ギンポという魚の食べ方/さばき方は?天ぷら料理が美味しい高級魚!

ギンポを知っていますか?江戸前天ぷらを知っていますか?江戸前天ぷらは、江戸時代から続く伝統的な手法を用いた江戸料理の一つです。そしてギンポは、江戸前天ぷらでは三大種と呼ばれるほど重要な魚で、高級料亭や屋形船などで食べられる高級食材に数えられる魚です。そんな魚が手に入ったら、食べてみたくありませんか?今回は、ギンポの食べ方からさばき方まで、家庭での楽しみ方を紹介します。

ギンポという魚の食べ方/さばき方は?天ぷら料理が美味しい高級魚!のイメージ

目次

  1. 1ギンポってどんな魚?
  2. 2ギンポのさばき方
  3. 3ギンポの美味しい食べ方
  4. 4ギンポのさばき方をマスターして美味しい天ぷらを食べよう!

ギンポってどんな魚?

ギンポの味は?

ギンポという名前を聞いた事はありますか?ギンポとは、スズキ目に属する海水魚の名前です。別名ウミドジョウ、カミソリ、テッキリ、ナギナタなどと呼ばれています。一見ドジョウのような見た目ですが、海に住んでいます。頭から尾鰭の手前まで続く背鰭の条は大変鋭く、扱いに注意しないと手を傷付けてしまう程に鋭利です。

 

カミソリやナギナタと言った、物騒な響きの別名を持つ魚ですが、刺身としての食べ方よりも、火を通す食べ方の方が適している魚で、たいそう美味な白身の魚です。刺身の食べ方が向いていない魚というのも珍しいかもしれませんが、実際にギンポの刺身を出しているお店は少ないはずです。天ぷらとしての食べ方が一番好まれています。

 

ギンポという名前の由来は、江戸時代に使われていた「銀宝(丁銀)」という銀貨幣から来ています。ギンポの姿形の見た目が、その銀貨の形に似ていることから、ギンポと呼ばれるようになったそうです。

 

主に北海道南部から高知県、長崎県にかけて浅瀬や浅海に生息している、体長20〜30cm程の細長い体が特徴の魚です。高級料亭で天ぷらとして出される事が多く、おろしたての身は白く美しく、火を通しても固くならないふわっとした食感が特徴です。

 

日本の中でも、浜名湖で他の魚に混じって獲れる事が多いようです。ギンポが浜名湖で獲れると言うことは、浜名湖の生態系が豊かに保たれている事のバロメーターにもなっています。

 

日本全国に生息するギンポですが、やはり生息場所によって体の形から色まで様々な種類のギンポが存在しているようです。ギンポは数ある魚の中でも珍しく、オスが卵を守る習性があります。産卵期の秋から冬になると、卵の塊に体を巻き付けて守る、オスの姿が見られます。卵が孵化するまで守り続けるそうです。

 

おろしたギンポの非常に上品で質の良い舌触りの白身は、素材そのものの濃厚な味わいを演出してくれます。白身魚は淡白なイメージが強いですが、淡白ながらも魚特有の甘味のあるギンポは、正に高級魚として扱われる魚として相応しい食材と言えるでしょう。

 

主に食べられている地域は関東で、江戸前天ぷらの一高級食材として有名です。関西の方にはあまり馴染みのない魚かもしれません。関西でギンポを扱っているお店を見かけたら、一度試しに入ってみてはいかがでしょう。ギンポのあまりの美味しさに、驚かれる事でしょう。

 

ギンポは高級魚?値段は?

見た目は美しいとは言えないギンポですが、実はあまり流通していない魚です。スーパーや一般の魚市場では、まずお目にかかれないでしょう。何故なら、ギンポの水揚げ量は以前に比べると減ってきており、現在では1キロ1500円はかかると言われている程、高級魚として有名です。

 

生息域が広いために高級魚のイメージが湧きづらい魚ですが、春先の暖かくなってきた頃から初夏にかけて入荷されるギンポは、鮮度が落ちやすい魚です。一番美味しいとされる旬の時期は初夏の約1ヶ月程で、その時期を逃すと次の年まで手に入れる事は難しいでしょう。

 

ギンポのさばき方

ギンポの締め方

どんな魚も、釣った後には締めなければなりません。締めとは、釣った魚の鮮度を保つために施す処理方法です。ただクーラーボックスに入れるだけでは、魚にストレスを与えてしまい、結果的に鮮度と旨味の両方が損なわれてしまいます。魚のサイズに合わせた締め方があり、ギンポの場合、小魚の締め方を施します。

 

小型の魚に向いている締め方は、クーラーボックスに氷を敷き詰めた中に魚を入れて仮死状態にする、氷締めが最も有効的です。持参した大量の氷の上から海水を入れ、簡易氷水を作ってその中にギンポのような小型魚を入れていきます。氷水の氷の下に魚を入れるようにしましょう。

 

