ナマズを使った料理の味は?蒲焼きなどの料理法も詳しく解説!

愛嬌のある顔をして水中をゆったりと泳ぐ、可愛らしいナマズ。観賞用に飼育されている方も少なくない魚ですが、実は意外にも、ナマズは日本で古くから食べられてきた魚だったのです。アンコウやうなぎは馴染みがありますが、あまり聞かないナマズ料理。今回は、そもそもナマズとはどんな魚なのかということから、その味や食感、料理法までを紹介したいと思います。この機会に、ナマズについて見直してみましょう!

ナマズを使った料理の味は?蒲焼きなどの料理法も詳しく解説!のイメージ

目次

  1. 1ナマズは日本で古くから食べられてきた魚
  2. 2ナマズのことをもっと知ってみよう
  3. 3ナマズ料理の味は?
  4. 4ナマズの美味しい料理法を紹介
  5. 5ナマズはうなぎと同じように美味しい!

ナマズは日本で古くから食べられてきた魚

現代の日本では一般的な食材とは言えないナマズですが、実は日本では古くから食用として食べられてきた魚なのです。その歴史は古く、平安時代末期の文献(今昔物語)に調理をしていた記述が残っています。なんと約1,000年も前から食べ続けられていることになります。

また、江戸時代にはナマズが食料として商業取引されていた記録も残っています。現在ではナマズ料理を食べる地域は限られていて、群馬県や鳥取県、滋賀県や京都府の特定の地域で郷土料理として食べられています。これらの地域では、ナマズは天ぷらや蒲焼き、刺身、汁物として食べられてきました。

ナマズ食の歴史は古く平安時代末期の文献(今昔物語)に調理をしていた記述が残る

ナマズのことをもっと知ってみよう

ナマズと一口に言っても、世界の各地域にはおよそ2,800種以上のナマズが生息していて、それぞれ多きさや見た目も違います。そこで、ここでは日本に住むナマズについて見ていくことにしましょう。

日本のナマズは3種類

日本には(マ)ナマズ・イワトコナマズ・ビワコオオナマズの3種類のナマズが住んでいます。それぞれ大きさや色が違い、ビワコオオナマズが日本では最大のナマズになりますが、このナマズは独特の臭みを持つため、食用とされることはほとんどありません。

一番美味しいのはイワトコナマズ

イワトコナマズは日本の固有種で、滋賀県の琵琶湖と瀬田川の一部、そして余呉湖(よごこ)にのみ生息しています。琵琶湖の中では北部の岩礁域に分布し、泥臭さが少なく日本産ナマズの中では最も美味とされています。そのため高価な値段で取引されます。

(マ)ナマズも食べられている

(マ)ナマズという呼び方は、外来のナマズと区別されるための別名で、いわゆる一般のナマズのことをさします。マナマズは東アジア広域に生息していて、沖縄などを除いて全国各地の淡水に幅広く分布しています。マナマズはイワトコナマズに次いで泥臭さが少なく、味が良いとされてきました。

ナマズの生態と旬について

日本在来の淡水魚は雑食のものが多いのですが、ナマズは肉食魚です。全身に味覚があり、貪欲な食欲を持っています。また夜行性で、昼間はジッとしていて夜になるとその長いヒゲで暗闇の中をレーダーのように使い、獲物を探します。ナマズは大食漢で、カエルや小魚、またエビやカニなどの甲殻類も好んで食べます。身体的な特徴としては、扁平な体でうなぎのようにヌルヌルとしていて、鱗を持たない点が挙げられます。

ナマズの旬は9月〜2月の秋から冬にかけての期間です。また卵から孵化しておよそ3年ほどで成魚となり、体長は50〜60cmほどになります。未だはっきりと解明されてはいませんが、寿命は15年ほどだと言われています。

ナマズがうなぎを救う?

土用の丑の日といえば「うなぎの蒲焼き」ですが、実は近年うなぎの漁獲量が激減し、2014年には国際自然保護連合がニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定しています。うなぎの生態は未だに謎だらけで、完全に養殖することが難しい魚です。これに加えてうなぎの乱獲が続いたために、とうとう絶滅危惧種に指定されてしまったのです。

これでは近いうちに、うなぎの値段が高騰するだけでなく、もはやうなぎを食べられなくなる可能性も出てきました。そんな中、近畿大学が約6年の歳月をかけて、2015年にうなぎ味に近いナマズを「近大ナマズ」として開発しました。このナマズをうなぎの代わりに蒲焼きにして食べることで、うなぎの漁獲量を制限し、うなぎの自然な増加を待つことが期待できるのです。

ナマズ料理の味は?

料理前の下処理として泥抜きを行う

イワトコナマズのように、泥臭さの少ないナマズもいますが、基本的にはナマズを調理する前に泥抜きをします。これはうなぎの場合も同様で、2〜3日から1週間ほど、真水の中を泳がせます。こうすることで泥臭さがなくなり、ナマズ本来の味を楽しむことが出来るようになります。

ナマズの味や食感は?

