きびなごはどんな魚?旬の時期と天ぷら・唐揚げ・刺身の作り方も解説!
様々な調理法ができる、万能魚・『きびなご』。小さいのに非常に栄養豊富で多くのメイン料理となるきびなごですが、きびなごって痛いどんな特徴を持つ魚なのでしょうか?また、きびなごの旬の時期や定番料理の作り方とは…?今回は、きびなごの生態を徹底調査してみるとともに、刺身や天ぷら・唐揚げなどといった代表的なきびなご料理の作り方についても併せて調査してみたので、そちらもチェックしてみましょう!
きびなごとはどんな魚で旬の時期は?
九州や高知県などの九州各地で好まれている魚・『きびなご』。小さいのでお子様でも食べやすく、様々な料理に使われます。そんな九州各地で好まれている『きびなご』とは一体どんな魚なのでしょうか?また、きびなごの旬の時期って一体いつなのでしょうか…?まずは、『きびなご』という魚の生態について調査してみましょう。
きびなごとは?
『きびなご』とは、ニシン目・ニシン科に分類される魚の一種の事を指します。ニシン科の分類上ではキビナゴ亜科が設定されていますが、ウルメイワシに近縁のウルメイワシ亜科とする見解もあります。きびなごは本州中部からポリネシア・メラネシア・オーストラリア北岸、西はアフリカ東岸までと、インド洋と西太平洋の熱帯・亜熱帯域にに広く分布する小魚で、食用にされています。
きびなごの成魚は全長10cmほどという小さめなサイズです。体は前後に細長い円筒形であり、頭部が小さく口先は前方に尖っている特徴があります。刺身や煮付け・塩ゆで・天ぷら・唐揚げ・南蛮漬け・干物などと、非常に幅広い料理に活用されています。調理法次第では骨ごと食べられ、小さな体の割には可食部も多い魚です。
きびなごは非常にデリケートな魚であり、外洋に面した水のきれいな沿岸域を好みます。そんなきびなごは、大きな群れを作って回遊し海岸にもよく接近します。主に動物性プランクトンを捕食しています。きびなごの分布域である西日本では、沿岸各地で巻き網などで漁獲されており、特に鹿児島県や長崎県・高知県といった暖流に面した地域でまとまった漁獲があります。
きびなごの旬は?
キビナゴの旬の時期は、1年間で2回あります。きびなごの旬の時期は、12月~2月の冬と5月~6月の春先から初夏にかけての旬があり、12~2月の冬の寒い時期を旬とするのは『きびなご』であり、身が引き締まっていてとても美味しいです。5月~6月の春先から初夏にかけての旬の時期は『子持ちきびなご』の旬です。春先から初夏にかけての時期に旬を迎えるきびなごは子持ちなのでお腹の中に卵や白子が入っています。
旬の時期のきびなごは、活きの良い刺身として食べるのがおすすめです。しかし、きびなごは痛みが早いので、漁獲地以外に流通することは少ない魚とされていますが、最近では冷凍されたものや干物として加工されたきびなごはインターネット等で購入することもできるので漁獲地以外の方も旬の時期の美味しいきびなごを楽しむことができます。
きびなごは地方によって呼び名が違う
きびなごの学名は『Spratelloides gracilis 』と言います。きびなごの学名にもなっている『gracilis』には、『薄い・細い』といった意味があり、きびなごの細長い体型に由来しているものとされています。また、『きびなご』という和名の由来は、鹿児島県の方言で、『帯』のことを『キビ』、『小魚』のことを『ナゴ』と呼ぶことに由来しています。
きびなごは地方によって呼び名が違います。日本における地方名としては、『ハマイワシ』・『ハマゴ』・『ハマゴイ』といった呼び名が静岡県、『キミナゴ』といった呼び名が三重県、『キビナ』・『カナギ』といった呼び名が長崎県、『スルン』といった呼び名が鹿児島県奄美大島、『スリ』といった呼び名が沖永良部島、『スルル』といった呼び名が沖縄県などです。
きびなごの鮮度の見分け方
旬の時期のきびなごが鮮度抜群であることは説明せずともみなさんお分かりでしょう。しかし、「旬の時期以外のきびなごってどんなきびなごを選ぶのが良いのかわからない…」という方も多いでしょう。そこでお次は、きびなごの鮮度の見分け方を学んでみましょう。知っておくと、旬の時期もさらに鮮度が良いきびなごを選ぶことができますのでしっかりチェックしてみましょう。
選び方ポイント
きびなごはアミエビを食べているため、食べたアミエビが未消化で残っている場合はきびなごの腹が赤みを帯びた感じに見えます。腹が赤いきびなごを食べても問題はありませんが、お腹に未消化のエサが残っていると鮮度落ちが早くなるので、購入してきたらすぐに食べるようにすることが好ましいです。
きびなごの鮮度の見分け方ポイントとして注目してほしいのは、目ときびなごの帯の色です。まず、目の色は黒く澄んでいること。そしてきびなごの体側にある銀白色の帯がはっきりと鮮明であるものが新鮮だと言われています。また、きびなごの身が固くハリがあるかどうかもしっかりみましょう。目が黒く澄んでいて銀白色の帯がはっきりとしたハリのあるきびなごは鮮度が良いです。
きびなご料理のレシピ紹介
刺身・煮付け・南蛮漬け・唐揚げ・塩漬け・天ぷらなどと、様々な料理に大活躍のきびなご。様々な調理法があるきびなごですが、定番の料理とは一体どのようなものなのでしょうか?お次は、きびなごの定番料理と、その作り方についてチェックしてみましょう!
