2019年07月14日公開
2024年09月21日更新
イーストフードの危険性は?パンに用いられる添加物の秘密とは?
イーストフードはパンを作る際に使われる添加物です。市販のパンの原材料名でよく見かける言葉ですが、パッケージに大きくイーストフード乳化剤不使用と書かれているものも多く見られます。イーストフードは何のために用いられて、なぜ不使用を強調する商品があるのでしょうか?謎が多いイーストフードと一緒に添加されている乳化剤という添加物とは体に害があるものなのか、その危険性をまとめてみました。
イーストフードとは?
市販のパンのパッケージにイーストフード乳化剤無添加と書かれているものをよく見ますが、イーストフードとは何の事なのか知らずに過ごしている方は多いはずです。イーストフードとは、化学的に作られたイースト(酵母)のエサとなる添加物です。イーストフードを加えることによって酵母の働きが活発になり、短時間で大量のパンを作ることができます。
パンがよく膨らみ、通常の7割ほどの小麦粉で作ることができるので、低コストで大量生産をしたい会社にはいいことづくしの成分です。しかし最近ではよく無添加を強調する商品が多く見られます。そう主張するということは体に害のあるものということなのでしょうか?
食品添加物の一つ
酸化防止剤やビタミンC着色料など、食品添加物はたくさんありますが、イーストフードは塩化アンモニウムや硫酸カルシウムなど16種類の合成添加物の総称で、食品添加物の一つです。この16種類のほとんどが化学合成添加物というもので、聞いただけで体に悪いものと捉えられがちですが、安全性が認められて使用されています。
イーストとは違う?
パンのふわふわ感は酵母を使って作られています。酵母というのは菌のことで、穀物や果物などに含まれていまて、この酵母菌が砂糖などを栄養にして炭酸ガスやアルコールを発生させ、パンを膨らませることができます。
パンを膨らませる酵母には天然酵母やイーストが使われていますが、イーストとはパン作りに適した酵母を凝縮させて作ったパン専用の酵母です。
イーストとはパンを膨らませるために必要な酵母の事で、イーストフードとはそのイーストの力を引き出すために作られた人工の添加物のことなので全く別のもになります。イーストは自然界に存在する菌を培養したものなので体に害のあるようなものは含まれていません。
乳化剤との関係
乳化剤とは本来交わることできない油と水分を混ぜ合わせるために使用する添加物です。日用品に使われる界面活性剤のうち、食用として使用できるグリセリン脂肪酸エステル、卵黄レシチンなど計25種類を総称して乳化剤と呼びます。
この乳化剤もイーストフードと同様にパンのふんわりさを出すために必要で、イーストフードと共にパンの製造に欠かせないものです。それだけでなくパンの老化防止や安定した生地を作れるのでほとんどのパンに含まれています。
パンだけでなくドレッシングやアイスクリームなどにも含まれているので、加工品のほとんどに含まれていると考えてもいいでしょう。界面活性剤と同じ働きをする成分ということで、界面活性剤を食べているのと同じことだという考えから、乳化剤は体に害のあるものという意見が広まっています。
一括表示が認められている
パン製造メーカーでは16種類の添加物のうち数種類合わせてパンに使用していますが、何種類使ってもイーストフードと一括で表示すれば良いことになっています。なので消費者は実際になどの添加物が含まれているのか把握することができません。
イーストフードと表示されている以上、数種類の化学添加物を一度に摂取しているということになります。
イーストフードの危険性
イーストフードはほとんどのパンに使用されています。食べられるものとして販売されているということは安心できると思えますが、16種類の中には体に害のある危険な添加物もあります。口に入るものなので害は直接的です。どんな危険性があるのか具体的な添加物の名前など知っておきましょう。
塩化アンモニウムの危険性
イーストフードに属する塩化アンモニウムという物質は通常化学肥料に使われています。ウサギの場合2g、犬の場合6~8g摂取すると死に至るとの研究結果もあるほど危険な添加物です。人間の場合は大量に摂取しなければ害はありませんが、動物が死に至るほどの添加物を進んで摂取したい方はいないはずです。
