カスザメの料理は美味しいのか調査!捌き方や食べ方と味は?

カスザメ、聞きなれない名前のこのサメは、サメとエイを足して2で割った様な何とも不気味な見た目をしています。ところが、その見た目に反してとても美味しい食材なのです。臭みの無いサメやエイと言えば伝わるでしょうか?。この記事ではそんなカスザメを使った料理を皆さまに味わってもらうべく、釣り上げた後の下処理から捌き方と食べ方、おススメの料理や味の感想をまとめました。見事にカスザメを釣り上げた際にはこの記事を参考に、ふわふわぷりぷり食感で旨味抜群のカスザメを是非味わってください。

カスザメの料理は美味しいのか調査!捌き方や食べ方と味は?のイメージ

目次

  1. 1カスザメが美味しいという噂を大調査
  2. 2カスザメの捌き方
  3. 3カスザメの食べ方と料理レシピ
  4. 4カスザメは味の美味しい魚

カスザメが美味しいという噂を大調査

カスザメってこんな魚

カスザメはカスザメ目カスザメ科に属するサメの仲間。北太平洋の比較的寒冷な海に住み、本州東岸から台湾沖までの海域で見られます。水深300m以浅の比較的浅い海の海底を好み、しばしば砂に潜り、底生生物を主食にする夜行性の待ち伏せ型ハンターです。魚類ですが胎生で、卵を産むことなく、母サメがそのまま子サメを出産して増えていきます。

カスザメは漢字で糟鮫と書き、その由来には諸説ありますが、関東で価値のないカス(粕、糟)のようなサメとして扱われたことに由来します。関東をはじめとして多くの地域で雑魚として廃棄される残念な名前のカスザメですが、その英名は全く印象が違う美しい響きで、その名もなんと『Japanese angelshark(ジャパニーズ エンジェルシャーク)』、天使の鮫と呼ばれているのでした。

エンジェルシャークと呼ばれる所以ですが、サメとも言い難い、エイでもないその姿を見てもいまいちピンときません。どうやらカスザメをひっくり返してみた姿が宙を舞う天使の姿に似ていることらしいのですが、皆さんにはどのように見えますか?天使に見えますか?只の雑魚でしょうか?もし実物を見る機会がありましたらよく観察してみてください。

そんな天使の名前の冠するサメは、日本で古くから利用されてきました。先ほど関東では雑魚扱いで糟呼ばわりされていたそうですが、西日本それも主に九州地方では様々な食べ方で食用されてきた歴史があり、現在でもスーパーの鮮魚コーナーで見かけることがあるほど広まっています。また食用以外にもその大変丈夫な鮫皮が珍重され、さめやすりやおろし金、刀剣の鞘などとしても利用されて来ました。

そんなカスザメは現在、IUCN(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources、国際自然保護連合)により保全状況が危急種として指定され保護の必要性が叫ばれています。捕獲されやすく繁殖力が弱い為、中国近海等での底引き網漁や水質汚染により同種の生態系に深刻な影響を与えていて、生体数は50%程に低下しているという報告もあります。

カスザメは食べられる

カスザメは雑魚らしく練り製品の原料としても扱われますが、カスザメそのものを味わう料理としては湯引きや洗いなどの食べ方があります。尾の部分の肉を熱湯で茹で皮を剥ぎ辛子の効いた酢味噌で味わう湯引き、鯉の洗いなどと同様に薄く切った身を流水で洗い梅肉酢などで味わう食べ方のカスザメの洗い、その他には他の鮫料理と同様に煮こごりや唐揚げ、煮つけなどの食べ方でも楽しまれています。

近年では、カスザメの食文化の無かった関東でも海の厄介者を味わい食資源を大切にしていこうという機運が高まりつつあり、神奈川県の茅ヶ崎では商工会議所主催で茅ヶ崎漁港に上がったカスザメの料理が地元の飲食店で振る舞われたり、同じく神奈川県藤沢市にあるこれまで廃棄されてきたカスザメを高級魚として振る舞う飲食店にはテレビの取材が行われたりもしました。

カスザメの捌き方

カスザメは釣れたときの下処理が大事

カスザメはまだまだ市場に流通することがまれな為、一般の方が手に入れるとすれば海釣りで狙った魚以外に釣り上げしまうケースがほとんどでしょう。カスザメの事を知ったあなたが釣り上げたカスザメを美味しく味わいたいのであれば、食べ方だけでなく釣れた時の下処理と捌き方がとても大切になります。

サメは体液の浸透圧調整に尿素を用いていることから、その身体には尿素が蓄積されています。サメの死後、鮮度が落ち始めるとアンモニアを生じてしまい、その肉からも刺激臭を発生させる為に一般の魚のような料理には向きません。カスザメもこの例に漏れない為に、もしカスザメを美味しく味わいたいのであれば、釣り上げた直後に適切な捌き方で処理をして鮮度を落とすことなく持ち帰ることが大事になるのです。

