2018年05月28日公開
2024年07月15日更新
キジハタの値段を調査!25・30・40㎝で変わる高級魚?
キジハタって、知っていますか?実は、きわめて美味で希少な高級魚でした。そのキジハタの生態や習性を探ってみました。また、キジハタは、土地によって呼び名がいろいろ違うようです。高いと言われているキジハタの値段は、漁獲方法やサイズでさまざまに変わります。そんなキジハタの値段が、どれほどするものなのかを、詳しく調べてみました。そして、美味なキジハタの調理法も、併せて紹介いたします。キジハタは、たしかに高級魚でした。
キジハタってどんな魚?
キジハタは、日本から中国の沿岸にかけての温暖な海域に生息する魚です。スズキ目ハタ科に分類されます。大きいものは60cm近くになりますが、一般的には25cm~40cmぐらいのサイズが普通です。目が緑色で、キジハタの由来は、そのキジ色の目からきています。群れを作ることなく単独の生活をし、昼間は岩陰や暗い所にひそんでいます。キジハタは夜行性で、幼魚のときは甲殻類を餌にするが、成長するにつれ魚を捕獲するようになります。
キジハタは生まれたときはみんなメス?
キジハタが分布するのは、日本列島青森県以南から、中国や台湾までの沿岸域です。岩場に砂場が混在したような環境が好みです。キジハタが繁殖するのは、小さな卵を少しずつ産む初夏です。キジハタは、雌性先熟の魚で、生まれたときはすべてがメスです。自然な環境では、約40cmほどでメスからオスに性転換します。性転換が可能になるには、約10年かかると考えられています。いずれにしても、大規模に繁殖する背景はなさそうです。
キジハタが幻の魚と呼ばれる理由
日本では全体的に少ないなかで、キジハタは日本海沿岸や瀬戸内海で獲れています。キジハタの食べごろといわれる25cm~40cmのサイズのもので、3~6年経過しています。関西ではキジハタではなく、アコウと呼ばれるのが普通です。その大阪湾でも、かつて2トンほど漁獲されたが、2000年頃には姿を見かけるのがマレになりました。そういったことから、キジハタが幻の高級魚とされるようになってきたわけです。
キジハタは地方で名前が変わる
キジハタは、関西や瀬戸内ではアコウとか、アコと呼ばれていて、山陰ではアカミズ、長崎や福岡ではアカアラ、アカアゴと呼ばれています。和歌山県田辺では、アズキアコウで、三重県尾鷲や愛知県でアズキマスです。鹿児島県でスジアラ、富山県の魚津では、アカラとなります。徳島県でのアッコというのもあります。実に、たくさんの呼び名があります。ところ変われば呼び名が変わる、といった感じです。
ある意味では、キジハタよりも関西で呼ばれているアコウの呼び名のほうが、ポピュラーな気もします。ただし、同じアコウと名前が付いていても、関東でアコウダイと呼ばれている魚は、キジハタとはまったくの別物です。ちなみに、香港では「紅斑」(ホンバーン)と呼ばれていて、やはり高級魚として扱われ、中華料理特有の蒸し物として食べられています。
キジハタの値段をきめるのはサイズと捕獲方法
釣ったキジハタのほうが値段は高い
キジハタにかぎらず、生ものである魚は一般的に網でよりも、釣ったものの方が高い値段で取引されます。そのわけは、特殊なケースをのぞいて、漁師が魚を獲る方法は、網で獲るか釣るという二つしかありません。網で獲るにもいくつかの方法の違いはありますが、いずれにしても網で獲る方法は、どんな魚が獲れるか分らない、雑多な魚が集まるケースが多いのです。網のなかで暴れまくる魚には、相当なストレスが溜まります。
市場に大量に出回る魚のほとんどは、網で漁獲された魚です。この網で獲る場合、多くの魚は網が引き上げられる際に、雑多な魚同士が押し合いへし合いして、互いの魚体を傷つけあいます。これにたいして、一本釣りされる魚は、特定の魚を狙って獲るのが一般的です。傷つけ合うことによるストレスもなく、その場でか、水槽で生かされた後にかは別として、活〆されて市場に届きます。高級魚といわれるキジハタは、一本釣りの魚です。
値段が付く前に、キジハタも以上のようなプロローグを経てくるわけです。もちろん、キジハタも生き物ですから、鮮度の良さとか、その時の豊漁不漁や需要供給に、その値段は大きく左右されます。したがって、同じスズキ目ハタ科のクエもそうですが、キジハタの値段も、基本的にはサイズで決まります。1Kgまでのサイズなら、Kg単価は3,000円~5,000円ほどの値段です。1Kg~2Kgサイズなら、Kg単価は7,000円以上になります。
