2018年05月29日公開
2024年07月15日更新
太刀魚の刺身は炙りがおすすめ?さばき方や皮の切り方・盛り付け方まで解説
太刀魚は皮つきのまま刺身で食べると美味です。なぜなら身と皮の間に旨味が凝縮されているからです。太刀魚の刺身をいただく機会があるのなら皮つきがおすすめです。太刀魚がなぜその名で呼ばれるかは色々な説があり、刀に似ているからだとか立って泳いでいる姿からきているなど諸説あります。刺身でも美味しいのですが、太刀魚には他にも美味しい食べ方があります。今回はその太刀魚のさばき方、切り方など解説していきます。
太刀魚ってどんな魚?
刺身でもよく食べられる太刀魚は、全長が70cmから1m、最大2m級以上の巨大なものまでいます。重さは5kgも、ある太刀魚も存在するようです。太刀魚という名前は刀に体が似ている点や立ったまま泳ぐ様からきているとの事です。スズキ目、サバ亜目、タチウオ科に種は分類されています。この太刀魚を新鮮な刺身として食べたいと考えるなら釣りにいくのも1つの手です。釣らなくても新鮮な太刀魚が手に入ったら刺身が美味しいです。
太刀魚は夜行性の魚で、餌に貪欲です。昼間は比較的深海にいて日が沈むと小魚など餌を求めて岸の近く、浅瀬まで浮上してきます。回遊魚の性質であり、一度湾内に群れで入ってくるとそこからなかなか出ていかず、太刀魚の群れがいなくなるまで釣れ続ける事があるのです。太刀魚は長さ測る時、胴体の太さを指何本分か?3本か4本か?などで測る事が多く、1メートルを超えるものはドラゴンと呼ばれ喜ばれます。
中国では4m、7kgを超えるまさにドラゴンが釣れた事があるそうです。基本的に太刀魚は鱗がありません。体全体をグアニン質の粉で覆われています。太刀魚の息があるうちは常時このグアニン質を作り続け体表を包んでいます。なんと昔はこのグアニン質を使ってマニキュア、模造真珠などを作成していたそうです。刀と称される太刀魚ですからたいそう江戸時代に人気があったはずと考えられそうですが、そうでもなかったようです。
江戸時代に太刀魚を紹介した書物によれば、フグと同様に毒があると信じられていたようです。しかし太刀魚に毒などはありません。特に鮮度の高い太刀魚は銀皮造りといった皮の旨味を存分に味わえる刺身で食べても大変美味しいです。刺身は太刀魚を食べる調理法として現在ではもっとも美味しい食べ方の1つになっています。刺身はもちろん他の調理法でも美味しく食べられるようにさばき方、切り方をレクチャーしていきます。
太刀魚のさばき方や皮の切り方
太刀魚の下処理や内臓の取り方
刺身にするにしても、他の料理でも、新鮮な太刀魚、例えば釣ったばかりの太刀魚などは全身をグアニン質で覆われています。このままでも構わないのですが、気になる人はタワシでこすり、洗い落としましょう。ですが、あまりゴシゴシこすりすぎると太刀魚の特徴である、銀色まで落ちてしまうので、目安としてはぬめりが取れる程度にとどめておきます。太刀魚は長い魚ですからまな板で内蔵を取りやすくするために切り分けします。
胸ビレの下から頭を切り落とします。太刀魚の頭には鋭い歯がついているので気をつけて頭を落としてください。それから肛門部分からカットし、切り分けます。肛門より逆さ包丁を入れて尻尾側に腹を切り裂いていき、太刀魚の腹を割ったら、包丁の先っぽで掻き出すようにして内蔵を取ります。中骨にある血合いは親指の爪でゴリゴリ削ぐか、歯ブラシなどで取ると簡単でおすすめです。刺身にするなら尚更丁寧にしておきたいです。
太刀魚の腹の中には黒い粘膜があり、ペーパータオルで除去します。後は水洗いをして水気を取ります。血合いをしっかりとっておかないと臭みの原因になるのでしっかり取りましょう。特に生で食べる刺身など生臭かったら食べる気が失せてしまうでしょうし、血合いの除去は入念にやっておきましょう。
太刀魚の3枚おろしのさばき方
