2018年06月07日公開
2024年07月16日更新
本みりんとみりんの違いとは?含まれる糖質とアルコールや保存方法も!
料理に上品な甘みを出してくれる「みりん」。スーパーに行くと「本みりん」や「みりん風調味料」など、似ている名前の調味料が並んでいるかと思います。値段にも大きく差が出る「本みりん」や「みりん風調味料」と書かれた調味料ですが、それぞれに違いがあることを知っていますか?今回は「本みりん」と「みりん風調味料」の違いについて、含まれている糖質量、アルコール数、それぞれの保存方法なども詳しくご紹介します。みりんの違いを詳しく知って賢く美味しい料理をしてみましょう。
目次
本みりんとみりん風では何が違うの?
料理に上品な甘みを出してくれる「みりん」。スーパーに行くと「本みりん」や「みりん風調味料」など、似ている名前の調味料が並んでいるかと思います。値段にも大きく差が出る「本みりん」や「みりん風調味料」と書かれた調味料ですが、それぞれに違いがあることを知っていますか? 特に料理初心者はどちらを買えばよいのか迷うのではないでしょうか?
今回は「本みりん」と「みりん風調味料」の違いについて、含まれている糖質量、アルコール数、それぞれの保存方法なども詳しくご紹介します。みりんの違いを詳しく知って賢く美味しい料理をしてみましょう。
本みりんやみりん風と何故たくさん種類があるの?
なぜ「本みりん」や「みりん風調味料」と種類がたくさんあるのでしょうか。これには諸説ありますが、本みりんがまず戦国時代に中国から伝わってきた甘いお酒「蜜淋(ミイリン)」が発祥とする説や、古くから日本にあった「錬酒」「白酒」に焼酎が加えられたという説などがあるそうです。
みりんは戦国時代に誕生し、江戸時代になるとお酒が苦手な人や女性も飲める「甘いお酒」として飲用されていたとも言われています。みりんの甘さは、米のでんぷん質を糖に変える「麹」によってつくられますが、当時は麹をつくる技術が発達していなかったため、甘みが少なかったと言われています。
明治から戦後までは本みりんは贅沢品で、あまり一般家庭では使われていません。高級割烹料理店やうなぎ屋で利用されていました。その後、大幅な減税があり本みりんが普及していきます。しかし酒類だったため、酒類免許のないスーパーでは販売ができませんでした。
そこで、アルコールをほとんど含まず、風味を本みりんに近づけたみりん風調味料と、塩を加えて酒類に分類されないようにした発酵調味料とが普及してきたと言われています。
本みりんの調理効果
本みりんはまろやかで上品な甘み
甘味というと真っ先に砂糖を思い浮かべるかと思います。本みりんでは砂糖とはまた違いを持った甘味を料理に加えることができます。本みりんの甘味はブドウ糖やオリゴ糖などの多種類の糖から構成されています。本みりんの甘味は奥深くさっぱりとした上品な甘さで料理を仕上げることができます。
本みりんは煮崩れを防止する
本みりんに含まれる糖分やアルコールが料理の具材に浸透し、その組織を引き締めるため煮崩れを防ぎます。本みりんの成分である糖類とアルコールの効果で、肉や魚などは筋繊維がくずれるのを防ぎ、野菜はでんぷん粒の流出を防ぐと同時に、食材の旨み成分を外に逃がさない効果もあるそうです。見た目が美しいだけでなく、食材の旨味成分を外に逃がしません。
本みりんは料理に照りやツヤを出してくれる
本みりんの複雑な甘味成分が、加熱することで膜を作り出します。砂糖+お酒でも照りをつけることは可能ですが、作り出すにはかなりの量が必要となってくるため、料理の味付けのバランスが崩れてしまう恐れがあります。商品によっては砂糖の倍以上の照り・ツヤ効果を発揮します。
本みりんは味が染み込みやすくコクが出る
本みりんに含まれるアルコールの効果によって、旨み成分が素早く浸透し、料理の味付けが速く均一に仕上がります。アルコールは分子が小さいため、アミノ酸や糖類などが素早く浸透しやすくなるようです。
本みりんは、もち米から生まれる「アミノ酸」や「ペプチド」などの旨み成分や糖類などの成分によって、料理に深いコクと旨みを与えてくれます。本みりんは、煮物など味が染み込みコクが出る日本料理に最適な調味料と言えます。
本みりんとみりん風調味料の違い
ここからは「本みりん」や「みりん風調味料」と数多くのみりんと呼ばれる商品が販売時には近くに並んでいますが、どう違うのでしょうか?その違いについて詳しく紹介します。
本みりんとみりん風では原材料と製造方法が違う