2Kg以上のサイズでは、Kg単価は10,000円以上の値段に跳ね上がります。こうなると、立派な高級魚というほかありません。そんなキジハタの、養殖化の研究がすすんでいます。キジハタは孵化してから6時間以内に餌を食べないと死んでしまう、というやっかいな性質をもっています。大阪府が稚魚を育てる技術を確立して、2017年10月には、100,000匹のキジハタを放流しました。安定供給に至る可能性も出てきたようです。
キジハタのサイズごとの値段を調査
キジハタの値段は、サイズが一番大きな要素であることはすでに述べました。けれども、生の一匹さらで売る場合と、調理して冷凍にかけた後に売る場合とでは、Kg単価はまるで異なってきます。ここでは、生のまま一匹さらで売る値段の、前提で紹介していきます。調理した冷凍物の値段については、後ほどの「通販サイトでのキジハタの値段」で紹介します。
25cmのキジハタの値段
前にも述べたように、キジハタにかぎらず魚は一定の重さに対して、一定の値段が決まっているのではなく、サイズによって大きくその単価は変動するのです。ここに取り上げる25cmのキジハタは、重さにすると350g~400gくらいです。この大きさですと、刺身にできるかどうかむつかしいサイズです。25cmのキジハタは、洋風和風問わず煮物か焼物が向きます。25cmクラスのキジハタの値段は、2,000~3,000円でしょう。
30cmのキジハタの値段
30cmのキジハタが、刺身にできるかどうかのギリギリのサイズかもしれません。値段的は、30cmのキジハタですと、3,500円~4,500円の値段になるでしょう。ワザと身を残し気味に、ざっくりと刺身にとって、残ったアタマや中骨などを酒蒸しか、アラ煮にすれば、無駄なく食べきれます。魚はすべてそうですが、高級魚はなおさらすべてをいただくことが大事です。
40cmのキジハタの値段
40cmのキジハタ。これくらい以上の型になってくると、旨味もそうですが、値段も一段と増してきます。山陰は境港の最近(2018年)の値段で、1Kg当り7500円となっています。けれども、これには但し書きがついています。当然のこととして、キジハタは工場生産品ではありませんから、その日の漁獲量とか、一匹一匹のサイズはバラバラです。なので、ちょうど7,500円のキジハタになるとは限りません。
したがって、40cmのキジハタならば、1Kg当り7,000円以上の値段と見当がつきます。他の魚もそうですが、調べれば調べるほど、いま、主に漁獲量の関係で、ほとんどの魚の値段は高騰しています。キジハタも例外ではありません。というより、もともと希少なキジハタは、高級魚から超高級魚化しているというのが、実態です。
キジハタは通販サイトでも買える
いま、キジハタは通販サイトでも手に入ります。生のキジハタを活〆して送る場合と、調理して冷凍にかけたキジハタを送る場合の、二通りあります。冷凍のキジハタが、25cmのサイズで、値段は1,450円です。30cmのサイズで、2,052円、35cmのサイズで、3,600円です。活〆の冷蔵で送られるキジハタは、25cm~30cmくらいのサイズでしょうか?300~600gの重さで、値段が3,980円とあります。
これも、40cm~50cmのサイズでしょうか?1Kg~1.5Kgの重さで、値段は、10,080円となっています。活〆のキジハタのサイズは、通販サイトには表示されていませんので、こちらの推定です。
キジハタを使って料理を作ろう
料理に入る前に、キジハタを扱うときに必要な注意を紹介しておきます。ハタ科の魚はキジハタもそうですが、顔の横にトゲがあります。知らずに触れると、刺さって激しい痛みに襲われます。また、ヒレ、特に背ビレにも注意がいります。うっかり、キジハタを上から鷲づかみしようものなら、手は血だらけになります。きれいなバラにだけではなく、美味しいキジハタにもトゲがあるのです。
キジハタの刺身
30cm以上ある、キジハタならば、やはり真っ先にいただきたいのは、刺身です。きれいな白身は、上品な甘みがあって、シコシコとした歯ざわり感がなんともいえません。わさび醤油でも、もみじぽん酢でも、どちらも申し分ありません。
