アニサキスの見つけ方は?食中毒になると現れる症状や予防方法も解説

アニサキスの見つけ方はご存じでしょうか。本記事では、アニサキス食中毒の症状や予防方法、アニサキス食中毒の原因となるアニサキスの見つけ方を詳しく解説しています。魚料理を美味しく安全に楽しみたいという人は、ぜひこの記事を参考にしてください。

アニサキスの見つけ方は?食中毒になると現れる症状や予防方法も解説のイメージ

目次

  1. 1アニサキスとは?どんな症状を引き起こす?
  2. 2アニサキスがよく潜む魚や見つけ方
  3. 3アニサキスによる食中毒の予防方法
  4. 4根拠のない予防方法は信用しない!
  5. 5アニサキスの見つけ方を知って安全に魚を食べよう!

「アニサキス食中毒って激痛でのたうち回るって本当?」
「アニサキスの見つけ方を知りたい」
「魚料理を安全に食べるにはどうすればいい?」
アニサキスによる食中毒が全国で相次いで発生しており、このような疑問や不安を抱く人は少なくありません。


本記事では、アニサキスの生態やアニサキス食中毒の症状を始め、アニサキスがよく潜む魚の種類と見つけ方、アニサキス食中毒の予防方法を解説しています。


この記事を読むことで、アニサキス食中毒の原因となるアニサキスがよく潜む魚の種類と見つけ方、アニサキス食中毒の予防方法を正しく理解できます。できる限り予防することで、これからも魚料理を美味しく安全に食べることができるでしょう。


アニサキス食中毒にならないために、ぜひこの記事を参考にしてアニサキスの見つけ方や予防方法をマスターしてください。

アニサキスとは?どんな症状を引き起こす?

アニサキスによる食中毒について、近年ニュースなどでもよく取り上げられるようになっています。


日本では、刺身や寿司など魚介類を生で食べる習慣があるため、諸外国と比較するとアニサキスによる食中毒が多く、年間約500~1,000例の発生があるとされています。


出典:アニサキスによる食中毒|東京都福祉保健局
参照:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/index.html

アニサキスの生態

アニサキスは寄生虫の1種です。アニサキスの幼虫は、長さ約2~3cm、幅約0.5~1mmくらいで、少し太い白色の糸のような見た目です。


アニサキスの成虫はイルカやクジラなどの胃の中に寄生していますが、それらの排泄物とともにアニサキスの卵も海に排出されます。卵から孵化したアニサキスはやがてオキアミというプランクトンに捕食され、それを食することで他の魚介類に寄生します。


私たちが食べている魚介類に寄生しているアニサキスは幼虫です。アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡してから時間が経過すると、内臓から筋肉に移動することが知られています。


出典:アニサキスによる食中毒|東京都福祉保健局
参照:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/index.html


出典:アニサキスによる食中毒を予防しましょう|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

アニサキスによる食中毒で発症する症状

アニサキスによる食中毒は、胃アニサキス症と腸アニサキス症の2種類です。


胃アニサキス症は、アニサキスが口から体内に入って、胃の壁に突き刺さることで発症します。食後、数時間~10数時間で、吐き気・嘔吐・みぞおちの激しい腹痛を起こします。


そして、口から体内に入ったアニサキスが腸壁に食いつくと発症するのが腸アニサキス症です。食後、10数時間~数日後で、激しい下腹部痛・嘔吐・吐き気・発熱などが現れます。


また、胃や腸の中にアニサキスがいても無症状という人もいるため、同じ食事をしていた全ての人が必ず症状が出るとは限りません。


出典:アニサキスはどういう症状なの?アニサキスは冷凍すると問題ないの?|にしやま消化器内科
参照:https://www.nishiyama-naika.com/anisakis/


出典:海の幸を安全に楽しむために ~アニサキス症の予防~|農林水産省
参照:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html

自然治癒はする?病院に行くべき?