ナマズの身は白身で程よく脂もあり、コクのある上品な味です。うなぎと似た風味でクセもなく、様々な料理法があります。また食感は、刺身で食べるとコリコリと程よい噛みごたえがあり、天ぷらにするとふっくらと柔らかい食感になります。さらにナマズの身や骨、肝を包丁で叩いたつみれを汁物として食べると、程よいつぶつぶ感を楽しむこともできます。

ナマズ料理その1.刺身

それでは実際に、ナマズが使われている料理をいくつか紹介したいと思います。まずはナマズ本来の味をストレートに味わえる刺身です。よく泥抜きしたナマズの刺身は臭みもなく、身は淡くピンク色に染まっていて、鯛の刺身のようです。食感はフグに似てプリプリとしていて、上品な甘みが感じられます。

ただし注意するべき点として、天然物のナマズの場合、人の体内に寄生する寄生虫がいる場合が多いので、刺身にする場合は養殖物のナマズを使うようにして下さい。この寄生虫は沸騰したお湯で数分茹でたり、火で炙るなど、しっかりと火を通すことで死滅するので、天然ナマズを調理する場合は火を使う料理の方が安全です。

ナマズ料理その2.天ぷら

古くから食べられてきたナマズ料理として、天ぷらがあります。ナマズの天ぷらは、さばいたナマズの切り身に小麦粉をまぶして油で挙げたものです。身には脂が乗っていてふんわりと柔らかく、皮ごと挙げた場合は川のプルプルの食感も楽しめます。味はキスに似てクセがなく、淡白ながらもほのかに甘みがあり、天つゆや塩でいただきます。

ナマズ料理その3.ナマズ汁

代表的なナマズの料理法として、ナマズ汁というものもあります。一口大に切ったナマズを、出汁をベースにして醤油や味噌などを溶いた汁で煮て食べます。汁にした場合のナマズの身はとても柔らかく、口に入れるとさらりと溶けるような感じです。またナマズの持つ豊富なゼラチン質が汁に溶け出し、とろみとコクのある味わいになります。

ナマズ料理その4.蒲鉾(かまぼこ)

今からおよそ500年前に書かれた「宗五大草」という書物によると、ナマズはかつて蒲鉾の材料にする高級魚だったとされています。その料理法は、泥抜きしたナマズをさばいてすり身状にして竹に巻きつけ、焼き色が付くまでじっくり炙ります。元々の蒲鉾は今でいう竹輪状のものでした。食感は弾力があり、炙ることで香ばしい風味となります。

ナマズ料理その5.たたき

ナマズのたたきとは、ナマズを骨ごと包丁でよく叩き、生姜・味噌などを混ぜてミンチ状にしたものに卵、小麦粉を加えて油で挙げたものです。食感は、表面がサクッとしながら中身はプチプチとした心地良い弾力も感じられると同時に、ナマズに含まれるコラーゲンが全体をもっちりと柔らかにまとめ上げてくれます。またナマズを丸ごと使用して揚げているため、ナマズの持つ香ばしい風味を楽しむことができます。

ナマズ料理その6.煮付け

ナマズの煮付けも伝統的な郷土料理で、ナマズの切り身を醤油、砂糖、みりんなどで甘辛く煮付けた料理です。ナマズは淡白な魚なので調味料がよく染み込みます。また煮付けることで身がプリプリとなり、川魚の香ばしい風味が際立ちます。ご飯のおかずとして長く愛されてきた一品です。

ナマズ料理その7.塩焼き

ナマズをシンプルに塩焼きする食べ方もあります。この料理法は、皮と内臓を取り、塩をふって焼くというものです。味としては白身魚やうなぎに近く、脂も適度にのっていて美味しいです。焼き上げることで、フワッとほぐれるような食感を楽しむことができます。

ナマズ料理その8.照り焼き

ナマズは火を通しても身が硬くならないので、照り焼きにしてもふっくらした身を美味しく食べることができます。皮付きのまま焼き上げる場合は、皮の部分のパリッと香ばしい食感と風味を味わえます。こちらもご飯のおかずとして、相性抜群の一品になります。

ナマズの美味しい料理法を紹介

ヌメリを取る

ナマズはウナギに似てヌメリの強い魚です。そのままだと滑って捌きにくいため、ヌメリを取りましょう。塩を振りかけてスポンジでゴシゴシとこする方法もありますが、これでは美味しい皮の部分が剥がれてしまいます。そこでおすすめなのが、沸騰したお湯を皮にかけてから、包丁の背でやさしく取り除いていきます。これを数回行うことでヌメリが取れ、皮の部分も料理に活かすことができます。

