生ハムの作り方は燻製で簡単に!塩漬けで作る本格パンチェッタも!

生ハムは個性が強そうに見えて、意外に他の食べ物との親和性に優れた食材です。チーズは勿論、メロンでも桃でも、生ハムに包まれた途端にお洒落なオードブルに変化します。生ハムは以前はちょっと澄ました飲食店で食べるものでしたが、その内に専門店ができ、今では普通にスーパーに並ぶようになりました。そんな生ハムですが、実は自宅でも作ることができるのです。今回は燻製で簡単に生ハムを作る方法や、パンチェッタの作り方の紹介もしていきます。生ハムとパンチェッタを使う料理の作り方もお伝えします。

生ハムの作り方は燻製で簡単に!塩漬けで作る本格パンチェッタも!のイメージ

目次

  1. 1生ハムの種類
  2. 2本場イタリアの生ハム作り
  3. 3燻製とは
  4. 4本格生ハムの簡単な作り方:塩漬け
  5. 5本格生ハムの簡単な作り方:塩抜き
  6. 6本格生ハムの簡単な作り方:風乾
  7. 7本格生ハムの簡単な作り方:スモーク
  8. 8生ハムを使った簡単料理
  9. 9パンチェッタとは
  10. 10本格パンチェッタの簡単な作り方①塩漬け
  11. 11本格パンチェッタの簡単な作り方②冷蔵
  12. 12パンチェッタを使った簡単料理
  13. 13自家製生ハムとパンチェッタのまとめ

生ハムの種類

生ハムにはいくつもの種類があり、作り方もそれぞれです。その中でも、代表的な生ハムがプロシュートになります。イタリア語での意味は「とても乾いたもの」。この生ハムの作り方はその名の通り、塩漬けにした豚のもも肉をひたすら乾燥・熟成させます。また、塩漬けした豚肉をオーブンなどで加熱する方法もあります。今回は生ハムの中でも、塩漬けした豚のもも肉を燻製して熟成させる、本格的な作り方をお伝えします。

本場イタリアの生ハム作り

プロシュート・クルード

生ハムの中で、燻製しないハムをプロシュートといいます。作り方は先述した通り、塩漬けした豚のもも肉を乾燥した場所に吊るして長期間熟成させます。生ハムのメッカである北イタリアでは、地中海の海風が吹き抜ける環境で、最高級のものだと24ヵ月も熟成させて生ハムを作るのです。最低でも12ヵ月の熟成期間を要し、熱を加えずに作りますので、本格的な生ハム作りには環境や衛生面の管理が重要となってきます。

プロシュート・コット

塩漬けした豚のもも肉に熱を加えて作るハムをプロシュート・コットといいます。オーブンや鍋でじっくりと火を通す作り方です。スチームで仕上げる製法もあります。スチームで加熱すると、肉の旨みが逃げ辛く、ジューシーでまろやかな味になります。

プロシュートの仲間たち

豚のもも肉を使って作るハムのみがプロシュートと呼ばれます。その他の部位を使うと別の名前のハムになりますので、区分して下さい。まず、腹部のバラ肉を使って作るとパンチェッタとなります。これは後ほど、作り方と共にお伝えします。次に、臀部の肉だとクラテッロです。また、頬肉を使うとグアンチャーレと呼ばれます。そして、豚肉ではなく牛肉で作る場合はブレザオラという生ハムになります。

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燻製とは

自家燻製が人気!

