焼き鳥のシロとはどこの部位?栄養やカロリーなど詳しく解説!
居酒屋のメニューとしては定番の焼き鳥ですが、種類がかなり多く、味わいにバリエーションがあるのが楽しいです。中には、名前をみてもどこの肉なのかよくわからないものもあります。そのひとつが「シロ」です。鶏皮に似てはいるけれど、あの独特のプツプツしたデコボコがありません。シロとはいったいどこの肉で、どういう味や食感なのでしょうか?どんな栄養があるのでしょうか?シロのほかにも不思議な名前の焼き鳥がありますので、あわせて紹介します。
焼き鳥の人気部位シロについて紹介!
焼き鳥屋のメニューには様々な肉の名前が載っています。正肉、レバー、モモ、皮、ネギマなど名前を見ただけで内容がわかるようなものもあれば、シロ、ハツ、ちょうちん、ずりなど名前を聞いただけではどんなものだかわからないようなものがあります。その中でもシロやハツは比較的どこの焼き鳥屋にもある定番のもの。独特の食感と旨味をもつシロについて紹介します。
焼き鳥のシロとはどこの部位?
火にかける前のシロは、本当に白くてプニュプニュです。そのシロを焼くと、独特の風味と食感があります。味そのものはタンパクですので、タレにも塩にも辛味噌にも合いますし、塩で焼いたものに七味をかけるのが絶品という人もあります。焼き鳥のシロとはどこの部位の肉なのでしょうか?鳥の体のどの部位にあの独特の感触の白い部分があるのか不思議です。
焼き鳥のシロとは実は豚肉の部位
鳥の皮にも似たシロは、実はブタの大腸です。焼き鳥でいうシロとはホルモンで言う「白モツ」なのです。「焼き鳥なのにブタ?」そう思われるかもしれませんが、実は焼き鳥は絶対に鶏肉を使わなければいけないというわけではありません。世間では鶏と思われている焼き鳥のメニューのなかにもブタが使われているものがいくつもあります。
焼き鳥のシロの味わい
シロは内蔵なので、独特のくさみもありますが、ちゃんと湯通しして処理したものには強い臭みはありません。弾力がありますが、噛み切れないというほどではありません。タレも合いますが、塩で表面がパリッとする火加減で焼くのも美味しいです。噛むとなんともいえない弾力があり、ジューシィで旨味と甘みのある味わいが広がります。
「焼き鳥」と「やきとり」の違い
必ずしも全てに当てはまるわけではないのですが、一般的な概念として、「焼き鳥」は鳥肉(鶏とは限りません)の肉や内臓を串に刺して焼いたもの、「やきとり」は鳥・牛・豚などの肉や臓物を串で刺して焼いたもののことです。今でこそ牛や豚に比べると安価な鳥肉ですが、昭和20年代までは高価な肉でした。
その点、豚などは地方の養豚の盛んな土地では肉がたくさんとれ、鶏肉より安価であった豚を使った「やきとり」が誕生したのだといわれています。日本三大やきとりの街は、北海道室蘭市、埼玉県東松山市、愛媛県今治市だそうですが、そのうち室蘭と東松山は「やきとり」です。室蘭のネギマは豚肉の間に玉ねぎを刺します。東松山では豚のカシラ(こめかみ)肉ににんにく入りの辛味噌をつけて食べます。
「やきとん」とは何?
やきとんとは、豚の肉や臓物を串焼きにしたものですが、この言葉は関東だけで使われます。やきとりに豚肉がよく使われる北海道南部や九州でも「やきとん」とは呼びません。もともとは戦後の闇市で、豚の内臓肉を串に刺して焼いたものが「やきとん」と呼ばれて、低価格の人気メニューとなったとの説があります。
「やきとん」という名称から生まれたものかどうかわかりませんが、関東一円に「とりとん」という名前の串焼き屋がいくつもあります。豚と鶏をあわせたようなキャラクターを看板にしているところもあります。チェーン店ではありませんが、いずれも豚串をメニューに入れているお店です。看板にも「やきとり・やきとん」と書いているところもあり、関東に「やきとん」という名前が浸透していたことが伺えます。
焼き鳥のシロの栄養とカロリーは?
やわらかな食感で人気のシロですが、噛んだときのトロッとした食感が脂なのかなーと思うとちょっとカロリーが心配ですね?でも、内蔵肉なら、普通に肉を食べてるのと違う栄養素もありそうです。シロとはどういう栄養を含んだ食材なのでしょうか?シロに含まれている栄養素と、そのカロリーについても調べてみました。
焼き鳥のシロのカロリー
串に刺している量がお店によって違うので、一概には言えませんがシロ1串のカロリーは60kcal弱といわれています。タレにすると少し(7~8kcal)カロリーがアップします。似たような見た目の鶏皮は高カロリーで1本で150kcal前後、モモ串が80kcal前後ですので焼き鳥としては比較的低カロリーのほうになると言えるでしょう。実は柔らかくジューシィな食感は脂によるものではないのです。
焼き鳥のシロとは栄養価が豊富な部位!