クーラーボックスが用意できなかった場合には、ビニール袋にギンポと一緒に海水を入れて持ち帰ります。釣った後2〜3時間程度なら、まだ鮮度が保たれています。しかし、ビニール袋の中で暴れるなどのストレスを与えてしまうと、鮮度が著しく落ちてしまいますので、出来る限り早く持ち帰りましょう。

 

家に着いたら、敷き詰めた氷の上にギンポを乗せ、数十分待ちましょう。まな板に乗せてまだ暴れるようでしたら、再び氷の上に戻しもうしばらく待ちます。氷に乗せて時間をかけて凍死させる事で、旨味成分の分解、身の劣化、腐敗抑制の効果が得られます。釣りの後は、とにかく素早く行動しましょう。

 

ギンポの3枚おろしのさばき方

ギンポは家でさばく事が出来るので、この機会にさばき方を紹介します。ギンポは3枚おろしのさばき方でおろせます。鰻や穴子のさばき方と同じです。さばく前に、まずは皮のぬめりを取りましょう。多めの塩を皮に揉みこむ事で、大半のぬめりは落とせます。念入りに塩を揉み込みましょう。その後、目打ちでまな板にギンポを固定するか、頭を落としてしまいましょう。

 

目打ちでギンポをまな板に固定する場合、必ず頭が右側、腹が向こう側になるように配置して下さい。左利きの方がさばく場合は、頭が左側になるようにしましょう。エラの左側、胸鰭の左側の際に包丁の先を差し込みます。刃の先が背骨に当たったら、刃を出来るだけ背骨に当てたまま、左に引いて身を切っていきます。

 

半分ほど切れたら、一度包丁を腹まで貫いてしまいましょう。そして、再度手前に戻し、今度は腹の皮だけを残すように意識しながら、残りを尾鰭手前まで切っていきます。切り終わった半身をギンポ本体の奥側になるように開くと、腹わたが出てきます。それは、切り落としてしまいましょう。

 

本体をひっくり返して、また先ほどと同じように、今度は反対側の目に目打ちをします。この時、背鰭が向こう側になります。すでに切り終えた半身と同じ要領で、今度は反対側の半身を切っていきます。この時、胸鰭の左側の際から刃先を入れて切ると、綺麗におろせます。

 

天ぷらにするなら、ここまでのさばき方で十分なのですが、もっと質の高い天ぷらに仕上げたいなら、皮も剥いでしまいましょう。皮を剥ぐには、まず先ほどまでの行程で繋がったままになっている腹の皮を切り離します。尾鰭が左になるように身を配置して、左手で尾鰭を持って押さえます。尾鰭から3〜5mmくらいの位置に包丁を入れ、包丁本体を寝かせるようにします。

 

皮から身を剥がす要領で左から右に向かって包丁を動かします。この時、しっかりと左手の指で尾鰭を押さえておかないと、皮が綺麗に剥がせないので注意しましょう。このさばき方をマスター出来たら、鰻や穴子も同様にさばく事が出来ますので、是非この機会に覚えて下さい。

 

ギンポの美味しい食べ方

ギンポは刺身に不向き

実はギンポは、刺身など生食には大変不向きな魚です。ギンポの身は、硬く弾力があり、舌触りもあまり良いとは言えません。少しでも鮮度が落ちてしまうと、体が白く変色し、身がどんどん硬くなっていってしまいます。鮮度が大変落ちやすい魚なので、残念ながら刺身向きではないのです。

 

相当ギンポの扱いに慣れた料理人のいるお店なら、ギンポの刺身を提供している所もあります。しかし、数が少ない上に高級魚である故か、天ぷらよりも倍以上の値段になっている事が多いです。ギンポを心ゆくまで楽しむなら、やはりおすすめの食べ方は刺身よりも断然天ぷらになります。

 

ギンポを食べるなら天ぷらで!

ギンポが天ぷらに最適と言われるのは、やはりその味わいにあります。舌触りは、高級魚として名高いフグに引けを取らない程と言われており、あまり手を加えずとも味わえる自然な甘みやコクは、ギンポならではと言えるでしょう。ただし、刺身には向いていないので、あくまでも火を加えた味わいに限ります。

 

江戸時代から、「銀宝を食べずして天ぷらを語るなかれ」「江戸っ子たるもの、借金してでも春は銀宝を喰え」と言わしめるほど美味な魚として知られ、最高の食べ方はやはり天ぷらだったそうです。刺身としての食べ方もしていなかった訳ではないようですが、やはり天ぷらとしての食べ方の方が人気だったようです。

天ぷらには関東風と関西風と2種類があります。卵を入れた衣をキツネ色になるまで胡麻油で揚げる関東風と、卵を入れない白い衣をサラダ油で揚げる関西風に分かれ、それぞれに特徴的な個性があります。

 

関東では、江戸前で獲れた魚を天ぷらにしていたので、魚の臭みを消すために胡麻油で揚げていたと言われています。一方関西では、野菜を中心に天ぷらにしていたため、自然の味を活かすために天つゆには付けずに塩のみで素材の味を楽しんでいたようです。

 

