2022年01月28日公開
2024年11月18日更新
ボケの実とはどのような果物?食べ方は?栄養価や効果・効能も紹介
ボケの実について解説します。ボケの実とはどのような果物か、美味しい収穫時期、栄養価や体への効果効能について詳しく説明!ボケの実を食べるときの下準備の仕方とおすすめの食べ方や加工品の作り方も紹介しますので参考にしてください。
ボケの実について詳しく解説!
ボケは漢字で木瓜と書かれるバラ科の植物です。梅のような小さくかわいい花が咲くので古くから観賞用として親しまれていました。
また秋になると、直径5cmくらいのカリンのような大きめの実をつけます。その実は固いので生では食べられませんが、香りが良いのでジャムや果実酒、シロップとして人気です。最近は、香りだけでなくその栄養価や効能も注目されてボケの実について詳しく解説しましょう。
ボケの実とは?
ボケの実の特徴と名前の由来
ボケの実は、丸くてジャガイモのような形をしており、甘酸っぱい爽やかな香りが特徴です。はじめは黄緑色ですが、熟してくるとオレンジ色や黄色になり、実が落ちます。実が落ち始めたら収穫すると良いでしょう。
ボケの実は黄緑色の時期に体内に入ると毒性に変わる成分があるので注意しましょう。熟すると毒性はなくなりますが、生では固くて苦みや酸味もあるのでそのままでは食べられません。ジャムにするなど食べ方を工夫するのがおすすめです。
ボケはその実が瓜に似ているため、木にできる瓜として木瓜と書かれ、「もけ」や「もっけ」と呼ばれていました。それが訛っていって「ボケ」になったといわれています。
味と香り
ボケの実は収穫してそのまま生で食べると、酸味や苦みが強く硬い果実です。しかしお酒や水につけて柔らかくし、砂糖を加えて果実酒やジャム、シロップにすると美味しいと評判です。
ボケの実が青い頃の香りは爽やかでスッキリした印象ですが、熟して黄色くなってくると甘酸っぱいフルーティーな香りになるでしょう。その頃に収穫して加工し、癒されるその姿や香りを楽しむ人が多い果実です。
収穫時期と食べごろのサイン
ボケの実は青い時期には毒性があるので、黄色く完熟してから収穫するのが良いでしょう。完熟しすぎると落ちてしまうのですが、比較的固い実なので落ちてすぐなら加工して食べることができます。
一般的に9月下旬から10月くらいが収穫する時期で、甘酸っぱい良い香りがし、表面がべたついてくるでしょう。食べ頃もこの熟した時期になるので、秋らしい香りを楽しめます。
ボケの実は、あまり多くの実をつけると株が弱ってしまい次の年の花や実の数が減ってしまうので、熟する前に少し摘んでおくとよいでしょう。
ボケの実に毒はあるのか?
ボケの実が青い時期には、体内に入ると毒になる成分が含まれているため、食べると腹痛を起こしたり下痢になることがあります。
しかし、完熟して甘酸っぱいフルーティな香りがしてくると、この毒性は抜けていきます。毒が抜けても固い実なので、収穫して生のままで食べるのは難しいでしょう。砂糖で煮てジャムにするのが、最もポピュラーで美味しい食べ方です。
ボケの実の下準備とおすすめの食べ方
甘酸っぱい香りのボケの実は、固い実のため収穫してそのままで食べることができませんが、その香りを活かした美味しい食べ方を紹介しますので、作り方を覚えて楽しんでください。
下準備
収穫したボケの実を食べられるようにする作り方は、まず良く洗い、一晩水につけることから始まります。
水につけた後のボケの実は、自然乾燥で乾かします。乾燥して味を凝縮させることが、美味しいお酒やジャムの作り方のコツでしょう。
食べ方①ジャム
ボケの実の美味しい食べ方として、最もポピュラーなのがジャムです。一般的なボケの実ジャムの作り方を紹介しましょう。
まずボケの実を縦に割って種を取り出して粗目のみじん切りにし、切った実に水を少し加えて弱火で煮ます。実が柔らかくなってきたら、黒砂糖を加えて焦げないように注意しながら、さらに弱火で煮詰めます。
砂糖の量はボケの実10個に対して30gくらいですが、味を見て少し甘すぎるかと思うくらいがちょうどよいです。
作り方のポイントは実がトロトロになるまで煮詰めることですが、焦げやすいので注意しましょう。出来たジャムはパンやクラッカーに塗ったりケーキに挟んだりすると美味しい。
食べ方②漬ける
スライスしたボケの実をハチミツに漬け込んで柔らかくすることも、美味しい食べ方の一つです。
作り方は、横半分に切って種を取ったボケの実を皮ごとスライスし、密閉容器に入れてハチミツを入れるだけです。ボケの実が固いとスライスするのに苦戦しますので、下準備をしっかりして柔らかくしてからカットしましょう。
ハチミツはボケの実5個に対し500gくらいが適量です。ハチミツが沈殿しないように毎日かき混ぜるようにし、1週間くらいで実や皮を取り出します。実や皮は乾燥させて煎じて飲み、ハチミツ液はお湯や紅茶、炭酸水に溶かして飲むとよいでしょう。