本みりんは、蒸したもち米、米麹、焼酎もしくはアルコールを原料にし、40日~60日間かけてじっくり糖化・ 熟成させます。この間に米麹中の酵素が働いてもち米のでんぷんやたんぱく質が分解され、各種の糖類やアミノ酸、有機酸や香気成分などが生成され本みりん特有の風味が形成されます。
また本みりんには、伝統製法で作られているものもあります。昔ながらの製法を守り造り続けてきた伝統の本みりんは、焼酎・もち米・米麹を2年程度熟成させることで、自然な香りや酸味、甘みが生み出されます。そのまま飲んでもおいしく、ほどよいトロミに濃くまろやかな甘さが特徴です。本格的に醸造されたみりんは「純米みりん」などとも呼ばれるようです。
一方でみりん風調味料は、ブドウ糖や水あめなどの糖類・米・米麹・うまみ調味料・香料などを短時間で調合し作られます。そのため料理の照りやツヤ、甘さは本みりんよりも強めに仕上がります。ただし食塩を含むので、塩加減に注意が必要です。調理効果は近いですが、風味はみりんには敵いません。
本みりんとみりん風ではアルコール度数が違う
本みりんは14%前後のアルコールが含まれています。それに対してみりんはアルコールをほとんど含まず、アルコール度数は1%未満です。本みりんは酒税がかかっており、酒類販売免許のある店でしか購入できません。みりんは酒類として扱われないため、価格が本みりんより安くなっています。
また本みりんはアルコール分が含まれているため、上記で紹介したように魚や肉などの生臭みを消す、煮くずれを防ぐ、食材にうまみ成分をしっかり浸透させる効果などがあります。
一方で、加熱しない料理であるマリネ、ドレッシング、和え物に使用する場合は、煮切ってアルコールを飛ばす必要があります。みりん風調味料はアルコール分がほぼ含まれていないので煮切る必要はありません。
本みりんとみりん風では味付けの順番が違う
本みりんとみりんでは、いわゆる料理の基礎となる「料理のさしすせそ」の位置も大きく違ってきます。本みりんは酒類なので最初に入れますが、みりんは味噌の後、最後に加えるんです。やはりアルコールの影響が随所にでてくるのです。
本みりんとみりん風の糖質量
甘味のある本みりんとみりん風調味料では、やはり気になるのが糖質量だと思います。糖質オフダイエットしている人は特にその糖質量が気になるところです。本みりんの糖質量は約43.2g、みりん風調味料の糖質量は約54.9gです。
和食はみりんを使うときに砂糖やお酒も一緒に使うことが多く、しかも他の料理にも同じようにみりんを使うことがあります。そのため本みりんを使う際もみりん風調味料を使う際も、1食分トータルの糖質量はしっかりと考えて使う必要があります。
何故本みりんもみりん風調味料も糖質量が高いのか
本みりんは蒸したもち米が原料で、そこに米麹や焼酎を加えて熟成させて作ります。この熟成の間にもち米のデンプンが糖化されることによって、糖質量が高くなります。一方みりん風調味料の場合は、アルコール度数が1%未満のお酒に対して、うま味調味料や水飴を加えて、みりんのような風味を再現しています。このときに加えられる水飴がみりん風調味料の糖質を高くする原因です。
本みりんとみりん風の保存方法の違い
本みりんとみりん風調味料とでは保存方法がそれぞれ異なります。本みりんには糖類が多く含まれているので、低温での保存方法にすると糖分が結晶化してしまう恐れがあります。そのため本みりんは冷蔵庫での保存方法はおすすめできません。アルコールを多く含む本みりんは、しっかりキャップを締めて直射日光の当たらない冷暗所で常温保存方法にしましょう。
本みりんは何かと使用する機会が多い調味料なので、直射日光が当たらず出し入れがしやすい場所に保存するのがおすすめです。開封後は約3ヶ月保存することができます。
みりん風調味料はアルコールが少なく保存性が良くない為、開封後は冷蔵庫での保存方法が向いています。パッケージの裏面にも「開栓後要冷蔵」と記されています。開封後は約3ヶ月保存することが出来ますが、なるべく早めに使い切るようにしましょう。
本みりんとみりん風の大事な選び方
ここまで本みりん、みりん風調味料の違いをいくつか紹介しましたが、実際店頭に行ってみると同じ種類のみりん風調味料やみりんタイプでも、比べてみると中身は違います。呼び方だけでは判別することが難しい商品もあるので購入する際は、ラベルをしっかりチェックするようにしましょう。
本みりんやみりん風を使い分けて美味しい和食を食べよう
「本みりん」と「みりん風調味料」では原材料や製造方法、保存方法などにも違いがあることを紹介しました。本みりんやみりん風調味料にはそれぞれ特徴があるので、料理に合わせて上手に使い分けてみましょう。いつもの和食がひと味違ったものになるかもしれません。