料理の作り方を学ぶ前に、きびなごの手開きを学ぼう!
どんな魚にも下処理というものが存在します。きびなご料理の作り方を学ぶ前に、まずはきびなごの手開きを学んでおきましょう!全長10㎝程度と小さめなきびなごですから処理が難しそうに思いますが、意外と簡単にできます。さて、まずきびなごの手開きをする際に『背開き』と『腹開き』という2つのやり方があります。
『背開き』は背中側を開いて腹側が引っ付いている状態にすること、『腹開き』は腹側を開いて背中側が引っ付いている状態にすることです。どちらの方法できびなごの手開きを行っても良いのですが、背開きの方が背入れを綺麗に取り除くことができ、食べる際に背ビレが口に当たって食べにくいという事態を避けることができます。
まず、きびなごの手開きは包丁ではなく手で行います。きびなごは非常にデリケートな魚なので私たちの手の温度によって痛みやすくなってしまいます。なので、きびなごの手開きを行う前や行った後に、ボウルに入れた氷水にきびなごを浸しておくことがポイントです。
きびなごの手開きの方法ですが、まず、きびなごのエラの後ろあたりから背中側に指を入れます。その後、きびなごの背骨に沿って身を剥がしつつ開いて行き、背骨と内臓を取り除きます。続いて、きびなごの背ビレや腹ビレ・尾ビレも取り覗きます。しっかりと手開きを行えたら、ボウルに入れた氷水にきびなごを入れていきます。
氷水を入れたボウルにきびなごの数が溜まってきたら、綺麗に洗って水気を取ったら完成です。難しいと思いがちですが、意外にもきびなご手開きは10数秒で完了できます。小さいため、処理を行う数が他の魚と比べると多くなりがちなきびなごですが、一匹一匹の処理時間は短いのでそれほど負担に感じることはないでしょう。
きびなごの刺身の作り方
旬の時期を迎えた新鮮なきびなごは刺身にしていただくのが絶品です!きびなごの水揚げが多い地域である鹿児島では、手開きにした刺身を菊の花をかたどって並べた『菊花造り』という料理が薩摩の郷土料理として知られています。また、青魚特有の臭みがあるきびなごは、薩摩の郷土料理としては酢味噌をつけて食べるようになっています。
そんなきびなごの刺身の作り方ですが、まずは鱗を取り除くことからです。基本的にきびなごの鱗は漁獲の時にほとんど落ちていますが、稀に残っている場合があるので鱗がある場合はスプーンなどで取り除いていきます。きびなごの刺身には作り方というほどのものはありませんが、内臓やヒレの処理が重要です。
前述したようにきびなごの手開きを丁寧にしてお皿に盛り付ければきびなごの刺身は完成します。きびなごの刺身の盛り付けは、薩摩の郷土料理でおなじみの『菊花造り』のように綺麗に菜の花のようにして盛り付けると美しい仕上がりになります。刺身の定番調味料といえばしょうゆですが、独特の青臭さがあるきびなごは生姜や酢味噌で臭みを消すとさらに美味しく頂けます。
きびなごの唐揚げ
カラッと揚がったきびなごの唐揚げはお酒のおつまみにも最高です!そんなきびなごの唐揚げの作り方をお次はチェックしてみましょう。きびなごの唐揚げ(4人分)の材料は、きびなご・30~40尾、下味用(醤油・大さじ2、しょうがの絞り汁・少々)、小麦粉・大さじ4~5杯、片栗粉・大さじ4~5杯、揚げ油・適量です。
きびなごの唐揚げの作り方ですが、まず、きびなごを濃いめの塩水に入れてウロコと汚れを取り覗いて流水で洗い落としておき、ザルに入れておきます。ボウルに綺麗に洗ったきびなごと調味料の醤油としょうがの絞り汁を入れて下味をつけるため、30分ほど置いておきます。
小麦粉と片栗粉は1対1の割合で混ぜておき、下味をつけたきびなごにまぶして衣を付けます。最後に、揚げ油でカラッと揚げればできびなごの唐揚げの完成です!きびなごを開かずに丸のまま調理することができるのも唐揚げの嬉しいところです。
