ソウギョを食べる?釣り方は草?日本の巨大淡水魚の生態と料理を紹介

ソウギョという魚を知っていますか?コイに良く似た見た目のソウギョは、中国原産の巨大淡水魚です。日本ではあまり馴染みのない魚ですが中国では中華料理の食材として普段から食べられています。日本の川に生息しているソウギョは、なんと草で釣ることができるそうです。巨大な体や独特の釣り方で、釣りが好きな人の中では人気のターゲットとなっています。今回はソウギョの釣り方や生態、料理などについて紹介していきます。

ソウギョを食べる?釣り方は草?日本の巨大淡水魚の生態と料理を紹介のイメージ

目次

  1. 1ソウギョは中国原産の巨大淡水魚
  2. 2ソウギョの生態について
  3. 3ソウギョって食べられる?
  4. 4ソウギョを釣ってみたい!
  5. 5ソウギョは中国では有名な草食の巨大淡水魚だった

ソウギョは中国原産の巨大淡水魚

ソウギョという魚を知っていますか?ソウギョはアジア大陸東部に生息している中国原産のコイ科の淡水魚です。日本には明治時代以降に食用の魚として導入され、日本各地の川に放流されました。体長は大きいものは2メートルにもなるといわれていますが、国内に繁殖しているソウギョはあまり大きくならず、1メートル前後の個体が多いです。日本ではあまり名は知られていませんが、中国では今も主要な食用魚として有名です。
 

ソウギョは中国の4大家魚

ソウギョは、同じ大型淡水魚のハクレン・コクレン・アオウオと共に、原産地の中国では4大家魚と言われています。中華料理で魚料理が出てくると大抵はこれらの魚料理です。それほど中国人には馴染みのある魚と言えます。中国では養殖ではなく養魚といって、池や沼などでそのまま育てられているのですが、この4種の魚を一緒に湖や川に入れておけば、それぞれの餌や糞が食物連鎖し、手を掛けずに大きく育てることが出来るそうです。

ソウギョの生態について

ソウギョは分類がコイ科で、見た目もコイによく似ています。しかし口ひげがないことと、コイに比べて背びれが丸く小さい形をしていることで見分けることが出来ます。また、体の色も緑色がかかった灰色で腹の部分は黄色っぽい色をしているので、コイと並べてみると違いがよく分かります。ここでは、謎の魚ソウギョの生態について説明していきます。

ソウギョは水草を食べつくす要注意外来生物

ソウギョは、コクレン・ハクレンと同じように、食用の魚として日本の川に放流されました。ソウギョは漢字で書くと「草魚」という名のとおり草を食べるので、大量に繁殖すると水辺に生育している植物や水草を食べ尽くしてしまうのです。ソウギョは巨大な体で食欲も旺盛なので、ソウギョが繁殖している水域では、水辺に住む在来魚や水生昆虫が住処を無くし、生態系に甚大な被害を及ぼす事が分かって来ました。

長野県にある野尻湖では、昔は水草が繁茂する池だったにも関わらず、ソウギョを放流してからというもの水草が激減してしまいました。また、巨大な体から排出される糞は湖の底に堆積し、水質悪化の原因にもなると判明したため、1メートル以上のソウギョを釣り上げたら賞金が貰えるなどの企画でソウギョの根絶を目指しています。現在ソウギョは日本国内で環境省により要注意外来生物に指定されています。

ソウギョは日本で繁殖がしにくい?

ソウギョは大陸などでは繁殖しやすい魚ですが、日本では多少の繁殖は見られるものの、意外に繁殖はしていません。ソウギョは産卵時期になると浮遊性の卵をうみます。卵は川の水に流され、50時間から70時間かけて孵化します。その流される過程で日本の川は大抵が海へ通じている為、ほとんどの卵が孵化前に海に到達してしまい、淡水魚のソウギョはあまり繁殖できない状態になります。

少しでも海水が混じった水域では繁殖できないソウギョですが、日本国内でも繁殖している川があります。それは利根川、江戸川水系の川です。東京の利根川や江戸川では今も繁殖が見られますが、ソウギョの寿命は10年ほどという事を考えると、湖や沼などに放流されたソウギョはいずれは自然に消滅していくことが予想されます。

釣り好きな人が一度は釣ってみたい憧れの魚

ソウギョは東京都の利根川や江戸川に多く生息しているので、都会で巨大魚が釣れると釣り人の中では話題になっているようです。身近な川や湖で1メートル以上もの巨大な魚が釣り上げられるというのは釣り人にとっては憧れなのではないでしょうか?また、釣り方も独特で、岸から近いところで釣れるうえに、エサも釣り場で調達できるという手軽さが人気です。そして釣ったソウギョは食べることもできるようです。

ちなみに滋賀県と佐賀県では、生態系に悪影響を及ぼす要注意外来生物として移植が禁止されています。茨城県や栃木県、千葉県及び東京都では漁業権魚種として指定されているので、釣って良い大きさや期間が決まっている川があります。ソウギョを釣ってみたいという人は、ルールを守って釣るようにしましょう。

ソウギョって食べられる?

