天然酵母とドライイーストは違う?手作りパンの上手な菌の使い方
パンを作る際に必需品となる天然酵母もしくはドライイーストはどんな違いがあるのでしょうか?また、その2つの菌を使い分けることで上手にパンを焼くことはできるのでしょうか?今回は『天然酵母とドライイーストは違う?手作りパンの上手な菌の使い方』と題しまして、紹介していきます。ぜひ、天然酵母とドライイーストの違いを知って、手作りパンを作る際に活用できるようにしましょう。
目次
パンを作る時の酵母とは?
パンを作りには欠かせないのが酵母を純粋培養した「イースト」と自然の酵母を培養した「天然酵母」になります。これらをパン酵母と呼び、水や糖分と結びつくことで、パンの生地を発酵させる働きがあります。発酵中はグルテンの膜の中に炭酸ガスの気泡ができます。生地の温度が高くなってくると膨張してきます。そうして弾力がある生地になります。酵母菌は生きている間発酵が続きオーブンに入れ焼いている間も膨らみます。
天然酵母とは?
天然酵母には、自然界にある様々な酵母菌のことを言います。穀物や果物などからとれる酵母菌。酵母の中にも種類はいくつかありますが、大きく分けて2つになります。それは「ドライタイプ」と「自家製タイプ」になります。使い方など紹介します。
天然酵母のドライタイプとは?
天然酵母を乾燥させ、乾燥したものを粉末状にしたものがドライタイプになります。使い方として、1:2の割合で顆粒のパン種とぬるま湯を混ぜ合わせて、24時間28~30度の中で発酵させて生の種として使っていきます。
天然酵母の自家製タイプとは?
天然酵母の自家製タイプは、雑穀や果物を水につけ、酵母を培養するのが自家製タイプと言われています。自家製タイプの天然酵母は温度管理や湿度の管理などもとっても必要で、難しいことからパンを作りなれた方向けのものとなりますが、原料ごとにそれぞれの酵母を楽しむことができます。
イーストとは?
イーストとは、パンを作る際にパンに適した酵母を凝縮して作った酵母になります。安定したパンを作ることができるので、普段にパンを焼くのに使いやすいといわれています。イーストには大きく4種類に分けることができます。それは「生イースト」「ドライイースト」「インスタントドライイースト」「セミドライイースト」です。
生イーストとは?
生イーストは万能で、パン屋さんで使われることの多いイーストになります。パン酵母を培養後に水洗いして、脱水機で水切りしたのが生イーストです。イースト独特の香りがなく、ふんわりとした食感のパンを焼き上げることができます。砂糖が多めの生地とは相性がとっても良く、低温にも強く、冷蔵庫や冷凍庫で保存する場合にもお勧めです。使い方の注意点は開封後イースト菌が痛んできてしまうのでなるべく早めに使いましょう。
ドライイーストとは?
長時間低温で乾燥させたパン酵母を脱水し粒状にしたものがドライイーストになります。使い方はドライイーストは仮眠状態である酵母をぬるま湯に入れることで、発酵する力が出てきます。これを予備発酵と言います。予備発酵をするという手間はありますが、その分長期期間の保存が可能になります。また、パンの風味がよくなり、生イーストとは違い糖分に弱いためハード系のパンを作る時に使うのをおすすめします。
インスタントドライイースト
乳化剤を加えてできたのがインスタントドライイーストです。生イーストやドライイーストよりも粒子が細かく予備発酵をする必要がありません。初心者の方がパンを作る時におすすめです。発酵力が強く、どんなパンにでも適していて、使い方の注意点として、ドライイーストより使いやすいといわれていますが、ドライイーストよりも開封後の劣化は早いので、早めに使い切るようにしましょう。
セミドライイースト
セミドライイーストとは、インスタントドライイーストと生イーストの良いところを持ったイーストになります。ふんわりとしたパンができ、皮がサクサク中がふわふわになる生イースにはかないませんが、生イーストと違って冷凍保存ができ長期保存できます。またインスタントドライイーストと比べ、イースト独特の香りもあまり感じません。デメリットとして、ホームベーカリーの自動投入機能をタイマー機能を使いことはできません。
イースとの保存方法と保存期限とは?
生のイーストは生ものになりますので、密閉して冷蔵庫で2週間程度の保存が可能です。インスタントドライイーストやドライイーストは湿気の少ないところでしっかりと密閉して保存します。半年ぐらいは保存できますが、湿気を吸ってしまったり、劣化をしてしまうと発酵する働きが弱くなってしまいパンが膨らまなくなってしまうので、その時は使用しないようにしましょう。
天然酵母とドライイーストの違いとは?
