オニオコゼの釣り方とさばき方を解説!市場の値段や料理方法も調査!
まるで怪獣の様な見た目のオニオコゼは、市場に出回ることが少ない魚ながら釣り人や魚好きの間では有名な魚です。その理由は二つです。一つ目は背びれに毒を持っていて気をつけて扱わなければならない点、もう一つはその身の味わいは有名な高級魚に引けを取らない美味しさである点です。そんなオニオコゼを自分で釣り上げるコツから、背びれの毒棘に注意したさばき方、おススメの料理を紹介します。
オニオコゼってどんな魚?
オニオコゼの市場の値段
褐色の体色、いぼ状の皮膚、猛毒の背びれを持った怪獣の様な見た目のオニオコゼですが、その見た目とは裏腹に大変美味な魚としても有名です。味が上等であることはもちろんなのですが、大きなヒレや棘、骨が多く、可食部が少ない事も相まって、市場では高級魚として扱われ、料亭などでは高級料理に使われます。
スーパーの鮮魚コーナー等で販売されることはほとんど無く、漁協内の販売コーナーや鮮魚専門店等で扱われることがあります。その価格は鮮度やサイズによって大きく変わりますが、活き締めのオニオコゼの通販であれば、一匹数千円以上はざら、100g~200g程度の小さめの個体でも2,000円程度します。これだけ見ればキロ10,000~20,000円は高級魚として名高いトラフグに匹敵する価格です。
西日本、特に瀬戸内海産の物や九州産が流通することが多く、広島県の呉市では今年「呉おこぜフェア」が行われる程で画像の様な冊子も使ってオニオコゼのPRとブランド化を進めています。同市では稚魚の放流等を行っていることもあり、近海での漁獲量は年々増加、地元の市場ではキロ1,200~3,000円程で取引されているそうです。同フェアに参加する飲食店では美味しいオニオコゼ料理を味わえるようです。
オニオコゼには毒がある
毒を持つ魚の代表選手とも言えるオニオコゼ、怪獣の様な見た目に負けぬ猛毒をその背びれの棘に備えています。刺されると傷みと共に皮膚が腫れあがり、半日から一日中激しい痛みに襲われます。その痛みは「満潮時に刺されると、潮が引くまで痛みがはしる」と言われることもあるほどです。
その有毒成分はフグ毒として有名なテトロドトキシン等と違い、あまり解明されていないのが現状です。ただ、非常に不安定な高分子で、オニオコゼ以外にも上の画像にあるような毒棘を持つ魚(ミノカサゴ、エイ、ゴンズイ等)の刺毒は共通の性質をもっており、致死的成分や発痛物質は非常に不安定で、熱で急速に分解されることが知られています。
症状は様々ですが、基本的には刺された直後から激しく痛み始めます。患部の局所症状としては、激痛や腫れ、痺れ等、重症な場合の全身症状は吐気や嘔吐、下痢や腹痛、が起こることがあるようです。上に挙げたような痙攣やショック症状からの呼吸困難が起こることは稀ですが、オニダルマオコゼという種類は非常に強い毒を持っておりこれらの症状の他、死亡例もあるので特に注意が必要です。
釣った時や料理の際に台所で刺された時など現場で可能な処置としては、棘を除去し、傷口をよく洗浄します。その後45℃程度の湯(熱め風呂程度)に患部を浸しましょう。有毒成分は熱で分解が進みます。痛みは激しい場合には市販の痛み止め等も有効と思われますが、そのような場合には素直に病院へ行くことをおススメします。
オニオコゼを釣ってみよう!
オニオコゼの釣り具とエサを用意
基本的にオニオコゼは狙って釣るのが難しい魚であることを覚えておいてください。元々深場にいる魚であることに加えて、そもそも個体数が少ない事がその理由です。オニオコゼが釣れるのは別の魚、特に根魚を狙っている場合に嬉しい外道として釣れるケースがほとんどです。仮にオニオコゼだけを狙って釣りたい場合には、オニオコゼ専門の釣り船等に乗船するのが現実的でしょう。
とは言え、ここではオニオコゼをメインに狙った釣りの方法を紹介させていただきます。大きく分けて二つの方法があり、餌釣りとルアー釣りのどちらでもオニオコゼを釣ることは可能です。まずはタックルですが、根魚狙いのものがぴったりで、ヒラメ用タックルなどがおススメです。ルアーフィッシングメインの方はシーバスタックル等でも問題ないでしょう。
オニオコゼ釣りでは、サバなどの青魚の切身が最も一般的な餌として使われます。普通の根魚狙いと同じようにイカの切身などでも問題ありませんし、沖アミやイソメなどでも釣ることは可能です。ただ、オニオコゼ釣り漁船等ではやはりサバの切身が良く使われるようで、それも厚めにきった切身が食いつきが良いと言われています。
ルアーでオニオコゼを狙う場合には、メタルジグ、ジグミノー、バイブレーション、シンキングペンシル等を使います。オニオコゼは表層を回遊するような魚ではない為、トップ系のルアーでは狙う事が困難です。ジグヘッドに普段の根魚釣りで使っているワームを使ってもオニオコゼを狙う事が出来ます。とは言え、オニオコゼだけを狙うは難しいので、その他多くの魚種が釣れることになるでしょう。
オニオコゼを釣るための仕掛け
釣り船を使って沖合でオニオコゼを釣る場合には、画像を参考に中型の電動リールにPE3~6号をメインにして、6フィート前後のロッド、中もしくは大型のテンビン、120~200号のオモリ、サルカンに、15号以上のムツ針、ハリスに6号以上のものを選んで仕掛けを作れば問題ないでしょう。これを一例として、同行者や船長さんにそのポイントおススメの仕掛けを教えてもらうのが一番です!
