2018年02月28日公開
2024年06月27日更新
ねこまたぎの本当の意味は?美味しいマグロが不味かった理由とは?
『ねこまたぎ』という言葉には良い意味と悪い意味があります。『ねこまたぎ』という言葉が持つ意味とは一体どんなものでしょうか?また、今では多くの人に好まれているマグロもかつてねこまたぎと言われていたそうです。今回は、その理由とねこまたぎの意味を学んでみましょう。
目次
『ねこまたぎ』って聞いたことある…?
あなたは『ねこまたぎ』という言葉を聞いたことありますか?ご存知の方ももちろんいらっしゃるでしょうが、あまり日常的に使用される言葉ではないためか、「なにそれ?」「聞いたことない…」という方も意外と多いようです。
『ねこまたぎ』って一体どんな意味の言葉なの?
実は、『ねこまたぎ』は地方によっても意味や言い方も異なるようです。『ねこまたぎ』という言葉は一体どんな意味をもつ言葉なのでしょうか…?まずは、『ねこまたぎ』という言葉が持つ言葉の意味を調査してみましょう。
ねこまたぎの意味は…
『ねこまたぎ』という言葉を調べてみたところ、こちらの言葉は、「魚が好きな猫でさえまたいで通るほどの不味い魚」という意味であるようです。マグロといえば現在は高級魚として人々に愛され、寿司屋でも圧倒的人気のネタですが、かつては『下魚(げざかな)』として扱われていたそうです。
『下魚』は、その名の通り、「下級な魚」「不味い魚」という意味です。現在、価格が安い庶民的な魚としてあげられるのはアジやサバなどですが、かつてマグロはこれらの魚よりも下等とされていました。また、『ねこまたぎ』は北海道で使われている言葉とのことで、『ほっちゃれ』を指しています。
北海道で使われている『ほっちゃれ』とは、産卵時期前後の鮭のことです。鮭は海に出て、また川に戻ってくる習性があるのですが、川に戻ってきた鮭は色褪せてしまっていたり鱗や脂も落ちているため、不味いです。そこで、「そんな魚放ってやれ!」といった意味から、産卵時期前後の鮭のことを『ねこまたぎ』と呼ぶようになったと言われています。
『ねこまたぎ』は不味い魚という意味だけではない…?
魚好きな猫さえも食べないと言われる不味い魚のことを『ねこまたぎ』と呼ぶことがわかりましが、『ねこまたぎ』は、不味い魚という意味だけではないそうです。地方によっては言い方や意味が異なるとされている『ねこまたぎ』が不味い魚という意味ではなく、良い場合で使われる意味とは一体どのようなものなのでしょうか?お次は、『ねこまたぎ』の良い意味について学んでみましょう。
もう一方の『ねこまたぎ』の良い意味は…
北海道では不味い魚のことを『ねこまたぎ』と言いますが、関西圏では良い意味で使われている言葉のようです。関西圏での『ねこまたぎ』の意味は、「猫が食べるところがないくらい、身のない魚の骨」を指すようです。北海道と関西圏で使われている『ねこまたぎ』は正反対な意味を持っていますが、何故北海道と関西圏で正反対の意味になったのかという点はよく分かっていないそうです。
ねこまたぎの魚として代表的なものは?
『猫でも食べない魚』と言われるほど、不味い魚のことを指す『ねこまたぎ』。そんな、ねこまたぎの魚として代表的な魚って一体どんな魚のことなのでしょうか?お次はねこまたぎの魚として代表的な魚について調査してみましょう。
猫も食べないほど不味いという『ねこまたぎ』の魚として代表的な代表的なものは『ヒイラギ』です。こちらの魚は小骨が非常に多いので食べるのには適していないため、『ねこまたぎ』と呼ばれているそうです。また、『ねこまたぎ』だけでなく、『ねこ泣かせ』とも呼ばれていたそうです。ヒイラギの他にはイワシやサバ、夏のサワラもねこまたぎと呼ばれるほど不味いものとされていました。
また、塩味の濃い鮭やマグロなども『ねこまたぎ』と呼ばれています。大抵の 魚は塩漬けする事で保存期間を延ばし、風味をキープする事ができますが、マグロは塩漬けによって味が悪くなってしまっていたようです。ねこまたぎを『不味い魚』のことと、一言で表しても、それは骨が異常に多いことや塩味の非常に濃い塩漬けの魚などなど…多くの意味を持つようです。
今では人気のマグロもかつてはねこまたぎの一種だった?