天然酵母の酵母は自然界から作られた物になり、ドライイーストは簡単に作れる酵母になります。天然酵母は毎日かき混ぜたり、餌を足したりしながらの酵母の管理が必要となります。雑菌が入ってしまうと酵母が死滅してしまったり、膨らまなかったりするので作りなれるまでは難しい面もあります。ドライイーストは何か手を加える必要はないのでお手軽に使うことができます。そんな、メリットとデメリットがあるので紹介します。
天然酵母とドライイーストのメリットの違い
天然酵母のメリットとして、添加物がなく自家製で作れます。また作ったパンも日持ちします。ドライイーストのメリットとして、パンの発酵が早く、発酵する時間が分かりやすいです。また、イーストの保存期間が長く、初心者でも扱いやすいのでパンを作る際に失敗しにくいです。
天然酵母とドライイーストのデメリットの違い
天然酵母のデメリットとして、発酵に時間がかかり、発酵する時間が定まらないことがあげられます。また、酵母を作る際の管理に手間がかかります。ドライイーストのデメリットとして、添加物が入っていること、そして発酵するのが早いので、うっかりしていると、過剰発酵になってしまいますので使い方に注意しましょう。
天然酵母とドライイーストの味の違いとは?
天然酵母で作ったパンには多少酸味があり、日が経つにつれ、酵母が生きているため酸味も増してきます。また、素材そのものの香りが出ることがあり、りんごで作った酵母であれはほんのりりんごの香りがします。ドライイーストで作ったパンは酸味はなく、香ばしい香りがします。ドライイーストならではの独特の香りになります。パンを作る際には、お好みで酵母を使い分けるのも良いです。
天然酵母とドライイーストの食感の違いとは?
天然酵母のパンはドライイーストで作ったパンと比べて、もっちりとしていて、重さもどっしりとしたパンで腹持ちよく食べ応えのあるパンです。また反対にドライイーストで作ったパンは天然酵母のパンと比べて、生地が軽くふわふわな食感になります。
天然酵母とドライイーストで作ったパンのカロリーや栄養の違いとは?
天然酵母とドライイースト自体にはカロリーはほどんどなく、違いはありません。栄養の違いはパンを作る際の材料によっても異なるので、出来上がったパンのカロリーや栄養は天然酵母とドライイースト以外の材料で決まると言ってもよいでしょう。天然酵母とドライイースト自体の栄養価も変わりはないです。
自家製酵母の作り方とは?
自家製酵母は季節の気温によって発酵する時間が変わってきます。また、作業する場所や環境によっても違いがあります。代表的なレーズンで作る酵母の作り方を紹介します。まずはじめに、材料は、オイルコーティングをしていないレーズン60g、浄水240g、砂糖10gです。まずはじめに使う便を煮沸消毒しましょう。煮沸した瓶に材料を入れラップをして蓋をします。温度は25~28度ぐらいにしましょう。そのまま置いておきます。
次の日にはレーズンが水分を含んで膨らみます。そして泡が出はじめます。1日に2~3回瓶をよく振るようにしましょう。ラップを外して空気を入れ、保存するときには再度ラップと蓋をしましょう。3日目には水の色が濃くなってきます。レーズンの一部が浮いてきます。1日に2~3回瓶を振りラップを外して空気を入れるようにしまた再度ラップと蓋をして寝かせましょう。4日目も同じことを繰り返します。
5日目泡の数も多くなりレーズンすべてが浮き上がってきます。この時に冷蔵庫に入れ1日寝かせましょう。翌日には瓶の底に酵母菌がたまります。使い方として、瓶をよく振ってから使うようにしましょう。レーズン以外でも同じような方法で自家製の酵母菌を作ることができます。
酵母はレーズン以外にどんな物でつくれるの?
レーズン以外には、りんごやいちご、バナナ、オレンジなどの様々なフルーツから作ることができます。レーズンのように生のフルーツではなくてもドライフルーツを用いて作ることもできるため、季節によってはフルーツも手に入れにくい時期もあるかもしてませんが、ドライフルーツでの酵母作りもぜひ挑戦してみましょう。また、普段は捨ててしまう部分も使うことができるので、皮や種、芯なども入れて酵母を作りましょう。
もしかすると腐敗しているかも?