最近はアウトドアブームの影響もあり、自家燻製が人気となっています。食材を長時間煙でいぶすことによって殺菌と保存性を高める効果が得られると共に、独特の薫りと風味が染み込み、味にも深みが増します。これは燻煙材によっても違いが出ます。また、スモークする前の下準備として塩やハーブに漬け込むのですが、使うハーブの種類によっても出来上がりが異なってきますので、味のバリエーションは無限といっても良いでしょう。

燻製の種類

熱燻というのは、温度80℃以上で10〜60分掛けていぶすことです。短時間での加熱処理なので簡単にできますが、食材の水分量はあまり減らないため、長期の保存には向きません。最もポピュラーな方法が温燻です。普段燻製というと、この方法を指します。これは30〜60℃で数時間~1日掛けていぶします。水分が抜けるため、保存にも適しています。

また、冷燻は低い温度、15〜25℃でいぶす方法です。冷燻をするには条件が色々とあり、少々難しいやり方です。まず、季節は寒い時期が向いています。所要時間は、数回に分けて1ヵ月以上掛かります。熱燻や温燻に比べると少々ハードルは高いですが、生ハムはこの冷燻で作ります。時間と労力を掛ける分、美味しい生ハムが出来上がりますので、生ハムの完成を目指して頑張りましょう!

燻製の道具:スモーカー

燻煙釜のことで、スモーカーと呼ばれます。密閉した容器に煙を充満させていぶすのですが、本格的なものだと石や煉瓦で作られます。自家燻製では一斗缶やドラム缶、段ボールなどを代用することもあります。スモーカーから手作りする愛好家も多いのですが、今回の生ハム作りに適した冷燻用のスモーカーを自作するのは大変ですので、生ハムは市販のスモーカーを使って作りましょう。

燻製の道具:燻煙材

燻煙材にも色々あります。スモークチップと呼ばれる木屑や、木粉を固めたスモークウッドが主流ですが、小枝や木片を使うこともできます。中には使用済みの茶葉を利用する人もいます。何の燻煙材を使うかによって燻製の風味が違って来ますので、こだわる人には重要なポイントです。最近ではスモークウッドやスモークチップに混ぜて燻味を深めるピートスモークパウダーといったものもあります。

燻煙材に使われる樹木には色々なものがあります。まずサクラは、薫りが強くつきますので、個性の強い豚や羊の肉に合います。また、くるみはまろやかで薫りに癖がないので、あっさりとした食材に向いています。そしてヒッコリーは、生ハムやベーコン、スモークサーモン作りなどに良く使われています。その他、リンゴやクルミ、ブナやナラといった木材が利用されています。

本格生ハムの簡単な作り方:塩漬け

ソミュール液とは

燻製で生ハムを作る際の第一段階が塩漬けです。この時に豚のもも肉を付ける液体をソミュール液といい、水に塩と好みのスパイスや調味料を加えて作ります。分量は水1lに塩150g、砂糖70g、スパイスとしてローリエ、黒コショウ、タイム、ローズマリーなどを好みで加えて下さい。中にはカレー粉などで味付けする人もいます。上記の分量を基準に、肉の量に合わせてソミュール液の量も調節しましょう。

冷蔵庫で1週間

このソミュール液を鍋に入れて沸騰させます。ソミュール液が冷めたら冷蔵用保存袋に豚もも肉1kgと一緒に入れ、冷蔵庫で1週間寝かせましょう。この間、数回上下を返して肉の隅々までソミュール液が届くようにして下さい。生肉を扱いますから、手や器具などはアルコールスプレーなどを使って消毒しておきましょう。

本格生ハムの簡単な作り方:塩抜き

塩は生ハムの保存力を高める働きもしますから、そこまで神経質に抜ききってしまわなくても大丈夫です。肉の表面に付いたスパイス類を洗い流した後、1時間ほど水に漬けて塩を抜きます。生肉ですから、塩抜きは冷蔵庫で行いましょう。

本格生ハムの簡単な作り方:風乾

吊るして乾かす

塩抜きが終わったら、乾かして水分を飛ばします。これを風乾といいます。風乾の方法をいくつか紹介しますので、好きなやり方で行って下さい。風乾する期間は2日間ほどです。まずは、吊るす方法です。寒い時期ならば風通しの良い外に吊るしても良いのですが、そうではない場合は冷蔵庫内に吊るしましょう。肉用ネットに入れてフックを引っ掛けて吊るします。冷蔵庫内の肉が当たりそうな場所にも消毒をしておきましょう。