実物を見ても粉末の薬品で、目や手に付いたらよく洗い流すようにとの注意書きがあるほどの成分なのに体内に入れるのはとても危険に感じます。できる事なら摂取は避けたいものです。
リン酸塩類の危険性
リン酸塩は、ハムやソーセージなどの加工食品によく含まれていて肉の水分を保って柔らかく仕上げる効果があります。リンは体に必要な栄養素ですが、過剰摂取すると腎機能が低下したりカルシウムの吸収が阻害されるという研究結果も出ています。
また、骨密度が低下して骨粗しょう症になるリスクもあると言われていますが、普通に加工食品を食べている程度ではそこまで危険性はないとされています。あくまで過剰摂取は危険ということは頭に入れておきたいです。
一緒に使われる臭素酸カリウムの危険性
臭素酸カリウムはイーストフードではありませんが、酸化防止剤のようにイーストフードと共に使用される添加物の一つです。この臭素酸カリウムは毒性が認識されていて、パンに限って残留しないことを条件に使用を許可されています。なので原材料に表記されることがなく、判断できません。
しかしこの成分は発がん性があると認められていて、遺伝子障害性発ガン性物質に指定されているほど危険な添加物の一つです。表示義務がなく判断が難しいですが、こちらも危険と分かっていながら摂取したくありません。
赤ちゃんへの害はある?
離乳食として5~6ヵ月頃から赤ちゃんに与えていいとされているパン粥を作るには食パンが必要ですが、そのパンには有害な成分が含まれていると思うと与えていいのか疑問になります。
もともとパンに使用されているイーストフード自体、害の無い程度の量しか含まれていないうえに、赤ちゃんにあげる量はごく少量なのでそこまで神経質になることはありませんが、できれば体に優しいものをあげたいというのが親心です。
だからといって無添加のパンを手に入れるのはそう簡単ではないので、絶対とは言いませんができるだけイーストフードが使用されているものは避けてあげましょう。
イーストフード不使用や乳化剤無添加パンの秘密
イーストフードや乳化剤を使用していないと表示している商品が多く見られますが、だからといって特別値段が高いわけではありません。ではどのように製造されているのか不思議です。
こういった表記のあるものは実際は表示義務のない、イーストフードなどと同質で同機能のものを使用しているものが多いです。一体どういうことなのか少し紹介します。
イーストフード不使用のからくり
生地にたんぱく質分解酵素を添加すると、酵素が小麦粉のたんぱく質を分解して酵母が利用できるようになります。この酵素は焼かれると焼失するため、加工助剤として表示義務がなくなります。このように表示義務の必要がないものを代わりに使用して、実際は添加物を使用していても表示を避けているものが多いのが現実です。
また、ドロマイトというイーストフードと同等の性質をもつ天然物を添加して原材料名にドロマイトと表記しイーストフードの表記を避ける方法をとるなど、様々な手法で表記を避けています。
乳化剤不使用のからくり
イーストフードと同様に、卵黄油や酵素を使用して乳化剤同等の成分を生成して乳化剤不使用と表記する手法があり、実際に乳化剤不使用の表示のある食品を科学的に分析して乳化剤同等の成分が検出されたという結果がでています。
また、原材料として使っているマーガリンに乳化剤を混ぜていたり、微量を使用してその他と表示したりとこちらも表示義務を避ける方法をとっていたりします。このように、イーストフード乳化剤不使用といいながらも、同等の成分を使用しているので添加したものと変わりません。表記されていないからといって安心とは限らないのが現実です。
イーストフードの危険性を認識しておこう
現代の食生活に添加物は欠かせない成分で、イーストフードや乳化剤も摂らない日は無いと言っても過言ではないほど流通しています。体に害の無いものとして食品に使われていますが、実際には動物が死に至る成分や毒性のある成分が含まれていて、気にしていても商品に表記されずに知らず知らずに摂取している可能性もあります。
全て避けることは難しいですが、危険性を理解しておけば少しずつでも避けることはできます。ぜひこの事を頭にいれておいていただきたいです。本当に体を思うのであれば極力手作りをするなど、日頃から体に良いものを口にする習慣をつけて食生活に気を付けて健康な体を維持しましょう。