寿司屋や刺身でも、今では美味しいと人気を集めているマグロ。現代人にとっては、マグロは美味しい魚だと感じるものですが、かつてはマグロもねこまたぎの一種だったそうです。お次は、マグロがねこまたぎと呼ばれていた時代について学んでみましょう。
江戸時代、マグロのトロは捨てられていた…
江戸時代、今では高級魚として人々に美味しいと愛されている大トロも捨てられているほどでした。トロが人気を集めてきたのは1960年代と、最近のことです。現在では日本食をはじめ、様々な国の料理が手軽に食べられるようになっていますが、明治時代までの日本食ではあまり油脂の多い食材を使われていませんでした。
食べ慣れていないこともあったからか、当時の人々にとってマグロや脂身の多いトロなどは口に合わなかったため、捨てられていたようです。マグロの脂身は特に傷みが早く、現在では高級で美味しいとされている『大トロ』の部分などは、身崩れしている上、臭くて食べられないということから、「だんだら」や「ズルズル」などとも呼ばれ、畑の肥料などにされていました。
江戸時代のねこまたぎといえばマグロ。美味しいのに何で?
「ねこまたぎ」と呼ばれ、マグロが捨てられていた理由は味だけではありません。マグロは多くの魚の種類の中でも大きいです。そのため、菰(こも)にくるんで大八車で運ばれてくるため、まるで死体が運ばれてくるようだと感じられていました。古事記や万葉集によると、マグロは「しび」と呼ばれており、この語感が「死日」、もしくは「死人」につながるとされ、イメージの悪い魚だったこともあるようです。
かつてマグロはねこまたぎと呼ばれ、多くの人たちが好んで食べない魚でした。マグロの美味しさがなかなか広がらなかったのは、マグロが塩漬けに向かないという点もあったそうです。多くの魚は塩漬けさせることで日持ちさせ、味をよくすることができますがマグロは塩漬けにするとかえって美味しくなくなってしまうようでした。
そんなマグロが「美味しい」と言われるようになってきたのは、天保の改革で贅沢が禁止され、人々が下魚を多く食べるようになった点と、江戸前のマグロ屋がマグロの切り身を醤油に漬けた、いわゆる『ヅケ』を考案したことからでした。『ヅケ』は、魚の保存性を高めてくれるのはもちろん、魚の身の弾力を増して舌触りを滑らかにする効果があります。
かつて醤油といえばたまり醤油が主であり、生産地は近畿地方とされていました。そのため、なかなか食べることができなかったようですが、江戸時代中期に江戸周辺でこいくち醤油が開発されたことで、いつしかマグロを醤油につけて食べると美味しいという噂が広がり、徐々に人気を集めていったそうです。
徐々に人気を集めていったとはいえ、まだまだマグロの脂身を食べない方も多かったようです。しかし、時代が進むにつれて冷凍・冷蔵技術が進んでいったこともあり、少しづつマグロは人々の間で人気を集めていきました。今ではマグロの赤身と脂身、いわゆるトロの部分で美味しさを競うと、多くの方が脂身のトロだと答えますが、昭和半ばまでは赤身の方が食べられているものでした。
マグロの赤身とトロの部分の価値が逆転したのは昭和半ばに、築地でバイトをしていた苦学生たちがマグロの脂身をもらって食べ、「美味しい!」と、話題を集めたことが始まりだと言われています。
また、今では『ねぎま鍋』もマグロの絶品料理として食べられています。『ねぎま鍋』は醤油・みりん・だし汁・そして、臭い消しとして酒を加えて、マグロのトロと長葱を煮汁で炊いたものであり、今では高級鍋料理とされていますが、江戸時代後期〜幕末頃に発明されたものです。
このように少しづつマグロの食べ方も増えていったため、かつては『ねこまたぎ』と呼ばれ、猫さえも食べないとされるほど不味い魚とされてきたマグロを食べる方もどんどん増えていきました。
マグロはかつて、猫も食べないと言われる不味い魚だった!
ねこまたぎの意味についてのご紹介まとめはどうでしたか?ねこまたぎには、良い意味と悪い意味があり、地方によって意味が異なるものとされているようです。そして、今では多くの人々に愛されているマグロはかつて、猫も食べないと言われる不味い魚、いわゆる『ねこまたぎ』だったそうです。
しかし、冷蔵・保存方法が徐々に進歩していったことや様々な食べ方をされていくことによって、マグロはどんどん愛されていくよになり、現在では特にマグロの脂身・トロは高級な希少部位とされるようになりました。時代が変われば好まれる味も変わるという事がよくわかりましたね。これから先は、一体どんな食べ物が好まれるようになっていくのか…気になるところです!