新聞紙で包む

水切りした後、キッチンペーパーで更に水分を拭き取ります。そしてキッチンペーパーで肉を包み、その上から新聞紙を重ねて巻きます。最後にラップで包み、冷蔵庫のチルドルームで寝かせて下さい。新聞紙に肉の水分がどんどん浸みて来たら、新聞紙を取り替えましょう。

ピチットシートを使う

燻製を作る際に使うだけではなく、キッチンにあると便利な優れものがピチットシートです。冷凍、解凍、ドリップの抑制など色々な使い方があるのですが、今回は脱水の目的で使います。肉をピチットシートで包んだら、冷蔵庫のチルドルームで寝かせるだけです。これでみるみる水分が抜けていきます。

本格生ハムの簡単な作り方:スモーク

あらかじめ肉をタコ糸で縛って綺麗に成形しますが、ネットに入れて吊るしていた場合はそのままセットしてもOKです。燻煙材はスモークウッドを使い、25℃以下の冷燻で生ハムを作ります。燻煙材の中では、サクラやヒッコリーが豚肉を使った生ハム作りに向いているといわれていますが、好みの物で大丈夫です。

最初の1週間は、1日2時間、毎日スモークして生ハムを作りましょう。毎日燻した後は、風通しの良い場所に吊るすか、冷蔵庫で風乾します。これの繰り返しです。気候は寒く乾燥した時期がベストです。次の1週間は2日に1度のスモーク、それ以降は3日に1度のスモークと頻度を減らしていきましょう。これを1ヵ月以上続けると生ハムが完成します。3、4ヵ月風乾できれば尚良いのですが、雨が多く湿度の高い日本では難しいでしょう。

生ハムを使った簡単料理

生ハム手毬寿司の作り方

生ハムを使って洋風の手毬寿司を作ってみるのはいかがでしょうか?洋風ですから、いつもの酢飯にバルサミコ酢を使って作ります。米1合で手毬寿司6個分です。作り方は、少し硬めに米を炊きあげたら、ボールに移して、刻んだ大葉を混ぜ込みます。そこに合わせておいたバルサミコ酢大さじ1、塩小さじ1、砂糖小さじ1をまわし掛け、熱を取りながら混ぜます。ラップに生ハムを乗せ、その上に酢飯を乗せて丸く成形したら完成です。

生ハム生春巻きの作り方

材料は生春巻き4本分で、ライスペーパー4枚、生ハム4枚、アボカド1/2個、レタス適量です。作り方ですが、ライスペーパーを戻す時は、フライパンにお湯を入れ、その中に漬けるとやりやすいです。柔らかくなったライスペーパーを皿やまな板に広げ、残りの生ハムなどを巻いていきます。ペーパーの手前側をひと巻きし、両側を目指す巾に折り込んだら、また手前から巻いていって完成です。スイートチリソースに漬けて食べましょう。

生ハムマリネの作り方

材料は2人分で、生ハム50g、モツァレラチーズ50g、ミニトマト50g、パプリカ適量です。作り方はいたって簡単です。皿に生ハム、モツァレラチーズ、ミニトマトを盛り、オリーブオイルとバルサミコすを回し掛けます。生ハムの塩気がありますので、塩コショウなどはしません。最後に、みじん切りにしたパプリカを生ハムの上に散らしたら完成です。黄色や赤のパプリカでお洒落感もアップします。

生ハムで巻く

冒頭でもお伝えしましたが、生ハムは意外に色んな食材にマッチします。いちじく、リンゴ、カキといったフルーツは元より、チーズは勿論、餅を生ハムで包んでも美味しくなります。カイワレ大根や豆苗を生ハムで巻いてもお洒落ですし、ギリシャヨーグルトに生ハムを散らしても合うのです。まだ誰も試したことはないけれど、生ハムと相性が良い食材というのが、どこかにあるかもしれません。