下処理の手順ですが、大きな流れは釣り上げた直後に〆て、血抜きし、内臓を取り除くことになります。釣り場でこれらの処理をするにはナイフ(もしくは包丁などの刃物)が必要ですが、カスザメを釣り上げるような釣り人であれば最低限のタックルと合わせてそのような装備も持っていることでしょう。もちろんクーラーボックスなども大切です。

まずはカスザメの〆方ですが、頭と胴体の間、人間で言う首の部分に刃を入れ背骨を断ち切るようにします。その状態で海水で満たしたクーラーボックスの中や潮溜まり、逃げない様に準備をした上で海に付けるなどして血抜きを行いましょう。生きている状態で切り口を入れておけば、心臓が動くたびにどんどん血が抜けていきます。

血が出てこなくなった後は、内臓を抜き取る作業に掛かります。血抜きしたカスザメを裏返して、腹にナイフを入れましょう。捌き方はお腹の皮を引っ張るようにしてから肛門にナイフを入れて喉元にかけて切り進めれば簡単です。肛門に繋がる腸と口から繋がる食道を断てば内臓は全て取り除くことが出来ます。内蔵を綺麗に取り除けたら血抜きの時と同様に海水で良く洗います。

大きめのクーラーボックスや発泡スチロールなどがあれば、この状態で持ち帰ることもできます。もし持ち帰り用の大きなクーラーボックスが無ければ、カスザメを部位ごとに切り分けて持ち帰りましょう。頭と胴体、ヒレ、尻尾を切り分ければ小さな入れ物でも十分持ち帰ることが出来ますよ。下処理の仕方を覚えて、上手な捌き方で内臓を取り除けばより美味しく味わえることでしょう。

カスザメは初心者には捌きにくい魚

カスザメは初心者には捌きにくい魚と言われますがその理由は大きく2つあります。1つめは鮫肌であること、サメの仲間であるカスザメの皮は非常に硬くおろし金等に使われるほどです。背中の硬い皮の方から切り入れると包丁の刃がこぼれてしまうこともザラにあります。良く研いだ包丁使い、場合によってはキッチンばさみなども併用しながら捌き方を工夫しつつ進めていきましょう。

2つめですが、カスザメは身体の形が扁平でなおかつパーツ(部位)が多いことが挙げられます。通常の魚であれば身体を横に倒して包丁を入れて行きヒレも取り外す必要がありません。しかしながらカスザメの場合にはそういったことが難しく、身体をひっくり返しながら腹側と背中から部位を切り分ける必要があり、ヒレについても可食部として切り分けてあげる必要があります。

背中側の表皮は大変硬いですが、身体の大きさの割にその骨にはそこまでの硬さが無く苦労させられることは少ないでしょう。軟骨漁網であるサメは骨に軟骨成分が多い事が理由でしょう。腹側から切り入れ、骨を断ち切り、最後に残った皮を切るような捌き方にすれば部位に分けられると思います。皮が切りにくい場合にはキッチンばさみなども使って捌き方も工夫しうまく断ち切るようにしましょう。

カスザメを捌くときにはお腹から開くのが大事

上で説明した様なポイントを意識すれば、初心者には多少難しい所があるかもしれませんが、魚を捌き慣れた方であれば充分捌き切れると思います。やはり一番の問題になるのは鮫肌と言われる皮の硬さです。釣り場での下処理をどこまで行うか、自宅に持って帰ってからどのような状態から捌き始めるか、どれだけ道具が整っているかによっても捌き方や食べ方は変わってきます。

鮫肌の硬さとぬめりの為に、背中側からは包丁が入れづらく、苦労している内に刃こぼれをして切れ味が落ちてしまったり、無理やり切り進めようとすれば怪我に繋がってしまうこともあります。お腹側から切り開き、軟骨を上手く断ち切って最後に皮を切る様にするのがおススメの捌き方です。焦らずじっくりカスザメを捌いていきましょう!

カスザメの食べ方と料理レシピ

カスザメは味の良い美味しい魚

関東では糟の名前のとおり雑魚扱いで廃棄されてきたカスザメですが、九州(長崎県など)では様々な食べ方でカスザメが美味しく食べられています。むしろ、美味しいどころかインターネット上には「サメの仲間で一番美味しい!」や「知る人ぞ知る美味しい魚!」との声もあるほどで、普通の魚以上の旨味を秘めた魚なのです。そんなカスザメを美味しい食べ方で味わいましょう。

旨味があり、弾力のある食感のカスザメの身は濃厚な味わいが評価されています。湯引きや洗いといった食べ方では酢味噌や梅酢などのタレと合わせて食感を楽しめますし、揚げ物や煮つけなどの食べ方であれば濃厚な味付けにして身の食感もさらに引き立たせることも出来るでしょう。ヒレの部分は繊維質の身が解けるような食感でまさにエイヒレのような味わいが楽しめます。

サメの中では元々臭みも少ない種類であるカスザメですが、釣り上げた直後の下処理が丁寧に行われていれば、サメ特有のアンモニア臭さを感じることはほとんどありません。臭みの無いサメやエイを味わえるとすれば美味しくない訳がありません。ここではいくつかのおススメの料理を紹介していきます。