天ぷら自体は、元々日本にあった料理ではありません。一説によると、ポルトガルから伝わった食べ方のようで、魚に小麦粉を着けて揚げる料理があったそうです。「テンポラ」と呼ばれていたその食べ方が、日本に伝わった際に「天ぷら」と形を変えて広まったそうです。根拠に乏しい情報のため、はっきりした事はまだわかっていないそうです。

 

ギンポは、火を通すと味わい深くなる魚です。天ぷら以外にも楽しみ方は様々です。パン粉を着けてフライにしたり、煮汁と煮込んで煮魚にしたり、蒲焼きにしても美味しいそうです。また、中骨を揚げるとギンポの骨せんべいが食べられます。硬いけれどもしっかりと揚げられた骨せんべいは、格別の味わいを生んでくれます。

 

ギンポは関東で主に食べられていたようで、さばき方は鰻や穴子のような細長い魚と同じやり方です。また、400年前には、油は灯油用に使われていた大変高価なものと認識されていました。故に、油を贅沢に使って揚げる天ぷらも高級品という位置付けになっていたようです。江戸時代初期に生産量が増えた事で、庶民の間に広まっていきました。

 

先ほどのさばき方を見たように、ギンポは体が薄いために、さばくのが大変な魚と言えます。そのため、扱っているお店が段々と少なくなっています。ギンポの天ぷらをどうしても食べたい時は、ギンポを扱っているお店を見かけたら迷わず入るか、日本中の浅瀬で比較的釣りやすい魚なので、自分で釣ってさばいて調理しましょう。

 

ギンポをさばく事が出来たなら、家で出来る、ギンポの天ぷらの上手な揚げ方を紹介します。天ぷらで気を付けなければいけない事は、主に衣の作り方と油の温度の2点に絞られます。今回は、ギンポが江戸前天ぷらの高級魚として知られているという事で、関東風の天ぷらの上手な揚げ方を紹介します。

 

衣に使う小麦粉は、電子レンジで約3分程加熱しておきます。こうする事で、カラッとした天ぷらを揚げられます。衣液を作る際に使用する水と卵は、冷えたものを使いましょう。冷えていないドロッとした衣液ではなく、冷えたサラッとした衣液を使いましょう。

 

天ぷらに使う具材には、予め小麦粉を塗しておきます。こちらの小麦粉は、衣液に使う分とはまた別のものになります。具材の水分を逃さず、衣が均等に付けられる上に、旨味成分が逃げ出さないので、素材そのものの味を楽しむ事が出来ます。

 

卵液と小麦粉は1対1の割合で混ぜ合わせます。その際、卵液は3回に分けて加えて下さい。分けて加えると、小麦粉の玉が出来にくいです。深めのフライパン、もしくは揚げ物用の鍋にサラダ油もしくは胡麻油を多めに入れましょう。多めの油で揚げると、食材に均等に火が通ります。

 

油の温度を魚介類に最適な180度にしましょう。180度の目安は、衣を油の中に落とし、浮き上がって来たら大体180度です。揚げていく際には、冷たい衣に食材を着けて揚げるので、少しずつ揚げていかないと油の温度が下がってしまいます。温度が下がり過ぎないように注意しながら揚げていきましょう。

 

揚がったら油をよく切って出来上がりです。油を切る際には、キッチンペーパーが食材に直接つかないように、バットの下に敷きましょう。キッチンペーパーの上に直接置いてしまうと、食材とキッチンペーパーの触れ合った部分が蒸れてしまい、サクサク感が損なわれてしまいます。

 

一般人にも獲れ易い高級魚と聞くと矛盾して聞こえるかもしれませんが、ギンポが高級魚として扱われるのは、さばき方と扱いの難しさにあります。鰻や穴子よりもサイズが小さいため、さばくのにも苦労します。いくらさばき方が分かっていても、細長く扱い難ければ敬遠されてしまうでしょう。

 

更には、調理の仕方も限られてくるとなれば、扱う人は限られてきてしまいます。刺身には向かず、油を大量に使う天ぷらに最適な高級魚のギンポ。一見すると、魅力的に聞こえるかもしれませんが、労力を考えるとやはり一般人が扱うには不向きな高級魚のようです。

 

釣り人が言うには、自分の釣った魚をさばいて頂くことは、最高に贅沢なひと時と言えるようです。初心者の方でも、ギンポは比較的釣り易い獲物のようですので、ギンポが釣れた際には、是非今回紹介したさばき方、天ぷらの揚げ方を参考に作ってみて下さい。

 

ギンポのさばき方をマスターして美味しい天ぷらを食べよう!

刺身には不向きな高級魚ギンポ。天ぷらには最適な食材なので、興味がある方は是非自分でギンポを釣って、油で揚げて楽しみましょう。お店で出されるギンポの天ぷらはもちろん美味しいのですが、自分で釣って揚げる天ぷらの味わいは忘れ難いものになるでしょう。是非、今回紹介したさばき方から揚げ方まで実践してみて下さい。

 

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