2018年06月15日公開
2024年07月15日更新
ホンモロコとはどんな魚か調査!味や佃煮などの料理も紹介!
みなさん、「ホンモロコ」という名前の魚がいると聞くと、どんなものを思い浮かべますか?名前からして「どこの魚?」「日本産?」という疑問が湧くかも知れませんが、それはカタカナで書かれているからであり、漢字で書くと「本諸子」となります。漢字から察すると、いかにも日本に生息しているような感があります。実際にこの魚は日本の固有種です。しかし、「あまり聞き慣れない」という人がきっと多いでしょう。そこでここではこのホンモロコについて詳しく紹介し、その味や食べ方なども含め、説明していきたいと思います。
ホンモロコは高級食材の淡水魚
ホンモロコは湖や川などに生息している淡水魚です。そして料亭で出されるような高級な魚です。したがって、普段の食卓に上がるような魚ではないため、その名を知らない人が多いというわけです。しかし、伝統的な郷土料理が好きな人、魚好きの美食家などの間では、ホンモロコといえばその名を知らぬ人はいないという世界になります。なぜならそれほど味が良く、しかも食べやすい魚だからです。頭の先から尻尾の先まで食べられます。
ホンモロコとはどんな魚?
ホンモロコは琵琶湖特産の淡水魚
日本固有の魚であり琵琶湖が原産地です。湖に住む淡水魚であり、現在では琵琶湖から移植され、福井県や長野県、山梨県や東京などの湖にも生息しています。人間の手によってその生息域が広がったのはやはり美味しいからであり、貴重な水産資源としてその需要があるためです。そのため琵琶湖周辺での郷土料理としてだけでなく、現在では本州の中部地方やその周辺にまでその認知度は高まり、ホンモロコの愛好家から親しまれています。
「琵琶湖八珍」の一つ
「琵琶湖八珍」とはハスやコアユ、ビワマスにイサザ、ゴリ、スシエビ、ニゴロブナ、そしてホンモロコを加えた8種類の魚のことです。琵琶湖は「母なる湖」とも呼ばれ、大昔から美味しい湖魚が獲れる漁場として利用されて来ました。その中でも特に美味しい魚として8つが選ばれ、ホンモロコは堂々とランクインしているのです。その昔から貴重なタンパク源として、琵琶湖周辺の人々が感謝しながら食して来たことがうかがえます。
ホンモロコの見た目や生態などについて
ホンモロコの姿形は可愛らしく、大きさは手の平にのる程度のものです。シシャモと見た目が似ています。湖の中の水深5m程度に生息していて、プランクトンや水の中で生きる小さな昆虫、小さな甲殻類などを食べて生きています。大きな括りでいえばコイ科の魚であり、またそのコイ科の仲間であるタモロコ属になります。3月から7月の間が繁殖期間であり、個体によっては産卵直後に死に、多くは2年から3年ほどの寿命を全うします。
ホンモロコの漁獲量は減少し「絶滅危惧種」に
ホンモロコは1994年より以前は琵琶湖での漁獲量がたくさんあったのですが、その翌年からずっと減少傾向が続き、現在では環境省より絶滅危惧種に指定されるまでになりました。原因は色々と指摘されていますが、その多くは人為的なもの(湖岸堤の建設・水位操作・乱獲・外来魚の放置など)に起因するのではないかと考えられています。美味というだけでなく、そのような事情もあって価格が釣り上がり、高級魚となっているのです。
絶滅危惧種の中でもその危険度が高い
環境省のレッドリスト中には絶滅危惧の度合いに応じたカテゴリーがあり、それによればホンモロコは絶滅危惧のⅠA類(CR)に相当します。これは絶滅危惧カテゴリーの中でも上位に位置する概念で、意味は「そう遠くない未来に野生における絶滅危険性が高まっている」ことを指します。絶滅危惧は危険度の高い順からⅠ類、ⅠA類、ⅠB類、Ⅱ類となっていますので、いかにホンモロコの生息数が危ないかがお分かりになるでしょう。
養殖による確保と養殖方法について
ホンモロコの数は激減してしまったわけですが、獲れる数を少しでも確保しようと現在では養殖が盛んに行われていて、これ以上の漁獲量の減少に歯止めがかかっています。養殖方法としては水槽を使ったものが一般的ですが、休耕中の田んぼに水を溜め、そこで稚魚を養殖するという珍しい方法まであり、そのおかげで出荷量が増えています。ホンモロコの養殖が一番盛んなのが埼玉県であり、そのほか広島県や福岡県にまで広がっています。
ホンモロコは高級魚!販売価格は?