カスザメのテリーヌ

テリーヌと言えば、肉と野菜をパテにして固めた料理や魚と野菜をゼラチンで固めたような料理を想像される方も多いと思います。テリーヌはもともと、フランス料理で使う、テラコッタ製の土鍋や壺・鉢・深皿を指す言葉なので、これらを使った料理もテリーヌと呼ばれます。正式には容器のまま出される料理がテリーヌと言われ、型から取り出した供される食べ方は単なるパテという事です。

テリーヌはパイと同様、フランスを中心とした中世ヨーロッパで料理の保存技術と食べ方が発展してきました。伝統的なテリーヌのレシピは、具材と敷き詰める脂の比率が2:1程度で、大量のゼラチンと脂が具材の変質を防ぎ調理後1週間程度は食べられるものとなりました。挽肉やすり潰したレバー、魚のすり身、切った野菜や香辛料を容器に詰めてオーブンや湯煎で加熱して調理されます。

そんなテリーヌには、肉厚で旨味の強い身、ゼラチン質をたっぷりと備えたヒレを持つカスザメはピッタリだと言えます。自宅に持ち帰り、捌いた後のカスザメの好みの部位と好きな野菜、スパイスなどを加えて自宅でテリーヌを作ってみましょう。日本人にとっては野菜入りのサメ肉煮こごりと言った方がイメージが伝わりやすいかもしれませんね。

具体的なテリーヌの作り方ですが、まずはカスザメの好みの部位を一口大かそれよりも小さめに切り分けていきましょう。食感の違いを味わいたいのであれば、様々な部位を使ってあげた方が良いでしょう。腹の柔らかい身や、尻尾の弾力が強めの身、ほぐれやすい食感のヒレや肝もおススメです。合わせて季節の野菜なども小さく切り分けましょう。

それらをお好みの味付けで水気を少なくして軽く煮込んでいきます。通常はコンソメなどで煮込むのが一般的ですが、和風の味付けにしたいのであれば、醤油などを利かせて魚の煮つけの様な味付けも美味しく仕上がりますよ。煮あがったらそれらに卵白や生クリームを入れてフードプロセッサーに掛けましょう。軽めにすれば食感良く、長めにかければクリーミーに仕上がります。

混ぜ合わせたものを、薄くバターを引いたテリーヌ型に流し入れて行きます、それが無ければ深めの小皿やパウンドケーキの型でも代用可能です。それを180℃に熱したオーブンで30分ほど加熱して、その後常温に冷やした後、冷蔵庫で良く冷やして、型から取り出したテリーヌを盛り付ければ完成です。お好みのスパイスやソースをかけてお好みの食べ方で味わいましょう!

カスザメの肝の塩茹で

カスザメはその肝も大変大きくなおかつ、あん肝やフォアグラの様な濃厚さがありとても美味しいことでも有名です。肝を食べる場合には、釣り上げた後の下処理で内臓を取り除く際に、肝(肝臓)を残しておくようにしましょう。取り分けた肝臓を調理する前に、緑色の胆嚢を丁寧に取り外します。潰すと大変苦いので、自信がない場合には、肝を大きめに取り外す様にするのが安全です。

肝の塩茹でを作るには、取り分けた肝臓を塩茹でにします。新鮮であればもともと生でも食べられるものなので、湯通しするくらいの感覚でさっと火を入れるのがちょうど良いでしょう。茹で上げた肝は少し冷ましてから一口大にスライスしていきます。うす塩で茹で上げて、ポン酢や醤油などをかけて食べると濃厚な味わいを楽しめますよ!

カスザメの唐揚げ

カスザメは唐揚げもおススメです。サメやエイはもともとゼラチン質が多く、サメ肉の唐揚げをポピュラーな食べ方の一つですが、カスザメもその例に漏れずとても美味しい唐揚げを作ることが出来ます。しかも、多くのサメやエイと違って臭みが無いのですからより美味しく味わえるのは間違いありません。

唐揚げを作るには捌いて部位別にばらした後のカスザメの好みの部位を一口大に切っていきます。柔らかい腹の身、弾力の強い尻尾の身、独特の食感を味わえるヒレもおススメですよ。切り分けたら水気をよく切って、片栗粉か市販の唐揚げ粉に付けて油で揚げれば完成です。特製のタレや塩、レモンをなど好きな食べ方で楽しめますよ。部位によって違いますが、鶏肉と違った身のふわふわ感と皮のぷるぷる感が最高です!

カスザメは味の美味しい魚

エンジェルシャークという天使の別名を持つカスザメは、丁寧に下処理してあげればそれこそ天にも昇るような味を味わえるかもしれません。旨味が多く、食感もいいサメやエイから臭みを取ったと思えば、その味わいに間違いはないでしょう。中々お目に掛かれませんが、釣り上げることが出来れば、下処理から捌くところまでがんばって、美味しいカスザメを味わってみましょう!

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