2018年05月28日公開
2024年07月15日更新
サッパの特徴や美味しい食べ方を解説!臭くならない酢漬けのやり方もご紹介
サッパという魚に聞き覚えはありますか?釣りをする人ならおなじみのサッパは、ニシンの仲間の小型のお魚です。岡山県ではままかりと呼ばれ、郷土料理としてもおなじみで、隣家にご飯を借りに行かなくてはならないくらいおいしいと評判です。今回はそんなサッパの特徴やおいしい食べ方について調査しました!砂泥地にすむため、臭みが気になるサッパの臭みのない酢漬けの方法もご紹介します!
サッパという魚を知ってる?
サッパはニシンの仲間で、河口など淡水と海水がまじりあう汽水域に生息しているお魚です。サッパという名前の由来はいつくかありますが、味が淡白でさっぱりとしているから「サッパ」と呼ばれたという説と、日本全国の漁村で小舟のことを「さっぱ」と呼んでいたことに由来して体が笹の葉のような小舟形をしているため、サッパとばれたという説があります。
ユニークなのが地方ごとに呼び名が全然違う点です。岡山県など瀬戸内海地方ではママカリ、広島県や香川県ではワチ、佐賀県ではハダラ、関西地方ではハラカタ、愛知県ではキンカワ、キンカと呼ばれています。特にメジャーなのが岡山のママカリで、おかずが進むから、ご飯が足りなくなり、隣家にご飯を借りてしまうほどおいしい、という意味で「ママカリ=飯借」と呼ばれるほど親しみのある存在です。
岡山県ではサッパ(ままかり)は、郷土料理として庶民に愛されているお魚です。岡山県南部では、お祭りの日や家族の祝い事があるときは、海へ行ってサッパを釣ってきて、サッパ寿司を作るのが習わしになっているほどです。サッパは足が早いため、酢漬けにすると保存性を高め、うまみも増して、小骨が柔らかくなり、青魚独特の臭みを抜くことができるため、酢漬けで作るサッパ寿司はとても理にかなった郷土料理といえます。
サッパの特徴とは?
サッパは、体長10~20cmほどの大きさで背は青緑、体は腹にかけて美しく輝く銀色をした青魚です。とても平べったい形が特徴で、体高があります。うろこがしっかりとしていて固く落ちにくいという点と、小骨が多いため食べるときは工夫が必要という点もサッパ特有の特徴です。味わいは淡白でさっぱりとしていると言われています。
サッパはよく江戸前寿司の高級ネタで有名なコハダと見た目は似ていると言われますが、全く違う仲間になります。サッパもコノシロも同じニシン目の仲間ではありますが、大きさはサッパが20cmほどなのに対し、コノシロは大きいものは30cmを超える魚体もいることがあります。見た目の違いも特徴で、サッパはエラ上部に黒い斑点がある点と、背びれが伸びていない点、うろこに斑点がない点で見分けることができます。
サッパの旬はいつ?
サッパは日本の内湾や汽水域の浅い場所に群れを作って生息し、冬には深場へ移って冬越しをする海水魚です。北海道から九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海まで分布しているので、日本各地で見かけることができます。イワシのように年間を通して安定して漁獲される魚ですが、一番おいしい旬の時期は5月~7月、10月~12月といわれています。
出典: http://kumomi.jp
産卵期である春先の5月~7月にかけては皮や小骨がやわらかく食べやすいのが特徴で、10月~12月にかけての晩秋の時期は脂がのっておいしくなるのが特徴です。時期ごとにおいしさに違いがあるのが特徴です。旬の時期のサッパは栄養成分もとても高く、不飽和脂肪酸であるDHAはEPAのほか、ビタミンA、D、B12などを豊富に含んでいるのも特徴です。旬時期の骨ごといただく食べ方だと、カルシウムも補給できます。
サッパはサビキ釣りで狙う
サッパや釣りの初心者やファミリーにもおすすめの、防波堤や公園で気軽に楽しめる「サキビ釣り」でおなじみのお魚です。アジやイワシなど群れで回遊している魚がターゲットで、春先から晩秋にかけて長いシーズンとることができるので、初心者でも比較的簡単に釣ることができるのが特徴です。
サキビ釣りに必要なのは、リール付きの竿です。3m前後の波止差が初心者には扱いやすいサイズです。エサはアミエビを用意します。釣り屋さんに行くと、餌までついたサキビ釣り完全セットなるものも販売されているので、はじめて釣りに挑戦する方は、こうしたグッズを利用するとよいでしょう。
釣り方の簡単な手順を説明すると、アミエビをかごに詰めてそこへ落とし、着底したことを確認して竿を上下に動かしマキエを出したら、少し止めて待ちます。動きがなければ、何度か同じことを繰り返しましょう。竿にひっかかったら、竿を立ててリールを巻いてあげましょう。コツは、サッパが波止の竿下まで寄ってこないことがあるため、ヒキがない場合は、沖を狙って少し遠くまで飛ばすと釣れることがあるので試してみてください。
サッパの美味しい食べ方を紹介!