絶滅危惧種に指定され希少性が高まっているホンモロコは、当然のことながらその価格が高くなっています。販売業者にもよりますが、100gで1,000円前後です。店頭では甘露煮・佃煮などの状態で売っているものが多く、その場合は100gといわずに80g・60gと少なめで、600円や500円という価格になります。一般の人が手を出しやすいのがこの辺で、大量に仕入れたり京都の料亭で出されたりする場合はもっと価格が高くなります。
臭み少なく骨が柔らかい魚
「腐っても鯛」とよく言われますが、ホンモロコも上等で美味しい魚です。しかし「味が良い」という前に、魚としての臭みが少ないとか、骨が柔らかくて食べやすいとか、そういう観点も重要になります。いかに味が良かったとしても食べにくい場合は敬遠する人も出て来るでしょう。ホンモロコの場合はその心配がなく、クセは全くありません。販売されているものから自分で釣ったものまで、非常に調理しやすく食べやすい魚といえます。
ダイエット中の人にもヘルシー
ホンモロコはダイエット中の人も気にせず食べられます。100gあたりの熱量はたったの110kcal程度です。栄養素はビタミンB12やカルシウム、ビタミンDにリンなどが豊富に入っています。カルシウム不足の解消、免疫力の向上、生活習慣病の防止などの良い効果がたくさんあって、ダイエットだけではなく全般的な健康のために役立つ小魚です。子持ちのときは少しカロリーが多めになりますが、それほど気にする必要もないでしょう。
ホンモロコの旬の時期と味や食べられる場所は?
ホンモロコの旬の時期は?
冬から春にかけて、具体的には1月から3月ぐらいが美味しいとされています。産卵期は3月頃に始まり7月頃まで続き、このうち旬の期間中である3月期の子持ちのメスは、その食感といい味といい、とても絶品であるといわれています。この旬の季節にはホンモロコの骨が柔らかく、非常に食べやすくなっています。魚が苦手な人でもこの旬の季節なら難なく食べられるということです。産卵期が終わった秋頃からでも十分に美味しいです。
ホンモロコはどんな味?
コイ科の魚、そして他のモロコ属の中で最も美味しいとされているホンモロコ。「その味や如何に?」と言われると、あっさりとした口当たりと同時に感じるぎゅっと詰まったほろ苦さと旨味、そして産卵期に入る前の子持ち状態のメスは脂がふんだんにのっている、というものです。その深い旨味は何かの干物の味に似ていたり、子持ちシシャモのようなプリプリした食感にも似ていたりします。さらには味付けのバリエーションも豊富です。
天然のホンモロコは滋賀や京都で食べられる!
ホンモロコは絶滅危惧種に指定されてはいますが、昨今での養殖の広がりによって生息数の減少に歯止めがかかっています。また、元々の生息域である琵琶湖では、稚魚の放流や外来魚の駆除などが功を奏し、養殖ではなく天然のホンモロコの漁獲が維持されています。そのおかげで琵琶湖周辺の滋賀県や京都府などでは、郷土料理や料亭での懐石料理といったもので天然ホンモロコが販売され、現地での食文化の一端を担い続けています。
養殖のホンモロコは関東でも食べられる!
ひるがえって養殖されたホンモロコはどこで食べられるのかというと、それは主に関東地方においてです。埼玉県東部にある利根川や江戸川などでは、その昔からモツゴと呼ばれる小魚が美味しく食されていました。しかし環境が悪化し、モツゴの漁獲量は減少しました。モツゴの養殖は難しかったため、代わりの養殖用小魚として導入したのがホンモロコだったのです。そんな経緯から関東地方では養殖ホンモロコをたくさん食べられます。
ホンモロコを自分で見つけて食べることもOK!
絶滅危惧種に指定されているホンモロコですが、自分で釣って手に入れることもできます。絶滅危惧種の指定そのものには罰則規定がなく、各自治体が禁漁期間を設けているにもかかわらず釣ったり、もとから釣り禁止の場所で釣ったりしない限りは、ホンモロコの捕獲はOKです。ホンモロコが生息している河川や釣り堀などで釣り、それを自宅に持ち帰って調理すれば、喜びも美味しさもひとしおのはずです。家族や仲間たちとご一緒に!
