落雁とは?意味や美味しい食べ方・和三盆や干菓子との違いを紹介!

日本の伝統和菓子、落雁を知っていますか?お盆のお供え物や、茶菓子として目にしたことがあっても、落雁とはどんなものかを詳しく説明できる方は少ないと思います。そこで今回は落雁とはどんなものなのか、本当の意味や食べ方、飾り方などは落雁について知っておきたいあれこれをリサーチしました。落雁に似ていると言われる干菓子、和三盆との違いもしっかり紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

落雁とは?意味や美味しい食べ方・和三盆や干菓子との違いを紹介!のイメージ

目次

  1. 1落雁とはどんなお菓子なのか?
  2. 2落雁をお盆でお供えするのはなぜか?
  3. 3落雁は和三盆や千菓子とはどう違うのか?
  4. 4落雁のおすすめな食べ方
  5. 5落雁を使ったアレンジレシピ
  6. 6落雁を食べて日本の伝統文化に触れよう!

落雁とはどんなお菓子なのか?

落雁は長く伝わる伝統的な和菓子

日本の伝統和菓子である干菓子・落雁。お茶請けのお菓子やお供え物として目にした方も多いのではないでしょうか?落雁が伝わってきた歴史には諸説ありますが、最も有力なのは明代の中国から伝わってきたという説です。中国で食べられていた軟落甘というお菓子が江戸初期、将軍徳川家光の時代に伝わり、茶席の菓子として普及していきました。

その後落雁が庶民の口にも入るようになり定着し始めると、神社への供え物に四季の草花やお祝いごとを意味する松竹梅や亀、鯛などさまざまな形で作られるようになっていきます。落雁とは古くから日本に長く伝わる伝統ある干菓子であることは間違いありません。

落雁の名前の由来

落雁とは、漢字のイメージから雁が落ちるというイメージを持たれる方がいるかもしれませんが、その意味は全く違っています。落雁とはルーツとなったお菓子、軟落甘(なんらくかん)が日本に伝わってきてから「落甘(らくかん)」と略されるようになり、落雁に変わって定着したという説が最も有力です。

また、もうひとつの意味は落雁が平たい四角形に固められたさまが、滋賀の近江八景である「堅田の落雁」に似ているという説です。空から舞い降りる雁は、秋の季語でもあり近江八景のひとつである堅田に降りてくる雁の情景になぞらえたお菓子、落雁はなんとも風情があります。

落雁はお盆のお供えとして有名

そんな落雁は、お盆の時期にお供え物として使われることで有名です。お盆のお供え物としてよく見かける落雁は、お釈迦様の弟子がお盆に僧侶たちに振舞ったことが起源とされています。お盆の時期には色とりどりの落雁が店頭に並び、目を楽しませてくれます。

落雁をお盆でお供えするのはなぜか?

落雁をお盆でお供えする意味

落雁とはお盆のお供え物として欠かせない存在となりましたが、お盆に落雁をお供えをする意味があるのでしょうか?その意味にはお盆文化の発祥と切っても切り離せない深い関係がありました。釈迦の弟子であった目連は、亡き母が天上界に行けず飢餓道に落ちているのを見かけ、施しをかけたいと水や食べ物を差し出しましたが、すぐに炎となってしまいなかなか口に入りませんでした。

そこでどうしたらよいかと釈迦に問うたところ、「すべての修行者に食べ物を施したら母親にも施しになるだろう」と言われ、甘いものを差し出したところ修行者たちの喜びが飢餓道にも伝わり母を救ったそうです。お盆の時期に落雁を先祖に備えるのは、施しをして救うためという深い意味があるということです。

日持ちする落雁はお供えとして好まれた

お盆のお供えものは砂糖がない時代には果物が供えられていましたが、時期的な問題もありすぐに悪くなってしまうことがありました。そこで、落雁が日持ちすることから果物や蓮の花を型どった落雁を代わりに供えるようになったと言われています。

