン、イソロイシンと合わせて「分岐鎖アミノ酸」と呼ばれる必須アミノ酸です。分岐鎖アミノ酸以外のアミノ酸が肝臓で代謝されるのに対し、分岐鎖アミノ酸は筋肉で代謝されるという特徴を持っています。その理由は、肝臓に分岐鎖アミノ酸を代謝する酵素がないからです。
分岐鎖アミノ酸は、筋肉で代謝されて筋肉のたんぱく質のもとになります。そのため分岐鎖アミノ酸は、筋肉を強化するアミノ酸と言われ、サプリメントも販売されています。
また分岐鎖アミノ酸は、肝性脳症という疾患の発症を予防する効果もある栄養成分です。肝性脳症は、重篤な肝硬変患者でみられる病態です。肝硬変によって肝機能が低下すると、さまざまな合併症を引き起こします。その1つが肝性脳症で、最悪の場合は昏睡状態に陥ります。
分岐鎖アミノ酸は、肝硬変によって低下した肝機能をサポートする働きがあります。そのため分岐鎖アミノ酸は、筋肉強化のため以外にも、肝硬変患者の治療にも用いられています。
豊富なミネラル
豚肉には、ミネラルも豊富に含まれています。食肉に多く含まれているミネラルといえば、亜鉛で、豚肉にも多く含まれています。ミネラルとは、有機物(炭素、水素、窒素、酸素)以外の成分のことで、地球上に約100種類あると言われています。このうち16種類は生体に必須な成分として、摂取量が定められています。
亜鉛は、体内で働く全ての酵素の約10%と結合して働いています。とくにたんぱく質を合成する酵素を結合して働いているため、亜鉛の摂取量が不足すると、たんぱく質合成が盛んな場所で欠乏障害が起こります。
代表的な欠乏症は、味覚障害です。口の中に食べ物が入ると、舌の味蕾にある味細胞が刺激され、その刺激が脳へと伝わり味を感じます。味細胞は約10日で新しく生まれ変わります。細胞の生まれ変わりには、たんぱく質をたくさん必要とするため、亜鉛不足の影響が大きく出ます。
また、皮膚や髪もターンオーバーを絶えず繰り返しています。そのため亜鉛が不足すると、皮膚炎が起こったり、髪が傷んだりします。
ダイエットにはヒレやモモがおすすめ
豚肉には、このようにさまざまな栄養成分が含まれており、それぞれに効能があることがわかりました。そのため、健康や美容のために豚肉を積極的に摂取することは望ましいのですが、どんな豚肉でもいいわけではありません。
豚肉に限らず、肉類は部位によって脂肪のつき方が異なります。脂肪のつき方が異なるということは、カロリーも異なってきます。例えば、ロースであれば可食部100gあたり260kcal、バラ肉であれば可食部100gあたり380kcalもあります。
ダイエット中などでカロリーを気にしている人であれば、脂肪分の少ないヒレやモモをおすすめします。カロリーは、ヒレなら可食部100gあたり115kcal、モモなら可食部100gあたり180kcalです。
豚肉の栄養を効率よく摂取する食べ方
豚肉にはさまざまな栄養成分が含まれています。どうせ食べるのであれば、より効率よく栄養成分を摂取したいものです。ここでは、豚肉の栄養成分をより効率よく摂取する方法について紹介します。
ビタミンB1を効率よくとる食べ方
豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれています。このビタミンB1の吸収効率を高めてくれる栄養成分が、アリシンです。アリシンはニンニクや玉ねぎに含まれている栄養成分であるアリインが空気に触れて酸化することで生成されます。
このアリシンがビタミンB1と結合するとアリチアミンとなります。摂取した栄養素は腸管から吸収されるのですが、アリチアミンはより効率よく腸管から吸収されます。豚肉を食べるときは、ニンニクや玉ねぎなどと一緒に調理をして食べることをおすすめします。
また、ビタミンB1は水溶性ビタミンのため、摂取しすぎた分は体外排出されていきます。そのため、ビタミンB1の摂りすぎによる健康被害はありません。
肉の2倍の野菜を食べる
豚肉にはさまざまな栄養成分が豊富に含まれていますが、豚肉を食べているだけでは栄養の偏りが起きてしまいます。肉を消化吸収する過程で、リン酸などの酸性物質が産生されます。この酸性物質が体内に蓄積すると、体に悪影響を及ぼします。
酸性物質を処理するためには、ミネラルが必要になります。豚肉にもミネラルが含まれていますが、より多くミネラルを含んでいるのは野菜類です。豚肉を食べるときは、野菜も合わせて摂取する必要があります。野菜の摂取量の目安は、豚肉の2倍と言われています。
豚肉の栄養を美容と健康に生かそう
豚肉にはビタミンやミネラルをはじめとした、さまざまな栄養成分が豊富に含まれています。これらの栄養成分は、健康にだけでなく美容にも効能があることが知られています。
また、特に豚肉に多く含まれているビタミンB1は、ニンニクや玉ねぎと一緒に食べることによって効率的に摂取することができます。豚肉の栄養を効率的に摂取し、美容と健康に生かしましょう。