中華料理によく使われているソウギョ

日本では馴染みのないソウギョは、実は中国では4大家魚と言われるほどポピュラーな食用魚です。中国では、スープにしたり、唐揚げや、蒸し魚にするなどと様々な料理方法で親しまれています。日本でもソウギョを扱っている中華料理店があるようです。興味がある人は探してみても良いかもしれません。

ソウギョは食べるとどんな味?

ソウギョを食べると一体どんな味がするのでしょうか?実際に料理して食べた人の話だと、「クセもなく美味しい」そうです。草食のためか、気になる臭みもあまり無く、プリプリ、ホクホクとした白身の食感で美味しいようです。淡白な白身はどんな料理にも合いそうです。骨はコイと同様にY字のような小骨があります。小骨が気になる人は、骨まで食べられるように料理にすると良いかもしれません。

また、たんぱく質が豚肉の2倍もあり、吸収されやすい良質なたんぱく質を持っています。まるで肉のような食感と表現する人もいます。基本的には釣ってから数日餌を与えず泥を吐かせてから料理することで臭みは消えるようですが、泥抜きをしないと淡水魚特有の臭みが出てしまうこともあるようです。巨大な体は食べられる身の部分多く、美味しく料理して食べたいものです。

ソウギョを使った美味しい料理とは?

水煮にしたソウギョに酢をきかせた餡をかける「西湖醋魚」という料理は、浙江省杭州市の浙江料理として有名です。魚に味を付けて煮付けるのではなく、あとから甘くて酸っぱい餡をたっぷりかけるのが特徴の料理です。中国へ旅行に行った際はぜひ食べてみて下さい。案外くせになってしまうかもしれません。

また、小骨が気になる人には唐揚げがおすすめです。小骨ごとぶつ切りにし、にんにく・生姜・塩コショウ・酒で下味を付けて、片栗粉をまぶしたら弱火でじっくりと揚げましょう。カラっと揚がれば骨も食べられるソウギョの唐揚げの完成です。自分で釣ったソウギョを料理するときにおすすめです。

中国の蘇州市というところでは、ソウギョを油で揚げてから甘酢に絡ませた料理が有名です。日本人にも馴染みのある味付けで、ソウギョなどの淡水魚を食べ慣れない人にもおすすめの料理です。淡水魚は独特の泥臭さがありますが、油で一度揚げることと、濃い味付けにすることで気にならなくなるようです。こちらも簡単に作れそうなので釣ったソウギョを料理するときの参考になりそうです。

ソウギョの食中毒に注意!

ソウギョの身が美味しいという事は分かりましたが、実は食べられない部分が存在します。それは胆のうの部分です。ソウギョを含むコイ科の魚の胆のうには毒があります。中国ではコイ科の魚の胆のうが滋養強壮や眼精疲労に良いと言い伝えられ服用されているそうですが、危険なので食べない方が良いでしょう。症状は胃腸障害、肝機能障害、急性腎不全などで、コイ科の胆のうによる中毒患者数はフグに次いでなんと2位です。

また、自然の川に生息する淡水魚は、有棘顎口虫という寄生虫の心配があります。中国では生で食べる地方もあるようですが、生で食べるのは絶対にやめましょう。食べるときは必ず中心までよく加熱する料理で食べるようにしましょう。

ソウギョを釣ってみたい!

釣り人にも人気のあるターゲット「ソウギョ」は、一体どこで、どうやって釣るのでしょうか?そしてエサが草だけで本当に釣れるのか、気になる情報を調査してみました。意外に身近な川や湖で釣れるようです。ソウギョを釣ってみたいという人はぜひ参考にしてみてください。

ソウギョが釣れる時期と場所について

まずソウギョが釣れる時期についてです。釣り期は4月~12月と言われています。その中でもよく釣れるのは7月~9月の夏の時期です。ソウギョは高水温に強く、水温が高くなるにつれ食欲も増すと言われています。釣れる場所については、繁殖がみられる利根川水系や江戸川、茨城県の霞ヶ浦、北浦などで釣れるようです。また、繁殖はしませんが、本州・四国・九州地方の河川や湖沼などにもいるようです。

川辺にアシが茂っている場所があれば、そこはソウギョが回遊して来るポイントかもしれません。水際に生えているアシの先端が食い千切られていれば、それはソウギョが食べた跡です。虫は草のふちから食べるのに対し、ソウギョは先端部分から食べるので見分けがつきます。ソウギョは警戒心が非常に高い魚なので、物音や、人影に注意して釣りに挑みましょう。時間帯は満潮時と夜や早朝、夕方などがおすすめです。

ソウギョの餌は草?