ナマズのさばき方を解説

それでは、ご家庭でナマズ料理を作る際に必要な、ナマズのさばき方を解説したいと思います。まずは、包丁の背で頭を叩き気絶させ、背側を手前にして目打ちをします。

次に胸びれの下から包丁を入れ、中骨の上を滑らせるようにして背開きにします。その後、中骨を剥がすように包丁を入れ、尾と一緒に切り落とします。続いて頭を切り落とし、内臓・卵を切り取ります。

身の真ん中に包丁で切れ目を入れて、その切れ目から半身に切り分けていきます。あとは中骨や腹骨などを切り離して、切り身の完成です。

うなぎより美味なナマズの蒲焼き

続いては、ナマズを使った美味しいレシピを紹介したいと思います。まず第一に定番として挙げられるのは、ナマズの蒲焼きです。

まずは蒲焼きの調味料として、醤油、砂糖、みりん、酒をお好みの味付けで鍋に入れて一煮立ちさせます。

さばいたナマズの切り身の水気を拭いて、適当な大きさに切り、焼いていきます。魚焼きグリルで焼く場合はそのまま焼き、炭火で網焼きする場合は串を刺します。両面にタレを数回ずつ塗りながら、若干焦げ目が付く程度まで焼き上げます。

最後に、焼けたナマズをタレの鍋の中に入れて2〜3分ほど煮込みます。この料理法がポイントで、ふっくらとした蒲焼きになります。あとは好みで山椒を振りかければナマズの蒲焼きの完成です。ナマズはうなぎより肉厚で、皮もパリッと仕上がり、うなぎよりも上品な美味しさを味わうことができます!

ナマズのフィッシュ&チップス

イギリスで定番のメニューであるフィッシュ&チップス。一般的には魚はタラを使う場合が多いのですが、代わりにナマズを使っても美味しい一品になります。本場イギリスでタラの価格が高騰した際に、安いナマズを使って売り出したところ、ナマズの方が味がしっかりとしていて美味しいと評判にもなったそうです。

このレシピの材料には、じゃがいもとナマズの切り身を用意します。じゃがいもは、くし形切りにして水気を拭き、中温(170℃)に熱した油できつね色になるまで挙げて、塩・こしょうをお好みで振りかけます。一方、ナマズを揚げる際は、衣にビールを使うことがこの料理法の重要なポイントとなります。ビールを使うことで、サクサクした食感に仕上げることが出来ます。

ナマズを挙げる衣の材料は、2人分で卵1個、ビール30ml、牛乳40ml、小麦粉50g、塩・こしょう適宜、を目安として下さい。卵は卵白と卵黄に分け、ボウルに卵白を入れて全体が白っぽくなるまで泡立て、ビール、卵黄、牛乳を加えて混ぜ合わせます。その後小麦粉を加えてさっくりと混ぜます。

こうして出来た衣に水気を拭いたナマズの切り身をくぐらせて、中温(170℃)に熱した油できつね色になるまで挙げます。調味料はシンプルに塩・こしょうでも良いですし、ケチャップやマスタード、タルタルソースなども合います。外はサクサクで中はフワッと柔らかい、美味しいフィッシュ&チップスの完成です。

ナマズのムニエルの料理レシピ

このレシピはナマズを洋風の料理法で味わう料理です。ナマズは日本に限らず、ヨーロッパや東アジアなど世界各地で古くから食べられてきた食材で、地域ごとにナマズの種類や風味が異なるものの、元々淡白で臭みが少ないナマズをソテーしてムニエルにして食べる料理法は世界各国で共通したレシピとなっています。

日本で採れるナマズも例外ではなく、洋風の料理法で味付けすることでより一層美味しくいただくことができます。何故かというと、素焼きや蒲焼きにした場合、ナマズの旨みが含まれる「脂分」が焼く過程で流れ落ちてしまうからです。これに対してムニエルという料理法は衣とバターでナマズの旨みである脂を閉じ込められるので、ナマズ本来のクセのない良質な脂やコラーゲンを活かすことが出来るのです。

この料理法ではまず、ナマズの切り身に塩・こしょうを振り10分ほど置いて下味を付けます。次に小麦粉を両面にまぶし、フライパンに入れたバターが香ばしく泡立ったところでナマズの切り身を入れ、焦げないように注意しながら中火ほどで中まで火を通していきます。こうすることで身全体に程度な脂が残り、ふっくらとジューシーなナマズのムニエルが完成します。

ナマズはうなぎと同じように美味しい!

今では日本のごく一部でのみ郷土食として食べられているナマズですが、そのイメージとは違って非常に上品な味わいを持った優秀な食材であることがお分かりいただけたでしょうか?その美味しさはうなぎに勝るとも劣らないものになりつつあります。これからは、うなぎの蒲焼きだけでなく、ナマズの蒲焼きもメジャーになっていくことでしょう。うなぎと同じように美味しいナマズ料理を、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか?

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