釣り船を使うのは難しい人が多いと思いますので、そのような場合にはおかっぱり(画像のように防波堤など陸から釣るスタイル)になるでしょう。根魚狙いの胴突き仕掛けでオニオコゼを狙ってみましょう。オモリが一番下に位置するので、ポイントを狙いやすく、なおかつ底も解りやすいメリットがあります。さらに仕掛けがピンと張っているのでアタリも取りやすいです。
タックルと仕掛けは上の画像のようになります。3.6~4.5m程度の磯竿もしくは投げ竿、2000番クラスのスピニングリール、2~3号のナイロン道糸に、スナップ付きのヨリモドシ、2~3号のフロロカーボン糸と10~12号のムツ針もしくは11~13号の丸セイゴ針、10号までのオモリを使って仕掛けを作ります。ビギナーの方は市販の堤防用根魚仕掛けを購入すれば手軽で、釣りに集中出来ますよ。
ルアーでオニオコゼを狙う場合には、ハード系のルアーは勿論ですが、せっかくの根魚狙いなのでソフトルアー(いわゆるワーム)を使った仕掛けもおススメです。根魚用6~8フィートロッドに2000番クラスのスピニングリールを使います。ジグヘッドにお好みのソフトルアーを用意して、ナイロンラインの場合には直結で問題ないでしょう。底を取ってからアクションを掛けます。
なお、どの釣り方でも同じですが、オニオコゼが釣れた際には、うかつに毒棘に手で触れない様に充分気をつけましょう。専用の魚はさみやフィッシュキャッチャー等を使って、手で触れずに処理できるのであればそれが一番です。針を外すときもハリハズシを使い、毒のあるヒレもハサミを使ってその場で切ってしまうのもおススメです。切った棘は絶対にその場に残さず海に捨てるようにしましょう。
オニオコゼが釣れるポイント
オニオコゼは内湾から水深200メートルまでの海域に住んでいます。おかっぱりで習う場合には、海底の岩場や海藻の間などを狙う事になります。基本的には遠くに移動することがあまりない生息範囲の狭い根魚なので、オニオコゼが好みそうなポイントを見つけては、そこを積極的に狙うようします。狙う層は海底、中層からのフォールを繰り返すのも良いでしょう。
オニオコゼが釣れるベストシーズン
オニオコゼは青森県~九州南岸まで日本の広い範囲に生息しており、年間を通して釣れる魚です。ただし、産卵期は5月~8月で、晩春から入荷が増え始めて、夏まで続きます。これは産卵期になると深場から浅瀬に入ってくるためで、おかっぱりからも釣りやすくなってきます。旬はまさにそのころで晩春から夏のオニオコゼは大変味がいいと評判です。
オニオコゼのさばき方を紹介
オニオコゼを料理する為に必要となるさばき方を紹介していきますが、ここでも一番気をつけるのは毒棘の扱いです。釣り場で棘を取り除いた場合でも残した棘が残っていることもあるので十分気を付けながら作業を進めていきましょう。さばき方の流れとしては、大きな毒棘である背びれを取り除いたあと、頭を落とす・内蔵を抜く、三枚におろすなど、料理にあった形でおろしていきます。
オニオコゼをさばき始める前に、まずは魚を確実にシメます。生きてる場合にはもちろん細心の注意が必要ですが、動かなくなって死んだと思ったものが、触れた瞬間に暴れだすこともあります。十分注意しながら、オニオコゼをまな板の上に置き、画像のように首の上側に包丁を突き刺して骨まで切断しましょう。
背びれの毒棘の処理はハサミを使う方法と包丁を使う方法がありますので、それぞれ紹介していきます。まずは手軽で簡単なハサミを使う方法ですが、丈夫なキッチンばさみを使って、背びれの毒棘を一本一本切っていく方法になります。上の画像のように尻尾の方から切ると背びれが自然と持ち上がって切り取りやすくなります。毒棘一本一本はかなり硬いので、ゆっくりと注意しながら作業を進めます。
次に包丁を使う方法ですが、前提としてよく切れる包丁を使うようにしましょう。中々切れずに悪戦苦闘していると、うっかり毒棘に触れてしまったりすることがあります。棘はとても硬いので、日々の料理に使い慣れた出刃包丁などがおススメです。背びれの両サイドにややV字にするようなイメージで切り込んで行きます。棘が外れるように上の画像のようにしっかりと切り込んで、尾びれ側を切り離します。