パンチェッタとは

次にパンチェッタについて説明します。パンチェッタはイタリア語で豚のバラ肉、及びバラ肉を塩漬けにしたものを指します。別名生ベーコンとも呼ばれ、これをスモークするとベーコンになります。本格的な味ですが、生ハムと比べると随分簡単な作り方なので、生ハムだけではなく、是非こちらも試してみて下さい。

本格パンチェッタの簡単な作り方①塩漬け

材料は、豚バラ肉500g、塩40g、スパイスとしてローリエ、バジル、ローズマリーなどを好みで使って下さい。塩は、バラ肉の8%ほどを目安にして下さい。簡単な作り方ですが、まず豚肉にフォークをプスプスと刺して穴を開けていって下さい。味が染み込み、水が抜けやすくなります。そして塩をまぶしていきましょう。塩はパンチの効いた岩塩などもおすすめです。スパイスもまぶし、フレッシュハーブがあれば上に乗せましょう。

本格パンチェッタの簡単な作り方②冷蔵

準備が終わったら、ラップに包んでトレイに入れ、冷蔵庫のチルドルームで寝かせます。翌日、ラップの中には塩漬けされた豚肉のドリップ液が溜まっている筈なので、新しいラップに取り換えてまた冷蔵庫にしまいます。これを3日続けたら、次はラップではなくキッチンペーパーで包み、翌日にキッチンペーパーを交換するという作業を4日間繰り返して熟成させましょう。これで完成です。食べる時は加熱して下さい。

パンチェッタを使った簡単料理

パンチェッタのクラムチャウダーの作り方

あさりと塩漬けされた本格的なパンチェッタの旨みが浸み出した、絶品のスープです。材料は4人分でパンチェッタ70g、殻付きあさり20個、ジャガイモ2個、玉ねぎ1個、バター30g、牛乳2カップです。あさりは洗って砂抜きをしておきます。水2カップとあさりを鍋に入れて加熱し、あさりの口が開いたら鍋から取り出してむき身にしておきましょう。

次に鍋でバターと玉ねぎを炒めます。先程のあさりのゆで汁を濾しながら加え、さいの目に切ったジャガイモとパンチェッタを共に煮込みます。ジャガイモが柔らかくなったらあさりと牛乳を加えましょう。味をみて物足りないようでしたら、塩コショウで調節して下さい。

パンチェッタのクリームパスタの作り方

材料は2人分で、パスタ200g、パンチェッタ80g、玉ねぎ1/2個、生クリーム200ml、コンソメ顆粒小さじ2、粉チーズ適量です。まず、細切りにした玉ねぎと角切りにしたパンチェッタをフライパンで炒めます。そこにパスタのゆで汁少々と生クリーム、コンソメの顆粒を入れて加熱します。パスタが茹で上がったら加えて良く絡ませます。仕上げに粉チーズと、好みで黒コショウを振ったら完成です。温泉卵を落としても良いでしょう。

パンチェッタと茄子の炒め物の作り方

材料は2人分で、パンチェッタ80g、茄子2本、ガーリックオイル適量です。まず、パンチェッタを薄くスライスして1cm巾に切っておきます。フライパンでカリカリに炒めたら、皿に取り出しておきましょう。同じフライパンにガーリックオイルを注ぎ足し、茄子を入れて炒めます。茄子に火が通って柔らかくなったら、パンチェッタを戻し入れて茄子と絡ませて出来上がりです。

自家製生ハムとパンチェッタのまとめ

自宅で生ハムを作る方法はいかがだったでしょうか?少々手間と時間は掛かりますが、作業自体は簡単なので、寒い季節に試してみて下さい。そしてパンチェッタの方は生ハムに比べると手間も時間も掛かりません。夏にパンチェッタを作って自家製塩漬け肉の味わいを知り、冬に燻製での生ハム作りにチャレンジするのも良いかもしれません。

Thumb生ハムは「生」じゃない?生ハムとハム/プロシュートの違いとは? | お食事ウェブマガジン「グルメノート」

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