太刀魚の魚体が1mなら指5本というふうに太刀魚の魚高は人間の指の数で表します。指5本の太刀魚は脂ののった大物で、釣りたてなど新鮮なものは、白身は脂がのり絶品です。他の料理でもいいものですが、刺身に最適です。まず頭部の切り方ですが、背ビレの後ろ側に刃を入れ、頭を落とします。肛門から刃を入れ、包丁の刃を入れすぎないように腹を裂きます。なぜかというと卵をもっている可能性があるからです。
太刀魚の腹を割ったら内蔵を取り出します。太刀魚の卵は新鮮なものなら刺身にもできますし、薄いダシで煮てやっても美味しいです。軽く焼いても美味です。そして背ビレを取りましょう。太刀魚の背ビレは細長い道のように背中についています。その背ビレに沿って刃先は短く、急角度に刃を入れ、両側からVの字形になるようにし、そのまま尻尾まで背ビレに刃を入れていきます。
背ビレへVの字に刃を入れた太刀魚の頭部を持って、尻尾へ向かって背ビレをびーと剥がしていきます。これで中にある細かい骨ごと背ビレがさっぱり取れます。ここから本格的に三枚おろしに入ります。太刀魚は切り身にしたあと皮を剥ぐ事もできますが、太刀魚の身は薄く皮は柔らかいので、これは馴れた人ではないと難しいく、包丁を垂直に立て、刃で皮をこそいでいく方法をとった方が無難です。
身の切り離しにかかります。背中から包丁を入れていき、中骨にそってゆっくり切っていけば、身が薄く、柔らかい太刀魚の身でも綺麗に刃が通ります。同じように腹から刃を入れていき、三枚におろします。三枚におろすと身の中央に細かな中骨が残っていて、そこを取り除きます。この中骨はゴミではなく、三枚におろした中骨を軽めに火で炙り味噌汁のダシにすると美味しいです。最後は薄めに幅広く切り身にしていきましょう。
太刀魚を刺身で食べるときの皮の切り方
太刀魚を刺身にする場合ですが、さばき方は皮付きの刺身が多いです。細切りといって皮を上向きにして薄く細く切る切り方をします。ですがフグの刺身ほど薄くする必要はありません。一切れサイズの刺身、何切れがまとめて口に入れるナマスほどの大きさに切りわけます。刺身を食べやすくするため皮に細かい切れ目をいれる方法もあります。
この時切れ目を入れる間隔は細め、小刻みといったような形にしてください。注意点として皮のみに切れ目をいれるように、身に傷がつかないようにしてください。細く入れた切り目に沿いながら包丁で刺身に切り分けていきます。太刀魚の、刺身の切り方で格子造りという切り方は皮を残しつつ、舌触りが良い状態で刺身にするための、切り方の1つです。
三枚におろした太刀魚の身を、皮目を上にして置き、尾を向かって上に置きます。見方によっては身がまな板上で縦になっているのが正しいです。包丁の先を使って太刀魚の皮に切れ込みを入れていきます。幅5mm感覚で上から下に縦線の切れ目を入れていきます。そして身の向きを変えます。皮目は上、背ビレが上、縦に置いた身を今度は真横にする形です。身の右側から3m程度の幅で縦に切り目を入れていきます。
こういう風に縦の切れ目を入れると、太刀魚の皮には格子目状に切れ目が入ります。これを格子造りと呼びます。刺身に切り分ける時は縦線に合わせて切り分けていきます。初心者の方には難しいように見えますが太刀魚の皮は案外しっかりしているので是非、挑戦してみてください。格子造りの刺身は大変舌触りが良いです。またその他にも太刀魚の、刺身の方法として拍子造りというのがあります。
まず、まな板に三枚におろした切身1つを向かって横に置きます。そして一口で食べられるくらいの大きさに切り分けます。だいたい5cm感覚といったところでしょうか?次に切り分けた身を、切り口を上下、背ビレ、腹を左右、簡単に言うと横にしていた切身を縦にするという事です。置き位置を変えたら太刀魚の身にある割れ目に刃を入れ、左へ包丁を入れます。皮の上で包丁が滑っている感覚で刃を入れていき、皮から身を剥ぐ感覚です。