お供えする落雁の形には意味がある

落雁とはお盆の時期に欠かせない干菓子であることは前述したとおりですが、お供えする落雁の形にもそれぞれの意味があります。落雁には果物の形や桜、蓮、葉の形などさまざまな形がありますが、お盆のお供え用の落雁にはしばしば蓮の形が用いられます。その意味とは、蓮の花が「極楽浄土」の象徴的な花であり、最上の花、つまり一番格式が高い花であるという意味から先祖へのお供え用に用いられているということです。

落雁をお供えするときの飾り方

落雁をお供えする時には、正しい飾り方があるので紹介しておきます。落雁の飾り方の基本は、仏壇に落雁を飾るとき上中下に分かれている仏壇の場合、落雁は中段に置く飾り方が正しい飾り方です。また仏壇の前にお盆のお供え物のための台や棚がある場合、そこに置く飾り方でも問題ありません。

またどのような飾り方をしたらよいか迷うと思いますが、箱入りの場合は開封して中身が見える状態で置く飾り方でもよいですし、お供え物用のお皿があれば半紙をふたつ折りにして敷き箱から落雁を取り出してお供えする飾り方でも良いでしょう。その時飾り方の注意点として半紙を敷く場合、自分の方へ角が向くようにする飾り方になるように気をつけてください。

お供え物の飾り方は原則同じものを対にして飾るのがルールなので、お供え物用のお皿を2つ用意し、左右対称に飾るようにしてください。飾り方は一見難しいように思いますが、最低限のルールと先祖の供養の気持ちがあれば難しく考える必要はありません。

落雁は和三盆や千菓子とはどう違うのか?

和三盆と落雁の違いは砂糖

落雁と似た干菓子に和三盆があり、その違いがわからないという方も多いと思います。和三盆とは徳島県や香川県だけでとれるサトウキビを原料に作られた砂糖の名称です。見た目は淡い黄色で、キメが細かく口溶けが良いことが特徴で、生産数が少ないことと、製造過程に手間隙かかることから高級砂糖としても有名です。干菓子である和三盆は、砂糖の和三盆をそのまま型に押して固めたものになります。

一方落雁とは穀物から出来たでんんぷん粉と砂糖や水飴などの糖類を混ぜて型に押して乾燥させて作られます。落雁の穀物に用いられるでんぷん粉は、うるち米やもち米、米粉などそのほかの穀物の粉でも作られることがありますが、原料の違いはあれどもすべて落雁になります。日本各地には麦、豆、粟、葛、赤エンドウなどさまざまな粉でつくられた落雁が存在し、代々受け継がれています。

そのほかの違いとしては落雁の製造過程もあります。同じもち米でも落雁粉、みじん粉、上早粉、寒梅粉などたくさんの種類があり、蒸す、蒸さない、焙煎する、焙煎しないなど製法の違いによりさまざまな名称が付けられています。原料や製法に違いはあれど、でんぷん質の粉と、糖類を混ぜて固めたものを総称して落雁と呼んでいます。ちなみに落雁の中に白雪糕(はくせつこう)というものがあります。

落雁は蒸した粉で作られますが、白雪糕はこねてから蒸して作られます。ただこちらは和三盆とは違い製造方法は同じになります。干菓子である落雁と和三盆。外観が似ていますが材料も違いますし、作り方も違います。お盆のお供えや茶菓子として用いられる点は、共通しています。

干菓子は和菓子のカテゴリーを表す

落雁とは米粉などに水飴や砂糖加えて色を付けてからよくこね、型にはめて乾燥させて作られ、分類すると干菓子という水分の少ないお菓子のカテゴリーに当たります。干菓子とは水分が20%以下の和菓子のことで、落雁のほか、こんぺいとうやせんべい、八橋などが干菓子にあたります。

落雁とは打ちものと呼ばれる干菓子を代表する伝統的な和菓子であり、日本三大銘菓と呼ばれる銘菓にもすべて落雁が選ばれています。長い歴史を経ながらも多くの人に愛される風靡な味わいの三大銘菓に落雁が選ばれていることは、日本人として知っておきたいものです。