食べ方③お酒
ボケの実は梅酒のようにお酒に漬け込んでボケ酒として飲むこともできます。作り方は、まずよく熟した黄色のボケの実500gをきれいに洗い、乾燥させるために竹ざるに一晩置きます。
大きめの保存瓶を用意し、そこに輪切りにしたボケの実と氷砂糖300g、35%ホワイトリカー1800mlを交互に入れます。保存瓶は涼しく暗い場所に置き、半年ほど寝かせます。
よりまろやかにしたい人は、1年以上漬けるのがおすすめです。水やお湯で割ると風味や香りが増し、美味しいでしょう。
食べる以外の活用方法
ボケの実は加工して食べたり飲んだりする以外にも、その香りを活かして芳香剤としても利用されています。
作り方は、ボケの実をまるごとかごに入れたりネットに吊したりするだけなので、とても簡単です。香りは2ヶ月くらい持ちますが、ボケ実の色が茶色に変色してくると香りもなくなってきます。お風呂に入れてゆず湯のようにするのもおすすめです。
ボケの実の栄養価と効果効能
ボケの実はその香りだけでなく、栄養価や効果効能も注目されています。どのような栄養と効果効能があるか解説しましょう。
栄養価
ボケの実には柑橘類によく含まれるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸が豊富に含まれています。そのため爽やかな酸味があり、甘酸っぱい香りがするでしょう。有機酸には、抗酸化作用や抗菌・殺菌作用、鉄分の吸収を促進する働きがあります。
その他、サポニン、タンニン、食物繊維などの栄養素も含まれており、体の調子を整える漢方のような果実といえます。
効果効能①疲労回復
ボケの実に含まれているクエン酸の働きの一つが、酸化ストレスによってダメージを負った細胞を修復する抗酸化作用です。
さらに、疲れによってたまる乳酸を体内で分解する働きがあります。乳酸が分解されると新陳代謝を良くなるため、疲労回復効果が期待できるでしょう。
クエン酸の疲労回復の働きをより効果的にするには、睡眠前の摂取がおすすめです。ボケ酒を飲んで眠ると、次の日の朝には疲れが取れ、すっきりと目覚めることができます。
効果効能②咳止め
ボケの実にはカリンに多く含まれるアミグダリンという成分が含まれています。アミグダリンの抗菌作用が喉の炎症を抑えてくれるので、咳止め効果や喉の痛みを和らげる効果があるでしょう。
風邪のひき始めで喉が痛い時には、ボケの実のはちみつ漬けを食べたり、ボケ酒を飲んで温まるのがおすすめです。
効果効能③生活習慣病の予防
ボケの実を食べると苦みがあるのは、含まれているタンニンやサボニンが原因です。タンニンやサボニンには抗酸化力があります。
抗酸化力とは、体内で過剰に発生した活性酸素を除去し、体の中の酸化を抑えることです。活性酸素は加齢によっても増えますが、それ以外にストレスやタバコ、飲酒なども原因になります。
活性酸素の増えすぎを防ぐタンニンやサボニンを摂取することで、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病の予防になるでしょう。
効果効能④整腸作用
ボケの実に多く含まれており、疲労回復効果のあるクエン酸やりんご酸のもう一つの作用が、殺菌・抗菌効果です。その作用によって腸内の悪玉菌が増えるのを抑えることができます。
またボケの実には、腸内の善玉菌を増やす効果のある食物繊維も多く含まれています。腸の働きを鈍らせる悪玉菌が減って腸内環境を整える善玉菌が増えることにより、腸が活発に働き、おなかの調子が整うでしょう。
特に便秘が気になるときには、腸を刺激しぜんどう運動を活発化する働きがあるので、寝る前にボケ酒を飲むと良いでしょう。
効果効能⑤免疫力を高める
先述のようにボケの実にはクエン酸やリンゴ酸が多く含まれています。この成分には、体内に細菌やウイルスなどが侵入するのを防ぎ、病原体から体を守ろうとする免疫力を高める力もあります。
本来、弱アルカリ性に保たれている人間の体に疲労やストレスが溜まると、酸化してしまい免疫力が下がります。この時、クエン酸やリンゴ酸を摂取すると弱アルカリ性に戻すことができるので、免疫力が高まる効果があるといえるでしょう。
ボケの実を食べて健康効果を実感しよう
黄色く熟したボケの実は、その可愛いフォルムとフルーティーで甘酸っぱい香りで心を癒してくれます。それだけでなく、さまざまな栄養素によって疲労回復や整腸作用、免疫効果などの効能もあり、風邪の予防にもなるでしょう。
ボケの実は固く、酸味や渋みが強いので生のままでは食べられません。しかしジャムやはちみつ漬け、お酒などに加工すると美味しく食べることができます。日持ちするこれらの作り方を覚え、体調を整えたいときの健康管理に役立てましょう。