発酵と腐敗の見分け方は匂いを嗅いでみることです。蓋を開け、ゆっくり鼻を近づけましょう。発酵が上手くいっているときは、アルコールやヨーグルトのような発酵臭がします。気を付けるのが必要なのは、鼻につんとする酸っぱい匂いです。お酢のような匂いを関ると、それは酵母菌ではなくて、雑菌が繁殖している可能性があるので使わないようにしましょう。
天然酵母の魅力とは?
天然酵母パンの魅力とは、酵母の材料によってパンの風味が変わってくるところです。ドライイーストと比べると天然酵母を使って焼いたパンはコクがあって、焼いた次の日でも硬くなりにくいです。天然酵母パンは酵母の材料だけではなく、作る環境や作る人によっても様々な出来になり、オリジナリティーあふれるパンを作ることができます。
パンの種類によってイーストを使い分けよう
パン生地とイーストには相性があり、パン生地に含まれるショ糖、小麦粉に含まれるでんぷん質やブドウ糖を栄養源にしてイーストは湿度や湿気などの条件で増殖し発酵を始め、この条件が揃わないと発酵することができません。加糖生地用のイーストとは生イーストや耐糖性のインスタントドライイーストになり、無糖生地用のイーストとはドライイーストやインスタントドライイーストになります。特徴を知る事で使い分けてみましょう。
ホームベーカリーでパンを作りには天然酵母とドライイーストどちらが良い?
ホームベーカリーの機械によってですが、天然酵母のパンもドライイーストのパンも両方焼くことができます。どんなところに注意したらよいか、どんな仕上がりになるのかなど紹介します。
天然酵母を使うと
ホームベーカリーは天然酵母を発酵させる所から作ることができ、天然酵母発酵メニューという機能がついている機械もあります。この機能で、天然酵母菌を作るのに5日程度かかっていたものが、24時間で作ることができます。すごく時間と手間はかかりますが、天然酵母のもちもちとした食感と良い香りと甘みがあるパンになります。注意点として焼きあがったら早めに機械から取り出しましょう。そのままにしてしまうと固くなります。
天然酵母ドライイーストを使うと
天然酵母ドライイーストと明記されていますが、使い方は通常のドライイーストと同じようにイーストの投入口に入れるだけになります。米粉のパン、精白小麦粉パン、全粒粉パンどれもきれいに膨らみます。使い方の注意点として、保存する際には冷凍保存はせずに冷蔵庫に保存してください。冷凍保存すると発酵力が落ちてしまいます。また、予約機能を使うとうまく膨らまないので予約機能は使わない方がよいでしょう。
ドライイーストを使うと
ドライイーストは水に触れると勝手に発行が進んでしまうという性質です。ドライイーストの自動投入機能がついてない機械の場合は、ドライイーストを入れる際には、強力粉を入れた後に少しくぼみを作りそのくぼみの部分にドライイーストを入れるようにしましょう。水やほかの材料とは触れないようにしましょう。ドライイーストで作るパンが1番簡単です。おいしさもあって、初めてパンを作る方にはおすすめの方法です。
天然酵母7種類のおすすめ
お勧めの天然酵母が7種類あり紹介をします。1つ目が手軽なドライタイプの『白神こだま酵母ドライG』です。世界自然遺産「白神山地」から発見された酵母でインスタントドライイーストになります。次に保水力が高くもっちりの『白神こだま酵母ドライ』で、こちらは添加物不使用になります。
『パネトーネマザー粉末』はイタリアアルプスの湖周辺でしか採れない特殊な酵母です。次に『ホシノ天然酵母パン種』は国産小麦、国産減農薬米、麺、水でゆっくり育てたお米由来の天然酵母です。次に『ホシノ丹沢酵母パン種』は神奈川県丹沢山の山林で発見された酵母と秘伝の麹を合わせて作った天然酵母になります。
次に『有機JAS有機穀物で作った天然酵母(ドライイーストタイプ)』は厳選された酵母と有機小麦を主原料に純粋な湧き水で完全オーガニック栄養素で育てた酵母になります。最後に『あこ天然酵母』は酵母作りに40年の熟練酵母職人が添加物を使用せず小麦、低農薬米、水、麹のみで作った天然酵母です。使い分けて、いろいろパンを作ってみましょう。
天然酵母とドライイーストを使い分けて楽しくパンを作ろう!
『天然酵母とドライイーストは違う?手作りパンの上手な菌の使い方』を紹介してきましたが役に立てたでしょうか?天然酵母とドライイーストの違いを知ることで、自分好みのパンを楽しく焼くことができます。ぜひ、特徴を活かして使い分けながらパンを作ってみましょう。