引き続き気をつけながら毒棘を取り除く作業にかかります。さばき方は包丁の側にオニオコゼを倒して、左手で身体を押さつけるようにします。そうしたら右手に持った包丁を使って毒棘をまな板に押し付けるように固定しましょう。少しずつ左右に切り離す様に両手に力を入れて行けば、尾びれ側から背びれ全体が外れていきます。上の画像をよく見てから挑戦してみてください。
毒棘がある背びれの処理が出来たら、あとは普通の根魚とほとんど同じさばき方で対応することが出来ます。この後は、料理によってさばき方を変える事になります。唐揚げの場合には背中から中骨と内蔵を抜き取りましょう。煮つけにする場合には腹を開き内臓を取り除きます。お刺身にする場合には内蔵を抜き取った後、三枚におろして、皮を引くことになります。
今夜の料理が唐揚げの場合は、中骨を抜き取る必要があります。包丁で毒棘を取り外した場合はその際の切込みから、ハサミを使った場合には背びれ側から開き、中骨を越えて内蔵がある所まで刃を入れます。中骨は調理用ばさみを使って両側を切り外して取り除き、その後に背中側から内臓を抜き取ります。その後にエラも取り外してあげればそのまま唐揚げに使うことが出来ます。
煮つけに使う場合には、内臓を腹側から抜き取ります。これはオニオコゼ以外の普通の魚と同じさばき方で問題ありません。肛門から包丁を入れ喉元まで切込みを入れます。その後、逆さ包丁か指を使うなどして内臓を取り除きます。画像のように内臓が取り除けたら、血合いを綺麗にする為に良く洗い、合わせてエラを取り外してやれば、煮つけに使う事が出来ます。
今夜の料理に刺身を選択する方は、毒棘を取り外した後、煮つけのさばき方と同じように腹から内臓を抜き取ります。その後、普通の魚と同様に三枚におろしてあげましょう。青魚に比べて実が柔らかくふにゃにゃとしており、骨も固めなので少しコツがいりますが、基本的には普通の三枚おろしの手順で問題ありません。
頭を落として、三枚におろすことが出来たら、最後はお刺身にする為に皮を剥いでいきます。体表を覆っていた褐色のブヨブヨとした皮は手で簡単に剥ぐことが出来ると思います。ここで剥いだ皮を湯通しして細かく刻み、葱や紅葉おろし、ポン酢などと合わせてやればおつまみが一品増えます。
身に残った白い薄皮は包丁を使って引いていきます。包丁を使い身の端に切込みを入れ押さえつけるようにしたら、皮の先を指で引くようにすれば少しずつ剥がれて来ます。ここで取り外した皮も、先ほどと同様に湯通しすれば、おつまみになりますし、刺身の脇に副えるのもおススメです。
オニオコゼを料理してみよう
オニオコゼの刺身はプリプリ食感
オニオコゼのお刺身はプリプリとしっかりとした歯応えがあり、臭みも無く旨味がたっぷりで噛めば噛むほど味が出て来ます。カワハギやフグの様になるだけ薄い切身にしてあげて、つまや添え物で美しく盛り付けてあげましょう。見た目も美味しく味わうための大切なポイントです。上の画像にあった皮を湯通ししたものを添えてやり、紅葉おろしとポン酢でいただくのもとても美味しいです。
オニオコゼの唐揚げは上品な味わい
怪獣の様な見た目のオニオコゼも、その見た目とは裏腹に、唐揚げにするとホクホクとした身で、とても上品な味わいを楽しめます。小さな個体であれば、上の画像のように背中から中骨を抜くように処理をすればそのまま片栗粉をつけて揚げることで丸ごと味わうことが出来ます。
大きめのオニオコゼが手に入った場合には、皮を付けたまま切身にすれば、中骨や取り外したヒレと一緒に揚げることで、画像のようなオニオコゼの唐揚げ盛り合わせが完成します。薄造りでも美味しいオニオコゼは、唐揚げにするとホクホクの身とぷるぷるの皮を贅沢に味わえます。
オニオコゼの煮付けはホクホク美味しい
刺身はさばき方が面倒、揚げ物は大変という方にはオニオコゼの煮付けがおススメです。煮付けようにおろした後に、日本酒・醤油・みりんなどで作ったつゆに投入して煮込むだけ。これだけで、皮のゼラチンやホクホクとした白身を味わうことが出来ます。新鮮な肝や卵も併せて煮込んであげれば、また違った味わいと楽しめます。
今年の夏は美味しいオニオコゼで贅沢しよう
オニオコゼの釣り方とさばき方、美味しい味わい方をご理解いただけましたか?スーパーの鮮魚コーナーなどでは中々見かけることが少ないオニオコゼですが、自分で釣ってしまえば高級魚を味わい尽くすことが出来ます。もちろん毒棘には十分に注意することを怠ってはいけません。釣り方を知り、さばき方を知れば、今年の夏はこれから旬を迎えるオニオコゼで最高の贅沢が出来ます!