サッパは砂利底に生息しているため、臭いが気になるという方が多く、小骨が多く、ほかの魚に比べてうろこが固いので、調理が割と大変なお魚です。ですが、きちんと上手に下処理をしてさばくと臭みがなく、さっぱりとした味わいが特徴のサッパを最大限おいしくいただくことができます。食べ方も酢漬けをはじめ、南蛮漬けや唐揚げ、サラダなどさまざまに楽しめます。まずは大切な下処理の方法とさばき方をご紹介してきます。
下処理の方法
サッパの下処理は主に臭い消しになります。サッパをキッチンペーパーを敷いたタッパーなどの保存容器に並べて入れたら、塩を多めにふって2時間ほど置いておきます。この際、サッパから余分な水分が出てきます。この水分こそが臭みのもとであるアクになるので、しっかりとキッチンペーパーで拭きとってください。これで水分が抜けて身が締まり臭みも抜けていきます。
サッパのさばき方
サッパのさばき方を紹介します。まずサッパの特徴のひとつでもある固いうろこを取っていきます。サッパは酢漬けなどでそのまま皮付きで食べることが多いので、しっかりとウロコの処理をしておくことが大切です。包丁やペットボトルの蓋をひっかけて、尾から頭に向けて動かすと上手にウロコを取ることができます。
次にさばき方ですが、頭からひれの後ろにかけて斜めに頭を切り落とし、おなかの部分は肛門あたりまで大きく切り落とします。こうすると内臓の面倒な処理をすることもないので、ここは大胆に切り落とした方がよいです。尾に近い部分は皮が硬くなっていて、食感が悪いので、切りそろえておきます。小骨が多いのが特徴のサッパは、背中側の身を残すくらいの気持ちでさばくと、食べやすくなるので覚えておきましょう。
サッパの簡単美味しい人気レシピ
とにかく簡単サッパの南蛮漬け
獲れたての新鮮なサッパが手に入ったら、簡単に調理できておいしい南蛮漬けの食べ方がおすすめです。材料はサッパ10匹、玉ねぎ1/2個、にんじん1/2本、片栗粉適量、揚げ油を用意します。作り方は、サッパのうろこを包丁の背などで丁寧に落としたら、頭を切り落とし、お腹から肛門を開いて内臓を取ります。よく洗って水けをふいておきます。
鍋にしょうゆ大さじ6、みりん大さじ6、だし汁大さじ6、酢大さじ5、酒大さじ2を入れて火にかけたら一度沸騰させ南蛮ダレを作ります。千切りにしたにんじんと薄切りにした玉ねぎを炒めて、南蛮ダレにつけておきます。サッパに片栗粉適量をまぶしたら、揚げ油でじっくりと火を通していきます。最初は低い温度で、仕上げに高温で揚げるとからっとなります。揚げたてのサッパを南蛮ダレに漬け込み3時間ほど置けば完成です。
骨までカリッとサッパのから揚げ
サッパを唐揚げにして、骨まで丸ごといただく食べ方です。カルシウムも取れるので、成長盛りの子供にぜひ食べて欲しいおすすめの食べ方です。材料はサッパ15匹、片栗粉大さじ2、塩少々を用意します。作り方は、うろこを丁寧にとったサッパを、キッチンバサミを使って頭を切り落とします。おなかの部分ははさみをつかって内臓を取り出し、きれいに洗います。腹開きにして骨を取ります。
厚手のビニール袋に下処理をしたサッパと、片栗粉をいれて全体的に片栗粉がいきわたるように振ります。180℃の油できつね色になるまで揚げたら、最後に塩を振って完成です。ご飯おかずにはもちろん、おやつにもぴったりの食べ方です。
たくさん作っていろんな味でサッパ天ぷら
味が淡白でさっぱりとしているサッパは天ぷらの食べ方で調理すると、とても上品な味わいでおいしいです。材料はサッパ15匹、てんぷら粉1/2カップ、水80mlを用意します。作り方は、サッパは包丁を使って丁寧にうろこをおとします。包丁でお尻から胸びれまでを切り、内臓を取り出し、きれいに洗ったらキッチンペーパーで水気をしっかりふき取っておきます。その後、サッパを前述の方法で3枚におろします。
