2019年10月17日公開
2024年09月27日更新
さつまいもは変色しても食べられる?変色する原因と防ぐ方法を解説!
さつまいもの変色の原因と食べられるかの見極めを色ごとに解説します。また、変色の主な原因であるヤラピンとクロロゲン酸、低温障害を挙げ、それらを防止する方法を伝えます。見た目もおいしいさつまいもを楽しみましょう。
さつまいもが変色したら捨てるしかない?
さつまいもは、保存している最中や調理した後に変色をすることがあります。変色したさつまいもは、捨てるしかないのでしょうか?異臭がして皮が黒く変色しているところが多い場合や、柔らかくべとついている場合、カビが生えている場合などは、食べることができません。腐ったさつまいもが体内に入ると、食中毒を起こすので、捨てましょう。
それでは、どのような変色なら食べられるのでしょうか?変色の原因と色ごとの状態を調べ、変色を防止する方法をまとめました。長期保存が可能なさつまいもの上手な扱い方を知り、見た目もおいしい料理を楽しんでください。
さつまいもが変色する原因
さつまいもなどの野菜に含まれる天然の色素は、一般的に不安定で酸やアルカリによって変色します。素材そのものの色を生かすには、食品を構成する色素成分の性質と変化の条件を見極め、色の悪変を防止する必要があります。では、変色の原因をみていきましょう。
ヤラピン
さつまいもを切った断面から出る液体であるヤラピンは、時間が経つと白から黒へ変色します。両端の切り口や皮に黒く固まったかさぶた状のものも、ヤラピンです。
ヤラピンが表面に出ているさつまいもの多くは、甘く色が白いです。しかし、固まりは固く苦いので、切り落として使いましょう。ヤラピンはさつまいもに多く含まれる食物繊維と共に、便秘解消に役立つ栄養素です。そのため、緩下剤として有効です。
クロロゲン酸
クロロゲン酸とは、さつまいもに含まれるポリフェノールオキシターゼです。酸素と接触し、酸化することで黒く褐変します。切って時間を置くと、より多くの空気に触れ、酸化が進みます。この反応は鉄の包丁を使うことで、促進されます。また、アルカリと反応すると、緑色になる性質を持っています。
クロロゲン酸の正体は、アクです。アクとは食品に含まれる苦みと渋み、えぐみなどです。少量では食品の風味に特徴を与えますが、多いと料理の味を落としてしまいます。生の状態か茹でた後に水に浸して取り除けます。
アク抜きのし過ぎは食品の持ち味を失うので、加減が必要です。りんごとごぼう、じゃがいもに起こる変色もクロロゲン酸が原因です。ポリフェノールの一種あるクロロゲン酸には、糖分の吸収を遅らせる効果があります。さらに、抗酸化作用で体の活性酸素を取り除く効果があり、シミやしわを防止します。
低温障害
おいしさを保つ温度は食材によって違うため、食材によって保存場所を変える必要があります。例えば、生鮮食品は常温に置いておくと、鮮度が急激に落ちてしまいます。その結果、風味と味、栄養が低下します。低温に弱いさつまいもを冷気にさらすと、同じことが起こります。
さつまいもの変色で見る食べられるかの基準
さつまいもが変色する色を大きく6種類に分けました。それぞれの色ごとに変色の原因と食べられるのかどうかをまとめました。
ピンク色
さつまいもの表面がピンク色に変色したら、食べるのはやめましょう。ピンク色の正体は主に赤カビです。赤カビはカビ毒を作り出し、中毒症状を引き起こします。湿度が高い場所での長期保存で発生率が高まります。
オレンジ色
甘みが強くねっとりとした食感が特徴の安納芋など品種は、切り口が明るい橙色です。また、断面のみがオレンジであれば、さつまいもを守ろうとする生体反応のため、問題ありません。明らかに鮮度が落ち、赤く腐っている場合は食べるのをやめましょう。
赤色・紫色
断面が紫色のさつまいもは、紫芋系の品種です。アントシアニンという色素の色です。アントシアニンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用をもちます。買ったばかりの色と比べて違いがなければ、問題なく食べられます。
茶色・黒色