アニサキスは人間の体内に入ってから1週間で死滅するため自然治癒も可能ですが、激しい痛みを伴うことがほとんどです


アニサキス食中毒に対する有効な治療薬はありません。


内視鏡などで胃や腸に寄生しているアニサキスを除去することで、痛みなどの症状が速やかに消失します。また、腸アニサキス症は稀なケースでありますが、腸穿孔や腸閉塞に発展する場合もあり、そのような場合は入院治療が必要です。


また、アニサキスによるアレルギーもあり、アレルギーの中でも重篤とされるアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。


生の魚介類を食べた後、体調に異変を感じた場合は自己判断せず医療機関を受診するようにしましょう。


出典:アニサキスはどういう症状なの?アニサキスは冷凍すると問題ないの?|にしやま消化器内科
参照:https://www.nishiyama-naika.com/anisakis/


出典:内視鏡医師の知識シリーズ - 福岡の苦しくない内視鏡専門医療機関|福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院
参照:https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/knowledge/post-15346/

アニサキスがよく潜む魚や見つけ方

アニサキスは私たちが普段よく口にする多くの魚介類に寄生しており、刺身や寿司など生食する場合、完全に防ぐのは難しいといえます。しかし、魚介類を食べる前にアニサキス食中毒の原因となるアニサキスを取り除くことができれば、アニサキス食中毒になるのを防げます。


それでは、魚介類に潜んでいるアニサキスの見つけ方がよくわからないという疑問を抱く人もいるでしょう。


ここでは数多くある魚介類の中でもアニサキスがよく潜んでいる魚の種類や、アニサキスの見つけ方のポイントを詳しく解説します。魚介類を生もしくは生に近い状態で食べる場合は、ぜひ参考にしてください。

アニサキスはどんな魚に潜んでいる?

アニサキスは多くの魚介類に寄生していますが、その中でもアニサキスがよく潜んでいるとされる主な魚の種類は以下の通りです。


・サーモン
・カツオ
・サバ
・アジ
・イカ


まずアニサキスは小さいカニやエビなどの甲殻類に寄生します。それらを小型の魚介類が捕食し、さらに中型の魚介類が小型の魚介類を捕食します。この中型の魚介類というのが、上記で挙げたカツオ・サバ・サーモン・アジといった人間が食べる魚介類のことです。


刺身や寿司など生食する機会も多い魚介類のため、アニサキス食中毒の原因になることが多くあります。


また、アニサキスが寄生した生餌を与えている場合などを除き、養殖の魚介類にはアニサキスの寄生がほとんど確認されていません。


出典: アニサキスによる食中毒|東京都福祉保健局
参照:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/index.html

アニサキスがよく見つかる部位は?

アニサキスの見つけ方ですが、一般的に魚介類の筋肉より内臓部分に寄生しています。


海で釣りあげられるなどして魚介類が死亡し鮮度が落ちていくと、内臓部分にいたアニサキスが筋肉部分に移動することが知られています。そのため、魚介類が新鮮なうちにできるだけ早く内臓を除去することが大切です。


また、アニサキス幼虫の寄生状況をカツオの部位ごとに調べたところ、背中側の筋肉部分は比較的少なく、腹側の筋肉の方にアニサキス幼虫が多く寄生しているという結果が得られています。


アニサキスの見つけ方で大切なのは、魚介類の腹側を生食する場合は特に気を付けて確認することです。


出典:アニサキス食中毒に気をつけましょう!|尼崎市保健所 生活衛生課
参照:https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/022/009/anisakis.pdf

アニサキスは目視で確認できる

アニサキスの見つけ方の基本は目視で確認することです。


先述しましたが、アニサキスの大きさは長さ約2~3cm・幅約0.5~1㎝で、白くて少し太い糸のような形状をしています。白っぽい色をしているアニサキスは白身魚などでは見えにくいですが、寄生虫の中でも比較的大きいため、十分目視で確認できるサイズです。


ミミズのような糸状になっているときと、丸く渦巻き状になっているときがあります。また、1匹だけでなく複数匹いることもあるため注意しましょう。


加熱した魚介類は問題ありませんが、生の魚介類を調理する際や食べる際は断面や表面をよく確認しておくのがポイントです。


出典:アニサキスによる食中毒を予防しましょう|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

ブラックライトで光る場合もある

アニサキスは比較的大きい寄生虫のため、目視でも確認できるとお話ししましたが、奥の方に入り込んでしまっている場合は目視で見つけられない場合があります。


アニサキスの見つけ方で有効とされているのが、ブラックライトと呼ばれる照明器具を使用することです。ブラックライトとは、紫外線を放射するライトのことで、白色の物質を際立たせるという特徴があり、通販などでも容易に手に入れられます。