夏場でしたら、キジハタの皮はひかずに、松皮造り風に霜降りをして、食べるのも乙なものです。あるいは、冬場でしたら、ふぐのように、薄造りにして、ひいた皮も霜降りしたうえで添えて、もみじぽん酢でいただけば、てっさ以上の至福に出会えます。
キジハタの酒蒸し
30cmや40cm以上のキジハタでしたら、刺身をとった後の、頭や中骨などのアラを骨蒸しにかけるのがいいでしょう。アラは熱湯にくぐらせてから冷水に取り、ぬめりや汚れを取り除いておきます。皿に昆布を敷いて、その上にアラを並べます。酒を振りかけたら、蒸気の揚がった蒸し器に、皿ごと入れて15分蒸しあげます。熱を入れるとキジハタに弾力と旨味が増してくるのです。やはり、もみじぽん酢でいただきます。
もちろん、25cmくらいのキジハタ本体を、そのまま骨蒸しにかけるのも、豪華で上等な骨蒸しが仕上がります。骨蒸しされたキジハタは、生の刺身の甘さとは、また違った甘みを堪能できます。ぽん酢の酸味がそれを引き出してくれるのです。キジハタをしゃぶしゃぶでいただいても、骨蒸しと同じような旨味を堪能できます。また、しゃぶしゃぶでも、骨蒸しでも、それと同時に刺身を交互に味わってみるのも、また一興です。
キジハタの煮付け
25cmを下回るような型のキジハタでしたら、煮つけが一番よいと思います。キジハタはしっかりと、ぬめりや汚れを取り除いておく。鍋にキジハタが半分かぶるくらいの量の煮汁で、落し蓋をして煮上げる。煮汁は、酒、みりん、薄口醤油です。キジハタに火が入ったら、仕上げに濃口醤油を振りかけて完成。キジハタの煮物は、皮まで美味しく食べられます。残った煮汁で野菜などを煮れば、これまたけっこうな煮物に仕上がります。
25cmサイズのキジハタなら焼き魚2品
刺身で食べて美味しい、キジハタの脂ですから、焼き魚にして不味いわけがありません。それも、シンプルな塩焼きがベストです。表面のぬめりと汚れを取り除いたキジハタの身を、できれば上火式のグリルでこんがりと焼き上げたら、得も言われない焼き魚となります。25cmくらいのキジハタなら、焼き魚がベターでしょう。ここでは、日本風に塩焼きで、つづいては、洋風にポワレも紹介します。
キジハタの切り身は、両面に塩、胡椒を振ったら、皮目側だけにうっすらと小麦粉を振る。フライパンにオリーブオイルをひいて、キジハタの身を皮目を下にしてのせる。火を入れて弱火で気長に皮目をこんがりと焼き上げる。この時に、身が反るのを防ぐために、͡コテなどで軽く上から押さえます。皮目がパリッと焼けたら、ひっくり返して軽く焼いてから、火を止めます。皿に盛ってハーブをあしらったら完成。ソースは不要です。
30cm~40cmのキジハタで目先を変える一品
30cmから40cmあるようなキジハタで、少し目先を変えたいような一品を、と思ったら唐揚げをおすすめします。キジハタの唐揚げというのは、まさにプリンプリンな食感です。高級品でもあるので、あまり一口を大きめに揚げないほうが、いろいろな意味で楽しめます。そして、唐揚げといえば、せっかくのキジハタの骨を無駄にする手はありません。
キジハタの骨せんべいとでも、申しましょうか。骨を唐揚げにします。まず骨は、電子レンジで5分ほど加熱しておきます。常温にまで冷ましたら、骨を180℃の揚げ油で、キツネ色になるまで揚げます。取り出した骨に塩を振りかけていただきます。栄養価もあって、まことに美味しいです。この場合の骨はあまり大きなものだと大味になるので、30cmくらいまでの大きさの、キジハタの骨が適当かも知れません。
キジハタは文句なしの高級魚
ここまで紹介してきた内容から、キジハタが高級魚であることは、疑いなさそうです。というよりは、ますます高級化してきている、と言えます。けれども、大阪府などで試みられている努力が実を結ぶと、リーズナブルなキジハタの登場も、夢ではないかと思われます。
25cm、30cm、40cmに分けて、キジハタの値段とか料理法とかについて述べてきました。もしも、高級魚のキジハタを入手できる機会が、訪れることがあるようなら、その際には、ぜひ奮発して50~60cm級の大物を手に入れてください。1尾のキジハタで、紹介したようなさまざまな料理を食べつくす、フルコースを体験してみるのも、ゴージャスの極致ではないでしょうか?