トレハロースとは?天然糖質の効果11選と化粧品や甘味料について

トレハロースは、天然成分の糖質です。トレハロースは、食品添加物として安全に使用できるとして国内外にも認められています。甘味料としては、砂糖の45%しか甘みはありませんが、トレハロースには驚きの効果がたくさんあります。その中でも、トレハロースの特徴ともいえるすぐれた保水性による効果は、食品に使用されるだけではなく、化粧品にも使用されています。私たちの日常に様々な効果を与えてくれるトレハロースですが、他にもどのような効果があるのか詳しく紹介します。

トレハロースとは?天然糖質の効果11選と化粧品や甘味料についてのイメージ

目次

  1. 1トレハロースとは一体何?
  2. 2トレハロースの特徴
  3. 3トレハロースの成分と効果11選
  4. 4トレハロースの副作用と注意点
  5. 5トレハロースの効果と安全性を理解しよう!

トレハロースとは一体何?

原料と抽出

トレハロースとは、天然糖質のことで、動物や植物の細胞内にも存在する天然の糖質のことです。しかし、トレハロースを抽出することは難しく、酵母を大量に培養し抽出していましたが、抽出できても価格が1kg当たり3~5万円もする高級品でした。しかし、微生物と酵素技術を使った「でんぷんからの量産」ができることになり、利用が広まりました。

原料は、トウモロコシやジャガイモのでんぷんですが、原料が遺伝子組み換え作物である可能性を除けば、天然の食品添加物と認識されるようになりました。

自然界のトレハロース

トレハロースは、別名マッシュルーム糖とも呼ばれ、エビやきのこ類などに多く含まれる糖質です。しかし、抽出することは難しいので、トレハロースを見つけるにあたって、土壌中に存在する微生物が持つ酵素をでんぷんに作用させて新たな糖質を見つけるという手法がとられました。

天然の甘味料

トレハロースは、天然の甘味料であって、人工の甘味料ではありません。人工の甘味料は、「合成甘味料」と「糖アルコール」があり、「糖アルコール」は、自然にある成分を人工的に作り出しているという特徴から、トレハロースは人工の甘味料と勘違いされることがあるのですが、トレハロースは、元々自然にある成分で量産しているので、天然の甘味料なのです。

トレハロースの特徴

1gあたりのカロリー

トレハロースの特徴として、トレハロースのカロリーは、1g当たり4kcal砂糖と同じです。しかし、トレハロースは、糖質なので甘味を持つ成分もありますが、米や芋類などと同じでんぷんの仲間ですので、砂糖の半分の甘みしかありません。

炭水化物量

人がエネルギーとして使える栄養素は、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類ですが、すぐにエネルギーに変えられるのがブドウ糖です。体内での糖質は、少量のグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられているだけで、余分なエネルギーは脂肪として体に蓄えられます。エネルギーとして血液中のブドウ糖を消費してしまうと、グリコーゲンも尽きてしまうためエネルギーが不足し、疲れやすくなります。

特に脳はブドウ糖が唯一のエネルギー源なので、脳だけで1日に120gものブドウ糖を消費します。そのため炭水化物量が不足すると、判断力が鈍り、注意力が散漫になります。トレハロースは糖質です。「糖質」=「炭水化物量」なので、トレハロースの炭水化物量は、100%ということになります。ちなみに、白米ご飯1膳(150g)に含まれる炭水化物量は、55gです。

甘味成分をショ糖・砂糖と比較

トレハロースの甘味成分は、2種類のブドウ糖が結合したものです。ショ糖と砂糖の違いですが、ショ糖と砂糖は、ほぼ同じです。砂糖の主成分がショ糖で、ショ糖の甘味成分は、ブドウ糖と果糖です。砂糖の種類の違いは、ブドウ糖と果糖の割合の違いで、グラニュー糖や上白糖など砂糖の種類が違ってきます。

トレハロースの甘味は、ショ糖の45%しかありません。砂糖と比べると、あっさりとした上品な甘みになっています。砂糖と同じ甘さを出した場合、倍以上のトレハロースが必要になり、高カロリー、高GI(食後血糖値の上昇値)となってしまいます

トレハロースの成分と効果11選

保湿効果のあるトレハロース化粧水

トレハロースには、高い水和特性を持つという特徴があるので、水分量の多い食品のしっとり感や柔らかさを保持する目的でも使用されます。高い水和特性は、食品だけでなくスキンケアや化粧品でも利用されています。乾燥肌の人が、トレハロース配合の化粧水を使うと、細胞を保護してくれる効果があります。トレハロースの保湿力が脂性肌も解消できる効果も期待できます。

トレハロースが多くの化粧品に使用されているのは、トレハロースの優れた水分保持保湿力に加え、抗炎症作用があるといわれています。乾燥肌でもオイリー肌でも効果が期待できるトレハロースですが、自分で化粧水を作ることもできます。精製水にトレハロースを入れるだけで、十分な化粧水に仕上がります。お好みでオイルやグリセリンを入れて保湿効果を高めるのも良いかもしれません。

カルシウムの流出防止で骨粗しょう症予防

トレハロースを摂取するチームとトレハロースを摂取しないチームのマウスの実験で、トレハロースを摂取したマウスの方が、骨の重量の減少を抑えられることができ、骨の密度が高くなったと発表されています。トレハロースで、破骨細胞の働きを抑え、カルシウムの体外への流出を抑える効果が骨粗しょう症の予防が期待できます。