日本三大銘菓を順に紹介しいてくと、まずひとつめは石川県金沢市で300年以上変わらない製法を守り続けている森八の「長生殿」という干菓子があります。加賀藩藩主前田利常と茶道遠州流の開祖、小堀遠州により生まれた歴史ある落雁で、干菓子の表面には小堀遠州の直筆から型どりされた文字が刻まれています。四国産の和三盆と北陸のもち米から作られている長生殿は、さらっとした口溶けと和三盆糖の上品な甘さが特徴です。
 

日本三大銘菓のふたつめは、安永7年(1778年)から新潟県長岡市の和菓子店越乃雪本舗大和屋が作り続けている「越乃雪」です。越後のもち米を粉にして、越後の湿気を含ませながら寝かせた和三盆糖を配合した越乃雪は、その名前通りサクサクホロホロと崩れる食感がたまりません。和三盆の上品な甘みとお米の甘さと香りが口いっぱいに広がる東となっています。

日本三大銘菓最後は、島根県出身の茶人、松江藩七代目藩主松平治郷が考案した干菓子を元に作られた風流堂の山川です。山川は手でわると凹凸した形になるのですが、この姿が山川に見えることからその名がつけられました。山川はしっとりとした食感に加えほのかな塩味を感じる干菓子となっていて、甘じょっぱさにやみつきになります。

日本三大銘菓としても登場する干菓子、落雁は茶事の添え物やお供え物として重宝されてきましたが、材料や色形を変え、いまお洒落な和菓子としてクローズアップされています。京都にある京豆腐藤野が作るうさぎの豆乳落雁には豆乳が使用されています。同じく京都の和菓子店UCHU wagasiが作る落雁はかわいらしいパステルカラーの色合いと、ジャスミン茶やほうじ茶、フルーツなどさまざまなフレーバーが評判の落雁となっています。

風流堂【山川・朝汐本舗】菓子老舗

落雁のおすすめな食べ方

コーヒーや紅茶に混ぜる

落雁は砂糖が貴重だった昔は、高価なお菓子として好んで食べられていましたが、さまざまなお菓子が出てきた現代においては粉っぽく、甘く、口の中の水分を持っていかれるということで好んで食べる方が減ってきています。お茶請けなどにそのままの食べ方もよいですが、ここからは落雁のおすすめの食べ方を紹介しますので、せっかく手に入れた落雁をおいしい食べ方でいただいてみてはいかがでしょうか?

落雁のおすすめの食べ方で最初に紹介するのが飲み物に入れる食べ方です。コーヒーや紅茶、甘酒や生姜湯などの飲み物に入れると、さっと溶けて上品な甘さを演出してくれます。甘いものが苦手な方も、この食べ方なら抵抗なくいただけるので、砂糖代わりに落雁を飲み物と混ぜてみてください。ほっとやさしい甘さに癒されることうけあいです。

ヨーグルトに入れる

次に落雁のおすすめの食べ方は、ヨーグルトに混ぜる食べ方です。落雁には水分と混ぜるととろみがでるので、ヨーグルトに入れるとぴったりです。プレーンヨーグルトに混ぜるとほのかな甘味で酸っぱさを和らげてくれる効果もあります。ほのかなあまみの落雁ヨーグルトはおいしいので、いちおしの食べ方です。

クッキーやホットケーキ作りに使う

落雁のおすすめの食べ方、最後は粉ものとして使用する食べ方です。落雁は溶かすととろみが出ますが、そのまま使うと粉ものとして使うことができるので、砂糖がわりに使うことができます。クッキーやホットケーキの砂糖の代わりに落雁を使うと、今までにない優しい味わいに仕上がります。一度作るとハマること間違いなしの食べ方ですので、落雁がたくさん手に入った場合はぜひお試しください。

落雁を使ったアレンジレシピ

濃厚な味「落雁のリメイクプリン」

ここから落雁を使ったリメイクレシピを紹介します。作り方はどれも簡単なのにおいしいスイーツばかりなので、ぜひチャレンジしてみましょう。最初は落雁をリメイクした濃厚カスタードプリンです。まったりとした濃厚な味わいがスイーツ店さながらのおいしさです。材料を混ぜて焼くだけという簡単さも見逃せません。材料は3人分で以下のとおりです。