きびなごの天ぷら
唐揚げよりさっぱりとしたきびなごの天ぷらも絶品です。高温でカラッと揚げたきびなごの天ぷらは頭も骨もさくさくで子供から大人までみんなが大好きな味。きびなごの天ぷら(2〜3人分)の材料は、きびなご・2分の1パック(約120g)、塩胡椒・少々、打粉用(薄力粉・20g)、衣用(薄力粉・50g、冷水・75ml、卵白・1個分)、揚げ油・適量です。
きびなごの天ぷらの作り方ですが、きびなごを濃いめの塩水に入れてウロコと汚れを取り覗いて流水で洗い落としておきます。綺麗に洗ったきびなごをボウルに入れ、塩胡椒をふって10分くらいおき、下味を付けておきます。その間に天ぷらの衣を作っていきます。ボウルに冷水・卵白を加えてよく混ぜます。これに事前に金ザル等で振るってダマを除いた薄力粉を加えて軽く混ぜるだけで衣は完成です!
打粉用の薄力粉をきびなごに薄くつけ、高温(180~190℃)の油できびなごを綺麗なキツネ色になるまで揚げれば、きびなごの天ぷらの完成です。きびなごの天ぷらの作り方ポイントは『打粉』です。打粉をすることで、衣が剝れにくくなってきれいに揚がります。
きびなごの南蛮漬け
甘酸っぱい南蛮酢がきびなごの美味しさを引き立ててくれるきびなごの南蛮漬けもおすすめです。きびなごの南蛮漬け(4人分)の材料は、きびなご・20~30尾、玉ねぎ・1個、人参・3㎝程度、きゅうり・1本、小麦粉・大さじ3杯、片栗粉・大さじ3杯、南蛮酢(だし汁・2分の1カップ、酒・大さじ1杯、砂糖・大さじ2杯、酢・大さじ6杯、しょうゆ・大さじ1杯、塩・小さじ2分の1杯)です。
きびなごの南蛮漬けの作り方ですが、まず、きびなごを濃いめの塩水に入れてウロコと汚れを取り覗き、流水で洗い落としてザルに入れておきます。玉ねぎ・人参・きゅうりは薄切りにしておきます。南蛮酢の調味料を小鍋に入れて火にかけ、沸騰させてからボウルに移します。南蛮酢を入れたボウルの中に、薄切りにしておいた玉ねぎ・人参・きゅうりを入れて漬け込みます。
きびなごの水気をキッチンペーパーなどで拭き取り、小麦粉と片栗粉を混ぜた衣に付け、油でカリッと揚げます。揚がったきびなごはすぐに南蛮酢に漬け込み、味がしみ込むまで30分以上おけばきびなごの南蛮漬けの完成です!可能であれば冷蔵庫で一晩おいたほうが味が染み込んで美味しくなります。
きびなごの栄養について
様々な料理に活用できるきびなごには栄養も多く含まれています。骨まで食べられるきびなごには、『ビタミンD』や『カルシウム』などといった丈夫な骨や歯の形成に役立つ栄養成分が含まれています。また、魚類の中では比較的多い量を含むとされる『ビタミンB6』も含まれています。『ビタミンB6』には髪や爪・皮膚などを健康に保つ効果や免疫力を正常に保つ効果が期待できます。
主に青魚に豊富に含まれている栄養成分・『DHA(ドコサヘキサエン酸)』もきびなごには含まれています。『DHA(ドコサヘキサエン酸)』は脳の働きの正常化を促す効果があるので、アルツハイマー病や認知症の予防にも有効です。その他にも、高血圧や高脂血症などといった生活習慣病の改善や予防に期待できると言われています。小さなきびなごですが、含まれる栄養成分は非常に豊富である事がわかります。
きびなごを美味しく料理して食べよう
刺身や天ぷら・唐揚げ・南蛮漬けなどといった様々な調理ができるきびなご。そんなきびなごは、鹿児島県をはじめ高知県や長崎県の水揚げ量が多くなっており、郷土料理として親しまれているものもあります。また、きびなごは全長10センチ程度と小さめな魚となっていますので、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭にもおすすめです。今回ご紹介したレシピで是非、きびなごを美味しく食べてください!