野菜の水分保持効果で鮮度を保つ

トレハロースは、細胞の表面のたんぱく質と水素結合することによって、細胞膜を保護する特徴があります。細胞の表面で、トレハロースがカラス構造のようなものを形成し、それにより細胞内物質を防ぎ保護する働きがあるので、乾燥した環境でも強い保湿効果が発揮されます。

乳成分の独特な臭いを抑える

トレハロースには、独特な臭いを抑える効果があります。脂肪酸が分解されて生じる揮発性アルデヒドや魚の生臭み成分のトリメチルミンの生成を抑制する効果があります。臭いを抑える効果は、食品だけではなく、加齢臭などにも効果があり、介護用品や消臭剤にも利用されています。

たんぱく質の変性抑制効果

トレハロースには、たんぱく質の変性を抑制する効果があります。熱を加えることによって、たんぱく質が縮んでしまうのを抑えることができるので、たんぱく質が豊富に含まれる卵の半熟状態を保ったり、食感の良いだし巻き卵を作る時に使用されています。

パサつきを抑える効果

トレハロースは、高い保水効果があり、糖類の中ででんぷんの老化抑制効果がとても高いのです。老化抑制効果がたかいので、時間がたつと固くなるご飯やもちなど、でんぷん質の食品を柔らかく保つことができるます。しかし、この高い保水効果が特徴のトレハロースですが、クッキーやサブレなどの焼き菓子に使うと、サクサクの湿気にくい仕上がりになります。

脂質の変質を抑える効果

トレハロースには、脂肪酸の酸化を穏やかにする効果があります。食品に含まれる脂質や油脂を構成する脂肪酸が加熱調理や長期保存の間に分解され、油臭くなる現象を「脂質変敗」といいます。トレハロースには、酸化を防ぐ効果もあり、焼き菓子などに使用すると、焼成後の変敗臭や保存中の風味劣化を防いでくれ、食べ物の品質保持にも役立っています

冷凍時の組織の保護効果

食品を冷凍保存すると、味や食感が悪くなります。トレハロースには、凍らせると砂糖水溶液より小さく丸い結晶ができます。また、氷結晶の成長を抑制する効果があるので、氷の結晶が小さくきめ細かくなります。結晶が小さいことで、食品の組織の損傷や離水が抑えられるため、冷凍による劣化が起こりにくくなります

菌を抑える効果

トレハロースには、菌を抑える効果が期待されています。トレハロースには、水分の活性を下げる特徴があるので、細菌の発育や増殖を抑制する効果があります。また、トレハロースには、虫歯の一因である不溶性グルカンの生成が認められず、砂糖からの不溶性グルカンの付着を約60%抑制します。このため、トレハロースの糖質は、歯に悪影響を与えにくいといえます。

野菜や果物の褐変の抑制効果

りんごやアボカドなどのフルーツや野菜をカットしておいておくと、表面の色が茶色く酸化し褐変します。トレハロースには、フルーツや野菜を色素の酸化から保護する効果があります。カットしたフルーツや野菜にトレハロースの水溶液に漬けたり、トレハロースをまぶしたりすると、褐変を抑制することができます。

気泡を安定させる効果

トレハロースには、卵やメレンゲ、生クリームなどしっかりと泡立てる効果があります。ケーキがうまく膨らまなかったり、メレンゲがきめ細かく泡立たないときなどは、トレハロースの効果で、フワフワのケーキやパンが作れます。トレハロースの高い保水性で、時間がたってもパサついたり、固くなりにくくします

トレハロースの副作用と注意点

食品添加物と人工添加物

トレハロースは、国内外で安全性を認められている食品添加物です。成分は、しいたけ、しめじ、きくらげ、なめこなどのキノコ類や海藻、酵母などに含まれている糖です。トレハロースは、サトウキビやはちみつメイプルシロップなどの天然甘味料が原産の食品添加物になります。しかし、人工の食品添加物とは、人工的に合成して作った食品添加物で、砂糖不使用のい飲み物などが甘く感じられるのは、人工甘味料の添加物によるものです。

糖尿病を患っている方は摂り過ぎ注意

安全性が認められているとはいえ、摂り過ぎには注意しなくてはいけません。特に、糖尿病を患っている場合、血糖値の上昇に気を付けなくてはいけません。トレハロースは、血糖値の上昇が穏やかな糖質とされていますが、まったく血糖値が上がらないわけではありません。天然素材ではありますが、糖質であることに変わりはないのです。

摂り過ぎによる下痢

食品や飲料とともに摂取した糖質は、人の腸管にある酵素で分解され吸収されます。トレハロースも、トレハラーゼという腸管に存在する酵素によってブドウ糖に分解され吸収されます。しかし、人の腸管でトレハロースを分解する能力は、個人差があるため、体質によっては、一度にたくさん撮り過ぎると下痢をすることがあります。これは、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロするのと同じ現象です。

トレハロースの効果と安全性を理解しよう!

トレハロースは天然の糖質で、私たちの身近な食品や化粧品にも存在します。トレハロースを使うことによってさまざまな効果を得ることができますので、甘みとしての効果より、食品の品質保持や品質の向上の効果のために使用されることの方が多いです。トレハロースは安全な食品添加物ですが、安全だからと摂りすぎに注意しながら活用してください。

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