  • 牛乳400cc
  • 落雁(すりおろしたもの)100g
  • 玉子M寸2個
  • バニラエッセンス 数滴
  • 砂糖40g
  • 水大さじ1
  • お湯大さじ1

  1. 落雁をすりおろし器ですりおろし、100gになるように用意します。
  2. ボウルに牛乳、すりおろした落雁を入れてホイッパーで混ぜます。落雁を入れる時はふるいにかけながら入れてください。
  3. よく混ぜてから玉子を入れてさらに混ぜ、バニラエッセンスを数滴入れてさらに混ぜます。
  4. 小さい鍋に砂糖と水を入れて中火にかけて飴色になったらお湯大さじ1を入れて混ぜ、カラメルソースを作ります。
  5. 用意したココット容器3個にの底にカラメルソースを入れたら、プリン生地を均等に流し入れます。
  6. 150度に予熱したオーブンで15分から20分ぐらい焼き、竹串で刺して何も付いていなければ完成です。

洋菓子に変身「落雁のレーズンクッキー」

落雁のリメイクレシピ、続いてはレーズンクッキーです。落雁を使うと甘すぎずすっきりとした甘味のクッキーが出来るので、小さな子供からお年寄りまで幅広い世代の方に喜ばれます。ほのかな甘みのクッキーにレーズンのアクセントがきいています。材料は25個~30個分になります。

  • マーガリン100g
  • 落雁(すりおろしたもの)70g
  • 砂糖30g
  • 玉子(M寸)1個
  • 薄力粉200g
  • レーズン50g

  1. マーガリンをクリーム状になるまでよく混ぜます。
  2. 落雁の粉と砂糖を合わせ、2〜3回に分けてよく混ぜ、さらにとき卵を加えてよく混ぜます。
  3. あらかじめ刻んでおいたレーズンを加え、よく混ぜてから薄力粉をふるいにかけて追加したら、木べらなどで粉っぽさがなくなるまで混ぜます。
  4. オーブンを170度に予熱します。
  5. 1角皿にクッキングシート敷き、大体5ミリぐらいの厚さになるようにして並べます。
  6. 予熱が完了したオーブンで15~17分ぐらい焼いたら完成です。
     

一口サイズで食べやすい「落雁のスノーボール」

ほろほろとした口溶けが人気のクッキー、スノーボールも落雁を使うと一味違ったやさしい味わいになります。一口サイズで食べやすいので、コーヒーや紅茶のお供に、ちょこんと添えて出すと喜ばれそうです。材料は約30個分でコーンスターチがない場合は剥離ここで代用しても構いません。また、中にチョコレートやナッツを入れるなどアレンジもOKです。

  • 落雁50g
  • バター80g
  • いちごジャム40g
  • 薄力粉100g
  • コーンスターチ20g
  • 粉糖適量
     

  1. 落雁はおろし金で粉状にします。
  2. 薄力粉、コーンスターチ、落雁を合わせてふるっておきます。
  3. バターをレンジにかけて柔らかくし、ジャムと混ぜ合わせます。ボウルに入れた粉類に投入し、ゴムベラで切るように混ぜます。
  4. まとまって来たら手でまとめ、冷蔵庫で30分程生地を寝かせます。
  5. 小さめの一口大に丸めてクッキングシートを敷いた天板に並べます。
  6. 170度に予熱したオーブンで20分焼きます。底だけ黒くなってしまうこともあるので時間は様子を見ながら調節してください。
  7. 冷めたら粉砂糖をまぶしたら完成です。
     

落雁を食べて日本の伝統文化に触れよう!

日本の伝統菓子、落雁について紹介してきましたがいかがでしたか?落雁とは何か知らなかった方も、どんなものか少し詳しくなれたと思います。日本三大銘菓にも選ばれるほどの落雁を、ぜひ身近に手に入れて味わってみていただけたら嬉しいです。

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