身近になければ通信販売で取り寄せることも可能
希少な魚なので、身近なところで手に入れることができないという人が多いでしょう。そういうときは通信販売を活用しましょう。ホンモロコをそのまま冷凍したものや、佃煮・甘露煮などの料理に加工した状態のものまで、ネットで検索すればたくさん販売しています。大手の通信販売サイトからホンモロコの販売業者のホームページまで色々とあり、その中から選んで取り寄せることができるので、どしどし活用して注文しましょう。
ホンモロコの美味しい食べ方を紹介
ホンモロコの美味しさが濃縮される佃煮
ホンモロコを美味しく食べる方法の一つに「佃煮」があります。これはホンモロコ本来の美味しさに佃煮の旨さが加わり、ホンモロコの味がまるで濃縮されてより美味しくなったように感じられるものです。この佃煮は、小魚をたいして加工せず食べる料理が苦手という人に向いた食べ方です。白ご飯との相性は抜群で、食欲が刺激されて箸が進むはずです。ホンモロコも佃煮も日本の美味しい伝統料理であり、保存性も高いので便利です。
佃煮の作り方の手順
佃煮の作り方は簡単で、ここではホンモロコ4人分200g、砂糖2/3カップ、醤油1/2カップ、酒1/4カップ、みりんは大さじ2杯、お酢を少々用意します。先に醤油と酒を沸騰させ、そのあとホンモロコを少しずつ入れて炊き込み、お酢も入れてしばらく煮詰めます。ホンモロコが固くなったら砂糖を入れて弱火に、煮汁が少なくなったらみりんを入れましょう。最後まで煮詰めたら火を消し、しばらく冷まして汁気を切れば出来上がりです。
頭から丸ごと食べられる素焼き
「ホンモロコの素材本来の味を味わいたい!という人には、「素焼き」がピッタリです。素焼きはそのまま焼いて食べるだけの方法であり、とても簡単です。どこの家にもガスコンロの中に魚焼きグリルがあるはずですし、釣ったばかりのホンモロコを外で味わいたいなら、七輪にかざした網の上で焼いても良いしょう。琵琶湖のほとりで食べるホンモロコの素焼きは、非常に美味しく感じられるはずです。頭の先から骨ごと全て食べられます。
素焼きの作り方の手順
ここでは七輪を使って網で焼く方法を紹介します。用意した七輪の金網の上でホンモロコを横にし、両面をあまり焦げない程度にしっかり焼き上げます。次にホンモロコの頭を網の目の中にはまるよう突き刺し、一斉に逆立ちさせます。ここが最大のポイントで、胴体の脂分が頭部へと滴り落ち、その脂のおかげで堅い頭部がカリッと焼き上がり、サクサク食べられるのです。お好みで生姜や醤油を付けましょう。酒の肴にピッタリな一品です。
加熱後もふっくら柔らか天婦羅
ホンモロコができるだけ柔らかくなった状態で食べる方法として、「天婦羅」にするというものがあります。ホンモロコの天婦羅は料亭で供される料理でもあり、これもまた非常に人気です。高温の油でサッと揚げることにより、中身はふんわり甘く、外側はカリッとした食感になり、誰もが大好きな料理へと変身します。ポイントは生きたままのホンモロコに衣を付けて揚げることです。大葉も一緒にも揚げることで風味と風情が増します。
天婦羅の作り方の手順
まず生きたホンモロコをしばらく水槽に入れ、泥を吐かせて臭みをなくします。水槽に入れる期間は1週間ぐらいで良いです。そして水揚げをし、水でサッと洗い、そのまま天婦羅の衣に浸けます。衣が付いた状態で、180℃の高温になるまで熱した十分な量のある油の中に入れ、動かなくなって浮いて来るまで揚げ続けます。その際は火傷に注意しましょう。揚げ時間は油の中に浸けてからだいたい3分程度で揚げ上がり、すぐに出来ます。
酸っぱくて美味しい南蛮漬け
「南蛮漬け」という料理があります。惣菜として販売されていることが多いためその認知度は高いでしょう。実はこの南蛮漬けとホンモロコの相性が抜群であり、現地の料亭でも惣菜店でもよく販売されているのです。ピリリとする唐辛子の辛味、お酢と砂糖の優しい酸っぱさ、これらの味とホンモロコの旨味や骨まで食べられる柔らかさが合わさったとき、得も言われぬ美味さになります。自分で作るとなおさら美味しく感じるでしょう。
南蛮漬けの作り方の手順
まずホンモロコを水でよく洗って、炭火やコンロなどでよく焼きましょう。そして赤唐辛子1本、お酢1カップ、砂糖を大さじ5杯、玉ねぎ1/2個、ニンジン1/3本を鍋に入れ、沸騰させます。そのあとホンモロコを加え、もう一煮立ちさせましょう。煮立ったら火を止め、一晩の間、浸け置きしましょう。そうすることで味がしっかり染みこみます。そして最後にレモンやネギを適量ふりかけて出来上がりです。意外と簡単なのが魅力的です。
ホンモロコを見つけて味わってみよう
昔と比べ生息数が減り希少性が高くなったホンモロコなので、あまねく全国各地で手に入るというものではありません。しかしそれだけにホンモロコ料理を提供してくれるお店、ホンモロコを美味しく加工した商品を陳列している販売店など、それらを近くでもし見つけたらとても嬉しくなるはずです。価格はやや高いですが、全く手に入らないほど高価というわけではありませんので、ぜひその美味しさを骨の髄まで味わってみてください。