筋肉(精肉)は栄養を消費する場所ですが、モツはそれを吸収したり貯めたり作り上げる内蔵です。そのため、シロには精肉の部分にくらべビタミンが多いといわれています。中でもビタミンB群、ビタミンAなどが豊富に含まれています。柔らかで弾力のある食感はコラーゲンによるものです。ビタミンやコラーゲンのほかに鉄分や亜鉛などのミネラルやアミノ酸も含みます。そのため、疲労回復や美容にもよいと言われています。
焼き鳥はシロ以外にもおすすめの部位がいっぱい!
焼き鳥には他にも独特の食感や味わいのあるものがたくさんあります。栄養的にも様々な特徴があります。鳥や豚の様々な部位を、余すところなく使って作られたやきとりには、素材を大切に使う日本人の知恵が盛り込まれています。シロのほかにも、食感や味わいに特徴があり、おすすめの部位があります。そのなかのいくつかをご紹介したいと思います。
こりこり食感がたまらない「なんこつ」
焼き鳥でなんこつと呼ばれる部分には2種類あります。ひとつは胸骨の先にあるヤゲンと呼ばれる部分です。時代劇のドラマで医者が生薬をゴリゴリすりつぶしているその「薬研」に形が似ているということでその名がついたといわれています。コリコリとした食感ですが弾力もあり、くぼみには少々肉がついていることもあります。塩焼きでレモンをかけるとさっぱりとしてあとを引きます。
もう一つは鶏のヒザ軟骨です。環状の軟骨を串に刺して焼いてあり、これも塩で焼いてレモンをかけていただくことが多いです。ヤゲンに比べるとコリコリとスナックのような食感で、好みが分かれるところです。どちらもコラーゲンが豊富で低カロリー。気がつくと何本も食べてしまうような一串です。
甘辛いタレや卵の黄身と相性最高「つくね」
ご存知つくねは鶏のひき肉やすり身を団子状や棒状にして焼いたものです。そのつなぎや練り込む薬味などで店によって特色が出ます。軟骨を細かく砕いて練り込むところもあります。甘いタレやたまごの黄身などと相性がよく、お子さんなどにもファンが多い一品です。
弾力ある歯応えとジューシーさ「ぼんじり」
鶏のお尻の部分の肉でテールや三角と呼ばれることもあります。脂肪分とコラーゲンに富み、プリッとジューシーな味わいです。メスのほうが大きく「みさき」といってわけることもあるそうです。脂肪分が多いので、焼き鳥の中では鶏皮に次ぐ高カロリー。食べ過ぎ注意ですね。外側をカリッと焼いてレモンをかけるとさっぱりします。タレで食べても美味しいです。
噛めば噛むほど味がでる「ガツ」
ガツは豚の胃袋です。内臓の中では一番筋肉が豊富なところで、弾力があり味は淡白です。シロに比べてもくさみやクセがありません。ザクザクというかコリコリというか、独特の食感があります。味にクセがないのでタレでも塩でもいけますが、塩で焼いて辛味噌もなかなか美味しいようです。
歯応えが独特でくせになる「タン」
タンは豚の舌です。牛タンは厚みや大きさがあるので皮を剥いてカットされますが、豚タンは小さいので皮を剥くと崩れてしまうため皮がついたままカットされます。そのため牛タンに比べると硬い食感です。脂が少なく、歯ごたえと旨味があるのが特徴です。タンの中でもタン元は舌の根本の部分で、ここは柔らかく脂もあります。
肉厚で脂分もたっぷり「鉄砲」
シロは豚の大腸ですが、テッポウは直腸になります。切り開いたときの形が鉄砲に似ているということでこの名がつきました。大腸に比べて短いため、やや希少な部位になります。味はシロに似ていますが、シロにくらべても厚みがあり、柔らかく弾力もあります。
ニンニク入りの辛味噌が合う「カシラ」
カシラは豚のこめかみから頬にかけての肉になります。よく使う筋肉なので、豚のなかでも脂肪分の少ないヘルシーな肉です。独特のコクと歯ごたえがあり、噛めば噛むほど旨味が出ます。焼き鳥の街といわれる埼玉県東松山市ではこれににんにく入りの辛味噌をつけて出されます。スーパーなどではあまり見かけない肉です。豚肉としては比較的傷みやすく、よく出回る地域でしかあまり流通していないようです。
焼き鳥のシロとは実は豚肉の部位だった!
焼き鳥と言っても、鶏ばかりではないことがわかりました。シロは豚を使っていたんですね。今回は鶏と豚の部位をご紹介しましたが、豚だけでなく牛をやきとりとして使う地方もあります。同じ名前の料理でも、食べる地方によって特色が出るようです。そして実は、鳥も鶏だけではなく昔はスズメなども串に刺して焼き鳥と呼ばれて食べられていたそうです。
宮崎のように串に刺さず網の上で焼く焼き鳥、愛媛県今治市のように鶏皮を鉄板で焼いてタレをつけて食べる焼き鳥、九州の久留米では、魚介類まで焼き鳥に使うそうです。まだまだここに名前の上がっていない美味しい焼き鳥もあり、焼き鳥の世界も奥が深いようですね。