ソウギョはイネ科の植物を食料としています。なかでもにアシという植物が好物です。釣り場にもともと茂っているアシを寄せ餌にし、アシの葉っぱに針をつけて釣るという、他の魚では考えられないような釣り方で1メートル以上もある巨大な魚を釣り上げられるというのは驚きです。また、釣り場で餌を調達できるので、餌ぎれに悩まされることもありません。

ソウギョを釣るのに適した竿

ソウギョを釣る方法は、1本針を使用し、草を付けて投げて釣る釣り方と、置き竿をして、岸辺に草を食べにきたソウギョを足元で釣り上げる方法があります。前者の釣り方の場合は、ミディアム以上のルアータックルを使用します。また、置き竿で釣り上げる方法では、3号以上の磯竿に両軸リール又は鯉用のスピニングリールをつけ、針と糸だけのシンプルな仕掛けで狙います。

ソウギョの釣り方

それではソウギョの釣り方について説明します。先程2種類の釣り方があると紹介しましたが、ルアータックルで投げて釣る釣り方は、ソウギョだけでなく鯉などの外道がかかることがあるようです。ここではソウギョだけが狙える、足元に草を浮かせて釣る方法について解説します。ソウギョはアシが茂った30cm以上の水深がある場所で狙えます。

仕掛けは、上の画像の様にナイロン5号のハリスにチヌ針9号を3本使って作ります。普通の釣りではあまり見ない仕掛けの方法です。まずは細く柔らかそうなアシの葉を選び、15cmくらいに切っておきます。3本の針にアシの葉を埋め込むようにつけましょう。オモリはナツメ型6号を使いますが、風の強い日は少し重めの物を用意し、実際に浮かべてみて水面に浮くくらいの重さで調節しましょう。

まずはアシの茂っている周辺を良く見て、ソウギョがいた痕跡があるか確かめましょう。アシの葉を食べた形跡があればそこを釣り場にします。釣り方は、「草針浮かせ釣り」という方法を使います。ソウギョは水に浮かんだアシの葉を食べるので、仕掛けの針つけたアシの葉は水に沈めたりはせず、笹船のように川面に浮かせておくようにします。

岸辺のアシを数本、足で踏んで、葉先が水の中に沈むように倒し、寄せ餌にします。岸から1m以内にするのがポイントです。回遊して来たソウギョが寄せ餌に夢中になり、警戒心が薄れるようにするのが狙いです。寄せ餌を施したら、仕掛けを落としていきます。川岸から近いところに、竿の真下に垂らして、水面に草をつけた針を浮かせます。このとき、倒したアシの葉先の近くに仕掛けが行くように、竿の位置を調節して置きます。

置き竿をしたら音を立てないように注意しましょう。姿が見えるとソウギョは警戒して寄ってこないので、身隠すようにしてアタリがくるのを待ちましょう。竿の先端に鈴をつけるのは厳禁です。音に驚き逃げてしまいます。夜暗くてアタリが分からないと不安な人は、ケミホタルを利用しましょう。

ソウギョが餌を咥えると、静かに移動していきます。30cm前後押さえこんだら、大きくアワセを入れましょう。ソウギョの口は固いので強めにアワセます。アワセたあとは引きを楽しみながら釣り上げましょう。大きな魚なので駆け引きも楽しめます。近くまで引き寄せたら玉あみですくいキャッチしましょう。

ソウギョは中国では有名な草食の巨大淡水魚だった

ソウギョは原産地の中国では、アオウオ・コクレン・ハクレンと共に4大家魚と呼ばれるほど有名な魚でした。そして餌はイネ科の植物をや水草を主食にしている草食な魚ということがわかりました。中国では巨大に成長したソウギョの良質なたんぱく質が好まれ、今現在も貴重な水産資源として食べられていることもわかりました。

そしてソウギョは、東京都などの身近な川や湖で草を餌に釣り上げることができます。釣りに興味がある人はぜひ釣ってみてはいかがですか?環境保全に協力しながら、街中で1メートル強の巨大魚を釣り上げるのも夢ではありません。特別な餌も必要なく、現地で調達できる手軽さです。ぜひ大物とのファイトを楽しんでみて下さい。そして釣った後は食べてみるのも良いかもしれません。

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