てんぷら粉に水を混ざ、なめらかになったらサッパに衣をつけて揚げ油で色がつくまで揚げます。定番のてんつゆの食べ方もおいしいですし、シンプルに塩やレモンなどを絞って食べても絶品です。サッパは淡白なので、ほかにもカレー塩や抹茶塩、マヨネーズ、酢しょうゆなどをつけてもおいしくいただくことができます。何種類かタレを用意して、お好みでつけて食べると楽しいです。
サッパと春キャベツのサラダ
酢漬けしたサッパを使った爽やかな春キャベツのサラダです。材料は酢漬けしたサッパ100g、鷹の爪適量、キャベツ300g、塩小さじ1/3、酢大さじ3、ごま油大さじ1を用意します。作り方は、キャベツは洗い、粗目の千切りにします。鍋にキャベツ、鷹の爪、塩少々を入れ火にかけます。強めの日でキャベツを混ぜながら、しんなりするまで火を通します。熱い内にざるに上げ、塩と酢を混ぜます。
キャベツの粗熱が取れたら、お皿の上にキャベツを敷き、サッパの酢漬けを裏表が交互に来るように放射状に並べ、最後にごま油を回しかけたら完成です。お好みで、黒コショウなどを振っても美味しくできます。見た目がお洒落になるので、おもてなしやお祝いの席などに出しても喜ばれる食べ方です。
美味しいサッパの酢漬けの作り方
サッパの一番おいしい食べ方としておすすめなのが、酢漬けです。日大量にサッパが手に入った時は酢漬けにしておくと日持ちするので長い期間食べることができます。ご飯のおかずにはもちろん、お酒のあてにもなるので、冷蔵庫に常備しておきたい食べ方です。まず下処理としてサッパを水道水でしっかり洗ったら、ウロコを落とします。包丁の背やペットボトルのフタを使って、尾から頭にかけて動かすときれいに取れます。
酢漬けでは頭は食べないので、キッチンばさみを使って頭の部分と、小骨がたくさんあるおなかの部分を大胆にカットします。次にお腹に残った血合いや汚れを流水にさらしながらきれいに洗い流します。使い古した歯ブラシがあると便利です。大切なポイントが、臭み取りです。この工程を丁寧にしておくと臭みのない酢漬けができます。ざるの下に受け皿を敷き、サッパを並べて塩を多めにふり2時間ほど放置します。
この時、生臭い汁があがってくるので、しっかりとキッチンペーパーでふき取りましょう。キッチンペーパーだけだと水分の吸収が追い付かないことがるので、チラシをざるの下に敷いておくとなおよいです。次に酢漬けにしていきます。塩をふって水けをふき取ったサッパを、酢にくぐらせて塩気を簡単に落とします。真水で洗ってしまうと旨みが落ちるので、酢または食塩水で洗うのがおすすめです。
次に漬け酢を作ります。酢大さじ9、砂糖大さじ3、鷹の爪適量をよく混ぜた酢漬けの漬け酢にサッパの皮目を下にして漬けていきます。冷蔵庫で2時間半~3時間置き、身の赤っぽさがなくなり、全体が白くなったら酢から出して完成です。酢につけすぎると酸っぱくなるので、色が白く変わったら酢から出すようにしましょう。これで臭みのないおいしいサッパの酢漬けの完成です。
サッパの酢漬けは、好みの応じて味を変えても美味しくいただけます。旨みを加えたければ昆布を一緒に混ぜたり、ハーブを足して洋風にアレンジしてもおいしいです。また、ポン酢や生姜醤油につけて食べるのもおすすめです。酢漬けにしたサッパは、小骨はもちろん、中骨まで柔らかく食べることができます。
サッパは簡単調理ができる美味しい魚
いかがでしたか?ニシンの仲間であるサッパは、小型のかわいらしい見た目で、淡白な味わいのとてもおいしいお魚でした。ファミリーフィッシングなどでもおなじみなので、釣ったことがある人も中にはいるのではないでしょうか?サッパは、うろこが多く、小骨が多いのが特徴なので、調理するには敬遠されがちなのですが、上手に下処理さえすれば、簡単に調理ができ、その味は絶品です。
岡山県で隣の家にご飯を借りに行かなくてはならないほどおいしい!と言われているのが納得できると思います。食べ方も定番の酢漬けはもちろん、唐揚げやてんぷら、南蛮漬けなどいろんなバリエーションで楽しめるので、ぜひサッパが手に入ったらおいしく調理してほしいです。もし岡山県へ旅行に行くことがあったら、酢漬けしたサッパを食べてみてください。あなたも隣家へご飯を借りに行きたくなるかもしれません!