力を入れてしっかり皮を身から剥がしていきましょう。そして残りの身の部分は左側に置き、身がまだついた皮を右側に置きかえ、皮を抑えながら、包丁で身を多少強引でもいいので皮に残った身を剥がします。この時注意したいのは皮が滑りやすいのでペーパータオルで抑えておく点です。これで皮が綺麗に引けて、棒状の身が残ります。この身の姿が拍子に似ているので拍子切りと言われているそうです。皮を気にせず刺身を食せます。
太刀魚の筒切りのさばき方
美味しいとされている太刀魚の大きさはだいたい1mぐらいのもので、脂も十分にのっています。頭も料理に使う場合はさばき方として硬い歯を取り除いておきます。歯はカミソリのようになっているのでどう調子しても食べられません。太刀魚のさばき方として取り除いておくのが基本です。頭部は2つに割って料理に仕様できます。腹を先、ワタを出して水洗いします。尾はいらないので切り落とします。
太刀魚は体が長いのでさばき方として2つか3つに切り分けておいてもいいでしょう。筒切りのさばき方は、ムニエルや焼くだけなら、まず背ビレの根本ヒレ骨はとても鋭いので取ります。背ビレの両側から刃を入れて取り除きます。切れ目を入れた後、ヒレを包丁で押さえつけて身を引っ張ると外れます。後は筒状に、適当な大きさに切ればOKです。作る料理の大きさに合わせて筒切りしましょう。
頭や卵も食べられる
太刀魚の頭は良い出汁がでるのでダシに使えます。唐揚げにしても食べられますので歯だけは切り取っておきましょう。肛門から包丁を入れて頭に向かって刃先を滑らすようにすーと開きます。身に傷がつかないように内蔵を取り出します。この時、卵が入っている事があります。実は卵も新鮮なもの限定ですが刺身にして食べられるのです。
太刀魚の刺身の美味しい食べ方
太刀魚の刺身は炙りがおすすめ
太刀魚は脂がほどよく白身も美味しい魚で、刺身にすると美味しいのですが、さらに炙ってやるとまるで口の中でとろけるようなまったく別次元の味がします。その方法を紹介します。炙ると言っても完全に焼くわけではないので生の部分がありますし、新鮮なものに限ります。釣ったものがあるならそれが良いでしょうし、買うにしても鮮度の高いものを選びましょう。
炙るためのバーナーを用意します。そして三枚におろした切身を食べやすい刺身の形に柳刃包丁で切り分けていきます。この時注意したいのは皮を取ってしまわない事です。皮がついた状態でさばいてください。炙った刺身は皮つきの方が圧倒的に美味しく、見た目も綺麗だからです。だいたい刺身の形に切り分けられたら、キッチンペーパーで水分をふきとっておきます。
周囲まで炙ってしまわないように炙る切身をアルミホイルに乗せてバーナーで炙っていきます。15秒ほど強めに炙れば完成です。アルミに太刀魚の脂が溶け出しているはずです。太刀魚の身は固めなので身を長めに炙ると上手く作れます。バーナーは通販サイトなどでも売っています。
太刀魚の刺身の3種類の切り方と盛り付け方
盛り付け用に太刀魚の背ビレを使います。三枚おろしにした太刀魚から背ビレを取り除きます。切り取ったヒレは、片方は輪っかにして爪楊枝で止めます。もう一つのヒレは左端を引っ張っておいて立たせて爪楊枝を刺し、動かないようにします。ヒレの骨を爪楊枝で引っ掛けてやると上手に立ちます。これらを更に盛って飾りにし、刺身を盛っていきます。
ヒレで飾った皿に刺身を盛っていきます。”そぎ造り”という切り方から紹介します。深さ2mmくらいの切れ目を柵の皮目に入れていきます。太刀魚は皮の固い魚なので刺身にする時は皮に切れ目をいれたり、細切りにしてやる必要があります。柵に厚みがある方を上にしてまな板に置き、包丁を右に寝かせる形で削ぎ切りにします。切った切身を右から重ねつつ並べ包丁ですくって皿に盛ります。