ブラックライトを魚介類にあて、ブラックライトが発する紫外線蛍光によってアニサキスを光らせるという見つけ方です。しかし、アニサキスと同じような白っぽい色の白身魚やイカなどは、ブラックライトでも判別しにくく注意が必要です。

アニサキスによる食中毒の予防方法

ここまで、アニサキスがよく潜んでいる魚の種類や、アニサキスの見つけ方について解説しました。


私たち日本人は、刺身や寿司など魚介類を生で食べる機会が多く、アニサキスが体内に入るとアニサキス食中毒になることがあります。


アニサキス食中毒は今のところ死亡例の報告はされていませんが、激しい腹痛や吐き気・嘔吐などの症状が出る可能性があるため、できる限りの予防をしておきたいところです。


必要以上に怖がることなく、美味しい魚料理を安全に楽しむには、アニサキス食中毒の正しい予防方法を知ることが大切です。以下では、アニサキスによる食中毒の予防方法を紹介します。


出典: 海の幸を安全に楽しむために ~アニサキス症の予防~|農林水産省
参照:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html

刺身や寿司などの生食を避けて加熱調理する

アニサキスによる食中毒が心配であれば、加熱調理された魚介類を食べるようにしましょう。


アニサキスは幅広い種類の魚介類に寄生していますが、特にサバ・サーモン・イカなどには高い確率で潜んでいることもあり、スーパーでも加熱用として販売されている場合が多いです。


アニサキスは熱に弱いため、加熱調理はアニサキス食中毒を予防する有効な手段だといえます。アニサキスは、60度の加熱であれば数秒で、70度の加熱であれば瞬時に死滅するとされています。


たとえアニサキスに寄生されている魚介類だったとしても、しっかり加熱すれば大丈夫です。特に鮮度が落ちている魚介類であれば、刺身や寿司などの生食を避けて、加熱調理をした方が無難でしょう。


出典:アニサキスによる食中毒を予防しましょう|厚生労働省
参照:https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/9534/00000000/anisakisu.pdf

十分に冷凍する

アニサキスは高温だけでなく低温にも弱いため、冷凍も効果的です。


しめサバはアニサキス食中毒が多くされていますが、大手スーパーや百貨店では冷凍保存することによってアニサキス食中毒対策をしています。


例えば、オランダではニシンなどに関して-20度以下で24時間以上の冷凍保存を法律で義務付けているなど、海外でもアニサキス食中毒の予防策として冷凍保存が用いられています。


アニサキスは-20度以下で24時間以上冷凍すると死滅するとされていますが、一般的な家庭用冷蔵庫では-20度に設定できないものもあるため、冷蔵庫の温度設定はしっかり確認するようにしましょう。


出典:アニサキスによる食中毒を予防しましょう|厚生労働省
参照:https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/9534/00000000/anisakisu.pdf

新鮮な状態をキープする

魚介類の鮮度が落ちていくにつれて、内臓に潜んでいたアニサキスが筋肉に移行し、筋肉の奥深くまで潜ってしまう場合があります。


東京都健康安全研究センターが実施した実験結果によると、常温で魚介類を保存していた場合、アニサキスが筋肉へ移行しやすくなることがわかっています。


魚介類を生食するならば可能な限り新鮮なものを選び、すぐに内臓を取り除くことが、アニサキスによる食中毒の発症を防ぐ有効な予防方法です。そして新鮮な状態をキープするために、4度以下の低温で保存するようにしましょう。


また、いくら新鮮な魚介類だったとしても、内臓を生で食べることは避けてください。


出典:アニサキスによる食中毒|東京都福祉保健局
参照:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/index.html

二次汚染にも注意しておく

魚介類の内臓を取り除いた際に、内臓に潜んでいたアニサキスが手や調理器具に付着する可能性があります。アニサキスが付着した手や、まな板・包丁などの調理器具を介して感染することもあるため、二次汚染に注意することが重要です。


内臓を取り除いた後、濡れているまな板の上に内臓を置いたままにすると、食べられる部位にアニサキスが移動する場合があります。内臓を取り除いた後は放置せず、すぐにゴミ箱に捨てることや、手際よく作業することがポイントです。


また、調理器具は魚介類をおろす用と刺身に切り分ける用に分けると、調理器具を介してアニサキスが寄生するのを防ぐ効果があります。

根拠のない予防方法は信用しない!