さつまいもが茶色や黒に変色する多くの原因は、成分によるものです。食べることができ、変色を簡単に防止できます。さつまいものクロロゲン酸は空気に触れることで酸化し、黒や茶色に変色します。この変色は切って時間をおくと、増えていきます。断面や両端にかさぶた状についているものはヤラピンです。
全体的な黒ずみは低温障害が原因です。切り口には黒くにじんだ斑点のような変色があります。低温で保存していると、このような変色が起こります。さつまいもの断面が広範囲にわたり黒ずんでいる場合は、食べるのを控えましょう。傷みがあり腐っている場合、あるいは、黒カビが生えている場合があります。
緑色
緑色の変色はクロロゲン酸がアルカリ性と反応したものなので、食べられます。蒸しパンやてんぷら粉などに含まれる重曹が、原因となることが多いです。長期間冷蔵庫に保存しているものは、カビや腐敗が進んでいる可能性があるので、気を付けましょう。
さつまいもの変色を防止する方法
それでは、さつまいもの変色を防止するには、どんな方法が適しているのでしょうか?変色の原因は、ヤラピンとクロロゲン酸による影響と低温障害にあることが分かりました。原因となる成分の活性を抑える方法と寒さから守る方法を具体的に解説します。
水につける
水につけることで酵素の作用を抑え、食品内の成分を溶出できます。切ってそのまま置くと、切り口が褐色になります。さつまいもはアクが強いので、変色を防ぐために、必ず水にさらしましょう。
たっぷりの水を用意しておき、切ったものからすぐ水につけましょう。料理によって5~30分ほどさらします。より色鮮やかに仕上げたい時は、酢かレモン汁につけることで、きれいな色に仕上がります。さつまいもと同様の成分を有するじゃがいもとごぼう、なすにも有効です。
手で揉むと時短になる
水に浸すべき時間がない時は、さつまいもを水に浸しながら数回揉みます。表面に浮いた変色の原因となる成分を流せるため、さつまいも本来の色を保てます。
さつまいもはビタミンCの多い野菜で、1食分(200g)に対し58mgを含みます。ビタミンCはストレスや喫煙などで不足しがちな栄養素です。また、強い抗酸化力を持ち、がん予防にもなります。しかし、この栄養素は水溶性のため、長時間水にさらすと流れ出てしまいます。さつまいもの揉み洗いは、時短になる上にビタミンCの減少を防げます。
皮を厚めにむく
変色の原因であるポリフェノールは、皮の近くに多く含まれているので、厚く皮をむきます。また、固く苦いヤラピンが固まっている両端もしっかり切り落としましょう。具体的には皮の内側にうっすらと見えるぶつぶつの部分までむきましょう。内側に見える線も目安です。さつまいもは外側と内側で組織が違い、外側が固くなっています。
低温障害にならないように保存方法を考える
食材を長持ちさせるためには、上手な保存法を知ることが大切です。さつまいもは、もともとメキシコを中心とする熱帯アメリカで生まれました。日本では鹿児島を代表とした暖かい地方での栽培が盛んです。湿気と低温に弱いさつまいもの特性に合わせた保存法を確認しましょう。
新聞紙で包んで保存
さつまいもの保存は常温保存が基本です。通気性のいい冷暗所に新聞紙で包んで置きましょう。冷蔵庫で保存する場合には、新聞紙でくるむだけで直接当たる冷気にを避けられ、低温障害を防ぎます。また、湿気を抑えることもできます。
適切な保存温度
保存の適温は13~16℃です。根菜であるさつまいもは野菜室にしまいがちです。しかし、野菜室は一般的に6~8℃に保たれているため、細胞が呼吸できず傷んでしまいます。適切な保存温度を守り、変色を防止しましょう。
さつまいもの変色は色で見分けよう!
さつまいもの主な変色の原因は、含有成分であるヤラピンとクロロゲン酸の影響と低温障害です。新聞紙にくるみ常温保存することと、厚く皮をむき水にさらすことで防止できます。ぜひ、さつまいも本来の色を生かした料理を楽しんでください。
しかし、中には食べられないさつまいもがあります。見分け方として、触ると柔らかいこと、異臭がすること、表面の皮が黒くなることが挙げられます。同じく、ピンクとオレンジ、緑、黒に変色した古いものは、カビが発生している可能性が高いです。危険なので、注意してください。さつまいもの変色は色で見分け、安全なものを食べましょう。