タタキの作り方は尾びれの方の薄い身を使用し、細く切っていきます。おろした身を横向きにしてまな板に乗せ、包丁の角度を変えながら小刻みに2、3mm程度に細く切っていきます。切り終えたら包丁でとんとんとんと叩きましょう。小ねぎとおろし醤油で和えたら盛りつけます。平造りは厚みのある身の部分を使いましょう。タタキで使った尾の部分を取り除いた胴体のあたりの切身が良いでしょう。
柵の厚みがある部分を向こう側へまな板に置き、まず右側から1、2mm程度の深さの細かな切れ目を入れます。その切れ目を入れた部位を15mm程度の幅に切っていきます。盛り付けるときにスライスしたレモンの上に乗せてやると華やかです。最後の、仕上げの盛り付けは人参でツマを作って皿に立ててやります。白い太刀魚の上にオレンジが鮮やかで鮮やかです。
太刀魚の美味しい食べ方とレシピ
おつまみにもおすすめの太刀魚の唐揚げ
刺身にしても十分美味しい太刀魚ですが、おつまに、唐揚げにしても美味しいです。その作り方を紹介します。まず材料は指3本ぐらいの大きさの太刀魚一匹、生姜1欠片、ニンニク1欠片、醤油大さじ2、酒大さじ1、片栗粉大さじ3です。次に作り方ですが、太刀魚を三枚におろします。この時身がついてない尾でも唐揚げになるので捨てないようにしてください。浅めで広いタッパーに太刀魚を並べます。
生姜とニンニクを摩り下ろして、醤油酒を太刀魚がまんべんなく浸かるように入れ、好みの時間太刀魚を漬けますが、15分程度でも味はつきますし、寝る前につけておいて次の日まで漬けておいても良いです。次にタッパーの蓋を少しずらして、つけ汁を捨てます。太刀魚がタッパーに入ったまま片栗粉を振りかけ、蓋をしたらタッパーを振ります。こうする事で太刀魚にまんべんなく片栗粉がつきます。
いよいよ脂で揚げます。脂の温度は180度から190度ぐらいの熱さで、2分ほど揚げます。釣りたての太刀魚だと色が変わったところが目安です。最後は皿に盛って飾り付けましょう。
シンプルで簡単な太刀魚の塩焼き
材料は15cmほどの、太刀魚の切身を2切れ、塩小さじ1用意します。作り方は太刀魚を4cmほどの切身にします。切身にした太刀魚に塩を振って5分置きます。水気をふきとったあと、ホイルを敷いたフライパンで切身を焼きます。弱めの中火で片面を3分ずつじっくり焼いて中まで火が通ったことが確認できれば完成になります。調味料も塩だけととても簡単に作れます。手間もあまりかかりません。
お菓子にも!太刀魚の骨せんべい
太刀魚の骨をお菓子感覚でせんべいにしてしまうレシピを紹介します。材料は太刀魚3~4匹に塩を適量です。作り方は太刀魚を三枚におろし、角皿にクッキングシートを敷いて骨を適当に折っていれます。ここで注意点は骨が重ならないようにしましょう。この段階で塩を振ります。後は160度の余熱で熱したオーブン上段で30分焼き、焼けたら取り出して、自然に冷めれば完成です。おかしにもおつまみにもなります。
皮がパリうま!太刀魚のオイル焼き
材料は太刀魚1/2、サラダ脂大さじ6杯、塩少々です。作り方は切身に塩を振って少し時間をおき、なじませます。フライパンに脂をひき、加熱させた後中火で時間をかけて太刀魚の切身を中にしっかり火が通るまで焼きましょう。オイル焼きなので油がでるのはしかたないのですが、油が気になる方はキッチンペーパーで油をとってください。最後は皿に盛りつけて完成です。
太刀魚のさばき方や切り方をマスターして美味しく食べよう!
太刀魚はあっさりしたタンパクな味わいでありながら、脂も乗っており刺身にしたらとても美味しいです。しかも頭や骨も食べることができます。頭は、歯だけは取り除いておきましょう。中骨からはダシも出て味噌汁が作れ、刺身以外でも調理法に色んな可能性があります。太刀魚の切り方やさばき方を知らないままだと食べられる所も捨ててしまうことになってもったいなので正しいさばき方や切り方をマスターしましょう。