アニサキスによる食中毒を保健所へ報告することが義務付けられたことや、平成30年にはアニサキスによる食中毒が多く報告されたことにより、アニサキスによる食中毒はより身近な食中毒として認知度が上がっています。


アニサキスの見つけ方や正しい予防方法を把握していれば、必要以上に怖がる必要はありません。しかし、アニサキス食中毒は、巷で噂をされているような根拠のない予防方法があるのも事実です。


私たち日本人にとって、生の魚介類を食べるのは大切な食文化といえます。魚介類を安全に美味しく食べるために、迷信に惑わされることなく、正確な知識を身に付けるようにしましょう。


出典: アニサキス食中毒に関するQ&A|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/05107.html#q13


出典: 食品衛生法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000233

調味料では予防できない

塩や酢、醬油、わさびなどの通常の調理で使用する調味料でアニサキスが死滅するという噂がありますが、これらの調味料によってアニサキスによる食中毒を予防することはできません。


アニサキスによる食中毒の原因として報告か多いのはサバであり、その中でもしめサバが約6割を占めています。しめサバは、古くは江戸時代から海の遠い京都などの関西方面で生産されてきた、塩漬けした後に酢漬けする加工品のことです。


アニサキスは塩や酢で死滅することがなく、調味料では予防できないことがわかります。


生の魚介類を食べる際は、調味料に頼ることなく、-20度以下で24時間以上冷凍することをおすすめします。


出典:海の幸を安全に楽しむために ~アニサキス症の予防~|農林水産省
参照:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html

よく噛めば大丈夫というのは迷信

アニサキスは刺激に弱く、傷が付くとすぐ死滅するため、よく噛めばアニサキス中毒の予防になるといわれていますが迷信です。厚生労働省は、よく噛むということをアニサキス中毒の予防としていません。


アニサキスの表面はなめらかで丈夫、なおかつ細い糸状になっており、噛み切るのは困難です。また、アニサキスは小さく、どこに潜んでいるかわかりません。


もし、噛み切るとなると、どれほどの力で何回嚙まなければいけないのかという具体的なデータもなく、効果は不確実といえるでしょう。


アニサキス中毒の予防対策は厚生労働省推奨の、新鮮・目視・冷凍・加熱が簡単で効果的です。


出典:海の幸を安全に楽しむために ~アニサキス症の予防~:農林水産省
参照:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html


出典:アニサキスによる食中毒を予防しましょう|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

アニサキスの見つけ方を知って安全に魚を食べよう!

私たち日本人は寿司や刺身など魚介類を生で食べる機会も多く、アニサキスによる食中毒は身近な病気といえます。


アニサキスは多くの魚介類に寄生しているため、魚介類を生で食べる際は、アニサキスの見つけ方や予防策をしっかりと理解しておくことが大切です。


しかし、アニサキスは高温や低温に弱く、加熱や冷凍することで死滅するとても弱い寄生虫であり、アニサキスの見つけ方を把握するなど、きちんと対策をしていれば必要以上に怖がることはありません。


これからも魚料理を美味しく安全に楽しむために、できる限りのアニサキス食中毒対策をしていきましょう。


アニサキスの見つけ方や予防方法は、ぜひこの記事を参考にしてください。

Thumbアジにいる寄生虫アニサキスとは?予防方法・安全な処理方法も紹介 | お食事ウェブマガジン「グルメノート」
Thumbさんまの寄生虫には赤・黒・白がある?アニサキスについても調査! | お食事ウェブマガジン「グルメノート」
Thumbブリの寄生虫は害がある?糸状虫とアニサキスの違いや種類を解説! | お食事ウェブマガジン「グルメノート」

関連するまとめ

新着一覧

最近公開されたまとめ